Sudden Raid

担当ちま
タイプショート 事件
舞台アイルランド(Europa)
難度やや難しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/09/07
結果成功
MDP宍倉静(pa0201)
準MDPユウキ・ヴァルトラウテ(pa1243)
劉文(pa0392)

オープニング


「Buenas tardes!」
 ばーーーんと扉を開けて、ソンブレロにポンチョ姿の男が飛び込んできた。
「たっだいま戻りました~!」
 HAHAHAと笑い、ビウエラを適当にかき鳴らしている底抜けに陽気な大男を、カハル・オコナーはうんざりした顔で振り返る。
「……ナナシ。おまえ、腕の療養をかねてデルカドの元へ戻っていたんじゃなかったのか?」

登場キャラ

リプレイ


「どうしてこんな所にコネクターが……」
 呟くカイリーの脇を抜けて、栄相セイス栄相サイスが応急セットと救急箱を手にドリスの元へ駆けつけた。
 気絶していたのは一瞬で今は意識も戻っているが、ぼんやりとしている。
「大丈夫ですか……!?」
「今、状態を見ますね!」
 手を取り、まずは呼びかけを行った。話しかける間も脈を数えたり、熱を計ったり、どこか傷を負ったりはしていないか、簡単な触診を行う。そして特に深刻なけがは負っておらず、外傷はすり傷程度と分かると、2人はユージィンの手を借りて彼女をソファへ移動させた。
「セイスさん、サイスさん。彼女が何者かはまだ分からないけど、やつらが彼女を追ってきたというのなら安全確保が第一だ。兄達と一緒に、裏口から避難させてくれないか」
 まだ開店前で、客がいなくてよかった、と思う。そこにユウキ・ヴァルトラウテが待ったをかけた。
「カイリー先生、彼らを逃がしたいのはわかる。……が、今しばらく待って。飛び込んで来る者が表からだけとは限らない。
 ……裏口、そして屋根裏。床下もいるかもしれないな」
 ユウキは裏のドアに手をかけ、耳をそばだてる。案の定、それらしい気配がドアの向こうからしていた。
「すでにこの店は取り囲まれている。外からの応援が到着するまでここにたてこもっていたほうがいい」
「じゃあ3人を、もう少し安全な部屋へ移動させよう」
 ロアークが頷き、ドアに鍵のかかる事務室だと提案する。ユージィンがドリスに肩を貸し、立ち上がらせたところで胸ポケットから何かが床に落ちた。
「あっ……」
 ドリスが慌てて床を転がるそれに手を伸ばしたが、しゃがんでいたセイスのほうが早かった。
「あれ? これって……」
 独特の形をした密閉容器に、セイスはすぐに薬と気付いた。だが成分表も薬品名も貼られていない。市販で出回っている物じゃない。
「返して……!」
 ドリスはひったくるようにして取り返すと、それが命綱であるかのように両手でぎゅっと強く握り込む。
「落ち着いてください! 大丈夫ですから! 私達が、護りますから!」
 また内側へこもってしまいそうになっているドリスに、セイスが必死に声がけをする。
(薬か……)
 アイルランドで薬というと、例の事件が浮かぶ。
 考えすぎかもしれない。確証はない。
 だがユウキはその直感を捨てきれずにいた。
(一応、やつがいる可能性も念頭に入れておくべきかもな)
 そう思いながら、今日は別行動の月羽紡へ連絡を入れた。


 一方で、神経過敏になっているドリスをなだめて、セイスとサイスはもう一度その薬を見せてもらっていた。
「ねえサイス。これ、もしかして……」
「わからない。けど」
 同時にドリスを見る。ドリスはロアークに勧められるままソファに横になっていたが、視線はセイスの持つアンプルに釘付けとなったままだ。よほど大事な物なのだろう。
 2人は視線を合わせた。ユウキと同じで例の事件に最初から関わってきている2人の頭に、例の言葉が浮かぶのは当然だ。
「もしかして、『天使の毒』に関係するものかな……」
「成分を詳しく調べないと分からないけど」
 以前、宍倉静がビル爆破で隠滅させられそうになった資料を持ち出してくれていた。ホセから似た症状をつくりだす薬物『魔王』の成分表も提供されている。それらと照会すれば、はっきりするだろう。
 だけど今までコネクターが現われたことはなかった。
 これが何を意味するのか。
 嫌な予感がした。
 とても嫌な予感が……。


「別行動の者達と連絡はとれたようだが、おそらく間に合わんだろうな」
 カーテンの影から外の様子を窺いながら、斑鳩恭耶が呟いた。
「なぜすぐに突入してこないか不明だが……仲間の到着を待っているのかもしれん」
「とすれば、時間をかけるのは得策ではございませんね」
 怪盗ソードダンサーへと変身した厳島火練が応じた。その手には日本刀が握られている。
「ああ」
 と頷き、入口のドアへ向かう火練と恭耶を見て、カイリーが慌てた。
「まさか打って出るつもりかっ!? 紡さん達の到着を待て!」
「それではここが戦場になる可能性が高い。店を破壊されたくはないだろう?」
「先生。心配はご無用です。どうかあの者達への応待は、私どもにお任せくださいませ」
 刀を壁にたてかけ、火練は片腕ながらも優雅におじぎをする。そして恭耶が、情報を聞き出すためにセイス達のいる部屋へ行くようカイリーに進言をしている間に外へ出た。
 そのままつかつかと路地に固まっている5人の黒コートの者へ歩み寄る。
「当店に何かご用でございますか?」
 ぎょっとなり、どう返答すべきかこそこそ話す黒コートの者達。火練は寸暇を与えなかった。
「当店はゆえあって、今し方臨時休業となりました。お客様方は当店に相応しくないご様子、お引き取りを願います」
「何だと!?」
 くってかかろうとしたコネクター達の前で、火練の隻腕の腕が高々と掲げられる。それが合図。
 恭耶の投げた刀を掴んだ火練は、即座に身をかがめ、彼らの足めがけて横薙ぎ一閃をかけた。
「!!」
 対処できず、機械の両足を切断されたコネクターが2人。3人が後方へ跳んで逃げたのを見て火練は前へ出る。
 普通市街地でこういった長尺武器を使おうものなら壁や家屋が邪魔をするものだが、火練はうまく対処していた。
 最初のうち、ナイフで応戦していたコネクター達も、火練が2人がかりでもやれる相手ではないと分かると完全に人のふりを捨てる。動きを制限していた袖がびりびりと破れて、腕の回転ノコの速度がさらに激しさを増した。
「死ねっ!」
 突き出された回転ノコと火練の刀が噛み合う。
 恭耶が叫んだ。
「目を閉じろ!」
 直後、強く激しい光の爆発が起きた。瞬時にコネクターのスコープを恭耶が破壊して、火練は目をつぶっていたが、光は強烈で完全には防げなかった。
 回転ノコをはじき飛ばした火練を狙って突き出されたナイフを握る手を、光学迷彩状態からの奇襲で恭耶が切断する。
 毒を受け、その場にくずおれた姿を見た最後の1人が腕に仕込まれたマシンガンでなぎ払おうとしたが、ユウキのレイガンの光に撃ち抜かれ、腕は爆発した。
「くそ……っ」
 顔をゆがめ、後ろへよろめいたコネクターの肩に、どんと何かがぶつかる。
 いつからそこにいたのか。緑地に赤のストライプスーツと、ド派手な色彩を思えばあり得ないほど唐突に、それでいてずっとそこにいたと思わせる自然さで、その者は立っていた。
 目深にかぶって表情を窺えなくしていたカンカン帽を横にずらして、女はウィンクを飛ばす。
「あらあら。逃げるなんて駄目ですよーう。そんなことしたら、ワタクシが怒られちゃいますーう」
 茶目っ気たっぷりにケラケラ笑う。そして。
「こういう手合いは、間合い外からやるのが一番、なのですーう」
 その言葉と同時に、彼女の背後にいた黒コートのコネクター達が一斉にマシンガンを構える。
 射線上には火練や恭耶だけでなく、店もあった。
「あ、ワタクシ、ツイッギーと言いまーす。では皆さん、さようならーあ」
 マシンガンが一斉に火を噴いた。
 とっさに左右へ跳ぶ2人と入れ替わるように射線上へ飛び込んだ者が1人。
 身を包むクロウマントを盾として銃弾を弾き飛ばした劉文は、射撃が終わるとさっとマントを払い、一喝した。
「我が名は皇龍!
 偽りの願いを与えられた者達よ、この拳を恐れぬならかかって来い!」
 そして次の銃撃が始まるより早く、ツイッギーと名乗ったコネクターへ向かっていく。
 させまいと前に出たコネクター達がナイフと回転ノコで彼に斬りかかって行ったが、そのどれもが超硬質化スプレーをした彼の体に傷らしい傷をつけることはできなかった。
「無駄だ、効かぬ! 当たらぬ!」
 ナイフを握る手を払い、がら空きとなった胸へ掌打、寸勁を打ち込む。
 内側を破壊するような衝撃に、まともに受けたコネクターは声も出せず背後へ吹っ飛んだ。
「機械の力で、この技は止められん!」
 宣告し、コネクター達を怒濤の勢いで次々と撃破していく文。
 その光景を見つめていたツイッギーの手がスーツの胸元へ入る。何かを取り出そうとする動きは、次に聞こえてきた声でぴたりと止まった。
「やはりナナシさんはいないのですね。残念です」
 振り返ったツイッギーに、もしやと思っていたのですが、と残念そうに紡は首を振って見せる。
「ではここでは、コネクターのきみが一番強いのでしょうか」
「強い? ワタクシはー強いのでしょーうかーあ?」ツイッギーは頭を捻って考える。「わかりませーん」
 その声、顔から笑みが途絶えることはないが、感情は一切こもっていない。
 殺意もなく。カタカタ動くだけの、機械仕掛けの安っぽい道化師。
 紡はふっとほほ笑んだ。
「コネクター……それにピグマリオの方は覚えておきなさい。四肢がどれだけ強固になろうとも、それは諸刃の剣でしかないのです。私達ファントムにとっては、その義手義足は格好の獲物。なんせ、斬り落としても出血はしないから死にませんし、怪我にも入らないでしょう?」
「アナタ達人間と違って替えもききますから、これ、便利ですよーう」
 カチャカチャ揺らして鳴らしていたツイッギーの腕が、その時外れてガチャンと落ちた。
「……ふえっ?」
 驚き、慌てて拾って嵌め戻すが、またガチャリと落ちる。まるっきりサーカスのピエロそのもの。
 道化た姿にくすくす笑っても、騙されたりはしない。
 ファントムブレードを抜いて間合いへ走り込む。が。
「!」
 紡は唐突にストップをかけた。遅れてなびいた髪が、彼女の目の前で一房切れて宙に散る。
「おやおや、残念ですねーえ。もう一歩踏み込んでいれば、首を落とせましたのにーい」
 手をひらひらさせてケタケタ笑うツイッギー。
 紡は四方へ目を走らせた。
 何が彼女の髪を切ったのか……それらしい物は何も見当たらない。だが――動けなかった。
 動いてはいけないと、直感が彼女に告げている。
「何を……」
「んんっ? わからなかったですかーあ? じゃあもう一度お見せしますねーえ?」
 次の瞬間、ふわりと風が舞って、紡の頬がすぱりと切れた。そして降りそそぐ見えない刃。彼女の服と肌を皮一枚で切り裂いていく。
「分からないなら動かないほうがいーいですよーう。今度こそ、間違いなく首が落ちますからーあ」
 ホント、人間ってふべーん、とケラケラ笑っていた時だ。
 飛び出してきた何者かが紡を横抱きにして、後方へ跳んだ。
「せっかくの休みだってーのに、メンドくせぇことさせやがって」
 ツイッギーは彼が現われたほうを振り返り。
「んんーん……これだけ騒ぎになってるのに、野次馬も現われないのは、もしやアナタのせいですかーあ?」
 おかげで人質もとれやしない、との意を読んで、静は冷笑を浮かべた。それが答えだと。
「なあ。ここいらでお開きにしねぇか? あの店にはもう、目的の女はいねぇぞ。よそへ移したからな」
 インカムを指でトンと叩いて言う。
「でしょうねえ」
 ツイッギーは肩を竦めた。
 彼女にも分かっていた。時間をかけすぎた。裏口を見張らせている者達とも連絡がつかない。口ぶり、態度からして、この男が何かしたのは間違いないだろう。
「でも、はいそうですかって引けない理由があるんですよーう。アナタ、リリィさまのお仕置きがどんなか知らないでしょ。すーっごく怖いんですよーう」
 こんなふうに、とビリビリ痺れている様子を再現して見せる。
 コミカルな動きに惑わされず、静は言った。
「奇遇だな。こっちもただで引かせるつもりはなかったんだ」
 静が動いた。前へ出ると同時にファントムワイヤーを放つ。
 楕円軌道を描き、側面から敵を絡め取ろうとする極細の鋼糸は、しかし一刹那の後寸断されて地に落ちた。
 鋼糸を切断した得物は見えず、まるで自ら切れたようにも見えて、静は軽く目を瞠る。そして同時攻撃となるはずだった彼の接近戦は、ふわりと跳んでかわされた。
 壁の上にカエルのように着地したツイッギーは、ふむりと考える。
「アナタの様子から察するに、たぶんここでねばってても、応援が来るのは望み薄、ですよねーえ。
 お仕置きは怖いですけど、これは帰るほうがいいですかねーえ?」
 うん。そうしよ。そうしましょ。
 ツイッギーはジャンプして、路地裏へ下りた。そこから2人乗り自転車で走り出る。
「は!?」
 チャリ!?
 あっけにとられた静の前、ツイッギーは立ちこぎでチャリンコをこいで、あっという間に視界から消えていった。
 呆然とする静の耳に、文と恭耶の会話が入る。
「今の、見たか」
「ああ。自転車は2人乗りだった。つまり」
「他にもいるということだ」
「……あんなのが2人もいるなんて、ゾッとしねぇな」
 静は呟き、Aiフォンで確認した。攻撃に見せかけて貼りつけた盗聴器はうまく作動しているようだ。
(消えないうちに追うか)
 それで通じる相手なら、苦労はねぇんだがな……。


 懸念していた通り、追えたのはティングルの港までだった。
 シグナルはさらに西へ進んでいる。この速度、船に乗ったのかもしれない。圏外へ消えたシグナルに、静はAiフォンを閉じる。
 敵はいまだその全容を見せない。だが手がかりがないわけではない。
「面倒だが……ま、これもお仕事ってね」
 ポケットに手を突っ込み、静は海に背を向けて歩き出した。
 



 9

参加者

b.居るのは働きアリ(黒コート)だけか?…ま、備えてはおくか。
宍倉静(pa0201)
♂ 20歳 忍探
b.叩き潰す、それだけだ。
劉文(pa0392)
♂ 21歳 英刃
c.こっちの予定かな。皆、怪我したら治療するけれど怪我しないでね!
栄相セイス(pa0459)
♀ 19歳 知魅
c.守りながら避難・・・かな・・・変更は可能だからね・・・。
栄相サイス(pa0460)
♀ 19歳 英探
a.任務了解…
斑鳩恭耶(pa1232)
♂ 26歳 刃忍
a.さて、やるか。
ユウキ・ヴァルトラウテ(pa1243)
♂ 27歳 英弾
b.ふふ、楽しめそうですね。
月羽紡(pa1364)
♀ 27歳 刃探
a.お引き取り願いましょう。
厳島火練(pa1582)
♀ 26歳 刃機
 どうしてコネクターがこんな所に……。みんな、気をつけて!
カイリー・オブライエン(pz0029)
♀ 29歳