春の味覚と言えば

担当空根 漣
タイプショート 授業(島外)
舞台ドイツ(Europa)
難度易しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2019/05/10
結果成功
MDP色原朔(pa2372)
準MDPシルフィ・レオンハート(pa0829)
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)

オープニング

「アスパラ食いに行こうぜ!」
 それだけを告げ、ランベルトは皆を連れて南ドイツのアーベンスベルクを訪れていた。
 アーベンスベルクはミュンヘン近郊にあるアスパラの名産地だという。
「ドイツじゃアスパラ(シュパーゲル)って言えば白いヤツだ。春になったら食わねぇとな。これは絶対だ。食わねぇと春になんねぇもんな!」
 機嫌良く皆へそう言うランベルトの背後には、白いシートを被せられた畝が続いている。
 何処にもアスパラが生えている様子はない。すでに収穫を終えた畑に来たのだろうか、と皆が首を傾げていると、ランベルトは何故か自慢気に胸を張った。

登場キャラ

リプレイ

◆アスパラとは?
 さくさく、と土を掘る色原朔は、実のところ土の中から何を探せばよいのか解らないでいた。
(アスパラ……って、どんなだったかな?)
 食事の中身まで気にした事は無かったな、と思いながら土を掘る。
(食べた事はあるんだろうけど、名前と形状を一致させながら食べる事なんてないしな)
 野菜なのだろうと言う事は解る。白アスパラ、と言うのだから白い色をしているのだろう事も、何となく理解している。
 もっ、と土から覗いた白い物に朔は「これか」と小さく声を出した。見えた物を頼りに、周りの土を両手で退かす。
 ある程度太さがあるけれど、それは概ね細長い筆の様な形状をしていた。
 本当に白いんだな、と朔は収穫した一本の白アスパラを掲げ、繁々と見詰める。
 朔は収穫した白アスパラを、傍の籠へと静かに下ろした。収穫したばかりの畝には、まだ数本の白い色が覗いている。
(結構密集して生えるんだな。この密集具合で、この畑の広さ、か)
 シートを被せられた畑へ視線を向けた朔は「成程大変な作業だ」と独り零す。
 そこへ、作業の様子を見に来たランベルトの顔が覗いた。
「採れたかー?」
 そう言うランベルトへ、朔は新たな白アスパラを採り、先程籠へ下ろしたもう一本を持つ。二本をそれぞれ両手で持ち、ランベルトへ振って見せた。
「その調子でジャンジャン収穫してくれよ!」
 ニカッ、と笑みを見せるランベルト。朔は頷き、二本の白アスパラを籠へと下ろした。
「ところで先生。これはどうして土を被せて育てるんだい?」
 土を掘りつつ、ランベルトへと問う。
「白アスパラにする為だな」
「……?」
 返された言葉に朔は首を傾げた。虫が付かない様にするとか、根野菜だからとか、そう言う事ではないのだろうか?
 不思議そうな朔にランベルトは笑顔のまま言葉を続けた。
「アスパラってのは緑色の奴も白色の奴も同じ品種なんだ。光合成しながらにょきにょき生えるのが緑色の奴。白いのは光合成をさせずに育てるから、土を被せる訳だな」
「光合成……。何か変わるの? 味とか、栄養とか」
 同じ品種で何故そんな手間を掛けるのだろう。別の品種で、そう言う育て方をしないとならないと言うのなら、まだ解るのだけれど。
 そうだなぁ、とランベルトは視線を漂わせ、思案気に言葉を紡ぐ。
「白い方がジューシーだっていう人もいるな。栄養は緑の方が多いらしいぞ。まぁ、単純に珍しいからじゃねぇかな」
 きょとん、と朔は目を丸くして、掘る手を止める。
「珍しい、だけ?」
「おう。希少価値ってやつだな。昔は高級食材だったらしいし。珍しければ重宝されるだろ? その分値が高くても買って貰える」
 へぇ、と朔は頷きながら手元の土から覗く白い色へと視線を落とした。
(……あ、虫だ)
 ちょこちょこと土の上を歩く、テントウムシを見付けた朔。頑張れよー、と聞こえたランベルトの声が遠のいて行く。
 その声に片手を上げて応える朔の視線は、テントウムシへと向かっていた。

◆貴婦人の指
 土から根本までを綺麗に掘り出した白アスパラへ、アルフォンス・サインツは慎重にハサミを入れる。
 採れたものを恭しく籠へ下ろし、アルフォンスは息を吐いた。
(貴婦人の指を扱う様に……優しく……)
 そっと土を退かし、傷や汚れを残さない様丁寧に、アルフォンスは神経を尖らせていた。
 白アスパラは緑の物よりも育成に手間が掛かると聞いている。その分値も張るし、春を告げる野菜として「春の女王」と呼ばれる事もあるそうだ。
(女王様に失礼な振る舞いは出来ない。慎重に、丁寧に……)
 パチン、と根元から切り離し、収穫するアルフォンスは、ふと見た隣にいるディルク・ベルヴァルドの口元から伸びる白い色へ気付いた。
 もぐもぐ、と白アスパラを咥えているディルク。彼は白アスパラを食べながら、文字通り黙々と、収穫作業を熟していた。
「……おい、ディルク?」
「ん……?」
 ひょこ、と口元の白アスパラを動かしながら、ディルクがアルフォンスへと顔を向けた。
 彼の口元で動く白アスパラ。ウサギがセロリを食べる様に、ディルクは咥えた白アスパラを短くしていく。
 アルフォンスはディルクの咥えた白アスパラを示し、自身の口元へ指を向けた。
 何故今アスパラを食べているのか、と問う様なアルフォンスの仕草に、ディルクは咥えた白アスパラを片手で持つ。
「……うん、おいしい、よ……? 食べる?」
「えっ」
 はい、と収穫したばかりの白アスパラをディルクから向けられ、アルフォンスは困惑に目を瞬かせた。
 片手で持った食べ掛けの白アスパラを齧り、ディルクはアルフォンスへと向けた白アスパラを揺らす。
「採れたてじゃ、ないと……生は、ダメ……だから……」
 小腹を満たすのに良いというディルクから、アルフォンスは白アスパラを受け取る。
 ディルクと手元の白アスパラを見比べつつ、アルフォンスは口を開けた。
「皮……剥いて、ね」
「は、アッ? 皮!?」
 噛んだそれは予想よりも硬く、確かに皮を纏っている様だった。歯形の残る白アスパラを見詰め、アルフォンスは片眉を上げる。
 こうだよ、とディルクが口元で白アスパラの皮剥ぎジェスチャーをして見せた。
 それを真似、アルフォンスは皮を剥いだ白アスパラへ再び口を開けた。
 先程よりも幾分柔らかく、それでいて瑞々しい歯応えを感じる。
 成程これは、とアルフォンスは齧った白アスパラへと視線を向けた。
「旨いな。この歯応えは生でないと味わえないのか」
「うん……。こういう機会も、そう……ないし……。一本、くらい……生で、食べないと……ね……」
 バーベキュー楽しみ、と零すディルクは、もぐもぐと口を動かしながら収穫した白アスパラの籠を手にした。

◆ばーべきゅーいえーい!
「僕ね、実家が喫茶店で、お店に出す野菜も作っていたから、こういうの得意なんだYO!」
 ニコニコと機嫌良く、シルフィ・レオンハートが収穫されたばかりの白アスパラを仕分けていた。
 彼女の隣にいる比良賀ソラも、うんうん、と首を縦に振る。
「アスパラを食べるだけの簡単なお仕事では無かった……けど! 滅多に出来ない体験だから写真撮ろっと!」
 ソラはシルフィへカメラを向け、パシャパシャ、とシャッターを切る。いえーい、ピースピース、と二人は至極楽しそうに仕分け風景を写真へ撮り、作業を手伝った。
「ラン先生の奢り、じゃなかった……。ラン先生からのご褒美目当てに、バーベキューを豪華なものへしなくては!」
 主に肉! と力強く言うソラ。大きく頷くシルフィ。
 そこへ、収穫を終えた皆と共に、ランベルトの顔が覗いた。
「俺が何だって?」
 キラキラとした期待に満ちる二人の眼差しがランベルトへと向けられる。
「がんばったらやきにきゅ食べれるんだよNE! ランベルト先生の奢りで!」
「ラン先生の奢りで!」
 がんばろう! おー! と意気込むソラとシルフィに、ランベルトは眉尻を下げた顔で笑っている。

 収穫作業も仕分け作業も、その後の片付けも恙なく終えた皆。
 シルフィとソラからの懇願に、ランベルトはバーベキュー用の材料を買い足した。主に肉を。大量の肉を。
「マシュマロは?」
 ランベルトの調達してきた物を覗き込みながら、朔が声を上げる。
 あるぞ、と取り出された袋には、白くて大きなマシュマロがギュウギュウと詰められていた。
 満足気にランベルトからマシュマロの入った袋を受け取る朔。
 手際よくバーベキューの準備をするソラは、網の上に切り分けた素材を乗せていく。
「アスパラ使った郷土料理とかあるんですか? ラン先生」
 コロコロと網の上の白アスパラを転がし、焼き目を確かめるソラ。彼女の言葉にランベルトは「焼いて食えばよくね?」と返した。
「いやいや……。日本でも春に食べるタケノコは炊き込みご飯にしたり、天ぷらにしたり、お吸い物に入れたりするんですよ?」
 そう言うソラにランベルトは焼けたアスパラを摘み、口に入れる。
「もぐむぐ、しらべひゃなんかあんじゃにぇえあぬ」
「なんて??」
 皿に焼けた肉とアスパラを取るソラは、その皿をシルフィへと手渡しながらランベルトへ眉を顰めた。
 ラム肉を頬張るディルク。はぁー、と満足気に息を吐いた彼は、ソラと交代して網の上に素材を乗せていく。
 焼き色の付いた白アスパラをアルフォンスの持つ皿へ乗せた。
「最初は……なにも付けない、のが、お勧め……」
「……あぁ。苦労が報われる味だ」
 アスパラを食べながらしみじみと零すアルフォンス。頷くディルクは網の上の焼き加減を確かめていた。

 バーベキュー用の網の上には、白アスパラの他にもジャガイモのホイル焼きや肉等が並んでいた。食欲を誘う香りが辺りに漂っている。
(チーズが乗ってないけど、これはこれで……うん)
 ジャガイモのホイル焼きを頬張りながら、朔は網に並ぶ白アスパラへと視線を動かす。
(アスパラも焼くんだな)
 どんな味だろう、と朔は網にある白アスパラを摘んだ。皿にはジャガイモのホイル焼きが乗っている。まぁいいか、と白アスパラをホイルの上に取った。
 僅かにバターが絡む白アスパラ。頬張ったソレは柔らかく、ジャガイモと同じ様にほくほくとしていた。
(同じだ。味はちょっと違うけど)
 好きな食べ物の食感に似ている。そう思う朔は、もう一つ網から白アスパラを皿へと移した。
 あむ、と大きく口を開けたシルフィは、大きな肉を頬張っていた。
 美味しい、美味しい、と満足気に笑みながら思う彼女は、ふと、隣のソラへ視線を向けた。ソラは肉と共に白アスパラを口へと運んでいる。
(ぴぃ……。ソラはアスパラさんも食べてるNE……。僕はちょっと、苦手……なんだよNE……)
 ソラが取り分けてくれたシルフィの皿の上には、勿論白アスパラも盛られている。
 シルフィは白アスパラを、ちょいちょい、と突き、窺う様にソラを見た。
 次いで、傍にいる朔へと視線を動かす。朔もまた、白アスパラを頬張っていた。
(野菜さんも食べないとダメだNE……! よし、食べるYO!)
 意を決して大きな口を開けたシルフィ。あむっ、と白アスパラを頬張る彼女は、口の中に広がる甘さを感じ、目を丸くした。
「甘くて美味しいYO!」
 そう言ったシルフィにソラは「美味しいよねー」と笑む。
 マシュマロ焼いていい? と袋からマシュマロを取り出す朔。ソラもシルフィも機嫌よく朔へ頷き、三人はそれぞれに大きなマシュマロを焼き、育てる。
「野菜さんも美味しいし、おにきゅも勿論美味しいし! マシュマロ焼けるの楽しみだNE!」
 シルフィの言葉に「どれも美味しいね」と応えるソラ。
「皆でバーベキューして、皆で食べるから美味しいのかNA?」
 はむ、と焼けたマシュマロを頬張るシルフィ。彼女の言葉に「そうだね!」とソラは同意を示す。
 そうか、と朔は焼けたマシュマロを食べながら思う。
(皆で食べるから美味しいのか……)
 言葉なく頷く朔は、美味しさの理由に得心が行った。



 9

参加者

b.…中腰…きついな…
アルフォンス・サインツ(pa0087)
♂ 24歳 弾忍
z.……んと……
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)
♂ 23歳 乗知
c.ソラー!ランベルトせんせーにおにきゅを奢らせるんだYO!(じゅるり
シルフィ・レオンハート(pa0829)
♀ 22歳 英探
c.いぇーい!にくー!!にく!あ、アスパラも好きです!温玉を乗せて、こう…
比良賀ソラ(pa1234)
♀ 20歳 忍知
b.やあ、よろしく。
色原朔(pa2372)
♀ 18歳 英超
 心躍る言葉。それはシュパーゲル!
ランベルト・ロッシュ(pz0036)
♂ 33歳