【CP】怪盗サンタフェ

担当八島礼
タイプショート 事件
舞台スペイン(Europa)
難度やや易しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/12/15
結果成功
MDP黒田寅太(pa2281)
準MDPメレディス・メイナード(pa0098)
イーノク・オルティス(pa1600)

オープニング

◆それは事故から始まった
「責任を取ってお前達がサンタをやれ」

 唐突だが物語は病院の一室でUNICOの学生達が老人から責められるシーンで始まる。

 ここはスペインのサンタフェ。

登場キャラ

リプレイ

◆深夜病棟24時
 総合病院東棟3階の廊下では、看護師が一人、深夜の病室を巡回中。
 ベルト型のMNで変身したメレディス・メイナードである。

(病院なのでさすがに「悪い子はいねがー」と言って回ることは憚られますよね‥‥って、あれ、手にナタを持っていたような‥‥サンタじゃない‥‥?)

 ナマハゲだと気づいてよかった。
 コスプレしようものなら患者を次々と血祭りにあげる殺人鬼と間違えられかねないところである。

 彼が病院を訪れたのは、難病を患い入院中の子らにもプレゼントを贈るため。
 親から離れ、病気を抱え、死と隣り合わせの不自由な日々を強いられている希望を見失った子供達。
 例えその病が一生治らず、苦しみの果てに幼くして逝くのだとしても、胸躍る一夜の夢を見せてあげたい。

 メレディスはナースコールのボタンの置かれた枕元に、金色のリボンを結んだ小さな赤い巾着袋を置いた。

 女の子には髪を結ぶか手首に着けられる可愛いシュシュを。
 男の子には勲章のように胸に誇らしく着けられる缶バッチを。

 深夜の訪問者に気づいて目を開けた子供に向かい、指を一本口唇に当てて暗示をかける。

 翌朝目覚めたその子は得意げに言うだろう。
 真夜中に白い天使を見たと。

◆ヒーロー
 イーノク・オルティスはレッグギアでマンションの二階まで飛び上がると、そのままアメコミのヒーローのようにアームギアから射出したワイヤーで蜘蛛のように壁を這い上がった。
 仲間に遠隔操作でセキュリティロックを外して貰うと、ベランダから室内に忍び込む。

(男の子が音で楽しめるものと考えたらこれくらいしか思いつかなかった。本当は俺のようにギアをくれてやれれば良かったんだけどな)

 こんな風に動き回れるのはピグマリオとしてギアを得たからだ。
 だがローゼンナハトの技術で作られたものを一般人に渡すことは許されない。
 だからギフトボックスの中に仮面のヒーローが着けるベルトを入れた。
 色を変え、光を放ってベルトは回転する。付属のギミックを付け替えれば音声まで変わる玩具だ。
 それはまるでMNのようで、手足の不自由な子も、目や耳の不自由な子も、ヒーロー気分を味わえるだろう。

(未来は変えられるとは言わない。だけど夢見ることは忘れないでいて欲しい)

 ──俺みたいなのもいるから。
 そんな言葉を胸に秘め、イーノクは外へ出るとまたギアを使って隣のマンションへと飛び移る。
 身体に障害を持つ子らへ、夢を届けるヒーローとなって。

◆トナカイの橇
「次、隣のブロックの‥‥角から二番目‥‥今、ロック外す‥‥」

 深夜の路上に停車する怪しげな中継車が一台。
 中では通信機付きの眼鏡をかけたディルク・ベルヴァルドが、GPSによる位置情報を電子マップ上に表示させ、仲間へ指示を出していた。

 自分がサンタとなって忍び込まない代わりに電算や隠密を得意としない仲間のサポートに徹するのがディルクの役目。
 一晩で周り終えるよう効率を考え、安全に。
 ディルクはサンタの正体を暴こうとする子供を、ハックした電子機器からホワイトノイズを流し眠らせる。
 
(俺が信じてたの‥‥10歳くらいまで‥かな‥‥周りが信じなくなって‥‥いつの間にか気づいてしまったけど‥‥)

 いつか醒める夢だと知ってはいるけれど、今はまだ醒める時ではない。
 自分のところと同じように、親もきっと子供に贈ってあげたいと思っているだろうから。

「あ、寅太、そっちに‥‥車‥‥」

 ディルクは通行する車に気づくとすぐに仲間に連絡する。
 
 皆がこれから配るプレゼントを積み込んだ中継車はサンタの乗る橇のよう。
 今宵ディルクは橇を引くトナカイとなり、怪盗達を導いて余すことなくこのブレゼントを配るのだ。

◆ブランデー
「こんばんわ、サンタフェのお爺さんは今年入院中なのであたしが代わりに来ることになりました」

 廻環ゆめは事前に正面切って子供のいる家庭に根回していた。
 元義賊だか何だか知らないが断り無く忍び込めば不法侵入だから。

 何故悪と知りながら受け入れられるのか分からない。
 何故罪を犯したと知りながら罰そうとしないのかも。

 無意識に触れるのはかつて悪い子と言われて親に締められた首だ。
 サンタなんて悪い子のところへは来なかったし、プレゼントなんて貰ったこともない。

 だからサンタの格好はしたけれど堂々と正面から乗り込み、柴犬の武蔵と共に子供と遊んだ。
 動物の言葉を翻訳するイヤホンを今日だけの魔法と言い、遊び疲れさせたらプレゼントを置いて。

「あたしはサンタなんて知らないし、プレゼントなんて貰いたくない。だってあたしは人を不幸にした子だもん」
「フハハハ! 悪い子でも良い大人になってプレゼントする側になればいいだけの話だ! 大人なら今から一杯付き合え!」

 外で待っていたジャックは感傷を笑い飛ばし、ミニスカサンタ姿のゆめに己のコートを着せると、シャンパンの代わりにゆめが贈ったブランデーのボトルを掲げた。

◆クリスマスの魔女
 サンタの衣装に身を包んだゲルト・ダールが忍び込んだのは、サンタの存在に半信半疑な子供のいる家だ。

「あっ、見つかっちゃったか。なんで起きてるのかな?」

 サンタを捕まえようと寝たふりしている子供に、こちらもわざと見つかったふり。
 サンタの正体がボーイッシュなお姉さんだと知り、子供が『あれ?』と声をあげる。

「サンタはお父さんだと思ってた? 残念。サンタを捕まえようなんて悪い子だね。全く、今回だけだよ? 寝てない子にはプレゼントあげないんだから」

 合図に手を上げると外で鷲のフレスベルクが紐を引っ張る。
 サンタの赤い衣装が肌蹴ると、落ちるマントと共に隠した菓子を積めた長靴が現れる。

「はい、プレゼント。じゃあね、来年はちゃんと寝て待っているんだよ?」

 面食らった子供にプレゼントを渡すと、床に落ちたコートを拾って翻す。
 手品道具の黄色い蝶が飛ぶと同時、ゲルトの姿は光学迷彩で消えた。
 蝶が消える頃には睡眠ガスで子共は眠り落ちている。

「信じてない子に幻を見せる。これぞ幻術師の仕事だね」

 目覚めたら友達にサンタはお姉さんだったと得意げに言いふらすのだろう。
 ゲルトは微笑むとパワーレッグで窓から飛び降りた。

◆うたかたの夢・1
(腰を痛めたご老人には気の毒ですけど、夢のある任務ですね。私も子供の頃はサンタを楽しみにしていました。結局寝落ちてしまって会えずじまいでしたが)

 フロウティア・モリスンは己の子供時代を思い出す。
 画商だった父はどんなに忙しくとも必ずプレゼントをくれたが、後輩はクリスマスの記憶そのものがないのだと言う。
 その思い出そのものがかけがえのないギフトだったのだ。


 フロウティアはセキュリティシステムが解除されると扉をペンダントのピックで鍵を開ける。

「眠っていてくださいね。このシャボン玉の様な夢が弾けたら、素敵なプレゼントが待っていますから」

 バブルマシンで目覚めかけた子供を眠らせて枕元にそっとプレゼントを置く。
 その手首に嵌まるのはベルトもベゼルも黒い男物の腕時計。

「先生、見立てて下さるのは嬉しいけれど、子供相手には少しセクシーすぎですね」

 ドレスを見立ててくれた男を思い出し、赤いドミノマスクから覗く目元を緩ませる。
 胸元に白いファーをあしらった深いスリット入りの赤いドレス。剥き出しの肩に羽織るのは、やはりファー付いたケープだ。
 これじゃまるでサンタというより夜這いです、と。

◆うたかたの夢・2
(飛び出して来た方が悪いと思うんだけどな。でもサンタを楽しみにしている子供達ががっかりするのは可哀想。だからサンタ、頑張る。私が配って回る訳じゃないけど)

 エルミラはフロウティアに頼まれ、ハッキングによる電子ロックのセキュリティ解除や監視カメラの映像の擬装を試みていた。
 ディルクと違い現場マンションに乗り込むため、言われるがままパニエで膨らませ膝丈のワンピース型のサンタドレスを着込み、編み上げの赤いブーツを履いた。
 赤いドミノマスクの下のフェイスギアは暗視対策がされたものだ。

 擬装映像を流しながら思うのは、自分もこんな風に誰かからプレゼントを贈られたことがあっただろうかということ。
 エルミラには誘拐される前も後も記憶はほとんど残っていない。
 シャボン玉のように弾けて消えたそれは、二度と取り戻すことが出来ない。

 だけど思い出を取り戻すことは出来なくても、思い出を作ることは出来る。
 サンタを知らなくてもサンタになることは出来る。

「フロウ先輩、だから私を誘ったんだ」

 エルミラは衣装まで用意してくれた先輩の意図を悟ると、催眠用のアプリを用意する。
 今はまだ少し、子供達にうたかたの夢を見て貰うために。

◆よしだ
「頼んだよ、よしだ。ここから先は僕じゃない方がいいから」

 タキ・バルツァは猫型ドロイドの「よしだ」にサンタの衣装を着せると、ラッピングされた小さな小箱を咥えさせて通風口に忍びこませる。

 サンタを信じていたかと聞かれれば、分からない、と答えるだろう。
 曖昧に霞む記憶の中にサンタの姿はなく、自分はサンタを楽しみに待つ子供ではなかったのだろうということだけが思い浮かぶ。

(何をサンタと認識するのかはその子の自由。他の人には存在しないものでも、別の誰かにとっては存在するかもしれない。何が真実かなんて追求するのは、今夜くらいはやめて欲しいな?)

 ベランダの窓から視覚強化型フェイスギア越しに中を覗き込めば、よしだがベッドに飛び下りた衝撃で子供が目覚めた。

『ありがとうサンタさん! ママはマンションじゃねこはダメっていうけど、ぼく、ねこほしかったんだ!』

 ドロイドを抱きしめる子供にタキは慌てて通風口から煙を出すコインを投げ込んだ。

「ほんと何をサンタと思うか分からないね。ましてや子供だし」

 タキは回収したよしだを抱きかかえて苦笑する。
 煙が引いた後のギフトボックスには、よしだそっくりの小さな猫のマスコットが入っていた。

◆化け猫サンタ
 ずっとサンタクロースはいると信じてきた。
 子供の頃も、そして今も。

 だけどプレゼントは貰えないと思っていた。
 過去に罪を背負う身なれば。

 例え自分が犯した罪では無いのだとしても。

「怪盗なサンタさんになるの!」
 栄相セイスはミニスカートのサンタ衣装にフリルをたくさん足し、猫耳を付けて胸の前で拳を握って気合いを入れる。

「素敵なサンタさんになるの‥‥」
 栄相サイスもまた揃いの衣装と猫耳を身につけ、胸の前で祈るように手を組んだ。

 社交に長けたセイスは事前に忍び込む家々を周り、子供の家族から協力を取り付けていた。
 見知らぬ少女二人がサンタフェの代わりであるとあっさり信じられたのはその為だ。

 難なく家の中へと入ると、そこから先は隠密行動が得意なサイスの本領発揮。
 抜き足、差し足、忍び足、子供を起こさぬように近づくとプレゼントを置いて回る。

 だけどたまには起きている子がいて、バレてしまうことも。
 それを見越してセイスが立てた策が化け猫作戦。

「ばれちゃったにゃ! 私達は実は可愛がってくれたり助けられたりした猫ですにゃ! お礼を持ってきましたにゃー」
「メリークリスマスですにゃー。いつも大事にしてくれてありがとうですにゃー」

 猫耳を付けた二人が化け猫のふりをすると、子供は驚いて目を瞬かせた。
 二人が回ったのは猫を飼っている家、野良猫に餌をやってくれる子供のいる家。

「どの猫さんなのか、正体はこれからも大事にしてくれれば分かりますのにゃー。寂しいときは私だと思って抱きしめるといいのにゃー」
 サイスは子供に猫のヌイグルミの入ったギフトボックスとカードを手渡す。

「それとこれは苦くない魔法のお薬ですにゃ! 熱が出て辛いときに飲むとすぐに元気になりますのにゃ!」
 セイスも己が調合した子供用の風邪薬シロップの入った小瓶を渡した。

 辛いとき、苦しいとき、心細いとき。
 セイスの側にサイスがいて、サイスの側にセイスがいたように、このヌイグルミが側で慰め、薬が助けとなるようにと。

「喜んでくれて良かったね、セイス。子供達のこと、怪盗サンタフェさんにも伝えないと」
「そうだね、サンタフェのお爺さんにもプレゼントを届けに行こう! 皆にも温かい飲み物を配らないと!」

 サイスに促されセイスも皆と待ち合わせた病院へ向けて歩き出した。

◆サンタさんへ・1
(サンタか‥‥ちっちゃい時は信じていたかもしれないけど、親がなくなってからはそんなことを考えることもなくなったな‥‥)

 いつからだろう、サンタの正体が親だと気づいたのは。
 いつからだろう、サンタの訪れを待たなくなったのは。

 オリバー・カートライトは、いつまでも夢見る子供ではいられなかった。
 両親が死んで最初のクリスマス、もしかしたらサンタとなって来てくれるのではないかと期待した。
 そして翌朝両親はもういないのだと実感すると、淋しさだけがいつまでもオリバーの胸に残り続けた。

 だからサンタが来ないあの気持ちを味合わせたくはなくて、怪盗として身につけた技術を駆使し、子供のいる家に忍び込んだ。
 見つからぬように屋根裏を移動し、子供が眠るベッドへと近づくが枕元には既にメッセージカードが置かれていた。

『サンタさんへ。怪我が早く治りますように』

 この子はきっとサンタの正体を知っているのだ。
 サンタが入院したことを聞いて知っているのだ。

(ありがとうな。後で俺がちゃんと爺さんに渡しておくよ)

 オリバーは心の中で呟くと、サンタの身を案ずる子供の枕元に無事だと知らせる代わりにプレゼントを置いて残した。

◆サンタさんへ・2
(小さい頃は信じていましたが、父にネタバレかまされてぶち壊されましたね! プレゼントとごちそうは楽しい思い出ではありますが)

 ネタバレ、ダメ、絶対。

 黒田寅太は心に念じながら昼のうちに下見した家へ侵入を試みる。
 子供の夢を壊さないよう白髭を付け、サンタの衣装に身を包みながら。

 だけど右手には十徳バール。
 左手にはただのバール。

 ナマハゲどころか血のクリスマスが繰り広げられそうなトラウマ案件だが、寅太のアイデンティティだ、仕方が無い。
 別にバールでガラス戸を叩き割るとか、ましてや頭をかち割るとかじゃないなら無問題だ、多分。

 仲間から借りた鍵で窓の鍵を開けると、サンタを発見した子供に騒がれる前に指を1本口唇の前に当て。
 黙らせると赤い長靴型のプラスチックケースに入れた菓子と共に、クリスマスカードとペンを差し出した。

『サンタさんへ。いつもプレゼントをありがとう。はやくなおしてらいねんもきてください』

 子らから集めたカードを持った寅太が最後に訪ねるのは、本物の怪盗サンタフェのところ。
 これから伝説のサンタにサプライズしてやるのだと、寅太は「フハハハハ!」と明け始めた空の下で笑った。

◆伝説のはじまり
 翌朝病室を見舞った学生達は、子供達から預かったクリスマスカードを老人に手渡した。
 家族もなく、一人寂しく病室に閉じこもっていた老人は、たくさんのカードを前に目元を潤ませる。

 遠くない未来、老人がサンタ役を降り、そして天に召される日がやってくるだろう。
 その時怪盗サンタフェは本当の伝説となるのだ。

 だけど学生達は皆口々にまた手伝いに来たいねと言う。
 だからひょっとしたら伝説は生き続けるかもしれない。

 メレディスは都市伝説だと思っていたサンタの正体は案外こんなものかもしれないと心を温めながら、栄相姉妹が皆を労って配るホットドリンクを受け取った。



 11

参加者

c.悪い子はいらっしゃいませんわよねー?
メレディス・メイナード(pa0098)
♂ 21歳 探魅
b.どんな夢をお届けしましょうか。
フロウティア・モリスン(pa0099)
♀ 21歳 忍知
a.サポートに回るね……
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)
♂ 23歳 乗知
a.サンタ、か。これは頑張らないとね
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 22歳 知魅
b.じゃあこっちを周って来るね!楽しみ!
栄相セイス(pa0459)
♀ 20歳 知魅
b.じゃあ、こっちに・・・皆喜んでくれるといいな。
栄相サイス(pa0460)
♀ 20歳 英探
a.サンタってなに…
廻環ゆめ(pa1420)
♀ 19歳 忍知
a.サンタか…
オリバー・カートライト(pa1468)
♂ 22歳 忍魅
b.(よしだにサンタ服を着せる)
タキ・バルツァ(pa1565)
♂ 23歳 忍機
c.サンタか…
イーノク・オルティス(pa1600)
♂ 23歳 英機
b.電算関係で支援の予定。監視カメラに別の映像を差し込むとか。
エルミラ・ベルトラム(pa1648)
♀ 23歳 知機
c.伝説のサンタになりたい…
黒田寅太(pa2281)
♂ 20歳 刃知
 貴様らの健闘に期待する。せいぜい励むがいい!
ジャック・イノセント(pz0027)
♂ 31歳