流星に想う、水に語る

担当九里原十三里
タイプイベント 日常
舞台Celticflute
難度易しい
SLvC(紛争地域、島内)
オプ
出発2019/07/04
結果大成功
MDP真純清輝(pa0904)
準MDPヤスミナ・リベラ(pa0422)
マクシム・ヴェッカー(pa0436)

オープニング

◆夜露と星と
 談話室に通りかかった学生達が見たのは、3期生・吉原柚花(よしわらゆはな)が誰かを探す姿だった。
 その手には何故か、油性のマジックがあった。

「あれぇ……? さっきまでここで寝てたはずなのにー」
「柚花、どうしたの?」

登場キャラ

リプレイ


 ニール山の頂から流れ落ちる清水は、幾つもの支流を作って麓へと下ってゆく。
 激しい流れに身を打たれながら、澤渡龍兵は1人、ローゼンナハトの1人として関わってきた戦いに思いを馳せていた。
(これからも……あんなイクサは続くのだろうか)
 昼間の暑さはなく、森の中はひんやりとして静かだ。
 周囲には虫の音と、流れ落ちる水の音だけが響いていた。
(このところ、あいつらとの戦いは激しさを増しているように感じられるな)
 秘密結社・ダブルオー。
 かの組織の全容は未だ不明であり、得体のしれぬ敵である。
(かつて組織を裏切ったイーレンや……恐らくはフランダル)
 滝の上を見上げながら、龍兵は彼らの顔を思い出す。
 木々の合間から時折、流星群からこぼれたような星屑が尾を引いて流れていくのが見えた。
(そして……機能を強化されたコネクター、あるいは、最近は大きな動きを見せてないウェイカーと新月部隊……)
 正直言って、今の俺たちに勝ち目はあるだろうか。
 今の自分には未だ見えない。
 龍兵は流れる水に背を向け、大きく息を吸った。
 眼の前にはかつての火山活動の際に山の上から転げ落ちてきたと思しき大きな岩があった。
(これからの自分が対峙しなければならないのは恐らく……俺より強い相手だ)
 拳を握りしめ、下腹部に力を込める。
 そして、上体をひねって拳を引くと、龍兵は目の前の大岩に向かって思い切り蹴り出した。
(いや……相手が強いからといって、勝ち目がないとも限らないか)
 丁度良い場所に蹴りが入り、巧く力が加わったのだろうか。
 大岩は轟音を立て、龍兵の眼の前で粉々に砕け散っていた。

「前はみんなで来たけど、今日は二人きりだな」
 オリバー・カートライトは夜空を見上げながら、中藤冴香にそう声をかけた。
 鍋を温めていた冴香が顔を上げ、「そうですね」と頷いた。
 2人はグランピングの用意を整え、食事を楽しんだ。
 一息ついて、いよいよこれから流星群を楽しもう――そろそろそんな時間だった。
「流星、そろそろかもしれませんね。テントに入りましょうか。方角、あっちですよ」
 冴香は星座早見盤を手に、オリバーに空を指さして見せた。
 今回の流星がやってくる「うしかい座」の方角を見ると、既にぽつぽつと星が流れ始めていた。
「寝転んでもよく見えそうだな。なぁ、冴もここに来いよ」
 オリバーは入り口を大きく開口したテントのグラウンドシートの上で横になると、そう言って冴香を手招きした。
 それを見た冴香は「はい」と微笑み、オリバーにスープの器を手渡した。
「ここは寒いからきっと美味しいですよ。熱いから気をつけてくださいね」
「ありがとう、冴香。ところで今夜は……」
 オリバーは身体を起こし、器で手を温めながら冴香に微笑みかけた。
「それ、素顔なんだな」
 MNで変装していない本来の冴の顔だ――。
 そうオリバーに言われ、冴香は頷いた。
「周りに、ほかに誰もいませんから。他の人が登ってきたらいつものお化粧にしますけど」
「そうか……じゃあ、暫くはそのままでいてくれるんだな」
 スープを飲み干し、オリバーはほっと一息ついた。
 そして再び横になると、思いついたように冴香に言った。
「真上、すごい飛んでるぞ。冴香も横になったほうがいい」
「そうですね。空が大きく見えそうです」
「……ついでに腕枕いらないか?」
 顔を赤くしながら、オリバーは腕を差し出す。
 冴香はオリバーの隣に寝転んで身を寄せると、星座早見盤を空に翳しながら空を見上げた。
「北極星(ポラリス)がこぐま座の尾の先、その頭の上が北斗七星。その柄の先にうしかい座です。あの星が、うしかいの腕の先です。北斗七星に触れそうになってるでしょう?」
「なるほど。確かにそっちからいっぱい流れてるみたいに見えるな。綺麗だな……」
 オリバーはため息混じりに呟く。
 空には星明りだけがある。
 キャンプの灯を消すと、それを邪魔するものはなにもない。
 星明りが寝転んで見上げる2人の真上から、一気に迫ってくるように見えた。
「なあ、冴香」
「なんでしょう?」
「流星に、冴香はどんなことを祈るんだ?」
「そうですね……」
 流れ星に何を祈るのか。
 そう聞かれた冴香は少し黙って考えた。
「願い事をするとしたら……平穏に過ごせますように、でしょうか。オリバーさんは?
「俺は……俺は任務で怪我しないように、かな」
 そして、もう一つは――。
 夜空を流れる星を見ながら、オリバーは2つ目の願いを口に出そうとしてやめた。
(いや、これは星に願うことじゃないな……これだけは自分で叶えないと)
 愛する冴香のこれからの時間を、俺に欲しい……なんて。
 それはここでは口に出さないでおこう。
 オリバーはそう思った。
「あとは……成功するように……なんて祈るのは、いいかな」
「? 何がですか?」
「いや……2つ目はあれだ! 冴香のアイドル姿を見たい!」
「ふふ。本当に?」
 冴香が笑い、オリバーもそれに合わせて笑う。
 そうするうちに、山の上には風が吹き始めた。
「寒くなってきたし、冴香、ここ、閉めようか?」
 オリバーが身体を起こし、巻き上げたテントのフライシートを下ろす。
 キャンプならそろそろ寝てもいい時間だった。
「なぁ、冴香」
「はい」
「その……今日は、一緒に寝ても……いいよな? あ……もちろん……何もしないから!」
 何もしない。
 だけど、ぎゅっと抱きしめたりくらいはいいよな?
 オリバーはそう言った。
 それから今夜は、改めてその想いを流れ星に誓うのだ――。
「冴、愛してるよ」

 流星が流れる少し前、推嵩サスウはニール山の山頂を目指して登り始めていた。
 山頂に登ればきっと、星が綺麗に見えるだろうとわくわくしながら――。
「俺、20年生きてきて、未だに流れ星ってリアルタイムで見た事ないんだ」
 サスウの斜め前を歩くリアム・イチカワがそんな事を口にした。
 自分が暮らしていたのは都会だから、と。
「都会は灯りが多くて明るいから、星もあまり良く見えないしな」
 ここはすごいな、とリアムは呟き、歩きながら空を見上げる。
 山道が上へと進み、市街地から遠ざかるほどに、夜空は明るく、見える星は多くなった。
「すごいな、星を巡る旅、というところか」
 先を歩くリアムを追って山道を進みながら、サスウそう口にした。
「リアム、暗いから気をつけるんだぞ? 何かあったら受け止めてやるから」
 からかいながらも、サスウはリアムに近づきすぎないようにしていた。
 かといって、距離をとって離れてしまうわけではないけれど――。
「もう既に十分綺麗だな……」
 歩きながら、サスウは声を上げる。
 星を目印に進んでいけば、きっとたどり着くだろう。
 山頂まではもう少し距離がある。
(……まるで軍時代の行進のようだとかは思ってはいけないな)
 もっととりとめのない話がいい。
 サスウはそう思いながら、リアムに声をかける。
「そういえば前に、ちょっとした悪戯をしてな」
「えっ? サスウ、何したんだ?」
「結局……失敗したんだが、それはそれで楽しかった。実は――」
 いろいろな話をしながら、頂上を目指す。
 それがきっと私達らしいのだ、とサスウは思った。
「すごい……やっぱり、山頂は違うな。すごく綺麗だぞ、リアム」
 そう言いながら、サスウは思わず胸のペンダントを握りしめていた。
 頭上に迫るのは一面の星だ。
「あそこに、あの人もいるんだろうか」
 今はもう「いない」姉は――。
 サスウはそう呟いて、口を噤んだ。
「……そうだな、空から見た地上も、灯りが煌めいていてさぞ綺麗だろう」
 空の星も、地上の星――夜景を見ているのかもしれない。
 リアムはそう言って、サスウと同じ空を見上げた。
「流れ星っていうと、願い事かけるのが定番だよな。少なくとも俺が成長した日本ではそうだった」
 俺も願ってみようかな、とリアムは言った。
「に、苦手な講義の単位が無事にとれますように……いやけっこう切実だぞこれ」
「でも、叶えばいいな」
 そう言って、サスウはほんの一瞬――リアムに手を重ねた。
 そしてまた、そっと離れた。
(あとは……そうだな)
 心の中でこっそりと、リアムは願った。
(サスウみたいな……それなりの距離にいても気楽に話せるような女友達がもっとできますように)
 彼女には本当に感謝してる。
 言えないけども! ――そう、リアムは思っていた。
「リアム、互いに目指すものが見つかればいいな」
 サスウはそう、リアムに言った。
「いや、きっと見つかるだろう」
 今日の星はどうして一段と綺麗なのか。
 それは多分、隣にリアムが居るからだ。
 満天の星空を見上げながら、サスウはそう感じていた。

「わあ、星空、綺麗デス……!」
 推裾スエラが空を見上げる。
 市街地から離れると、星空は空を埋め尽し、こちらに迫ってくるように見えた。
 セルティックフルート島の海岸には、街の明かりに邪魔されずに星を見られる最高の環境が整っていた。
「波の音を聴きながら星空を見るのも素敵デスネ」
「そうですね。こうして海辺で……水辺で星を見るのはいいですね」
 アシュレイ・ローウェルがスエラの隣を歩きながらそう言って頷く。
 ふと顔を上げると、グリッターを撒き散らしたような星々の中を、一筋の光が尾を引いて流れていった。
「流れましたね、今。スエラさん、見ましたか?」
「ハイ! 私も見まシタ!」
 アシュレイの指差す先を見て、スエラが声を弾ませる。
 二人一緒に星空を見ながら、それを綺麗だと思えるのは、きっと相手がアシュレイだからだ――スエラは心からそう思っていた。
「アシュレイさん、水面に星が写っていますヨ! 空からも海からも……本当に綺麗デス」
「そうですね。あっ、また流れましたね。流星群……始まったみたいですね」
 1つ、2つ、とアシュレイが流れる星を数える。
 その横顔を見ながらスエラは微笑む。
(こうして綺麗な風景を一緒に楽しめるなんテ、なんて素敵な日なんでショウ)
 静かな海面に、星が走る。
 凪の海は波立つことなく、静かに空を流れる星を映している。
「そうだ、流れ星には願い事ですネ! 何を願いましょうカ……?」
 スエラが思い出したように言った。
 そうですね、とアシュレイが頷く。
「これだけ流れていれば、願い事とかは、し放題ですね」
「急がずにお願いできますネ。私の願い事ハ……」
 スエラは目を閉じ、星に願う。
 隣りにいるアシュレイには聞こえないように、心の中で――。
(アシュレイさんとこれからもずっと一緒に居られますようニ……)
 スエラと並んで波打ち際に立ち、アシュレイは故郷の子どもたちを思っていた。
 しばらく里帰りはしていない。
 彼らは今、どうしているだろうか――と。
(故郷の子供達が元気で過ごせますように……あとは)
 アシュレイは一生懸命願い事をしているスエラを見て、そっと微笑んだ。
(この素敵な友人と、これからも一緒に過ごせるように)
 空を流れる星は、夜半に向けてその数を増しているように見えた。
 これからがきっと本番なのだろう。
「随分、一生懸命お願いしていましたね」
 アシュレイがスエラに問いかける。
「スエラさんは何を願ったのですか?」
「もちろん、これからもアシュレイさんと一緒にいられるようにト……え、あ! あのっ……!」
 勢いあまってそれを口にしてしまったスエラは真っ赤になった。
 それを聞いて暫くぽかんとしていたアシュレイだったが、やがて「素敵ですね」と微笑んだ。
「僕も、スエラさんと一緒にいられますようにって、お願いしましたよ。2人共、同じことを願っていたんですね」
「ほ、本当でしょうカ……」
 はい、とアシュレイが頷く。
 それを見て、スエラはますます顔を赤くした。
「あ、あの、アシュレイさん、これからも一緒に過ごして下さいネ……よろしくお願いしマス……」
 ワタシ、この思い出、忘れまセン。
 そう、スエラははにかむように笑顔を浮かべたのだった。

「今日はうしかい座流星群が見られるって聞いたんですけど……流星雨と違ってポツポツしか降ってこないんですね」
 海辺を歩きながら、リラ・ミルンは夜空を流れる星を数えていた。
 1分間に幾つか。
 空を埋めるような星の間を、星屑は流れてはまた静まる。
 星が絶え間なく降るような、とはいかないけれど。
 そう、リラは言った。
「それでも、たくさんの流れ星が見えますねっ。ねぇ、イーノク君?」
「そうだな。俺も……こうやってゆっくり見るのは久しぶりだな、流星群」
 幼いころに何度か体験したくらいか――イーノク・オルティスはリラと並んでのんびりと海辺を歩きながら、そう思っていた。
 以前に怪我してからは見るような余裕がなかった。
 それに今も、あまり星空なんか見ないしな、と。
「海に星が落ちていくみたい……綺麗ですね。海と空の境目って見えますか?」
 ほら、すごいですよ! とリラは声を上げる。
 遠い水平線で夜空はまっすぐに途切れ、そこから線対称になるように、海に星空が映っている。
 天の川がまるで、水平線から沸き立っているような。
 セルティックフルートの海には、そんな美しい光景が広がっていた。
「ねぇ、イーノク君は、流れ星にお願いしたりしないんですか?」
「願い事? 例えば?」
「私は……家族に会いたいとか、きみともっと仲良くなれたらとか?」
「俺は流れ星に願い事は、今はあまりしないな。する暇あったら練習したいし」
 大体、努力すれば目標辺りまで行けるとは思ってるし――。
 イーノクがそう口にすると、リラはそうではないのだ、と首を振った。
「違うんです、イーノク君っ! こういうのは気分ですよっ!」
「気分?」
「そうですっ! 自分の叶えたい願いを、口に出して再確認するんです」
 本当に叶えたい願いなら、星に頼らずに努力する。
 でも叶った時に「もしかしたら星のお陰かも」なんて思ったら――そう、リラは言った。
「そうしたら、ロマンチックじゃありません? だから、私はお願い事をするんですよ。叶えたいって強く信じるために」
「再確認……か」
 イーノクはそう言って空を見上げた。
 夜空を流れる星は、さっきより増えたように見えた。
 今夜は色んな場所で、大勢の人が空を見上げている。
 たくさんの流れ星が飛ぶのだ。
 せっかくの機会である。
 きっと、壮大な願い事をする人もいるのだろう。
 だが――。
「願うとしたら、些細なことだよ」
 イーノクはただ、そう口にした。
 今の日々を、失いませんように――。
 ただ一つ胸に浮かんだその願いは、言葉にはせずに、ただ胸の中に留めておいた。


「オーレリー先生、夜分にすみませんね」
 ノックの音が聞こえ、マクシム・ヴェッカーが顔を出す。
 オーレリーは「よぉ、どした?」と顔を上げた。
「もしかして、憲永に用だったか?」
「ええ、こっちに来てませんか? おや、ゾフィ先生もこんばんは」
「張か? 来てないぞ」
 そう言いながらゾフィは椅子を引き、「まぁ、座れ」とマクシムを手招きする。
 マクシムは「そうですか」と言いながら部屋に入った。
「どこにいるか、心当たりがあれば教えていただけると嬉しいのですが」
「憲永、この時間は多分ランニングだと思うんだけど……もしかしたら、ダム湖かな」
 授業の潜水訓練とかで使うとこ、とオーレリーは言った。
 時々、憲永は涼みがてらに泳いで帰ってくることがあるらしい。
「まあ、急ぐものではありません……お話に加わっても?」
 そう言いながら、マクシムはテーブルの上に目を遣った。
 ガラスの器の中で、2匹のベタがヒレを揺らしながらこちらを見ていた。
「ベタですか……私も十代のころ飼っていたことがありますよ。『蒼い焔』のようなショーベタでした」
「ショーベタか。綺麗だよな、あれ」
 ゾフィはそう言いながらルイボスティーを注ぐ。
 グラスを受け取りながら、マクシムは「ですが」と口にした。
「水槽の温度調整器が故障したせいで、うっかり死なせてしまいましてね」
「イギリスの冬は寒いからなぁ。この島なら、1年中常温で平気だぜ?」
 俺、ヒーター使ったことないし。
 オーレリーがそう言うと、マクシムは「いえ」と首を振った。
「それ以来、鑑賞魚は飼わないことにしていますので」
 そう言って、マクシムは青い方のベタが入った器を引き寄せた。
 青い魚は水藻の中で静かにしている。
 だがライバルと対面するや、すぐさま「闘魚」の顔を見せるだろう。
「ベタは、本能行動の研究に使われることで有名ですね……本能とは何なのでしょうね」
 人間の本能、衝動、生存戦略。
 そんな言葉を口にしながら、マクシムは器の中の魚を見つめる。
「探求心に限界はない……か」
 オーレリーが不意に、そんな事を口にした。
「そうやってるお前さん見てると、そのうちすげえこと成し遂げそうに見えるぜ。今の科学に不可能な何か、そういうの?」
「いえ……野暮なことを失礼しました」
 釈迦に説法ですよね。
 そう言ってマクシムは席を立った。
「では、張先生を拾いに行きますね。お邪魔しました」
 外に出ると、マクシムの頭上を青い大きな流星が抜けていった。
 一瞬、燃え上がるように強く煌めいて消えていったそれは、一匹の青い魚のようにも見えた。


(今のはでかかったな……火球というやつか)
 青い尾を引くその星を、イリヤ・ヴォエヴォーダはプレジャーボートの上で見ていた。
 足元の水面から顔を出したガロが「すごかったね」とイリヤに声をかけた。
「船、出してくれてありがとね、イリヤ。おかげで快適だよ」
「……ルイにせがまれてな」
 そう、イリヤは少しそっけなく返した。
「一応、必要な設備は一式揃っている。海遊びの拠点にするといいだろう。冷蔵庫には飲み物もあるから、好きに遊ぶといい」
「本当かい? じゃあ、僕も後でいただこうかな」
 そう言ってギャレーの中を覗き込む色原朔は水着姿だ。
 だが、ガロ達のように泳ぐ気はないらしい。
「イリヤさん、僕もアイスティーとサンドイッチを冷蔵庫に入れさせてもらっていいです?」
 あまり重くないのを、と買ってきたテイクアウトの袋を持って船内を歩くシメオン・ダヤンの肩の上には、水着を着た鼠ドロイドの「むーた」がちょこんと乗っていた。
 むーたに水着を着せたと思われるシメオンも男物の水着にパーカーという姿なのだが……彼らは一緒に泳ぐ気なのだろうか?
「シメオン、それむーたっていうのかい。可愛いね」
 こっち向いて、と朔がAiフォンのカメラを向ける。
 そうですー、と言いながら冷蔵庫のドアを開けるシメオンの向こうではライリー・ホワイトが不思議そうな顔でむーたを見ていた。
「……ネズミ? あれ、ドロイドですか?」
 ドロイドに水着……? とライリーは首をかしげる。
 すると、朔が今度はライリーにカメラを向けた。
「ライリーは以前とは違う水着だね?」
「あ、はい。朔様と同じでわたしも泳ぐ気はないんですけど……落ちたら、制服のままだと危ないので」
「せっかくだから撮らせてよ。そこに立って」
 さすがだな、見習わなくちゃいけない、と口にする朔に対し、ライリーはちょっと恥ずかしそうな表情を浮かべた。
 だが、友人たちに囲まれ、リラックスしているようだ。
(男で女性用水着を着ていても、気にしない人が多いのがこの学校のいい所ですね……)
 ライリーはそう思いながら、船の外を見た。
 自分と同じような女物の……いやもっと思い切ったデザインの紐ビキニを着たルイ・ラルカンジュがフラミンゴ浮き輪に身を委ね、気持ちよさそうに泳いでいたのだ。
「ガロ君、この背中はどうしたのかなぁ? 赤くなっちゃってますよ―♪」
「やめてよルイー。そこ、日焼けしてまだ治ってないんだからツンツンしちゃだめー」
「ふふっ。ほら、船から離れてはダメですよ、ガロ君? 流されちゃいます♪」
「うわー、捕まったー!」
 ガロをからかって遊ぶルイと、「離して―」と言いながらケラケラ笑っているガロ。
 はしゃいだ声を上げる2人の頭上には大きな天の川があった。
「海で流星観測とか……ロマンチックでいいですね。あれ、イリヤは泳がないの?」
 ルイが声をかけると、「俺はいい」という返事が聞こえた。
 相変わらずですね、とルイは笑う。
 イリヤが船の明かりを落としているため、仲間を見失わないための明かり以外、周囲はほとんど星明りだけになっている。
「なんだかこうしていると……空に吸い込まれちゃそうです」
 星空に飛び込むみたい。
 そう、ルイは言った。
「あ、また流れた。綺麗ですね……こうしてると、日々の煩わしいこととか、嫌なこととか、全部忘れられそう」
「ルイ、そんなのなさそうなのに」
 ガロにそう言われ、そんな事ありませんよ、とルイは返した。
「僕だって人並みに悩みだってありますよ?」
 浮き輪に身を委ね、水面に足を投げ出しながらルイは空を眺める。
 大きな天の川が水面に映り込み、まるで宇宙空間に投げ出されたような――そんな幻想に囚われそうな夜だった。
「ふふっ……この宝の山のように永遠に輝き続けたいの! なんてね♪」
 ルイが大きく腕を広げ、そんな事を口にする。
 すると幾つもの流星が一気に空を横切り、「すごいね」とガロが声を上げた。
「ねぇ、ところでルイの悩みって何?」
「それは、アレです。永遠の美しさと一瞬の煌めき、どっちも欲しいなっていう、僕の我儘とかね♪」
 そんな話をして笑い合う仲間から1人離れ、イリヤは船尾に立ち、夜空を見上げていた。
 船は静かに揺れ、足元からは優しい波の音が聞こえてきた。
(綺麗なものだな)
 そう、イリヤは思った。
(こうして、のどかな日々を送ることができるのも、何かの導きなのだろうな)
 或いは――嵐の前の静けさ、か。
 ついそんな考えに囚われそうなイリヤの頭上を、星が静かに駆けていく。
(……あまり考えすぎても、身体に毒か……星空の美しさに意味を求めても、何の勉強になるわけでもないしな)
 綺麗なものはただ、綺麗なだけでいいのだ。
 意味など求めても仕方がないのだ、というように――セルティックフルートの夜空はただ雄大で美しい姿を主張し、イリヤの頭上に在った。
「一般に言われている予測より、多分今夜はたくさん飛んでるです」
 シメオンは空を見上げながら、そんな事を言った。
 うしかい座流星について、来る前にいろいろ調べてきたらしい。
(でも、解説はきっと見終えてからの方がいいです。百聞は一見に如かず……それに、知ってしまうと見えなくなってしまうものも、きっとあると思うです)
 今はまだ、こうしてただ空を見上げていればいい――。
 むーたを撫でながら、シメオンは一緒に空を眺める友人たちの方を見た。
 朔は空を見て、「願い事をしよう」と口にした。
「何を願おうかな……そうだな」
 まだ出会っていない、『僕を見つけてくれる誰か』。
 目を閉じて、朔はそんな事を思い浮かべていた。
(不思議だな、どうしてだろう)
 そう、朔は思った。
(ここでの出会いは少しずつ僕が何者か教えてくれて、その毎日が楽しいのに。なんだってそんな願いが浮かぶのだろう)
 朔の傍らに立つライリーが、「綺麗な星空ですね」と改めて口にした。
 昔は、空を見て綺麗だなんて、そんな余裕はなかった。
 でも今は、こうして友人たちとゆっくり過ごすことができる。
 ライリーにはそれが嬉しかった。
「シメオン様、朔様、今晩はどうもありがとうございました」
 また、一緒しましょうね、とライリーが朔とシメオンに声をかける。
 今夜は一緒に星を見られて、たくさん話しができて、楽しかった――と。
 すると、シメオンが「じゃあ」と言ってライリーを自分の方に呼んだ。
「記念撮影、するです? 普通のカメラでは星を綺麗に映すの難しいです。けど、想い出にはきっと綺麗に残るのです。朔さんもこっち来るです」
「いいね! 3人寄って自撮り撮ろうか? ライリー、もう少しシメオンに近づいて」
「はい。これで、大丈夫ですか?」
「ライリーそのまま! シメオン、むーたの顔こっち向けて」
「はーい。むーた、朔さんのAiフォン見るですよ」
「あ、いいかも! じゃあ、いくよー?」
 綺麗な星空と海をバックに。
 3人はその思い出を1枚に収めたのだった。

「お星様綺麗だね! こんなに沢山あると数え切れないよ!」
 栄相セイスは海辺で空を見上げ、声を上げた。
 その隣で、姉の栄相サイスが「そうだね」と頷く。
「それから……流星群。セイス、見て……また流れた」
 指差す先で、星がまた1つ流れていく。
 遠い「うしかい座」の方角から、星屑が流れては消えていく。
 静かな波音が心地よく響いている。
 周囲には姉妹の姿以外なく、どこまでも静かな夜だった。
「綺麗だね……」
 サイスが空を見上げ、呟く。
 そして指先で、流れる星の軌道をなぞった。
「沢山のお星様は、何処へ向かおうとしているんだろう……」
「サイス、見て! 海にもお星様が映っているよ!」
 セイスがそう言って、波打ち際に走った。
 周囲に街灯はない。
 だがそれでも、海が明るく見えるほど、美しい星空だった。
「天からも地からも降り注ぐお星様……すごいね」
 2人は言葉を失い、並んで空と海を見ていた。
 目に映る輝きは、まるで奇跡のような美しさだ。
 その驚きに、胸が高鳴る――。
「今日は、お星様達は何を話しているんだろうね」
 セイスがふと、そう口を開いた。
 夜空で、星たちも会話しているのかもしれない、と。
「皆の願いを叶えようとか考えているのかな?」
「そうだね、お星様はこれでさようならになってしまうけれど……」
「お別れ……そうだね。流れ星は……お星様が消える時に起きることだから。そう考えると、寂しいね」
「うん……だけど、そうやって消えてしまうから、最後の願いを叶えてくれるんじゃないかな。今までありがとう、って」
「そうか。だったら、すごい存在だね、お星様って」
 寂しいけれど。
 その力でお願い事を叶えてしまうなんて、なんてすごい存在だろう――2人はそう思いながら、流れる星を見ていた。
「さあ、お願い事しようか、サイス」
「そうだねセイス……流星群が終わらないうちに」
 夜空を見上げながら、姉妹は願った。
 自分達、そして大切な仲間のために――。
(皆のお願い事が叶いますように)
(皆のお願い事が叶いますように)
(皆が怪我無く元気で素敵な毎日を過ごしますように)
(推理や捜査、隠密の目で皆の力になれますように)
(サイスと、いつか離れても心は傍にありますように)
(セイスと離れるときが来ても、心だけは傍にいますように)
 流星は音もなく、空を流れていく。
 星空は静かに、2人の願いを聞いている。
「お願いごと、きっと皆のも叶うよね!」
「そうだね……きっと皆、お願い事叶うよね。こんなに綺麗なお星様達なんだから」
「サイス、もう帰る?」
「ううん、もう少し……ここにいたいな」
「そうだね。もう少し楽しんでいこうか」
 手を繋いで、この流星群の夜を。
 流れる星を数えながら、姉妹は静かなセルティックフルートの波打ち際を歩いていった。


 誰かと話すの声が遠ざかり、湖畔に揺らいでいた蝋燭の明かりが消えた。
 その対岸に、新たな明かりが1つ、灯っていた。

「ここなら2人きりで過ごせるね、すずきさん!」
 神崎真比呂は2人用のフロートマットを敷く。
 そして、真純清輝をそこへ手招きした。
「いい? 明かり消すよ?」
「ちょっと待ってまっぴー、アイス……うん、いいよ」
「はーい、じゃあ消しまーす♪」
 真比呂はLEDランタンの明かりを落とし、上を見上げる。
 そして「わぁ……」と声を漏らし、そのまま言葉を失った。
 周囲の木々は黒く沈み、浮かび上がるのは白く広がる天の川と、星座を成す星々――そして時折過ぎてゆく流星。
 森に囲まれた湖畔の真上には、降るような星空が迫っていた。
「夜空と、湖と」
 清輝は言った。
 言葉もないね――と。
「視界の上下が……星の輝きで埋まる……なんて様を見たらさ」
 要するに、来た甲斐はあるってこそさ、と。
 そんな事を口にする清輝に、真比呂がそっと身を寄せた。
「湖にも満天の星……星空に包まれてるみたい……」
 暗さに目が慣れていないままいると、足元すらも暗がりの中に落ちて見える。
 可視化しているのは空と、そしてつま先まで迫る湖の上に映る星明りだけなのだ。
 まるで清輝と2人、星々に抱かれているようだ――真比呂はそんな幻想的な感覚の中にいた。
「こんな感動をすずきさんと分かち合えるなんて、来てよかった」
 2人は暫く、そのまま黙って寄り添い、夜空を見上げた。
 音もなく、小さな星が流れては消える。
 頭上の空に、そして、静かな湖面に。
 その様を、2人は静かに見送った。
「あっ、そうだ! 流星群だもんね?!」 
 ハッと思い出したように、真比呂が言った。
「願い事しなきゃ! えっとえっと、星の数だけすずきさんと幸せになれますように……!」
 一生懸命に祈り始める真比呂。
 そろそろ、極大――最も星が飛ぶ時刻が近づいていた。
「ああ……幸せだなぁ」
 真比呂がそう言ってため息をつく。
 風はない。
 周囲はただ、静かで、2人の声だけが聞こえている。
 空と、湖と、この空間がまるで、2人のためだけにあるかのように――。
「神様は幸せ者が嫌いなんていうけど……ねぇ、すずきさん?」
「ん?」
「今だけは……ああやって、星空や、流れ星が隠してくれてるのかな。だってボク、今こんなに幸せだもん」
 そっと、真比呂が清輝の胸に身を寄せる。
 清輝は真比呂の髪を手で梳きながら、「ねぇまっぴー」と言った。
「流星への願いって、奇跡の連続を期待するものなんだろうね」
「奇跡の……連続?」
「そう。珍しいものをみた幸運が、他にも繋がりますように、って」
 お金持ちになれますように。
 いい暮らしができますように。
 幸せになれますように。
 空を流れる星に、そんな願いをかける者もいるだろう。
「みんな、そうやって願うんだ。流星との出会い自体が、ひとつの幸運なのに」
 ほら、と清輝は空を指差す。
 ひときわ鮮やかに輝き、一筋の光の尾が空を流れていく。
 今の煌めきを、世界の何人が見ていただろう。
「真の価値は……そうだね、何を言いたいかというと」
 真比呂の身体を寄せられた身体を軽く抱き寄せ、清輝は言った。
「そうやって、幸運を求める時点で『幸せはこの手にある』ということだね」
「星空の輝きと一緒に、この幸せをボクの中で永遠にしたいな……」
 永遠に輝いて欲しい宝物は今、自分の中にある。
 今のこの時を、宝の山のように、永遠に輝き続ける思い出に刻んで――。
「ねぇ……すずきさん?」
 真比呂がそっと清輝に唇を寄せる。
 清輝はその頬を撫で、微笑んだ。
(いずれ星にも届くこの世なら……永遠も夢ではないかもね)

「流星群もそうだがこの星空も見事な物だな」
 水辺に立ち、崎森瀧は夜空を見上げる。
 周囲にあるのは星明りだけ――街は遠く、その光はここまで届いていない。
「空の星と海に映った星……上下にあるから星の中に浮いているようだ。スイヤ、そうは思わないか?」
「はい、瀧様。上からも下からも星が降ってきているみたいです」
 集推スイヤはそう言って頷き、暫し口を噤んだ。
 水面に写りこんだ星がさざ波に揺らいではまた鏡のように静まる。
 その上を、長く流星が滑ってゆく――。
「覚えていますか、瀧様?」
「何を?」
「星を、よく目印にしていましたね……進軍の」
 手の届かない夜空の星を、目印にして夜の道を進んだ。
 スイヤがそう言うと、瀧は北を指さした。
 こぐま座の尾の先に、北極星(ポラリス)が輝いている。
「あれと他に……何だったか」
「ポラリスを挟んで反対側がキリン座、こぐま座の頭の向こうにあるのが北斗七星です。今の季節に見える星座は――」
 1つ、2つ。
 星をつないでスイヤの指先が星座を形作る。
 平和にこうして星を見られる今だから。
 スイヤの話してくれるそれを1つ1つ、覚えておきたい――瀧はそう思った。
「あの頃……目印の星は手の届かないものでした」
 でも。
 そう言ってスイヤは瀧の手を握った。
「今はその『目印』は隣に居ますけれど」
 今は隣に居る瀧が目印で、自分の進む道を明るく照らしてくれる。
 そして、それだけじゃなく、自分を支えてくれるものだから。
「だから私も……瀧様も支えたいと思うようになったのです。ねぇ瀧様、私の心境も大分変化しましたよ……瀧様、貴方のせいです。どう責任とってくれるんですか?」
「責任と言うのならずっと側にいて、これからもお前を見守り続けると言うのではだめか?」
 頬を赤らめるスイヤの手を瀧が握り返す。
 責任ではなく、我儘だと瀧は思った。
 これからも変わっていくスイヤを傍で見ていたいという、自分の我儘だと――。
「瀧様、私は……」
 スイヤが瀧の側に寄り、そっと唇を重ねる。
 その肩に腕を回し、瀧はスイヤを抱き寄せた。
「瀧様、星は目印、私は貴方が星だと思っています」
 頬を寄せたまま、スイヤがからかうように瀧に言った。
「どうか見失わないように、傍にいて下さいね」
「私にとってはお前が星だ。いっそ互いに引き合う連星(れんせい)になるか?」
 スイヤの髪をクシャクシャと撫でながら、瀧がそう言って笑う。
 連星、双子星。
 お互いの引力で引き合って軌道を描く星のように、これからも2人は共に在るのだろう。
(半分以上は本気だ……だから)
 やられっぱなしにはならない、と。
 瀧はスイヤを抱き寄せ、星空の下で2度目のキスを交わした。

「夜の海って、まるで闇を溶かし込んだみたいに見えない?」
 ヤスミナ・リベラは夜の海辺に立ち、そんな事を口にした。
 そして、静かな海面を指さした。
「真っ黒で、普段とは全く印象が違って。ちょっと不思議よね」
「そうですね。先輩、今夜は誘いに乗ってくれてありがとうございます」
 隣を歩くアレク・レイヴァがそう言って微笑む。
 そろそろ、今回の流星群で一番星が流れる時間だという。
 2人が歩くその頭上を過ぎていく流星も、始まった頃より見える間隔が短くなっているようだった。
「流星群、素敵ですね。これだけ流れていると、願い事かけ放題な気がします」
「そうね。流れ星に願いをかける国ってけっこうあるんですってね。あたしの国では俗っぽい願い事ばかりだったけど」
 アレクなら何を願うのかしら?
 ヤスミナがそう思っていると、アレクも同じことが気になっていたようだった。
「先輩はどんな願い事をしますか?」
「そうね、あたしなら……」
 そう言うと、ヤスミナは波打ち際へ向かって歩き出した。
 アレクの願いはこうだった。
 ヤスミナ先輩の本当の願い事がかないますように。
 彼女はそれを、あまり口に出したくないようだったから、無理には聞かないでおこうと思った。
(せめて、心の中で思うだけなら)
 そう思いながら、アレクは星明りの中を歩くヤスミナの後をついていく。
 ヤスミナは空をゆく流れ星ではなく、海を見ていた。
 そして大きく息を吸い込み――。

「一番の願い事が叶いますように!」
「って先輩、なに叫んでるんですか!」

 突然、力いっぱい大声を上げたヤスミナに、アレクは驚いていた。
 ヤスミナは振り返り、「だって」と口にした。
「海見ると、青春の怒りみたいなものを叫びたくなるでしょ?」
「え? 青春……なのですか」
「そうよ、青春」
 本当の願いは――ママを無事に見つけられますように。
 その願いを口にすればきっと、アレクに気を遣わせてしまう。
 だから、ヤスミナはただそれを叫んだのだ。
「うん、なんだか叫んだらスッキリしちゃった。アレクも願い事した?」
「はい。俺も……ヤスミナ先輩の願い事も叶うといいですね」
「叶うといいな……っていうか、叶えましょうね」
 私の願い事も、アレクの願い事も。
 晴れやかな顔でそう、ヤスミナは言った。
「青春……か。なるほど、たしかに一理ありますね。じゃあ俺も」
 アレクはそう言うと、何かを思いついたような顔で渚へと踏み出した。
 そして息を吸い込むと、星明りの海原に向かって思い切り――。

「ヤスミナ先輩、すきだーーー!」
「ちょっとアレク……!」
「え? いや、だって青春の叫びっていうから、俺の心の叫びを」

 アレクがそう言って振り返ると、ヤスミナはさっき彼女が叫んだのを見たアレクよりもずっと驚いた顔をしていた。
 
 流星はやがて東の空に暁の光が淡く滲んでくるのにつれて、見えなくなった。
 来年もまた、星は空を流れるだろうか。
 怪盗達はそう思いつつ、流星群の夜を終えたのだった。



 11

参加者

a.すずきさん、あそこで見よ! きっと上も下も素敵な星空が見えるよ!
神崎真比呂(pa0056)
♀ 22歳 刃乗
b.・・・滝に打たれてくか。
澤渡龍兵(pa0190)
♂ 22歳 乗忍
a.願い事ですか…そうですねぇ。ありきたりなことになりそうです。
中藤冴香(pa0319)
♀ 25歳 探魅
a.流れ星に願いを……なーんてっ
リラ・ミルン(pa0389)
♀ 20歳 弾魅
a.海っていうと、やっぱアレよね…
ヤスミナ・リベラ(pa0422)
♀ 23歳 忍魅
a.ガロ君が流されないように、僕が捕まえておこうかな?ふふっ。
ルイ・ラルカンジュ(pa0432)
♂ 24歳 英魅
c.…もの思う夜も、たまにはいいんじゃないでしょうか。ええ。
マクシム・ヴェッカー(pa0436)
♂ 27歳 探知
b.プレジャーボートを出す。海遊びの奴は好きに使うといい。
イリヤ・ヴォエヴォーダ(pa0440)
♂ 25歳 刃乗
a.綺麗だね、お星様!
栄相セイス(pa0459)
♀ 20歳 知魅
a.・・・綺麗・・・。
栄相サイス(pa0460)
♀ 20歳 英探
a.まさに、俯仰天地これ全て星の煌めき。……いいね。いい夜だ。
真純清輝(pa0904)
♀ 21歳 探知
a.星、か・・・。
集推スイヤ(pa1090)
♀ 20歳 英弾
a.よろしくお願いします。
崎森瀧(pa1178)
♂ 25歳 英刃
a.何を願いましょうか
アシュレイ・ローウェル(pa1435)
♂ 27歳 英弾
a.冴香は何を願うんだ?
オリバー・カートライト(pa1468)
♂ 22歳 忍魅
a.(わくわくしている)
リアム・イチカワ(pa1534)
♂ 20歳 英魅
a.願い事なぁ……
イーノク・オルティス(pa1600)
♂ 24歳 英機
a.(わくわくしている)
推嵩サスウ(pa1692)
♀ 21歳 英機
a.(むーたに水着を着せる)
シメオン・ダヤン(pa2252)
♂ 19歳 知機
a.ヤスミナ先輩、星が綺麗ですよ
アレク・レイヴァ(pa2283)
♂ 21歳 刃弾
a.流れ星、綺麗デスネ!
推裾スエラ(pa2328)
♀ 19歳 乗魅
a.海で星を見るのは初めてだよ。これだけで素敵な夜だ。
色原朔(pa2372)
♀ 18歳 英超
a.流星群……、楽しみですね。
ライリー・ホワイト(pa2387)
♂ 18歳 知超
 ふふ、楽しみだね~♪
吉原柚花(pz0049)
♀ 18歳