ビックリしたなぁもう!

担当空根 漣
出発2019/06/10
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPアザリー・アリアンロッド(da0594)
準MVPハヤト・アステール(da0375)
フェルス・ディアマント(da0629)

オープニング

「護衛、ですか?」
 きょとん、と目を丸くするマークは、多くの人や荷馬車が行き交うローレックの街の停車場にいた。
 そこで彼へ持ちかけられたのは、オックス湖の近くに新しく拓かれた漁村へ向かう荷馬車の護衛をしてくれ、という依頼だった。
 困ったな、とマークは視線を漂わせる。
 護衛や討伐の依頼は、極力避けて通りたいと思っていた。
 戦闘の腕前はからきしなのだ。

登場キャラ

リプレイ

◆水飛沫に
「おいおい!? 何が起きたんだよ!」
 紅毛の耳をピンと立て、走り去る馬と湖に沈んでいく荷物とを交互に見るハヤト・アステール
 彼の傍で茶毛の戦闘馬、カフィに飛び乗るゴンスケ・アステールの姿があった。
「兄者!」
「ゴンスケ兄!」
 呼ばれた彼は傍のハヤトとイッヌ・アステールへ馬上から視線を向ける。
「イッヌ君とハヤト君は荷物を頼む! 僕は逃げた馬を追う!」
 言うが早いか、ゴンスケはカフィの手綱を引き、駆け出した。
 彼の言葉に各々頷くハヤトとイッヌ。
 ハヤトは沈んでいく荷物を追い、水中へと飛び込んだ。
 イッヌは持っていた毛布を陸に広げ、その中へ比較的小さな荷をせっせと運ぶ。

 おろおろ、と水の中へ行く皆の様子を心配そうに窺うアレックス・パーリィ
「わふぅ……。私は、その……お、泳げなくて……」
 取り合えず拾えるものだけでも、と彼は足元にある荷を持ち上げる。
 マークの傍へ運んだ荷を下ろすアレックス。
 彼は、ずるずる、と重そうな毛布を引き摺って来るイッヌの姿に気付いた。
「うんしょ、よいしょ」
「ああ、手伝います」
 イッヌの元へ駆け寄り、彼と共に毛布の端を引く。
「ありがとなのです! あ、馭者の人は怪我、してないです?」
 マークの傍へ腰を下ろしている馭者に視線を向ける二人。
 立てない怪我ではないという馭者は、それでも痛そうに腰を擦っていた。
「痛いのとんでけー、なのです!」
 応急手当セットを取り出すアレックスの傍らで、イッヌはキュアティブを成就する。
「そう言えば、顔を出した何かさんに怪我は無かったのでしょうか。心配ですね」
 応急セットを両手で抱え、アレックスはオックス湖へと心配そうな視線を向けた。

 重りになる鎧を脱いだアザリー・アリアンロッドもまた、湖の中へ身体を沈めていた。
(逃げて行った馬が何を見たのかは気になるけど……。撒き餌で別の場所へ引き付けられたら作業が楽よね)
 アザリーは漁村に到着後、近隣で釣りをしようと思って釣り道具セットを持参していた。
 釣りの為にと別途購入していた餌箱を取り出し、荷物が落ちた所より少し離れた場所へそれを撒く。
 一端陸へと戻り、連れていた灰毛の戦闘馬にマジカルロープを結んだ。
 マジカルロープの端を持って、再び水中へと潜る。それを沈んだ荷物に括り付けるアザリー。
 二百キロの加重に耐えうるマジカルロープなら、沈んだ荷物の重さに切れてしまう事も無いだろう。

 すっぽーん! と衣服を脱ぎ捨てたアドラ・マデラは、その手にロープの端を握っていた。
 彼女の握るロープはマジカルロープに結ばれている。
「水の中で服は邪魔だからな!」
 一糸まとわぬ褐色肌。ぷりケツ露に、アドラは水の中へ勢いよく飛び込む。
 丁度水面に顔を出したハヤトは、揺れる双丘に気付く。
 なんと幸運な! と思ったのも束の間の事。双丘を映していたハヤトの視界は、茶色のもこもこで覆われてしまった。
「このモコモコカットは水中でも対応してるっス!」
 ハヤトの眼前にフェルス・ディアマントが水中から上がって来ていた。
 もっふぁ、と彼の特徴的にカットされた茶色い毛並みが、水滴を弾いている。
「何てタイミングで上がってくんだよ……」
 ハヤトの恨めしい様な視線に気付いたフェルス。
「うん? 何やら熱い視線ですね。きみもモコモコカットにしてみますか!」
「毛質がちげぇよ! いやそうじゃなくてだな!」
 あー、と片手で目元を覆い、残念そうに天を仰ぐハヤト。
 彼の様子に首を傾げつつ、フェルスは纏めて回収した小さな荷物が入っているネットを肩に担ぎ、陸へと向かう。
 フェルスに名を呼ばれ、マークは視線を彼へと向けた。
「後で陸の皆にロープを引いて欲しいっス。大きな荷物に端を括り付けて来ますから」
「ええ、解りました。端っこ持ってたらいいですか?」
「OKっス! じゃ、頼みました」
 ネットに入った荷を陸へ上げ、マークにロープの端を握らせた後、彼は再び水中へと潜っていった。

◆水中の泳ぐ影
 ディレクトガガを成就させたエリアル・ウィンフィールドは、魔法の箒に乗って湖面の上にいた。
「おいきなんし、フィッシュヘッド」
 馬を驚かせたのが何であれ、こちらの邪魔をするのなら排除あるのみ。
 アザリーの撒いた魚の餌には、それらしい影を見付けられなかった。
 効果時間が切れる前にフィッシュヘッドを回収し、再びディレクトガガを成就する。
 同じ頃、深く潜るハヤトは湖底に沈んだ荷の傍で、翻る大きな尾鰭を見た。
(うおっ!? ありゃなんだ?)
 ハヤトの傍へと泳ぎ寄るフェルスもまた、その影を見ていた。
 泳ぐ姿は大きな魚の様だ。二人に驚いたのか、湖底の砂を巻き上げつつ、距離を取っている。
 ハヤトと視線を合わせたフェルスは、湖底に沈んでいる荷を片手で示した。
 その後自分とハヤトを示し、湖面を指す。
 自分達は荷物を拾っているだけだ、危害を加えに来た訳ではない。
 そういう意図を汲み取ってくれたら良いのだけれど。
 じっ、と遠巻きに二人の様子を探るソレは、突然に水中を切る槍へ身を翻す。
 エリアルの放っていたフィッシュヘッドが、二人とソレの間に割って入った。
 槍を構えるフィッシュヘッド。対峙するソレは大きく尾鰭を掻き、オックス湖の深くへと潜り去る。
 後を追おうとするフィッシュヘッドは、ディレクトガガの効果時間が過ぎて元の指輪に戻ってしまった。
 顔を見合わせた後、フェルスは握っていたロープを湖底に沈んでいる荷へ括り付ける。
 ハヤトはガガの指輪を掴み、フェルスと共に湖面へ上がった。
「ぷはっ、おい! フィッシュヘッド誰んだ!」
 握った指輪を湖面から掲げるハヤト。わらわじゃ、と箒に乗ったエリアルが彼の傍で浮かぶ。
「ほら返す。相手は深い所へ逃げてったぜ」
 彼女の掌に指輪を乗せるハヤト。彼の言葉に「何がおったのえ?」とエリアルは問う。
「何かわかんねぇけど、敵対の意思もなさそうだったぞ」
「……さようかえ。逃げていきはったなら安泰やわ。ほな、荷物の回収手伝いましょか」
 そう言うと、彼女は箒を操って、湖面の上を飛び進んだ。

◆逃げる馬
 まてー! とゴンスケはカフィの足を駆り、空の荷馬車を引いたまま逃げていく馬を追っていた。
 その馬に追い付く事はそう難しい事では無かった。
 カフィを馬と並走させた彼は、同時にエンパシーを成就する。
「どうどう、もう怖いものはいねェから足を止めてくれ」
 彼の意が通じた馬は速度を緩め、ぶるぶる、と首を振った後、その場に止まる。
「よーしよし。落ち着いたか? ビックリしたよなァ」
 カフィから降り、馬の首を優しく撫でるゴンスケ。
「痛めた所はねェか? 僕が治してやるからな」
 治癒能力のある銀メイスを取り出した彼は、荷馬車を引く馬の身体を丁寧に調べる。何処にも怪我がない様だと解ると、彼は銀メイスを仕舞った。
「よぉし! 皆の所へ戻るぞ! お前さんが居ねェと多くの荷を運べねェからな!」
 馬の背に乗り、カフィの手綱を共に握るゴンスケ。二頭の馬は連れ立って、皆の元へと戻って行った。

◆荷を引き上げて
 陸では、フェルスが湖底に沈んだ荷物へ結び付けたロープを、マークとイッヌ、アレックスが力を合わせて引いていた。
 その傍で、アザリーの連れていた馬もまた、自身の鞍に付けられたロープを引いている。
 アドラが水中の荷物へ括ったロープの先は、湖面から垂直に自立していた。
 ディレクトガガを成就させた彼女。自立するマジカルロープをラプターが陸側へと引き寄せていた。
 湖面上を箒に乗ったエリアルが旋回していた。彼女の示す場所へフェルスとハヤトが泳ぎ寄り、沈んだ荷物を引き上げる。

 水中へ沈んでしまった荷物の回収を終えた皆。丁度そこへ、馬を追っていたゴンスケが戻って来た。
 荷馬車の馬と自身のカフィを労い、ゴンスケは湖から上がって来るハヤトの傍へと足を向ける。
「そっちはどうだ? ハヤト君、イッヌ君」
「お、兄者も戻ったか。湖の中の荷物は全部引き上げたぜ」
「ゴンスケ兄、おかえりなのです。後は荷物を積み直して、漁村へ再出発なのです!」
 ハヤトとイッヌの言葉にゴンスケは満足気に笑みを零し、頷いて見せる。
「で、結局何だったんだ?」
 きらきらと目を輝かせ、興味津々に耳を立てて動かす彼。応えたのはハヤトだった。
「解んねぇ。アレ会話出来たんかなぁ。初めて見るヤツだったけど、もし会話出来てたんなら、荷物拾うの手伝って貰えばよかったぜ」
 湖岸に腰を下ろしたハヤトは、片手を波の様に上下させ「スイスイ泳いでたぞ」と言う。
 ハヤトの言葉に気付いたアレックスが「姿を見たのですか?」と傍へ寄る。
「怪我とかしてませんでしたか? 手当が必要だったりしたら……」
「どうだろ? 水中だし、距離もあったから解んねぇな。でも深い所へ泳いで行っちまったから、怪我はしてねぇんじゃねぇか?」
 そうですか、とアレックスは安堵した様に小さく息を吐いた。
「向こうも災難だったわね。顔を出したら突然荷物が降って来たんですもの」
 マジカルトーチを灯したアザリーが言う。濡れて透ける衣服をトーチの炎で乾かす彼女は、でれぇ、と口を開き、鼻の下を伸ばすハヤトの視線に気付いた。
「ハヤトの顔がだらしないです」
「ハヤト君、ヨダレが零れるぞ。口を閉じろ、口を」
 彼へ視線を流すアザリーと、呆れ顔でハヤトを見るイッヌとゴンスケの二人。
 ハヤトはわざとらしく咳払いを零し、誤魔化す様にアザリーから顔を逸らした。
「炎ちょっと借りるよ。やっぱり水に入ると身体が冷えるな」
 濡れた身体にそのまま衣服を身に付けたアドラが、アザリーの傍へと寄る。
「漁村に着いたら、休憩がてら暖かい物でも作りましょうか」
 皆の様子にマークが笑みながら言った。
 ぴくり、とイッヌの耳が跳ねる。
「暖かい物……ハーブティ、です? マークが料理するです?」
「ええ、僭越ながら。ハーブティもご希望があれば淹れますよ。あ、でも、皆さんで焚火を囲むのもいいですね。凝った料理よりも、焚火で焼いただけの魚の方が美味しいかもしれない」
 今は特に、とマークはイッヌへ笑みを向ける。
「おさかな……生ダメ絶対なのです……。中身の確かな、美味しいご飯がいいです」
 ぶるっ、とイッヌは身を震わせた。
 顔を見合わせたゴンスケとハヤトは、イッヌの様子に首を傾げていた。

◆漁村へ再出発
 拾い集めた荷物を荷馬車へ積み直すイッヌ。
「重くて丈夫なものは下、軽いものや壊れやすいものは上、なのです」
 荷がズレてしまわないよう、しっかりと固定する。
「濡れてマズいものないです? 先に乾かすです?」
 濡れてしまった荷を示す彼に、馭者は「大丈夫さ」と言う。
 雨に濡れても平気な様に荷造りはしてあるそうだ。
 流石に水没までは予想していなかったけれど、そう長い時間でもなかったから問題ないだろう、と。
「漁村に着いたら中身の確認をしっかりしないとな。ダメになってたら大変だ」
「そうですね。乾物だったら、お出汁でちゃってますし……」
 アドラの言葉に、アレックスが心配そうな視線を濡れた荷物へ向けている。
「オックス湖がスープになっちゃうっスねぇ」
 フェルスが冗談めかして言う。
「そりゃいいな! 毎日魚介スープ飲み放題じゃねぇの! 何人分、いや何年分だよ?」
 わはは! と笑うハヤト。ゴンスケもまた、毎日食べられる魚介スープに想いを馳せ、口元を緩めていた。
 僅かに濡れている髪を括るアザリーは、ちらり、とオックス湖へ視線を向けていた。
(今回は水中での戦闘が無かったけれど、これからも無いとは言い切れないわね。……水中戦、か。今後の課題ね)
 危険を恐れていては役目が務まらないのもまた事実。今出来ない事は、これから出来る様になれば良いのだ。
(それに、折角声を掛けて集めてくれた彼の期待を、裏切ることも出来ないし)
 戦闘に不向きであると自覚しているマークは、だからこそ皆へ、自分へ、声を掛けたのだろう、とアザリーは思う。
 皆なら、アザリーなら、それが出来ると信じて声を掛けた筈だから。
 すい、と皆の元へ箒を寄せるエリアル。箒から降りた彼女は、皆と共に歩き出す。
 皆は漁村へ向け、再度出発した。



 13

参加者

a.水中での荷物回収に邪魔が入らねぇように警戒するぜ!
ハヤト・アステール(da0375)
♂ 18歳 カ
c.んんんんん(ずるずる)
イッヌ・アステール(da0440)
♂ 18歳 カ
b.待てーーー
ゴンスケ・アステール(da0465)
♂ 21歳 カ
c.わふぅ…私は陸の方で…その…泳げないので
アレックス・パーリィ(da0506)
♂ 23歳 カ
a.水中を泳いでいくわね。
アザリー・アリアンロッド(da0594)
♀ 24歳 人
a.水中の大きな荷物はロープで括って陸から引っ張れないか試してみるっス
フェルス・ディアマント(da0629)
♂ 17歳 カ
a.まずは……
アドラ・マデラ(da0742)
♀ 18歳 ダ
a.お行きなんし、フィッシュヘッド。
エリアル・ウィンフィールド(da1357)
♀ 48歳 ダ
 魚の餌にはならないで下さいね……。
マーク・ロッシュ(dz0031)
♂ 36歳 ダークエルフ


漁村への同行者募集

新しく拓かれた漁村への荷馬車を護衛して欲しいそうです。漁村についたら、釣れたての魚を分けて下さるかもしれないですね。