【HH02】黒いライオン

担当椎名
出発2020/01/07
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPリーリエ・アルベール(da0816)
準MVPハヤト・アステール(da0375)
アリアドネ・ウィステリア(da0387)

オープニング


 サンドラの平野部に住む、独特の文化を持つ部族にもXmasを祝ってもらえ。
 マクールに無茶振りをされ、その部族の住むという地域にやってきたハウンド達。殆ど裸に近い格好をし、腰蓑だけをつけ、顔に何かのペイントを施している部族である。しかし、見た目の異様さとは違い、温厚で、むやみに戦闘をする訳ではない‥‥と聞いてはいたものの、いざ彼らを目の前にすると身構えるというものだ。しかし、ハウンド達の心配をよそに、案外部族は友好的にハウンドを受け入れてくれた。
「これなら大した揉め事もなく終わりそうだな」
 そうほっと胸を撫で下ろしたのは、部族を訪れたハウンドの一人であるベリル。
 しかし、濃い褐色の肌を持つ彼らは、言われた通りにXmasのお祝いを共にやってくれ、と頼むハウンド達に対し、首を横に振った。

登場キャラ

リプレイ


「うおぉおおおお!!!」
 ハウンド達の耳にはそうとしか聞こえない咆哮を上げながら、青年二人は黒いライオン三体へ突進していく。その手には鋭く研がれた刃を持つ槍。迎え撃つダークライオン達は縦一列に並ぶようにすっと身を屈める。
 咄嗟にまずい、と誰もが思った。何故ならその瞳がらんらんと輝いていたから。
「ダ、ダメ‥‥!!」
 グリフォンに乗ったリーリエ・アルベールは、凄まじい速さでダークライオンに肉薄し、咄嗟にフェイスガードに手を当てて、咆哮する。普通の生物ならば畏怖を抱くその咆哮だが、体力が残っている状態のダークライオン達に効いた様子はない。しかし、その代わりに、ダークライオン二体はリーリエの闘志に反応し、その視線をリーリエへ向ける。
「あれが消える獅子、か‥‥!!」
 その間にオフシフトを成就させ、ダークライオンの方へと駆けるハヤト・アステール。リーリエが気を引くことに成功した為に、少し余裕が出来たとはいえ、急がないといけない事に変わりはない。ハヤトは全速力で走る。そして、それはローレライを成就させて水筒の水を使って水の刃を作り出したリザ・アレクサンデルも同じだった。
 その中にあって、この場から届く遠距離から攻撃が出来る弓を持ち、かつその場の誰より早くサンダーアローをつがえ、照準を合わせたのはリディオ・アリエクト
「シグナルフェザーをかけてから、と思ったけど‥‥今は何よりあの二人を助けるのが先だな」
 瞬間移動するというのが気にかかるが、それよりも命の方が重要だった。遠距離攻撃の出来る弓ではあるが、その弓の射程とされている距離よりは少しだけ、距離が離れている。しかし、やらないわけにいかない。彼らの命がかかっているのだから。
 直ぐに放たれた矢は、放物線を描いて縦に並ぶダークライオンの先頭の一体の足へと真っ直ぐ向かう。
「なんとか届いたか‥‥」
 これで少しは気をそらせるだろう。ふう、と無意識にリディオが息を吐いたその瞬間。
「ガアッ!!」
 真後ろに現れたダークライオンは、雄叫びをあげながらリディオに飛びかかる。
「くっ‥‥!!」
 咄嗟に身を引くリディオだが、回避は間に合わず。上腕に深々とダークライオンの牙が突き刺さる。
 それとほぼ同時、ベドウィール・ブランウェンはミタマギリを成就させ、リザの水の刃に効果を付与する。
「リザ、頼みます!」
 そう声をかけるベドウィールに目線で頷きつつ、リザはリディオに噛み付くダークライオンへと間合いを詰める。ベドウィールは自身の武器にミタマギリを付与する為に、魔法の詠唱を始めた。
 それを視界の隅に捉えつつ、アリアドネ・ウィステリアはテレパシーを成就させ、仲間達との意思疎通を図れるように準備してから、箒に跨り飛び上がった。

 その間に、脇目も振らずに走っていたベリル・ボールドウィンは二人の元へと辿り着き、背後に庇うように剣を構える。
「君達二人だけでは、荷が重い相手だろう」
 そう声をかけるベリルに、二人は何が起こったのかとまだ理解出来ていない顔を向けている。
「客人‥‥なんで‥‥」
「悲鳴が聞こえたから、手助けに来た」
 とは言うものの、まだ目の前にはダークライオンが二体もいる。全く安心できる状況ではないのだが、それでも二人は少し安心したらしく、少しだけ声が落ち着いて聞こえた。そんな二人の様子にほっとベリルが息を吐いた隙を突き、ダークライオン二体がこちらへ向かって駆けてくる。
「グルルァ!!」
 咆哮が間近に聞こえ、衝撃を覚悟したその時、一体のダークライオンが忽然と姿を消した。残った一体の牙のみが、ベリルの肩に突き刺さる。消えたダークライオンのいた地面には、シューティングブレスを成就させたショウ・ジョーカーが放ったサンダーアローが突き刺さっていた。

 ベリルへと二体のダークライオンが向かっていたのを見て、矢を射ったショウだったが、目の前に現れたダークライオンの牙を避ける事は出来なかった。
「っ!!」
 突き刺さるダークライオンの牙に歯を食いしばり耐えるショウの横から、グリーヴァブレードを振るうのはベル・キシニア。オフシフトを成就させてから移動してきたベルの振るう刃は、ダークライオンの鼻先を削ぐように掠める。
「ガァッ!!!」
 鼻血のように鼻先から血を垂らしながら唸るダークライオンへ、エウロ・シェーアはスマッシュを成就させ、ヒュージクレイモアを振り下ろす。
「当たりましたね」
 首筋を深く抉った刃を振るい、エウロは呟く。確かに転移は脅威であるが、全く歯が立たない訳では無い。それを確信しつつ、ハウンド達は各々の武器を握りしめる。

「ベリル! 大丈夫?」
 ルミナリィを成就させたロザリー・アルベールが青年二人とベリルの元へ辿り着き、ダークライオンと対峙するベリルに声をかける。重装備の為多少移動速度が落ちてしまったのが難点ではあるが、ロザリーが来てくれた事で二人の護衛は容易くなる。
「大丈夫だ。大したことはない」
 さっと左肩の傷を確認し、それから青年二人の様子を見る。傷は浅くは無いが命に関わるほど深くは無い。青年二人は無傷で、落ち着きを取り戻している。ロザリーはムーンカムを使用し上空のリーリエに声をかけた。
「リリィ、二人もベリルも大丈夫だよ」
 状況を報告すると、リーリエは上空から戦況を確認する。一体のダークライオンはハヤト、リザ、ベドウィール、リディオが相手取っており、もう一体はショウ、ベル、エウロが足止めをしている形だ。そして、残る一体はベリルとロザリーの正面で牙を向いている。
「なんだか変な動きをしてますね」
 各々の位置を上空から確認するリーリエに、箒に騎乗し空を駆り、隙をついてガイアを成就させてはダークライオンの体力を確実に削っていたアリアドネからののテレパシーが届く。確かに、この動きはおかしい。分断して各個撃破、のつもりでいるなら‥‥そこまでダークライオンが考えているのかどうかは知らないが、もしそういう性質を持つ生物であるなら、おかしな動き。それは、三体はジリジリと一箇所に集まりつつあるというものだった。
「一箇所に集まって何が‥‥」
 そして、思い至るのは最初に二人と対峙したダークライオン達を見た時の光景。三体が縦に並び、何かを仕掛けようとしていた。何を仕掛けようとしていたのかはわからないが、よくないものであるだろう事は想像に難くない。
「三体を集まらせちゃダメ!」
 その叫びはリーリエのムーンカムに届き、そしてテレパシーを通してアリアドネに届き、アリアドネから他の面々へも伝えられる。
「とにかく、少しでも体力を削らないと」
 相手は奥の手を持っている様子で、こちらには負傷者もおり、青年二人もいる。部族の誇りをかけて戦っている二人に、出来ればトドメをささせてあげたい。それを成し得る為に、出来ることを。
 ショウが用意してきているリムーブカーズも、なるべく使いたく無かった。ライオンが黒くなくなれば、彼らにとって誇りをかけた戦いでは無くなってしまうかもしれないからだ。しかし、彼らの身に命の危険が迫るとすれば話は別だ。今のところ、なんとか持ち堪えられると判断できるギリギリの範囲だ。それを確認しつつ、リーリエは小さく息を吐く。
「ロズ、いくよ」
 リーリエはグリーヴァシゲトウを構え、ムーンカムを通じてロザリーに合図を送ると、フリーズアローを射る。照準を合わせたのは青年二人とロザリー、ベリルが対峙するダークライオン。それと同時に、盾としての役割に徹していた地上のロザリーもルミナパワーを成就させてユーザブルソードを横に薙ぐ。ロザリーのフリーズアローがダークライオンの首元へと向かい、それを追いかけるようにロザリーが一閃。しかし、渾身の一撃をダークライオンは転移する事により回避する。
「マズイ並びですよ‥‥!!」
 愕然としたようなアリアドネの呟きに、ハウンド達は二体のダークライオンが縦に並んでいる事に気が付き、はっとする。


「させないよっ!!」
「いきますよ!!」
 叫ぶリザの水の剣と、ベドウィールのグリーヴァライモンが、先程までダークライオンのいた場所で交差する。転移しなくなってきたところから推察するに、十分魔力は削ったはず。しかし、その温存していたと思しき魔力を使い、ダークライオンは転移したのだ。
「くっ‥‥!!」
 歯嚙みしながらダークライオンの姿を探したベドウィールは、すぐにその黒い体躯を見つけた。その場所は彼らのすぐ近く、ハヤトのすぐ真後ろ。
「そう来ると思ったぜ!」
 初見ならまだしも、ライオン達の縦並びを見たのは二度目、転移だって何度も見た。攻撃を外したのだって一度や二度では無かった。だから、十分予測出来た攻撃だ。
 何かしようとしているのはわかる。そして、逃げるほどの余裕が無い事も。オフシフトを頼って避ける事も可能だろうが、どういった攻撃が来るかわからない以上、避けられるかどうかも判断がつかない。
 ひとまずシールドソードを構え、姿勢を落とし‥‥その途中で、先頭のダークライオンが走り出す。思いの外素早い動きにハヤトが脇を締めた瞬間、ズガンと重たい衝撃。
「くっ!!」
 吹き飛ばされまいと踏ん張るのも束の間、黒い弾丸のように一体目のダークライオンは駆け抜けて、二体目のダークライオンの突撃。歯を食いしばるハヤトが姿勢を崩した所へ、三体目。真っ黒くしなやかな体躯から繰り出される三連撃は、星のように駆けていく。
「うぐっ‥‥!!」
 なんとか持ち応え跳ね飛ばされたハヤトは、数メートル離れた地面に落下する。それを見て追撃をかけようとするダークライオンへと、ベルはグリーヴァブレードを上段に構え駆け、その間にハヤトへ駆け寄ったショウ。
「大丈夫? 取り敢えず回復しとくよ」
 一応意識の確認をすると、頷くハヤトにほっと息を吐きつつ、キュアティブで回復を施していく。
「これなら避けられまい」
 ベルは刃が届くギリギリの間合いで、掲げた鋒にダークライオンの視線が向くのを視界の隅に認めたベルは、地面を蹴り上げる。攻撃に身構えていたダークライオンの顔に砂と土、石の混ざったものがぶつかった。
「ふっ!!」
 息を詰めて振り下ろした刃は、ダークライオンを斜め上方から下方へと斬り裂く。
「ぐ‥‥ガァ‥‥」
 口元から赤黒い泡を吹くダークライオンへと、エウロはスマッシュの戦技で、上から叩き潰すようにヒュージクレイモアを振り下ろし、渾身の一撃を叩き込む。べしゃりと地面に叩きつけられたダークライオンは、そのまま白目を向いて動かなくなった。
「グルルルル‥‥!!」
 倒れた仲間を見て唸り声を上げる一体のダークライオンに、リディオはサンダーアローを放つ。迫り来る矢に気付きつつ、ダークライオンの回避は間に合わず背中に突き刺さる。先ほどの一撃で、魔力を使い切ってしまったのだろう。瞬間移動する様子は見られなかった。
 そんなダークライオンへと、アリアドネは魔法の杖を向け、叫ぶ。
「トドメですよ!!」
 そして一直線伸びる重力波に貫かれ、ダークライオンはそこで事切れた。
 残る一体のダークライオンは、倒れた二体をちらりと見やる。三体の中では、一番傷が少ない個体だ。
「ウィール!!」
 言葉少なにベドウィールを呼ぶリザの手には、もう既に水の刃は無い。その代わりに構えているのは、銀のレイピア。
 静かに頷くベドウィールの手にはグリーヴァライモン。二人は頷き合い、ダークライオンを挟むように左右から駆ける。
「今度こそ、逃がしません!」
 そして振るわれた二つの刃は、咄嗟に後退しようとしたダークライオンの左右の前足と肩を削いだ。動きが極端に悪くなったダークライオンに、好機と見たリーリエはムーンカムに叫ぶ。
「ロズ!! 畳み掛けるよ!! あの二人も準備を!!」
 グリーヴァシゲトウに矢をつがえ、リーリエはロザリーに合図する。
「わかったよ! ベリル、二人のことをよろしく!!」
 誇りにかけて、最後のトドメは彼らに。それは、事前に申し合わせてあった事項だった。ベリルはそのことを正しく理解して、左肩の傷を庇いながら頷く。
 そして放たれたフリーズアローは、ダークライオンの臀部に刺さる。もう既に魔力は尽きたようで、転移する様子は無い。そこへ、助走をつけたロザリーのユーザブルソードが叩き込まれる。
「グァアッ!!」
 呻き頽れるダークライオンを指し示しながら、ベリルは二人に言う。
「すまないが、私はこの傷で奴にトドメを刺すことが出来ない。二人とも‥‥頼めるだろうか」
 意図を解してくれたのか否か、兎に角二人は大きく頷き、そして。
「うおおおおおぉぉぉ!!!」
 同時に構えた槍の穂先は、ダークライオンの額を貫き‥‥そして、黒くしなやかな体躯はどさりと地面に倒れたのだった。

 二人とハウンド達は三人の青年の亡骸を抱えて、部族の村へと帰っていく。ダークライオンの住処はわからなかったものの、被害は最小限に抑えることができ、そしてダークライオン達も討伐する事ができた。
「ありがとう。我々、感謝。Xmas、死んだ三人の為にも‥‥きっと、喜ぶ」
 そう言って食事とともに礼を述べる部族の長の瞳には、薄く涙の幕が張っていた。



 10

参加者

b.瞬間移動は厄介そうだな。シグナルフェザーかけてから射撃で援護の予定だ。
リディオ・アリエクト(da0310)
♂ 22歳 人
c.消える黒獅子か、面白ぇ!!
ハヤト・アステール(da0375)
♂ 19歳 カ
b.安全策をとるです
アリアドネ・ウィステリア(da0387)
♀ 18歳 ラ
b.瞬間移動も無制限使い放題ってことはないだろうし、とりあえず撃ってこうか
ショウ・ジョーカー(da0595)
♂ 16歳 人
a.僕達は村の二人を守りながら、連携して攻撃に加わる流れを作ってみるよ。
ロザリー・アルベール(da0704)
♀ 17歳 人
a.お、お二人とベリルさん、そしてロズと一緒に、村と誇りを守ります……!
リーリエ・アルベール(da0816)
♀ 17歳 人
b.とりあえずローレライから!
リザ・アレクサンデル(da0911)
♂ 19歳 人
c.不意打ちされないよう気をつけますね。
ベドウィール・ブランウェン(da1124)
♂ 22歳 人
c.瞬間移動するライオン……。どれほどのものなのだろうな。
ベル・キシニア(da1364)
♀ 24歳 人
c.よろしくお願いします。
エウロ・シェーア(da1568)
♀ 33歳 カ
 私は2人の元へ行く!
ベリル・ボールドウィン(dz0037)
♀ 24歳 人間


黒いライオン

部族の安全を脅かす、魔法を使う黒いライオンか‥‥。