【PF06】人魚を探して

担当叶野山 結
タイプショート 連動
舞台バハマ(America)
難度やや難しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/08/02
結果成功
MDPユークロウ・エルクロウ(pa1294)
準MDP中藤冴香(pa0319)
宍倉静(pa0201)

オープニング

◆人魚の謎
 バハマの首都ナッソー。
 観光地であり、また、カジノがある事でも知られる。
 このリゾート地にバカンスで訪れたUNICOの学生達は、ある噂を耳にした。
 それは、「人魚と一夜を共にした男が居る」というもの。
 人魚とはどういうことか。何かの比喩か。

登場キャラ

リプレイ

◆人が、金が、動く場所
 歓声、悲鳴。
 希望、絶望。
 悲喜こもごもな声で満たされた部屋は、トランプやスロット、ルーレットなど、賭博の為の道具が設置されていた。
 いわゆるカジノ、という場所だ。
 ドレスで自身を華美に仕立てた女達の多くは、正装のスーツを着た男達についている事が多かった。
 もちろん、全てがそうではなく、美女をはべらさない男も居る。
 ダスティン・ガーランドもそういった類の男だ。
 トランプに挑んでいる彼は、先程から勝っては負けての繰り返しだ。かと思えば、続けて勝つ事もある。
 これは、事前に彼がコネクションを用いて交渉を持ちかけたからだ。
「気になってるあの子にイイ所魅せたいんだ、後で稼いだ分返すから格好付けさせてくれよ」
 壁の花となっている林秀玲をこっそり示し、交渉した彼。
 後でお金を返してもらえるという条件を提示した事でその交渉は上手くいき、こうして適度に勝たせてもらっているのだ。
 彼への視線はいくつも投げかけられている。それもそのはずで、彼は女性に魅力的に映るようにその髪型やメイクを整えさせてもらっていたのだ。
 仲間である中藤冴香に。
 その彼女は男装をして、囮役を務めるダスティンの近くをうろついている。囮の近くに怪しい奴が居ないか観察しているのだが、これがなかなか見つからない。もしや、違う場所に居るのだろうか。
 冴香の手を借りたのは、ダスティンだけではない。
 たとえば、ゲルト・ダール。ルーレットに挑戦している彼女は、冴香の手によって美青年に見えるよう手入れされた。
 カジノは大人の遊び場である。少しばかり賭博に疎い様子であろうが、大人である事を見せつけているならば誤魔化せる。
 そこはゲルトの腕の見せ所。彼女が生きてきたこれまでの経験が、演技の幅を利かせてくれる。
「やった! 勝った! よし、次は倍プッシュだ!」
 噂の主となっていた男のように、どこか付け入る隙を与えるような言動をする事で、相手からの接触を待つという寸法だ。
 賭博の心得はある彼女は、絶妙に外したりする芸当も見せつけた。負けた時に頭を抱えるリアクションも、ややオーバー気味だが、周りに違和感なく溶け込むように思えた。
 ゲルトと同じように、暁靫凜音もまた、別の場所のルーレットに挑戦していた。
 女性から魅力的に映るように、目元などへ冴香がメイクを施してくれたおかげで、普段女顔として気にしているコンプレックスを強みへと転換させる。
 楽しんだり、休憩にその場を離れて他の客と歓談したりするなど、普通の客として振る舞う彼。
 噂についてもそれとなく探るが、噂として聞いた範囲内での返答しかなく。
 カジノ内を回って次のゲームへと移る中で、客にそれらしき者が居ないか観察するも、一見しただけでは分からない。
 彼が思うに、『人魚』はカジノ内での様子を知っていた事から、仲間か本人のどちらかがカジノ内に居る可能性を考えていた。
 その可能性は既に仲間に伝えてあり、こうして彼自身も探しているのだが、うまく隠れているのか見つかれない。
 他の仲間達はどんな感じだろうか。

◆その流れ、その先に
『次は、黒にベットして‥‥』
「黒だ」
 インカムを通して秀玲から届けられた声。その指示に従って、ドゥエイン・ハイアットは黒で塗りつぶされたマスへチップをベットする。
 元々美青年な彼であるが、人魚の目に留まってもらう為、さらに魅力的に映るよう、冴香にメイクを施してもらった。目元に薄く色をつけ、涼し気な目元を作る。
 自分をちらちらと見ている隣の女性と目が合った時、微笑んでみせれば相手はすぐに耳まで真っ赤になって目を逸らす。
(効果はてきめん、という事か。人魚が食いつくといいが)
 そのためにも、少しずつ勝って目立たねば。
 彼から一つ二つ離れた横では、日暮真央人も同様に挑戦していた。ただし、グルと思われない様に、こちらは赤へ。
 テレビで見るのと、こうして直接観察しながらやるのとでは違うのだという事を思い知らされる。
 それでも、ディーラーの動きを見ながらどこを選択するのか、駆け引きするのは面白い。知らずに舌なめずりをしていた。
(人魚を探す目的を、忘れないようにしないとですね)
 ドゥエインの周りの動向を気にかけながら、他の皆はどうだろうかと、そこも気になる真央人だった。

 トランプの台では、斧箭槍剣がチャレンジしていた。
 賭博の心得はある彼。このトランプの台に来る前はルーレットに挑戦しており、そのルーレットで大体稼いできた。
 接触してくる輩が居なかった為、場所を変えてトランプに移ってきたという訳だ。
(こっちに接触してきそうな感じがありそうだと思ったが‥‥全くそんな様子ねぇな)
 ディーラーの指の動き、手や手首の動きに注意し、配られたカードを受け取る。
 つつがなく進むトランプの動き。
 槍剣の周りに誰か接触するだろうかと、後方から石動詩朗が監視している。
 群衆に紛れ、出来るだけ目立たぬように努める詩朗。
 暫くカードを動かしていた槍剣が勝利するのが見えた。しかし、誰も彼に近寄るような様子は見られない。
 Aiフォンを操作し、仲間の一人――ラファエル・ケルルへ連絡を取る。
「そっちはどうだ?」

「今の所は‥‥変化無し‥‥かな」
 ラファエルの視線の先には、ユークロウ・エルクロウの姿。彼はトランプのブラックジャックのコーナーにて、勝利した様子で、「アメージング!」と叫んでいた。
 壁の花となってカジノの様子を見ている彼は、ユークロウに近付く輩が居ないか目を光らせている。
 後でまた報告する事を告げ、簡単なやり取りの後、通話を切る。
「‥‥酔っ払いの戯言だって聞き流しても良いくらい馬鹿げた話だね‥‥」
 噂の真相、その主に対して溜息しか出ない。
 それでも、事件の匂いがある以上、確かめるべきだ。
「はっはっは! アメージング! こんなに稼げて良いのでしょうか」
 マントをたなびかせて大仰な仕草をしてみせる彼へ、否が応にも視線が集まる。
 目立ち過ぎだ‥‥と、見ていたラファエルからすればそう思わなくもないが、逆にその姿勢がお調子者として周りに映った。
「大金持ちのユール・エースをよろしくお願いします」
 そう言って偽名の名刺を配るユークロウ。
 周りには、大金を得た事で調子に乗った男、と映った事だろう。
 囮としてはいい動きだとは思う。
「‥‥そういえば、どうしてあれだけ勝ってるんだろう」
 ラファエルの疑問は尤もで。
 実は、事前に宍倉静がカジノディーラーへのコネを用いて裏で手を回していたのだ。
 そんな静は、監視の為、どの台にするか迷う振りをしながら囮の何人かを確認していた。
(人魚サマはどんなヤツがお好みなのかもわからねぇからなぁ)
 噂は一つ。それ故に共通性は無い。
 不確かな情報だけ。しかし、これまでの経験から、様々な可能性を考慮するべきだと彼は考えていた。
(チンケなコソ泥に見えて、実はもっとデカイ組織、という可能性もある。コソ泥、なだけならいいんだけどな)
 面倒な事だけは起きませんように。
 そう祈るばかりだ。

◆マーメイドは夜に踊る
 もうじき撤収する時間だ。
 監視役の一部が先にカジノを出た。青年の話では、部屋に手紙があったという。カジノ中に接触する者が居なかったとなれば、同じパターンでおびき出す可能性はある。
 それ故に、囮となった者達の部屋に向かう事にしたのだ。
 エレベーターから降りた時、女性とすれ違ったのはラファエルだった。僅かに香る、香水の匂い。
 思わず振り返り、それから急いでユークロウの部屋に向かう。ドアの下の隙間に、確かに手紙が入っていたのと、その手紙には香水の匂いがしていた。
 急ぎ、Aiフォンの通話機能で仲間に連絡を取る。
「今、人魚と思われる女性とすれ違った。エレベーターで今降りている」
 その連絡を受け、尾行すると宣言したのは詩朗。
 隠密に長けた彼と、追跡に長けた冴香が尾行する事になった。
 冴香にはドロイドも居るから水中に逃げるなら追いかける事も少しは出来る。
 あともう一人、尾行の人手として、秀玲が向かうと告げて共に行動する事になった。
 尾行組の他には、手紙が差し込まれたユークロウの部屋には、鑑識に長けた者達が集う。
 残った者達は何かあった時の為に、ロビーで待つ事になった。
 尾行組からの連絡は、Aiフォンを通じて全員にもたらされる手筈だ。

 該当の人物と思われる女性を見つけた詩朗、冴香、秀玲は、互いに距離を置きながら後をつけていく。
 人気の無い場所へ少しずつ近付いているのが分かる。足場も段々悪くなり、岩場も見えてきた。
 女性は、慣れた動きと足取りで岩場を降りていくと、そこから更に進んでいく。
 岩場の陰から女性の行先を見てみると、洞窟と思われる場所が見えた。
 秀玲が首を傾げる。
「あそこが隠れ家とか‥‥?」
 冴香は持ってきたドロイドを起動させると、その洞窟の近くまで行くように仕向けた。
「撮影機能もあるから、隙を突いて撮影する事も出来ると思うけど」
「何にしろ、戻ってくる事を考えると、すぐにここから離れるべきじゃねえか」
 詩朗の言葉も納得で、三人は速やかにその場所を離れてホテルに戻る。
 仲間達に連絡し、相談した結果、夜を待って動くという結論に至ったのだった。

◆人魚の、正体見たり、洞(ほら)の中
 思い思いの用意をして、夜の帳を待つ学生達。
 完全に夜の帳が落ち、早速指定された所へ向かう。
 囮のユークロウは「緊張しますね」などと話していたが。静の「口付けで昏倒となると、毒の可能性もある」という一言でさらに緊張する事に。
 残念そうに、ダスティンが肩を落とす。
「俺が代わってやれたら良かったんだけどなぁ」
 気絶させる手段はいくらでもある。
 とはいえ、彼の信条として、女性に手荒な真似はしたくないのだが。
「しっ、来たみたいだ」
 凜音が唇に指を当てて静寂を促す。
 緊張した面持ちで、岩場の陰からこっそりとユークロウが立っている場所を見つめる。
 水面が揺れている。波紋を作って、水中から少しずつその姿を現した。
 髪の長い、美しい女だった。胸元は貝殻で覆われており、豊満な胸を寄せて強調している。
 岩場に上がった女の足元は、尾びれがついていた。
「来てくれてうれしいわ」
 妖艶に笑う女に、ユークロウは何とか声を絞り出す。
「あなたがマーメイド、ですか?」
「ええ」
 質問に対して、肯定する女。
 手招きするマーメイドに誘われるように、ユークロウが近付いていく。
 その唇を己の所へと引き寄せようとした女の腕を、ユークロウが止めた。
「捕まえましたよ」
 彼の目は、女に見とれる男性のものではない。UNICOに所属する学生としての、目。
 動揺した様子の女の前に、学生達は次々とその姿を見せた。
「どういうこと?!」
 狼狽える女へ、ゲルトが短く答える。
「そういう事だよ」
 ユークロウの手を振りほどこうとするも、力には勝てず。
 そのまま、マーメイドと名乗った女は学生達によって捕えられた。
「さってと、そんじゃ、ブツを確認しますかね」
 静の言葉で、学生達は偽人魚を連れて洞窟へと向かう。女は槍剣が肩に担いでいる。
 そこにあったのは、冴香のドロイドが事前に撮影した物が並んでいた。
 高度な潜水具と共に並んでいたのは、麻薬と思われる品々。どうやら何かを合成して作られた物らしい事が窺えた。
 潜水具は、マーメイドと名乗った女の尾びれとよく似ていた。なるほど、遠目に見れば人魚と思われるだろう。
 どういう事か。詳しく聞こうと思ったその時、「うっ」という声がした。
 槍剣が「おい、どうした?!」と女を下ろして尋ねるが、時既に遅し。
 女は目を見開き、口から血の筋を流していた。
「死んでる‥‥」
 脈を確認した真央人が、その死亡を確認する。
 話を詳しく聞く前に、自ら命を絶った偽マーメイドの女。
 単独犯とは思えない。何かの影を感じる学生達だった。

 現地の警察に報告し、合成麻薬と女の遺体が引き取られた。
 その報告はUNICO学園側にも届けられた事は言うまでもない。
 バカンスの雲行きは、少し怪しくなりそうだ。



 15

参加者

b.ま、これしか出来ないンでね。
石動詩朗(pa0059)
♂ 24歳 刃忍
a.稼ぎにいってくらぁ
斧箭槍剣(pa0114)
♂ 21歳 刃乗
b.さァーて。人魚サマは上手く釣れるかねぇ。頼むぜ、餌…もとい、囮の諸君。
宍倉静(pa0201)
♂ 20歳 忍探
c.冴香さん、僕も手伝って欲しいな。人魚の好きそうな美少年を演じるよ。
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 21歳 知魅
c.ふむ、ギャンブルに関してはジンジャーに少し助言を仰ぐとしよう。
ドゥエイン・ハイアット(pa0275)
♂ 26歳 英弾
b.さて、俺はこちらで監視予定だ。怪しい動きがあれば連絡を入れるつもりだ。
中藤冴香(pa0319)
♀ 24歳 探魅
b.………。僕は、こっちで…。
ラファエル・ケルル(pa0579)
♂ 20歳 忍知
c.んー、稼ぐか囮か…よし、サエカさん?にイッケメンにして貰おうかな!
ダスティン・ガーランド(pa1171)
♂ 26歳 乗魅
b.選択肢としてはこれが近いんですかね……? まあ、臨機応変ということでっ
林秀玲(pa1187)
♀ 21歳 英魅
c.ふむ、香水を振りかけたトランプ…こんな罠に引っかかるかな…?
ユークロウ・エルクロウ(pa1294)
♂ 21歳 探知
c.もしいるなら是非会ってみたいですよねー、人魚!
日暮真央人(pa1555)
♂ 21歳 探機
c.囮が多くても構わないよな。冴香先輩、メイクよろしく!
暁靫凜音(pa1739)
♂ 21歳 弾探