【PF09】あの物体を追え

担当K次郎
タイプイベント 連動
舞台Celticflute
難度普通
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2019/06/01
結果大成功
MDP夕星将太郎(pa2401)
準MDPアリス・クラーク(pa0456)
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)

オープニング

◆その丘、危険につき
 今年もオリジンフェスがやってきたぜ!
 え、オリジンフェスって何かって?
 まぁ、アレだ、UNICO創立一周年から行われている行事だ。ある国を選んで『その国の文化を広めるイベント』である。学生主体で開催されるが、島民や観光客も参加できるイベントだ。
「いいだろう、わが国、イングランドのとある場所にて、圧倒的インパクトと、圧倒的危険度を誇る祭りのひとつを紹介しよう!」
 英国出身の学生が吠える。

登場キャラ

リプレイ

◆丘の上に集いし者
 さあ、チーズ転がし祭りの時間がやってまいりました。
 実況(リプレイ)はわたくし、K次郎が担当させていただきます。
「祭りは楽しみ、勝負には勝ちを掴め。上様の考えを貫くのみ」
 おっと、ヤスケ・クロボーズ選手。既に凄い気迫だ。その肉食獣のような視線の先には‥‥もちろんチイイイイイズ!
 今にも喰らいつきそうだ。
 しかし、残念なことに端っこの方からのスタートのようですねぇ。
「おー、懐かしいな! 以前出たことあるけど、楽しみだ」
「イングランドの伝統の祭りだもの、本場の力をみせてあげるわ」
 レイモンド・レスター選手は経験者か? アリス・クラーク選手は既にヤスケ選手とは対照的にコースをじっと見まわしているぞぉ。地元イングランド組も中々侮れない。
「むむ、チーズ転がし祭り。噂には聞いていましたが、これほどデンジャラスなものとは‥‥っ!」
(え、というかなんです、この角度!?)
 同じくイングランド出身、シャムロック・クラナド選手だが? なんだか深刻な表情で頬を汗まで伝っているぞ。その心境や如何に?
 こちらもイングランド出身だ。オリバー・カートライト選手はコスプレ‥‥というかちょっとかわいい耳付きパーカーだぞ。鼠かな?
「ハハッ」
 おーっと、これはいけません。色々といけません。これ以上この件については触れないでおきましょう。
 のんびりした様子ですが‥‥どうも動きが変ですね。これは日本から参加の夕星将太郎選手ですか。
(なんでおるんや‥‥)
 どうやら、一人挟んで隣にいる色原朔選手をチラ見しているようですが‥‥。なんでしょう、ライバルか何かなんでしょうかねぇ?
「うーん、この眺めだけでも十分お祭りだ」
 しかし、朔選手、特に気にしてない様子。わざとなのか天然なのかわかりませんが、競技中にトラブルが無いことを祈ります。
 さて、準備が整ったようです。スターターが構えて‥‥おや?
 あー、なんでしょう、これはドローンですかねぇ?
 そうですね、ドローンが丘の上空を飛んでいるようです‥‥。今、確認中ですのでしばらくお待ち下さい。

 はい、操縦者がわかりました。どうやら撮影スタッフのディルク・ベルヴァルド君のようです。えー、ドローンの落下の危険性が無いか審議しているようですね。
「‥‥俺に任せてもらえれば」
 話がまとまったようです。OKが出たようですね。正直、アレが落ちてくるよりも斜面を転がり落ちて怪我をする確率の方がはるかに高いわけですが。
 では、まもなく、競技スタート!

◆爆走・転倒・大回転
 レディ、ゴー!
 遂に祭りは始まった。
「いや、無理ですよ、これ」
 チーズの真後ろに陣取ったシャムロックだが、手を伸ばして引っ込める。
 キャッチは流石に無理がある。
 猛然と斜めにダッシュ。斜面を平行になるかのように飛んだのはヤスケだ。
「っ!」
 いや、これは完全に落下。だが、確実にチーズに手を伸ばし‥‥残念届かない。このまま墜落していまうのか?
 ヤスケ、胸を突き出し斜面にブチ当て勢いを殺して‥‥そのまま斜面を滑り降りる形に何とかチェンジ。
「ひゅー、今のよく落ちなかったな」
 驚嘆するレイモンドだが、彼もまた猛スピードで駆け下り‥‥。
(レッグローラーだ!)
 ヤスケが滑り落ちた砂煙に隠れてなんとレッグギアを発動。この加速ならチーズよりも早くゴールしてしまうのでは!?
「ぬおおお!」
 が、加速が凄すぎて気付けば宙を飛んでる状態に。大丈夫か?
「あー、大変だな‥‥っと!」
 それを横目に将太郎が駆け抜けていく。スタートではのんびりしてたようだが、それはブラフか? 虚を突かれた周囲の参加者が出し抜かれる。
「見えたで、ここや!」
 駆けやすそうなルートを、そこを走破するつもりだ。
「お先に」
 だが、そこへの最短ルートは既にアリスが制していた。
 スタート前から分析していたのだ。
「科学の勝利よ」
「せやかてなぁ!」
 だが、将太郎はレッグギアの力も加わり跳躍、何とアリスを飛び越え前へ。
 スタートから激しい展開だ。
「やっぱり無理だなぁ」
 ゆっくりとスタートし、駆け落ちる参加者を眺めながら後から降りていくのは朔だ。安全第一である。
「おや、あれはオリバーか。なかなかいいポジションに‥‥」
 朔の視線の先にはオリバーがいいテンポで斜面を下っていた。
(なるほど、下りはリズム‥‥)
 ざっざっと音を立てて僅かな足場を踏みしめるたびに次はどこを蹴るべきか、オリバーの脳裏に譜面が浮かんだような気がした。
「見えた!」
 なんだろう、勝利の道筋が見えた‥‥そんな気がする。
「と、止まらんっ!」
「!」
 が、その時、視界を遮るように斜面を腹ばいに滑り落ちるヤスケ。
「おおおお!」
 それに続くように空から降ってくるレイモンド。
 ガッ、と斜面に落ちる瞬間、バーンと受け身を取った。
 お見事、と心の中で思ったオリバーだが、二人の動きに気を取られ見えたコースを見失ってしまう。
「しまっ!」
 バランスを崩し転倒。
 こうなったら仕方ない。このまま転がり降りるのみ。
 そんな無茶苦茶の状態に‥‥ビビっていたシャムロックだが。
「‥‥いいでしょう、kiaiで駆け下りてやりましょうか!」
 やっと腹が決まったか、猛然とダッシュ。
「この距離ならまだ追いつけますね!」
 諦めない。幸いにも彼女が陣取った場所は駆け下りるにはとても良いポジションだったのだ。
 参加者の大地を蹴る音と魂の叫び、そして観客の歓声が響く。
 駆け抜けるは風。競技は遂に決着を迎える!

◆混戦のゴール前
「うわぁ、凄いなぁ」
 ゆっくりと下りながら前を見れば、人が転がり落ちていくような光景に、朔は他人事のようにそう呟いた。
 そう、競技はもう、ゴール前。斜面はややなだらかになり、最後のダッシュをするための空間と化す。
 ちなみに、チーズは既にゴールラインを突破している。
「上様、ご照覧あれ!」
 僅かに天を仰いだヤスケはヘッドスライディング状態から立ち直り走り出す。なんか、上着の前面がぼろっぼろになっているがそんなの気にしちゃいられない。
 だが、それより早く態勢を立て直していたのはオリバーだ。転がり方と場所に恵まれたのか、転がった勢いで一気に立つと、そのままダッシュ。
 その後ろからスムーズに斜面を駆け下りてきた将太郎が迫る。
「オリバー先輩! そこからよーいドンでゴールへ競争でどないや?」
「ん?」
 思わず将太郎の言葉に反応し、ダッシュが緩むオリバー。
「ほな、お先に」
「あっ」
 しまった、と思った時にはもう遅い。将太郎がオリバーを抜きトップに‥‥いや。
「科学の力に限界? いいえ、これは人体力学の領域よ!」
 もはや己の力を振り絞るしかない。アリスが斜面での加速を最大限に生かしトップスピードを維持して首位に立つ。
「ハマれ‥‥ハマれ‥‥ハマった!」
 だが、そこで後ろから巻き返してくるのはレイモンドだ。恐るべきダッシュ力は今度こそ本領発揮したレッグギアの力。派手な落下と転倒、回転の衝撃でちょっと稼働に支障をきたしたがどうにか直ったようだ。
「だ、誰かとーめーてー!!」
 更に巻き返すように一気に差を詰めてきたのはシャムロック。
 あ、いや、なんか叫んでるが‥‥気にしないでおこう。

 そして、なだれ込むように参加者が次々とゴールに群がり‥‥その勝負の行方は!?

「ゴール! トップでゴールは夕星将太郎選手!」
 自分の力、そして時の運。あらゆる全てが味方し、最初にゴールを通過したのは将太郎だった。
 コングラチュレーション!

◆祭りは続くよ
「‥‥よし、っと」
「今の映像、流せる?」
 スタッフからの要請に、ディルクは小さく頷くと、素早くパソコンを立ち上げる。
 そして、設置されたモニターに映し出されたのはドローンから撮影した大迫力の競技映像。
「いやいや、自分は随分と凄まじい格好で滑り落ちていたようだな」
 改めて映像を見て、ヤスケは自分の無茶な動きに驚いている。
「あれでこの程度の怪我ですんだなら大したものよ」
 ヤスケの胸をアリスがバシーン、と叩く。
「おお、かたじけない」
 何か薬品のついたガーゼをテープで固定してくれたようだ。競技中はライバルでも、競技が終わればノーサイド。彼女は率先して応急手当を引き受けてくれているのだ。
「俺も診てもらえるかな?」
「どこを怪我したの?」
 今度はレイモンドがやってきて。
「いや、無茶したせいかギアの方がな。科学の力でなんとかなるとか」
 ピグマリオにとってはそれも体の一部。怪我と同じともいえよう。
「ええ、よくってよ」
 微笑むアリス。当然そっちもお任せあれ。科学の力は万能なのだ。

「ふぅ‥‥」
 競技を終えひと息つくオリバーに近づく影。
「やあオリバー、お疲れ様。何か食べに‥‥」
「オリバー先輩、お疲れ様で‥‥」
 同時に声を掛け、むっ、と視線が交錯する朔と将太郎。
「え、なに? 一体?」
 その雰囲気に戸惑うオリバー。
「なんだ‥‥きみもいたのか」
「なんや、気付いとったやろ」
 なんだろう、一触即発、という感じでもないが、あまり友好的な雰囲気でもない。
「おや、怒ったかい? あのときも言ったろう。憎いなら気の済むまで殴ればいいよ」
 はいどーぞ、と言わんばかりに手を後ろに回して前に出る朔。
「かーあっ、俺がぶちかましたいんはなぁ、色原の覡や。あんたみたいなお嬢さんに用はないわあ」
 何やら二人の間には事情があるらしい。
「あー、その‥‥」
 双方を知っているオリバーからすればなんと言っていいかわからない。
 色々考えた末、吐き出した言葉は‥‥。
「えーと、とりあえず‥‥チーズ食べにいこう」
 そう切り出すしかなかった。

 シャムロックはお祭り騒ぎの中へ情報収集に飛び込んだ。
「え、学生会の選挙について?」
 知りたいのは学生会長選挙絡みのあれこれなのだが‥‥。
「うーん、選挙のやり方とかはともかく、エリザベト会長はいいよね! 俺、彼女のグンバツの脚がめっちゃ好みなんだ!」
「いや、そういう話が聞きたいのでは‥‥」
 まぁ、大した情報は得られなかったようである。

 なお、ディルクによって撮影された今回のイベント映像はインターネットを通じて多くの人々の目に留まることとなり、その楽しさと凄まじさを伝えることに貢献したのだった。

 これにて、チーズ転がし祭り、閉幕!



 11

参加者

z.…………
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)
♂ 23歳 乗知
b.むむ、一応地元出身者として負けてられないですよ!
シャムロック・クラナド(pa0160)
♀ 20歳 英探
c.くじはこれね。科学の力で勝利を掴んでみせるわ。
アリス・クラーク(pa0456)
♀ 20歳 刃知
c.祭りごとは楽しむべし、勝負ごとは勝ちを掴むべし。上様の教えだ。
ヤスケ・クロボーズ(pa1163)
♂ 27歳 刃乗
b.はは、この祭りも懐かしいな。(ネズミの耳付きパーカーを着て
オリバー・カートライト(pa1468)
♂ 22歳 忍魅
a.おー、ひっさしぶりだなー
レイモンド・レスター(pa1587)
♂ 25歳 忍機
a.チーズって薄く柔らかくなる前は、あんなに硬くて重くて早く転がるんだな。
色原朔(pa2372)
♀ 18歳 英超
c.のんびり見物〜のつもりやったんやけどなあ……
夕星将太郎(pa2401)
♂ 18歳 刃機