【SE01】静かなる潜入

担当成瀬丈二
出発2019/08/03
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPベドウィール・ブランウェン(da1124)
準MVPメイベル・ミストール(da1050)
ディオン・ガヴラス(da0724)

オープニング

◆海賊の根城
 2度に渡る海賊の襲撃を受けたハウンドたち。
 捕縛した海賊たちに尋問を行ない、得た断片的な情報から、海賊たちは浜から2キロほど先にある島を根城としており、島には砦を築いていると判明。
 砦は堅固そのもので、近くに船が接岸できるのは、断崖に面した入り組んだ形状の湾のみらしい。しかも仲間以外の船が迂闊に近づけば火矢を射掛け、岩を落としてくるという話だった。
 そんな難所に、残りの戦力も不明なため、ハウンドギルドは力押しによる正面突破の攻略は、リスクが大きいと判断した。


登場キャラ

リプレイ

◆宴の続き──女子力高い男子アンド女子力低い女子
「海がおれのせんじょー。海がおれのはかばー!」
 海賊のはやし唄を周囲の海賊はがなりたてる。
 音程も何もない、大声をみなで上げているだけだ。
「よし、飲もう! おにーさんいい飲みっぷり! イイヨイイヨー、どんどんいこ?」
 リザ・アレクサンデルは人づきあいの巧さを活かし、次々とビールを海賊たちに呷らせる。
「いやーいーな。なけりゃあ、コイビトにでもしてやるのによ。まったくヨケーなものがついているぜ」
「やだなー、今のままの僕は‥‥うんやっぱりダメだよね」
 わい談を笑って受け流すリザ。堂に入っている。
 今の会話を、ベドウィール・ブランウェンが聞いていたら、リザを保護する幼馴染のため、若干過激な行動に出ただろう。
 知らぬが仏なり、いや女神なり、か。
「それにしても、こっちのねーちゃんはなー」
 海賊たちの視線の先には、『にへにへ』と不気味な笑みを浮かべる、メイベル・ミストールがいた。
 彼女はガーゴイルのフィッシュヘッド君の情報待ちだ。
 水中から船の数を特定しようとしているが、フィッシュヘッド君は特別夜目が聞くタイプではない。
 なので、真夜中の港では水中から水上の船舶の確認は限定されるだろう。だがギリギリの判断がフィッシュヘッド君にできるかは、かなり怪しくなる。
 それもあって、港中を歩き回らせるのは危ういと判断したらしい。
 ちなみにメイベルの膝の上でビールを飲み干しているのが、シフールのガーベラだ。
 おそらく、メイベルはガーベラが、海賊幹部が受け取った書状を気にして、イロイロと考えずに動く、と、いう事をしでかすのではないか、と心配しているのだろう。
「ちょっと、おトイレ行ってきますから」
 メイベルは時間を見計らって、フィッシュヘッド君と情報のやり取り、そしてディレクトガガの魔法を成就しなおすため、立ち上がる。
 フィッシュヘッド君に、一通り調査したら安全に合流できる場所に来るように、と指示はしてあるのだ。
「あ、僕も、お花摘みに──あ、ごめんね‥‥」
 リザが立ち上がったふりをして、海賊幹部のズボンに、殆ど飲んでいない、コップの中身をぶちまける。
(さすがに宴の最中に懐から手紙を出すのは目立つ──だから、着替えさせるために‥‥)
「ごめんね。着替えるの手伝うから許して」
 さすがリザ、可愛らしい外見とは裏腹に、意外と計算高い。
「なあに、リザだったか? 男に手伝われても嬉しくねーな」
「ですよね~」
 リザにしてみれば、海賊幹部に、名前を憶えられていたのは予想外だった。その一方で、この展開は想定していたが、考えたくないパターンだった。
 その間に室外に出た、メイベルはフィッシュヘッド君を魔法で再び具現化。更なる情報収集に挑む。
「わたしが酔っぱらったら、皆に迷惑かかりますからね」
 メイベル自身の考えでは、本当に最悪の事態として、自分が酔いつぶれれば、ひとり減るのではなく、減ったひとりをフォローして脱出なり突破するのに、余計に手間がかかるのだ。
「ハウンドは『仲間を置き去りにする』という選択肢はないと思いますから」
 ひとりごちたメイベルは何事もなかったかのように、『にへにへ』笑うのだった。

◆闇を斬り裂く魔法の光、未来を照らす精霊力
「人の日記読んで面白いか?」
 記憶した砦の構造を、頭の中で整理しながら書き出していた、ディオン・ガヴラスが、見張りの海賊に呼び止められたのは致し方ない。
 さすがに夜という時間帯に、黒っぽい半透明のドラゴングラスをしていれば、怪しまれる。更に手には何やら筆記用具を持っている。
 ディオンはバトルコートという服装のチョイス、それ自体も考えるべきかもしれないと思った。常夏の領域では悪目立ちしすぎるのだ。
 とはいえ、ディオンも対策は打ってある、砦の書きつけとは別に、適当な文章を書き散らした、ダミーの日記を海賊に渡している。
「そうか、日記か」
 海賊はそう言って、ディオンに帳面を返す。
「俺、字が読めないから、内容なんてわからねえよ」
 どうやらこの世界の多くに漏れず、教育を受けていないらしい。
「まあ、いいじゃないか、差し入れのビール最高だぜ」
 見張りの海賊の相棒が、文字の読めない方の海賊の肩を軽くたたいて、ビールを促す。
 ディオンはごまかすために持ち込んだビールが功を奏したのだ。
「日記を書くのが習慣でな。返せよ。恥ずかしいからな」
 ディオンがそう言うと、帳面を投げて放る海賊。怪しまれてはいないようだ。
(さすがに、奥に侵入して調査するのは無理か。こういうのは隠密が得意なヤツの仕事だからな)
 自分が所属しているクラン『遺跡好きの盗賊達』の仲間の事をディオンは思い返す。
「まったく、うまく行かないぜ」

 一方、その頃、ベドウィールの方は、マジメに海賊の寝床の数を勘定していた。
(リザは大丈夫でしょうか‥‥)
 その一方で、べドウィールには、そんなことを考えてしまう余裕もある。
 もちろん、『大丈夫』の方は、リザではない。
 リザが誰かに、『何もやらかしてませんよね』という祈りにも似た思いである。
(後は脱出、緊急時の際に用いる通路、ですか)
 べドウィールは、この調査行が、最初の一歩か、それとも最後の一歩かを確認しなかったことを悔やんだ。
 最後の一回なら、相手の足を封じるべく、通路を把握するのは必須だ。最初なら次に任せられる。
 ともあれ、べドウィールは、海賊たちが備蓄した真水から、大まかな継戦能力を把握することはできた。
(主夫の知恵ですね)
 リザがどう思うかは知らない。しかし、べドウィールにとって、彼はまだ保護が必要なように思えた。
 いや、れっきとした成人男性にそれは侮辱かもしれない。だが、べドウィールのとっての20年近い日々は、そう考えさせるのだ。

 朝になって、夜の番をしていた海賊たちが寝床に戻ってくるため、べドウィールは音もなく退く。
 途中でディオンと合流。互いの情報を手身近に交換する。
 道中でどちらかが倒れても、情報は持ち帰るために。
 その為にここに来た。その為にここから生きて帰るのだ。
「夜明けだな」
 ディオンが呟く。
「そうですね。迅速にリズと女性陣を回収して撤退しましょう」
 べドウィールの言葉は自信に満ちていた。
 海賊たちが宴を終えて、持ち場に着くのを確認しつつ、この宴から日常への切り替えの早さ、それ自体も立派な情報だ。
 ディオンもべドウィールもそれを脳裏に焼きつけるのだった。
 新しい朝だ。

◆宴の終り──ハウンドかく戦えり
「けっきょく、あのてがみなんだったんやろうな?」
 海岸に着き、帰り際に一同に囁くガーベラ。
「興味はあったけど、それ以外が大体うまく行ったんだし、結果オーライだよ‥‥海賊たちの前で話せなかったけど、この前の灼熱の砂丘の時はごめんね」
 最後はリザはそうガーベラにあやまる。灼熱の砂丘で、リザが出した案でガーベラが石化したという事件があったのだ。
「すぎたことやし、もうええで」
 ガーベラがリザの頭をなでる。
「ありがとうね」
 リザもガーベラの頭をなで返す。
「それはさておき、もっと調べられたかと思うと‥‥だがこれは完璧主義、いや、悪しき完璧主義かもしれないな」
 ディオン自身も、どうやら納得が行っていないらしく、それは自分をガーベラに投影したからかもしれない。
「とりあえず、みんな無事だったし、良いと思います‥‥ということにしませんか?」
 微妙な感情の振幅が周囲にあふれていることを感じ取り、べドウィールは気分を切り替える。
「とりあえず、情報は得られたので、良しとしましょう」
 そこでメイベルは一呼吸置く。
「まあ、フィッシュヘッド君の視覚と、知性を過大評価した、自分の言うことではないのですよ。ええ、分かってます」
 メイベル自身の自虐的な、自分ボケプラス自分ツッコミ、それに一同はどうリアクションを返していいか分からない。
 無事、報告し、今日という新しい日と向き合うハウンドたち。
 やるべきことはやった。
 この5人の情報により、海賊への反撃の準備は整うだろう。
 だから──ハウンドの戦いは続く!



 11

参加者

a.砦の内部を把握するよう動いてみる。一応ムーンカムを持って行くよ。
ディオン・ガヴラス(da0724)
♂ 21歳 ダ
b.よし、飲もう!
リザ・アレクサンデル(da0911)
♂ 19歳 人
a.ガガ・フィッシュヘッド君を使って水中から偵察します。船や海賊の数を。
メイベル・ミストール(da1050)
♀ 15歳 人
a.メインはこちらになるでしょうか。
ベドウィール・ブランウェン(da1124)
♂ 22歳 人
 (あのてがみ、なにがかいてあったんやろか? きになるでー!)
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール


海賊島に潜入せよ

海賊島に潜入するハウンド急募。あくまで潜入調査なので、海賊の殺害や相手の施設、船舶の破壊が目的ではない。繰り返す──。