新春!正月遊び三昧!

担当なちか。
タイプショート 日常
舞台Celticflute
難度普通
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2019/01/10
結果成功
MDPナタク・ルシフェラーゼ(pa0155)
準MDP紅嵐斗(pa0102)
今井天(pa0066)

オープニング

◆島に残ったユニッ子たちへ
 年が明け、UNICOの学生たちも帰省したりバカンスに行ったり、はたまたセルティックフルート島に残って自主練やのんびりしている者たちもいる。
 そんな島に残った腑抜けたユニッ子たちにヒルデ先生からの挑戦状が叩きつけられた!?
「冬休み中なのに島に残っている理由を聞かせてもらおうかー」
 そんな事を言っているヒルデ先生こそ島に残っているのだから、説得力があるかと問われれば恐らくそうでもないだろう。
 どうやら、残ったユニッ子たちが寂しくないようにと気を遣ってお正月にありがちな正月遊びセットを用意してくれた‥‥らしい。

登場キャラ

リプレイ

◆温故知新
 ナンシー・オズマは、慄く。
「日本のショウガツ‥‥恐るべしっス!」
 ヒルデ先生が用意してくれた『それ』を伝統的な日本の玩具だと信じ切ってしまったが故の反応だった。
 それもそうだろう。
 今井天紅嵐斗ら日本人学生が瞳を輝かせてノリノリで各種玩具を弄り回しているのである。
「それにしてもこんな代物を用意してくれるとは、先生‥‥流石だな!」
 これだけの物を見せられて男子がときめかない訳がない、とばかりに食いついたのだった。
 ナンシーはそんな2人の反応も加味して、古来より日本人はこうしたギミック満載の――こういうものを、カラクリとか言うらしい――ジャパニーズ・トイをエンジョイしているのだと。
 もはや疑う余地はなかった。

 ナタク・ルシフェラーゼも関心と感心の入り混じったような、興奮気味にジェットカイトの前後左右を見回しながら、言った。
「おお、ヒルデ先生ったらまたすごい改造を施したねぇ」
 驚嘆の声をあげながらも、彼女もまたこのジェットカイトに乗る気満々の様子。
「ナタクセンパイ、凧であげられたいっスか?」
「いいよね、こんなの見せられたら乗ってみたくなるでしょ」
「だったら自分が全力であげてみせるっス!」
 ナンシーはこういう遊びは未経験だったが‥‥いや、だからこそ余計に興味をそそられたのかも知れない。
「機械のことはよくわかんないっスけど‥‥たぶん感覚でイケるっスよね!」
「いやそこはせめてちょっと練習しようか、凧揚げ側の感覚も覚えておきたいし」
「ナタクセンパイとくんずほぐれつの猛特訓っスね! 燃えてきたっス!」
 ナンシーはそう言って、ナタクと一緒にまずは凧揚げの練習をする事にした。
 幸い、この島には凧揚げも何のそのな広大な敷地がある。特に竜血樹公園などは遊び場としても練習の場としてもってこいの場所。
 ベーゴマのバトルベースもここに設置して遊べば多少弾かれても問題なさそうである。
「それじゃあ、まとめて公園に持っていこうぜ!」
 天、嵐斗はベースと大凧を一度分解し、公園に運び込む事にした。

 持ち込まれた大凧は、ナンシーとナタクの2人で再度、組み立て始める。
「先生、これでいいっスか?」
「んむー。上出来だぞ」
 引率役となった先生からも、OKのサインがでた。

「それじゃあ俺たちはあっちでベーゴバトルしてるから、凧揚げ楽しんでこいよ!」
 天らはロマンの塊ベーゴマ勝負に向けて闘志を燃やしていた。
「ありがとね、ベーゴマも楽しんできて。後で感想きかせてよ」
 ナタクたちは決戦に向かう男たちの背中をしばらく見送ってから、自分たちも精一杯遊ぼうと改めてジェットカイトの練習に勤しんだ。

◆男の美学
 勝負の前に2人であらためてこの特殊なメカベーゴマの危険性や特性を入念に確認していく。
「時計回りにも反時計回りにも対応してる噴射口がある‥‥って事は‥‥」
 ベーゴマの遊び方は単純だが奥深い。
「ルールはシンプル。相手のコマをベースから弾き出すか、より長く回転している方が勝ち」
「ああ。その駆け引きに深く関わってくるのが、この超回転ブースターって訳だ」
 天が示す通り嵐斗はうなずいて、再度ベーゴマをじっくりと見回す。
「チャージ三回! フリーエントリー! ノーオプションバトル!」
「じいちゃんに習った今井流の投げ方、みせてやるぜ」
 嵐斗も天もノリノリで、最初からクライマックスとばかりにコマ回し――いや、『ベーゴバトル』(命名・嵐斗)を開始した!
 バトルベースにはそれこそ彼らの、2人の魂が注がれている。
 それはまるで小さな格闘場に同時発生した局地的竜巻の激突!
 その熱さは灼熱の旋風を巻き起こした!
 猛烈な回転力から生まれるふたつの魂は互いにけん制しあうというより、最初から火花散らす『殴り合い』だった。

 イカサマはしないが、遊ぶからには本気(ガチ)でいくという嵐斗に対し、勝つためには全力を尽くすのがゲーマーの基本だという天。
 2人がゲームに真剣なのは、互いの本質が『ゲーマー』というシンパシーを感じ取れるからだった。
 遊びの中に見出す本気をいかに自分から、そしてどれだけ相手から引き出せるかがポイントになってくる。
「(駆け引き最大の焦点は、やっぱブースターの点火タイミングだよな)」
 天は嵐斗のクセもある程度理解していた。ゲーマー用語でいう『人読み』というやつだ。
 無論それは嵐斗も同じで、それがよりこの遊びに深みを与えていた。

 ブースター点火の『読み』はベーゴマの軌道と回転数、そしてその位置関係にも及んだ。
「(遅くても、早すぎてもだめだ)」
 強すぎる回転力で軌道が変わってしまえば渾身の一撃も空振りしてしまう可能性もある。
 いや、逆にその回転は相手の攻撃から回避するのにも使えるか。
 嵐斗はその瞬間を慎重に見定める。
 天もまた、まるでガンマンの早撃ち勝負のような緊張感のなか、ひたすらにチャンスを伺った。
「(相手よりほんの『少しだけ』だ。ほんの少しだけ早い、直前を狙う――!)」
 コマの当たりかたで戦況はいっきに傾く。

 そしてそれは、本当に前触れなく訪れた。
 それに気付いた瞬間の、まばたき一回分くらいのタイムラグが時に勝負を分ける時がある。
 嵐斗の指がトリガーを引ききるそのまさにほんの少しだけ早く――天のブースターが点火した!
 強烈無比な回転が加わった天のコマの軸はバトルベースを削り取るかのように猛烈な摩擦を生み出し、タイヤスモークよろしくもうもうと煙をあげて嵐斗のベーゴマを強襲する!
 ほんの一瞬出遅れた嵐斗のコマもブースターの噴射がはじまり、半時計周りに回り込むように超回転した。
 ふたつの竜巻が合体して巨大なうねりがバトルベースを包み込み、その暴風圏で互いの魂は何度も激突しているようだった。
 先ほどのけん制とは比べものにならないほどの強烈な火花が竜巻の中でフラッシュのように閃いていた。

 そして4、いや5回目の激突音と共に竜巻は収束を迎える。
「どっちだ、どっちが勝った!?」
 2人は最後の激突音で『何か』が吹き飛んだ事だけは見えたが、どちらが場に残っているかは一瞬では判断できなかった。
 ようやくバトルベースに静寂が訪れたそこに残っていたのは‥‥。
「なん、だと‥‥!?」
 天の嗚咽のように絞り出したその声に、嵐斗の眼鏡がギラリと鈍い光を放って応えた。
 嵐斗のベーゴマがベースで横たわっていたのである――!

「予想以上に遊べるね、これ」
 噴射に使うガスを再度注入すれば次の勝負で再び使用可能となるらしい。
「だったら再チャージしてもう一回勝負だ!」
「グッドだ」
 2人は時間が経つのも忘れて、ベーゴバトルに熱中するのだった。

◆大空を夢見て
 一方、女子チームはと言うと。
「ナタクセンパイ、たしかカイト同士で戦わせる遊びもあるんスよね?」
「みたいだね、たしか糸が切れた方が負け‥‥だったかな」
 ヒルデ先生はそうしたケンカ凧と呼ばれる遊び方にも対応したワイヤーとそれを切るための刃付き雁木(がんぎ)のオプションも用意してくれていた。
 さておき、2人は凧揚げの感覚を掴むために練習がてらケンカ凧勝負と相成った。
「やるからには本気っスからね!」
「そうこなくちゃ」
 大凧にはそれぞれ尻尾と呼ばれる、凧の安定性に欠かせないテープの帯が着いている。
 長く白い尻尾が凧と一緒に流れる様は、昔懐かしの日本の冬を思い起こさせた。
「日本のショウガツはこんなエキサイティングな遊びが今なお続いているんっスね‥‥アメイジングっス」
 そんなこんなで、ケンカ凧の勝敗はナタクとナンシーそれぞれで一勝一敗一引き分けという結果に終わった。
「なんだかこれだけでも楽しめたけど‥‥本番はこれからだからね」
「うっス! やりましょうナタクセンパイ!」

 準備万端、いよいよナタク搭乗のジェットカイト凧揚げにチャレンジだ。
「いい緊張感だ」
 空は果てしなく澄んで、どこまででも飛んでいけそうな、そんな感覚がナタクにはあった。
『無線もクリアっス。自分はいつでもOKっスよ!』
「了解。それじゃ、いこうか‥‥!」
 無線で返すナンシーの声も、どこか緊張の色を感じ取る事ができたが‥‥彼女の言う通りほどよい緊張感が今は心地よかった。
 何よりこんなチャンスは滅多にない。
 大空にテイクオフする期待の方が大きい。
「タイミングはこっちで合わせるから、思い切り飛ばしてね」
『OKス! いくっスよぉー!』
 凧揚げは、この飛ばす勢いとタイミングが重要だ。さっきほどまで風を味方に何度も練習を重ねてきた。
 その感覚が残っているうちに飛ばしたい。

 2人の心は――ひとつだった。

「いっけぇーっ!」
 角度も絶妙。ナタクはここぞ、のタイミングでジェット噴射を利用して飛び上がる!
 風もしっかり捉えて‥‥果たしてジェットカイトはナタクを乗せて大空高く飛翔した!
 ワイヤーを握っていたナンシーにもそれが伝わってくる。
 チャレンジは、成功だ!
「気ー持ちいいーっ!」
 凧と一緒に空を飛ぶなんて経験は彼女も初めてだった。
 全身に風を受けながら見果てぬ水平線の彼方までを望み、本当に翼を得たような感動に包まれていた。
「よーし、かなり慣れてきたところで、さっきの練習でやった技やってみようか」
『ここまできたらどんと来いっス! どこまでもお付き合いするっスよ!』
 ケンカ凧で学んだいくつかの空中機動を、ナタク搭乗の状態でやってみようというのがこのチャレンジのもうひとつの狙いだ。
 その実現には、飛ばす時以上に2人が息を合わせなければならない。
 しかし今の2人とこのジェットカイトなら、決して不可能ではないと信じていた。
 ワイヤーのねじれなどに注意しつつ、練習を重ねた成果として木の葉落しやハートループといった空中機動を実践!
 気まぐれな風の影響でひやりとする場面があったものの、初めての挑戦にしては上出来だったのではないだろうか。
 互いの操作タイミングあってこそというのがナンシー側のワイヤーからも伝わっていて、それがより呼吸を合わせるのに役立っているようだった。
『ナタクセンパイ、超きもちよさそうっス』
「最ッ高ッ!」
 海と空は、どこまでも続いている。
 新しい年を迎えて、ナタクはより身が引き締まる思いを空の上で感じられたのだった。

◆理由
 実は今回集まってくれたうち、島に残った理由は大きく分けて2つあった。
 1つはここが『居場所』だというナタクや嵐斗のような返答。
 1つはそうした居残り組と遊ぶのがたまらなく楽しみだったという天やナンシーのような理由だ。

 それぞれに思いがある。
 ここにしかないものを求めるのもまた、ここにいる理由なのかも知れない。
 ヒルデ先生はユニッ子たちの思いを噛みしめながら、陽が落ちるまで正月遊びに付き合うのだった。



 8

参加者

a.こんな面白そうなやつ、参加するに決まってるだろ!
今井天(pa0066)
♂ 20歳 英探
a.ベーゴバトル! それは人生の縮図、男のロマンである!(ナレーション)
紅嵐斗(pa0102)
♂ 20歳 英忍
b.凧あげられるぞ~
ナタク・ルシフェラーゼ(pa0155)
♀ 24歳 乗魅
b.凧上げるっス♪
ナンシー・オズマ(pa2288)
♀ 21歳 弾忍
 冬休み中なのに島に残っている理由を聞かせてもらおうかー
ラインヒルデ・ボット(pz0022)
♀ 34歳