【CP】マカロンとかどう?

担当槻又ともこ
タイプショート 授業(島外)
舞台フランス(Europa)
難度普通
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/12/07
結果大成功
MDPエルミラ・ベルトラム(pa1648)
準MDPゲルト・ダール(pa0208)
斧箭鎌刀(pa1581)

オープニング

◆チャリティーファントムとは
 年末調達やら、年の瀬やらでなんとなくせわしない12月。
 今年も、冬季特別演習の季節がやってきた。
 今回は、『チャリティーファントム活動』というものが、行なわれるそうで。
 このチャリティーファントム、端的にいえば、『恵まれない子供のために行なう怪盗行為』。
 要するに、『サンタファントムやろうぜ!』な演習で、犯行予告や犯行声明には、『盗んだ金品は恵まれない子供のために使わせていただきます』などと書くことが多くなりそうだ。

登場キャラ

リプレイ

◆集合しました
 パリのマドレーヌ寺院を目の端に捉えながら、件の菓子店の店舗前に集まった学生達。
 一期生の先輩たちが、菓子店の大きなガラスケースを覗き、店内を見ているその後ろから、エルミラ・ベルトラムが呟いた。
「ここのマカロン‥‥おいしいです」
 甘党の彼女は、この店の存在を知っていたようだ。
「マカロンか、女性に人気の可愛いお菓子だよな。
 世界中の人が、マカロンな気持ちになるのも幸せなことだよな」
「マカロンな気持ち?」
 仲間達が首を傾げながら、アルフォンス・サインツへ顔を向けると、彼は、
「まぁ深く考えるな」
 と、肩を竦めながら、沿道に並ぶ街路樹へ視線をそらした。

 そんなアルフォンスの横に、エルミラが並ぶ。
 店内を覗き、無表情ながらも、
(お菓子を悪い事に使うなんてダメだよね。止めなきゃ)
 拳をギュッと握るエルミラ。皆には見えていない。
 彼女にとって、スイーツは正義なのだ。

◆スポーツジム
 近くのホテルの一室を借りて、ゲルト・ダールの変装にもうひと手間かけた中藤冴香
「こんな感じで、どうでしょう?」
「いい感じだね、社長っぽい?」
「ふふっ、良い仕上がりです」
 その場でクルリと一周回ったゲルトに、冴香は微笑みながら頷いた。

 平日の昼間だというのに、スポーツジムにはそれなりに利用者が居り。
(この時間帯に、社長がジムに来ているという情報だったんだけれど‥‥居た!)
 社長と専務補佐。二人は、隣り合ったウォーキングマシンを利用中だった。
 ゲルトは素知らぬ顔で、彼らから少し離れた休憩所付近に陣取り、ストレッチを始める。

「社長。明後日の会議は、来期の予算についてでしたね」
「あぁ、まあ例年通りでいいだろう。専務にも、そう言ってくれたまえ」
 承知しましたと、頷いた専務補佐。
 その向こう側のマシンには、サディアス・ディプレシがマシンを陣取っていた。
 彼はゲルトと目が合うと、小さく頷いた。そして彼らは暫く施設利用者を装う。

「私は一休みする。君は続けてくれたまえ」
 社長が専務補佐にそう告げ、マシンを降りてから、休憩所の飲み物の自動販売機へまっすぐ向かってくる。その途中に居た、ゲルトと同伴者。
 同伴者が打ち合わせ通り、ゲルトが社長であることをからかったセリフを口にすると、彼女がそれに応える。
「筋肉も若手社員と一緒だな。良い経験を沢山与えれば強くなる」
 通りかかった社長が会話を聞いて、ピクリとした。
 何食わぬ顔をしているが、ゲルトの次の言葉を待っているようだ。
「脳味噌は、その経験を作り出さないとな」
 ゲルトの言葉を聞き、社長の瞳がなるほどとでも言うように光ったのを、ゲルトはしっかり見届けた。

 一方こちらは、社長と離れて一人でウォーキングを続けている専務補佐。
 彼にサディアスが、声をかける。
「付き添いで?」
「えぇ、ここだけの話ですけど‥‥本当は運動が苦手でしてね」
 社長と離れて、気が緩んでいたのか、思わず小声で本音を漏らす専務補佐。
「ふふ、お疲れですね。
 実は僕もあまり得意じゃないんですが、会社の上司の付き合いで始めた口です。
 本当は家で映画でも見ていたいんですがねぇ‥‥」

 彼の背後で、ダンスクラスの教室のドアが開けられ、突然大きなダンス音楽が流れ漏れる。
 サディアスの『映画』というキーワードに、専務補佐が飛びついた。
「私も、どちらかというと映画鑑賞のほうが好きですね」
「おや、貴方も映画はお好きですか? それなら‥‥」
 サディアスは彼に、とある映画の題名を告げる。
 専務補佐は、興味津々とばかりに、顔全体をサディアスに向けて、
「どんな内容なんです?」
(よし、食いつきましたね)
 サディアスは、人の良さそうな笑顔を浮かべつつ、話を続ける。
「ホームレス老人が、孤児院や教会に集めた募金を寄付する映画ですよ。
『善意とは神の義に適った真実』だそうですよ」
 ほぅと、専務補佐が声を出す。
「では、私はこれで。
 あまり無理をなさらないように」
 サディアスは笑顔で言うと、マシンを止め、手を挙げ去っていった。
 去っていく彼の背中越しに、専務補佐はジムのコミュニティ掲示板を目にした。
 彼の頭の中は映画の話でいっぱいで、掲示板のジムからのお知らせの掲示物に混じって、カラフルなマカロンのポスターが貼られてあったことなど、記憶には残らず。
 しかし、それは彼の脳裏に着実に刷り込まれたはすだ。

「今、チラッと見たな、よし撤収だ」
 イーノク・オルティスに、アルフォンスが囁いた。
 アルフォンスとイーノクも、実はこのジムに居た。
 二人は、ゲルトがジムを去った後、休憩室にいる社長の傍で、マカロンのCMの話などをそれとなく会話に入れ、微かに印象づけようという魂胆の元に行動していた。
 実はイーノクは、マフィアのほうで動く予定だったが、今は冴香と斧箭鎌刀が、ネット経由で資金の吸い取りを行おうとしていた。
 彼は、最後に事務所に残った現金を、根こそぎ頂戴しようとしており、今は少し手が空いていた。
 そこに、アルフォンスからポスターの束を渡されたというわけで。
 イーノクは、アルフォンスと一緒にジムに潜り込んで、アルフォンスの『刷り込み作戦』の応援者として、ポスターを掲示板に貼り、幹部達の意識下に、少しずつ働きかけるのを、手伝っていたのだった。
「人は事実を捻じ曲げると言うが、どこまで擦り込めるかは、やってみなくてはわからんな」
 アルフォンスの言葉に、イーノクは、そうだなと呟いた。

◆喫茶店にて
「社長、ここの喫茶店で一休みしましょうか」
 運動を終え、帰路の途中。
 専務補佐が喫茶店を指さし社長に言うと、社長はうむと頷いた。
 イーノクとアルフォンスは、ゲルトが、『二人はこの喫茶店に寄るだろう』との予測を元に、先回りしており。
 ゲルトに頼まれていたイーノクが、従業員に成りすまし、社長達をテラス席に案内。
 ゲルト達の席の横へまんまと案内された、社長と専務補佐。
 別の変装をしたゲルトは、ここでも。
「いや、僕は余り美味しい物食べたことないまま大人になったからさ、差が分からないんだよね」
 神様は幸せなものがお嫌いみたいだね。と呟くゲルト。
 そしてゲルトは、隣にいる社長と専務補佐に暗示をかけるような声のトーンで、ゆっくりと言葉を発した。
「小さいときに食べられたら、最も美味しく感じるんだろうな」

 ここで喫茶店従業員のイーノクが、皿に乗ったマカロンを、ゲルトの前にコトンと置いた。
「あちらのお客様からです」
 イーノクが手を向けた先では、こちらを向いたアルフォンスが手を挙げた。

 その向こうで、静かに本を読んでいるのは、エルミラ。
 彼女はFGの視覚供用モニターの画面の上部に、専務室でくつろぐ専務の姿を、小さな枠で表示させている。防犯カメラの映像らしい。
 テーブルに乗ったカップを手に取り、ハーブティの香りを吸い込んでから、ゆっくりとそれに口を付けるエルミラ。
 そして、また本を手に下を向いた。
 そんな彼女は、周りから見れば本に没頭しているようにしか見えない。
 まさか彼女が、専務のデスクに置かれたPCのハッキングを行なっているなどとは、思いもしないだろう。

 事務処理を行っていた様子の専務が、背伸びをしてからデスクの脇に置いたマウスを手に取り、座り心地の良さそうなチェアを、ギィと鳴らしてからマウスを動かし始める。
(私の領域にようこそ)
 クスリと笑うエルミラを、喫茶店の客がチラリと見るが、本が面白かったのだろうと思い、視線を窓の外に戻す。
 彼は、PCでいつものサイトを開いた。
 サイト内で表示されている広告をチラ見するも、すぐにサイトの情報に集中し始め、それから彼は、一時間ほどネットサーフィンを行い、PCを閉じると専務室から出て行った。
「これでいいかな」
 呟いたエルミラの元に、イーノクとアルフォンスがやってきて、カタンと音を立てて、椅子に腰掛けた。
「何も変わってない様な気もするんだが」
 イーノクの言葉に、エルミラは、
「『美味しいマカロンを是非施設に寄付したい』と思うような催眠をかけてみたよ。
 あと‥‥ネット広告に菓子類とか。子供の笑顔とかも」
「へぇ。そんなことやってたんだな、やるな」
 イーノクに言われて、エルミラは大きな瞳でイーノクを見ると、青い薔薇の描かれたカップの持ち手をつまんで、ぬるくなったハーブティを飲み干した。

◆マフィア
 こちらは、鎌刀と冴香。
 二人も、イーノク達が入り込んでいた喫茶店内に居た。
 巨大なガラス窓の傍にある、テーブル。その窓から外を眺めると、こじゃれた店が並ぶパリの風景が。
 タブレットPCとノートPCをテーブルに並べ、二人はそのキーボードを、ピアノを弾くかのように滑らかに叩いていた。
 どこかでシナモンの香りがする。
 その香りを吸い込みながら鎌刀は、先輩の教えに従い、根こそぎ奪いにいきましょうと、PCの画面にならぶ文字列と格闘。
「この方達、資金繰りもえげつないですね」
「そうですね。その資金繰りの情報は、後から‥‥ですね」
 互いに画面から目は外さず、会話する二人。
 喫茶店の喧騒に紛れて、二人の会話は誰にも届かないだろう。
「余罪も結構ありますね、『宝はネットの海で待つ』とはよく言ったものです」
 冴香が呟きながら、データをどんどん保存していく。
 鎌刀のPCのフォルダにも、冴香が保存しているデータが蓄積され。
「仲間同士でPCを繋げるのも、便利なものですね」
「そうですね。ふふっ、どんどん余罪も蓄積されていきますし」
 悪い笑みを交わす二人。
 そんなこんなしている間に、鎌刀が銀行の隠し口座を見つけた。
「二人で挑めば、あっという間な気がしますね」
 二人が銀行の口座から、資金を抜き取り始める。
 どんどんと減っていく残高。しかし、銀行側もマフィア側も気が付いていないだろう。

「元々悪い考えの元に作られた口座だから、中身がどうなっていても、訴えることはできないんですよね、自業自得です」
 鎌刀の顔に、フフフと悪い笑みが増す。
 離れたカウンター席に座る、イーノクとアルフォンス。
「あの二人‥‥怖いな」
 黒い笑みを浮かべた二人を、絶対敵に回したくないと思うのだった。

「じゃ、よろしくお願いしますね」
 鎌刀が誰かに連絡を取っている。
 それと合わせて、イーノクにもGOサインがでた。
 待ってましたとばかりに、イーノクがマフィアのアジトに忍び込むと、そこには、鎌刀のコネで送り込まれた敵対マフィアが大暴れしており、そこに残っていた現金を頂戴してイーノクがその場を去る。
『鎌刀、おかげですごく動きやすかったぞ』
『まぁ、こんなものでしょう』
 イーノクの礼に、鎌刀は涼し気に返答したのだった。

◆後日
 数日後。予算会議で終わるはずだった会議で、マカロンの寄付の話が上がった。
 社長と専務は、すっかりやる気で、具体案を述べ出す中、専務補佐の反応は‥‥。
「いや、とても良い考えだと思います、大賛成ですね」
 ジムでのサディアスの発言で、専務補佐は、あの後一人になった時に、勧められた映画を見ていた。
 映画を見るのに、専務補佐が携帯電話を利用するという情報を得ていたアルフォンスは、映像編集が得意で、なおかつハッキングの能力にも長けている冴香に、専務補佐の携帯電話のハッキングと、映画の隙間に、こっそり刷り込みを入れた彼専用の映画映像を流すことに成功しており、彼は完全にそれに陽動されていた。
 鎌刀らが、『寄贈と言う名で横流しした』資金もあり、それにも後押しされた経営陣は、クリスマスにマカロンの大量寄贈を、決定することとなった。

 そして、経営陣を圧迫していたマフィアの介入もぱったりと止んだ。
 この会議のすぐ後、マフィアは資金をすべて無くした挙句、警察に御用となっていた。
 警察のPCをハッキングした何者かが、匿名でマフィアの悪事をデータや映像と共に通報したのだった。
 警察のPCにまず最初に表示された画面。そこには、縁に飾りのついた楕円形の鏡の画像が表示されたらしかった。

 専務補佐に映画を見せる陽動を行った、サディアス。
 彼の陽動で、まんまと映画を視聴して、刷り込みをほどこされた専務補佐を、サディアスは思い出しながら、
「少々難題でしたが、人心掌握は面白い題材でしたね」
 呟いて、会議の結果を見る。
 そこには、クリスマスに施設に寄付される予定のマカロンの数が、ものすごい桁数で書かれてあった。

 さらに、ネットの通販で、粗悪品を受け取っていた顧客達に、なぜか、新しいマカロンが届いた。
 それには社長が直筆したメッセージが、同封されていた。
『前回お送りした商品に、不手際がございました。申し訳ございません』
 マフィアの壊滅と同時に、鎌刀と冴香は、マフィアが掴んでいた社長らの弱みも封印した。
 彼らは粗悪品を送ってしまったことを、気にしており、資金も潤沢になったことから、新しいマカロンを作って送る余裕が出来たのだった。
 新しいマカロンを作ったのは、前回粗悪品を作らされていた新人達だ。

「よくやったわね♪ さすがね」
 レティス・ガッティは笑顔で、菓子店のマカロンを学生達に差し出した。
 マカロンを食べたがっていたエルミラに、花開くような笑顔が一瞬現れたのを見れたのは、講師だけだった。



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参加者

c.サブリミナル効果を利用しよう…電脳に詳しいやつの助けが欲しいな?
アルフォンス・サインツ(pa0087)
♂ 24歳 弾忍
b.じゃあ、僕は社長の所にいくね。
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 22歳 知魅
a.資金を奪い取れないか、やってみますね。
中藤冴香(pa0319)
♀ 25歳 探魅
b.盛大に寄付をして頂きましょう。僕は専務補佐に近付いてみますね。
サディアス・ディプレシ(pa0355)
♂ 22歳 知魅
a.こちらに。出来る限りはやりましょう
斧箭鎌刀(pa1581)
♂ 20歳 刃知
a.とりあえずこっちで!
イーノク・オルティス(pa1600)
♂ 24歳 英機
b.専務に働きかけてみるね。
エルミラ・ベルトラム(pa1648)
♀ 23歳 知機
 ちょっとややこしいけれど、皆なら上手くやれると思うわ♪
レティス・ガッティ(pz0044)
♀ 61歳