【PF10】我は此処に在り

担当旭吉(代筆:野間崎 天)
タイプグランド 授業(島外)
舞台アメリカ(America)
難度やや難しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2019/09/15
結果成功
MDP中藤冴香(pa0319)
準MDPアルカ・アルジェント(pa0217)
スティーヴ・カラサワ(pa0450)
メレディス・メイナード(pa0098)
煌宵蓮(pa2148)
エルミーネ・クロイゼル(pa1729)
マクシム・ヴェッカー(pa0436)

オープニング

◆ここがTurningPoint
 ダブルオーが管理、運営する『クエーサー』。
 盗品の美術品や麻薬、武器や情報などが違法にやり取りされる、匿名性の高いダークウェブ。
 高額な手数料を要求されるものの、それに見合った高いセキュリティと品質が裏社会で高く信用されており、犯罪の温床となっている。
 ローゼンナハトとしては当然放置できるものではなく、利用者はもちろん、『クエーサー』運営、ひいてはダブルオーにも迫ろうと試行錯誤を繰り返していた。
 しかし、いずれも決め手となるほどの大きな収穫は得られていないのが現状だ。

登場キャラ

リプレイ

◆TurningPointまでのTimeLimit
 作戦を実行するにあたり、学生達は講師へ猶予が欲しいと要望した。
 家族の更なる情報を得る時間、信用を得る時間、根回しの時間、等々。世界各地で同時に逮捕作戦を実行するにしても、一両日中ではとても準備時間が足りない、と。
「成程、そういう作戦か。既に展開してる各地のチームとの擦り合わせが必要だけど‥‥わかった、それはこっちで調整しておくよ」
 ダブルオーに勘付かれてしまっては元も子もない為、多くの時間はかけられない。その前提で調整した結果、得られた猶予は7日間だという。
 7日の内に、彼ら彼女らは。世界的SNS企業の会長逮捕へと至ることができるのか――。

 アルカ・アルジェントはクロエにSNS上……パーソナルバムにて接触した。
『素敵な写真ね』
『ありがとう。お気に入りなの』
 何気ないコメントから始まった二人の交流は、短い時間の中で繰り返されるうちに、日常会話からカウンセリングのようなやりとりに移っていった。
 アルカは今回、ソーシャルワーカーという肩書きをクロエに名乗っていた。アルカの社交術や心理学の手腕を持ってすれば、本当の資格を持つソーシャルワーカー達よりも的確なアドヴァイスが出来た。
 しかしながら、ただソーシャルワーカーのお仕事をしても仕方がない。
 アルカは、クロエの不安を取り除きながらも、きっちりと二人の距離を私的にも急接近させていた。
 この1週間という短い時間ではたやすくはなくとも、決行日までには結果を出す事ができたのだった。
『では、明日の19:00。楽しみにしてるわ』
 作戦決行日の前日、アルカは狙い通りにクロエから自宅へ招かれる事に成功したのであった。

 中藤冴香は、ロビンソン家を……カークの過去を探っていた。
 PB社が移転する前、まだ会社が小さかった頃の人間関係にたどり着けたのは、コネも駆使し、表から裏から手を回して情報収集をした成果だろう。
(共に会社を大きくしていった友人もいらしたのですね……)
 情報が集まる中で、冴香が気になったのは、友人の存在。
 共に会社の黎明期からの付き合いであり、かつては何度もロビンソン家に来ていた事はわかった。
 その頃から、カークの一番の理解者であると認識されていたが、あるときから疎遠になったようだ。
 友人が、カークの当時の恋人と婚約し、そのまま結婚してしまった時から。
(こんな裏切り、どうして……?)
 今日の捜査を終えてセーフハウスに戻った冴香を、フロウティア・モリスンが迎えた。
「お疲れ様です。調査は進みましたか?」
「はい。新たに分かったこともありますが……調べれば調べるほど、新たな謎がわいてきます」
 今日の成果を共有しながら、冴香はリビングに置かれたソファに沈み込んだ。
「ロビンソン家を調べるつもりでしたのに、気がつけば関係者の過去を総ざらいしなければならさそうです。それだけでも時間がいくらあっても足りません」
 実は、事前準備の期間に7日もらえて一番助かったのは冴香かもしれなかった。
「宵蓮さんも、調べてくれているのですよね」
「カークさんの同僚の方を中心に当たってくれているみたいです。『カーク氏は、孤独なのだろうな。何かに苛まれているようだ』って」
 助かります。という冴香の表情に余裕はなかった。
「カークさんの現在の状況……なぜ美術品に固執するのかなども、できたら自分で調べたかったのですが、コネや仲間に頼りっきりですよ」
「カークさんも美術品に思い入れがあるのでしょうか。それとも別の理由から……?」
 フロウティアの疑問に答えられるような情報は今の所出てきておらず、冴香はわからないと首を振る。
 いつもの化粧で疲労の色を隠し、冴香の調査は作戦決行時のギリギリまで続けられた。

 マクシム・ヴェッカーもカークの周辺情報……家族構成、人脈、過去、業績などを調べていた。さらには、その情報を活かしてカーク邸への訪問を企ててもいた。
 アルカのソーシャルワーカーを装うよりももっと手っ取り早く、パーソナルバム社のカウンセラーとしての訪問を狙ったのだ。
 身分詐称もお手の物であった。本社のデータも改竄し、本社に問い合わされたとしても、バレない準備をしていた。
 だが、実際に屋敷に訪問してみると、文字通りに門前払いされそうになった。
「会長ならびにご家族に、現在カウンセリングは必要も無ければもちろん受診される予定もありません」
 利用できる状態であるからと言って、利用するかは本人達次第である。
「保険の更新の時期ですので、ご家族の様子を伺いに参りました♪」
 と、保険会社の外交員になりすましたルイ・ラルカンジュも、同じくここで足止めを食わされていた。
 これが、ダブルオーの独断、陰謀であればまだ良かったのであるが、窓からこちらを覗いているクロエはマクシムとルイに対して明らかな警戒の色を示していた。
 夫の会社の手の者や多額の金銭を扱う保険会社の者は、今の彼女にとっては最も怪しむべき者達の一つであったのだから。
 最悪の第一印象であったが、ここからがマクシムとルイの真骨頂であった。
「必要ない? 本当に、そうお思いですか?」
「……地震なんてあったら、やっぱり怖いじゃないですか。そのための保険です!」
 マクシムとルイが黒服に対して粘り強く声をかけ続けた。その言葉は力を持ち、実際にタイミング良く地震が起きた事もあり、次第に黒服の心を揺るがせ、侵略していった。
 マクシムの催眠術が効き、ルイの巧みな説得に折れた黒服は、二人を中へと招き入れた。
 そのまま2階の応接室へ通されてしばし待つと、遅れてクロエがやってきた。
 その顔は、窓から見えたものと同じ、警戒心の強いものであったが、マクシムやルイと話すうちに、だんだんと表情が柔らかくなっていった。
 信用は得られたようであった。されどまだ、家族のプライベート空間への立ち入りは許されなかった。それでも、侵入するために必要な鍵は、指紋とパスワードであることが会話の中から類推することができた。
 この日はそのくらいで二人は退散した。去り際にルイは、ご家族で思い出を作ってきてください。と、有名なアミューズメントパークの招待状を置いていった。
 実は、当日の警備の分散を狙ったものであったが、すっかり警戒心の解けたクロエは喜んで受け取り、子供達と共に遊びに行くと話していた。

◆X‐Day
「お母さん、楽しいね」
「……ええ、そうね」
 マイクの曇りのない笑顔に、クロエはほっとしたように笑顔を返した。
 プラン『P』の決行日である週末。クロエとマイク、ジェシカの3人は朝早くからテーマパークへと遊びに来ていた。
 テーマパークまでは、何度かお世話になったことのあるPB社の運転手に送ってもらった。いつもよりも少し表情が硬く、威圧感があったが、運転は絶好調で、高速道路を飛ばして以前よりも早く到着した。
 入場ゲートをくぐると、早速マイクが駆け出していった。その先には、人気作の主人公に扮したスタッフだ。
 スタッフが、脚にだきついたマイクの頭をなでているうちにとてとてと兄のことを追いかけてきたジェシカも反対の脚に抱きつく。
 幼い二人の行為にクロエが謝ろうとするのを、スタッフが止めた。
「いえ、元気な良い子達ですね。一緒に回るのが楽しみです」
 クロエがどういう事か尋ねると、スタッフは招待チケットの特典だと説明した。
「園内を案内させていただきます」
 と話すと、子供達は諸手を挙げて喜んだ。
 案内係――オリバー・カートライト――は、しゃがんで子供達に視線を合わせると、
「まずはどこから行きたい?」
「ジェットコースター!」
「おにんぎょう、いっぱいのところ」
「そうか。それじゃ、あっちの方だね」
 子ども達の手を引いて、オリバーは目的とするアトラクションへと向かった。
 家族が久しぶりに普段の悩みを忘れて楽しんでいたその裏で、密やかに激しい戦闘が行われていた。
「ふぅ。まず一人片付けた――――ああ、俺だけで大丈夫だ。人目につかないようにするのは大変だがな」
 PB社の運転手……いや、彼と入れ替わっていたイリヤ・ヴォエヴォーダが、建物の陰、監視カメラと人目の両方から隠れられる場所で、仲間に連絡していた。傍らでは、黒スーツの男がぐったりとして地面に倒れていた。
 スーツの袖から見えるのは、金属製の腕……コネクターだ。
 カーク邸の警備を分散させる目的は成功し、こちらで邪魔者を「片付けて」おくことも出来そうだ。テーマパーク内で全ての人目を避けきって事を成すのは普通に考えて難しいが、イリヤは神がかった手腕で達成していく。
 オリバーは、案内する間、家族の話を聞くこともできた。
「今日、パパはこられなかったんだ」
「うん。きょうは、たいせつなごようがあるから、家でまってるんだって」
 そう話す少年の顔には、少し陰があった。
「お母さんも、よるにはおきゃくさんがくるんだよね」
「ええ、そうよ」
「ということは、パレードは見て行かれないのですか?」
「残念ですけどね」
「ええ! 見たい!」
「わがまま言わないの」
 かんしゃくを起こしそうになるマイクを大人二人がなだめると、次のアトラクションへ向かう頃にはまたゴキゲンになっていた。
 夕方になり名残惜しそうに帰っていくのをオリバーは見送った。
 そして、激闘の痕を感じさせぬイリヤが無事に送り届けると、クロエと子ども達は再び忙しく片付けと準備に追われることになった。
 まもなく、訪問客がやってくる時間になるからだ。

◆玄関からの訪問客達
 アルカは、上流階級にふさわしいドレスを身に纏い、時間通りに屋敷へ到着すると、がたいの良い黒服の案内で食堂へと通された。
「いらっしゃい。お待ちしていたわ。さあ、まずは食事にしましょう」
 クロエが迎えてくれた部屋には、他にも子ども達、マイクとジェシカも椅子に座っており、アルカに挨拶してくれた。
 アルカが歓迎への感謝の言葉を紡いで、促された席に着く。だが、カークが姿を現すことは無いまま、料理が並べられた。その事をクロエに尋ねると、
「あの人は、やるべき事があるから、食事は後にするんですって」
 クロエが呆れたように愚痴る。母のため息にマイクは困った表情をして、我関せずなジェシカがフォークを逆手に持ってサラダボールに差そうとするのを、クロエが慌てて制止してたしなめた。
(客人や家族との食事よりも優先すること、ね)
 アルカは、深く息を吐くと、クロエに向き合った。
「こちらもやることをやりましょうか。クロエ、不安や気がかりは全て吐き出して……それが貴女自身を、家族を守ることにもなるの」

 その頃、敷地の外では、ヴェロニカ・ラプシアが、ミニバンの中でデータとにらめっこしてはあちこちに連絡を入れていた。
 手下に用意させたIR装置にて建物内の様子を窺っているのだ。
 構造はほぼ把握できた。懸念していた、隠し部屋や隠し通路など、不自然な空間は見つからない。ほぼ事前に得られた情報通りの間取りであった。
 この装置は、建物の構造を探るついでに、どこにどのくらいの人員が割かれているのかも分かるのがありがたい。
 こちらの行動に気付いた訳ではないだろうが、日に日に増えてきていた黒服達の数が、事前に調べていた人数よりも、若干少ない気がするのは、イリヤの活躍ゆえか。
 ただし、同じ車が家の前でじっと一カ所に停まっていたり、何度も行ったり来たりしていたら、どのみち怪しまれてしまうので、ほどなく撤収することにはなる。
「これ、狙いの建物だけではなくて、その周囲も分かるのがありがたいですね」
 情報を共有させてもらったメレディス・メイナードが、感心したように言う。
 その大きさ故に隠す事ができず、調べられる時間は限られてしまったが、その調べられる範囲は距離200m、90度扇範囲だ。おまけで狙いの建物以外の情報も手に入った。
 メレディスが建物構造や周囲の状況を鑑みて探っていたのは、逃走経路であった。
(逃走経路を複数組み立て、リスクと情報をはかりにかけつつ選びましょう)
 人目につかないようにと言うことであれば、擬装して持ち出すにも限度がある。
 いくつかの情報を照らし合わせて決断すると、メレディスはとある地点へと向かうのであった。
「私達も、そろそろね。あなた達は先に撤収しなさい」
 ヴェロニカは、手下達に指示をだして、身長差や場所からアルカと判断した熱源を一瞥すると、ミニバンから降りた。
 すぐに発車したミニバンを見送り、ヴェロニカは屋敷の方へと脚を向けた。

「そうなの。やっぱりそのままだと大変ね」
「どうにか、できるのかしら……?」
 アルカがクロエと夕食を共にしながら話を続けていた。その会話の中から見えたのは、もちろんクロエの苦悩。
 カークへの不満の吐露が多く、それらへの解決方法や折り合いの付け方を一つ一つ探っていくが、離婚騒動に発展してもおかしくないほど深刻な状況であった。
 だが、それなのに、別れるような話は出ず……直接会って対話したからこそ聴けた言葉の端々から感じられたのは、カークへの希望。
(これは、もしかしたら――)
 大人達が難しい話をしていて、退屈したジェシカがふと、視界に何かが横切った気がしてそちらへと歩いて行ってしまう。
 クロエがたしなめようとするが、アルカは良いと制止。マイクも子ども部屋に戻る事にする。
 子供達が退室したことで、アルカは踏み込んだ話をすることにした。
 自分の本当の肩書きを明かし、カークを逮捕しに来た事を説明したのだ。
 聞かされた瞬間は驚きから声も出ず、取り乱して人を呼ぼうとしたクロエであったが、落ち着いたアルカの対応に自分も落ち着きを取り戻した。それから、アルカの話にじっくりと耳を傾けた。
「貴女が本当に愛しているのは今の彼? それとも……」
 アルカの説得に、クロエは――

 先に子ども部屋に戻ったマイクは、部屋の電灯を点けて驚いた。
 部屋の真ん中に、見覚えのないおもちゃのロボットが2体立っていることに、気が付いたからだ。
「? こんなおもちゃ、なかったよね」
 首をかしげて、すぐに近づかずに観察する。
 共に日本の特撮やアニメに出てきそうなデザインのロボだ。
 一つは、金属の光沢がまぶしい、30cm程度のもの。
 もう一つは、プラスティック製らしきもの。やはり30cm程度だが、こちらは手に剣を、両肩に大砲がついでいた。
「かっこいいなあ……」
 なんの作品の物かは知らずとも、男の子の本能に訴えかけてくるロボのデザインに、感嘆の声を漏らしてしまったマイクは次の瞬間に息を呑んだ。
 なんと、2体のロボが、ひとりでに動き出したのだ。
 2体は丁寧にお辞儀をすると、マイクに手を差し出した。
 マイクはおそるおそるその手をとると、ロボ達はやさしく握り返した。
 恐くない事がわかれば、後は仲良くなるのは簡単であった。
 マイクが元から持っていたヒーローや怪人のフィギュアを広げ、共に部屋の中で大冒険を繰り広げる。
 一部ジャンルでは大人顔負けの知識や技術をもっていても、まだまだ小学校に上がりたての子ども。年相応に子どもなところもあったのだ。
 そんな子ども心をしっかりとつかんだ2体のロボ。
 実はこの2体、スティーヴ・カラサワが忍び込ませたラジコン型ドロイドだったのだ。
 遊びながら、ロボがラジコンであり、誰かが操作していると思い始めたマイクは、ロボの操縦者がどんな人なのか気になり始めた。
「ねえ、うごかしているのはだれ? どんな人なの?」
 2体のロボが窓の方を示すと、マイクは窓の方へ駆けていき、外を見回した。すると、庭の物陰から、小さく手を振る影があった。
 マイクは鍵を外して窓を開け、周囲に警備の者がいないことを確認すると、手招きして呼び寄せた。
 こうして、マイクの手引きでスティーヴは本人も屋敷に侵入することができたのであった。

 一方、ジェシカは、2階の応接間にやってきていた。
 食堂で見つけたなにかを追って来たら、誰かがこの部屋に入っていくのを見てしまったからだ。
 途中に廊下ですれ違った黒服は何も見なかったのか、気にならなかったのか、興味を示すことはなく、追ってくる気配はない。
 きっと、なにかみつけたといっても、しんじてくれないから。
 ジェシカは、泥棒やお化けなどの怖いものかもしれないと思いながらも、好奇心には勝てず、一人で扉を少し開けてそっと中を覗いた。
 部屋の中は灯りがついており、フリフリした衣装を着た金髪ツインテールの少女が踊っていた。
 綺麗に回り、跳ねて、笑顔を絶やさぬその踊りは、物心つくかつかないかの娘にさえ、感動を与えるほどの可憐さであった。
 泥棒やお化けでないことがわかると、ジェシカの頭の中は好奇心だけで満たされた。
「おねえちゃん、だれ?」
 誰何の声にツインテールの少女は、優雅に礼をして答えた。
「あたしは魔法少女、優しい女の子の味方よ」
 魔法少女、ワンダー・ウィッチであるアリス・クラークは、少女に幸せを感じてもらえるように、楽しませられるように、ダンスを披露したり、ドロイドの天使とも一緒に遊んだりした。
 一度、警備の者が部屋の前まで巡回しに来たときには、見た者の記憶を失わせる怪盗パンツをさらすことになるかと覚悟を決めたが、ジェシカが「ひとりであそんでるの」と答えると、そのまま通り過ぎて行った。
 こうして、アリスとジェシカが、打ち解けてくると、ジェシカはいろいろなお話をしてくれた。
 ジェシカの話は、話している本人も意味はわかっていなかった。だが、それが大事な話であり、誰かに話さなければならないということを、幼くも聡明な少女はなんとなく感じていたのだ。
 それは、何も分からぬと軽んじられた少女にのみ話された、ダブルオーの企み。
 カークとダブルオーの関係を確定づけるものであった。

◆保管室への進入路
 アルカ達が食事をしている最中に、カーク邸はまた地震に見舞われた。
 ここはアメリカ西海岸。地震が特別珍しいという地域ではないが、ここまで頻発するのは珍しい。
 直後、セキュリティのチェックをしたいと館を訪ねた者がいた。
 PB社の関係者を装った斧箭鎌刀であった。が、残念な事にこちらは門前払いされてしまった。
「ここまでの地震で建物にひがみ等があったり、回線が切断されたりしてしまっていたりすれば……既にセキュリティに影響が出ている可能性があります。本当に無事かチェックを……」
 PB社の社員のIDカード(偽造品)を見せてまで信用を得ようとしたが、失敗に終わった。
 社員であることは疑われなかったが、カーク自身がセキュリティをチェック出来るため、その仕事がなかったのだ。
「くどいですよ。わざわざチェックをする必要はありません。早く帰ってください。こちらも暇ではないのです」
 しかも、やけに早く追い返そうとしてくるため、不思議に思っていると、ちょうど、宅配便のトラックがやってきた。
 鎌刀はそのトラックの乗員達を見ると、納得し、傍目でわからないほどの会釈をして、一度カーク邸から離れた。
 無理矢理追い返された鎌刀の代わりに屋敷の前に横付けされたトラックから降りてきたのは、3人の宅配業者の男達。
 ただし、扱っている物のせいであろうか、整った身なりから、気品と威圧感を同時に与える者達であった。
 警備の黒服は、宅配業者の者達の身分証を確認すると、ご苦労と声をかけた。
「予定の30分遅れです。何かありましたか?」
「いや、運搬中に不穏な気配を感じて、まくために遠回りしただけだ。何か問題が?」
「……いえ、ありません」
 実のところ、先ほどから不審な物音やら小動物の出現やらで、やたら警備の者達があっちこっちに応援に行ってばかりで、人手が足りなくなっていたのだが、それを言うことはなかった。
 警備の黒服と運転手が手続きをしている間に、残りの二人によって積み荷が降ろされた。
 厳重に梱包されているため外からは確認できないが、人の背丈ほどのサイズの絵画だった。
 専用の台車に乗せ、玄関の方まで運ぶと、そこで警備の黒服からストップがかかった。
「いつも通りそこまでで結構です。ここからは我々が運びます」
「えーっ。飾る部屋まで運ぶっすよ」
 台車を押す男が言うが、警備の黒服は屋敷にまで入ってこないように言う。
「いつもここまででしょう。なぜ今日に限ってそんなことを言うのですか」
 これに、少しドキッとした男達であったが、
「たまには運んできた物が飾られる所を見たいっす」
「何を言うかと思えば。身の程をわきまえて役割を全うしてください。いつまでも玄関先で騒がれては迷惑です」
 早く去るように促されてしまった。
 おわかりの者もいるだろうが、この運搬業者の3人は、怪盗達である。
 アルフォンス・サインツダンテ・ヴェッキオカルロ・ヴェッキオ。三人は美術品搬入業者を道すがらに襲って黙らせて、成り代わってここまでやってきていたのだ。
(カルロ兄、どうするっす?)
(そうですね……)
 ダンテとカルロはひそひそと相談した。
 邪魔者は現在一人。玄関を見張る監視カメラの位置は把握できている。監視カメラの映像は後程仲間が差し替えてくれてごまかせそうではあるが、リアルタイムでチェックされていたらすぐ増援を送られて面倒そうではある。
(やるっすか)
(やりましょう)
 二人は作戦続行を決めた。アルフォンスと警備の黒服が話している間に、ダンテは警備の黒服の死角にさりげなく回ると、指を弾いた。その瞬間、ダンテの瞳が満月のように変化し、動作に合わせて高速の衝撃波が飛ばされた。
 衝撃波が直撃した監視カメラは、狙い通りに向きが若干変わり、玄関を映さない角度になった。
 手ごたえを感じたダンテが、カルロへ合図を送ると、今度はカルロの瞳が満月へと変わる。
「どうしても、通してくれませんか?」
「駄目だと言っているでしょ……う……?」
 カルロに話しかけられた警備の黒服が言い返すためにカルロの顔を見て、満月の瞳と目が合うと、カルロの超能力――夜想曲――の影響を受けて、精神が乱された。
「……おま、え……たち、は――」
 警備の黒服は意識を奪われ、その場に崩れ落ちそうになったのをアルフォンスが支えて近くの植え込みへと運んで隠した。
 見事な超能力者達のコンビプレーだった。
 本当なら複数人で警備していたはずの玄関が、中の人員不足で手薄になっていたからこそ、隙が生まれて楽に突破で来たとも言えた。
 屋敷の中も、構造は把握している。3人はもともとのそこの警備員かのように、迷うことなく進んでいく。
「運び込むのは地下だったすよね」
「ああ。だがその前にだな」
 さらに、中に侵入した三人は、外へ連絡を取り、通るついでに廊下の窓を開けて他の仲間の侵入を助けていったのであった。

◆into the Gallery
「おっと、揺れたな。絵は大丈夫か?」
「大丈夫っすよ」
「しっかり押さえています」
 三人が地下1階に降りると、また、地震が発生していた。
 保管室の前で美術品が届くのを待っていたカーク氏にも、少し焦りが見られ、中の様子を気にするそぶりが見られた。
 そして、カークが3人に気付くと、顔に警戒の色が出た。
「……君達はなんだ? 荷物はあいつが持ってくるのではなかったのか?」
「警備の者が足りず、持ち場を離れられなかったので、代わりに私どもが持参いたしました」
 アルフォンスがうやうやしく礼をし、残る二人も真似して頭を下げた。
 カークはしばらく三人の様子を窺っていたが、中の様子も気になるらしく、まあ、良い。と尊大に言い捨て、扉の横の認証機に手を伸ばした。
 十数桁に渡る暗証番号を打ち込み、『Open the door』とつぶやくと、鍵の開く重い音が響いた。
 カークが自ら分厚い扉を開けて中に入ると、三人も美術品を飾るべく、保管室の中へと進んだ。
 広大な保管室に飾られていたのは、いくつもの絵画や彫刻。女性や自然をモチーフにした物が多いのは、本人の趣味やこだわりか。
「この絵はどこに飾りましょうか?」
 アルフォンスが地震の影響が絵に出ていないか見回りしているカークに尋ねると、カークは壁の1点を指さした。
 女性の絵の隣のスペースが空いており、既に額をかける準備もされていた。
 アルフォンスが承り、ダンテとカルロに絵を運ぶように指示すると、タイミングをはかったように再度地震が発生、地下も揺れた。
 壁に飾られた絵画の額がカタカタと揺れ、しゃがんだカークが心配そうに見つめていた。
 そこで、アルフォンスが通信機に向かって小声で話す。そして、連絡先からの返答を待って、カークへ問いかけた。
「続いている地震の揺れで傷みがないか、確認が必要な美術品があるそうです」
 そう話したアルフォンスにカークは目を丸くした。
「ここでは確認できないから、美術品をいくつか運び出させていただきたい」
 と続けるが、カークは拒否をした。
 「上からの指示で」とアルフォンスは押し通そうとするが、「おまえ達の事情なんか知らない。これは俺の物だ」とカークはかたくなであった。
(もしや、カーク氏はダブルオーと深い関係にあるわけではない……ダブルオーの一員という訳ではないのか?)
 これまで探ってきた人間関係にあった違和感が具体的になった気がした。
 あまり粘って怪しまれても仕方がないので、一度引くか、玄関の時と同様に催眠術や超能力で無理矢理OKを出せるか迷い始めたそのとき、カークが手首に巻いた腕時計型のデバイスを見て、突如慌てだした。

 時は少し戻り、カークの仕事部屋の前で仲間の到着を待っていたマクシムと鎌刀は、近づく足音に気付いて振り向き、その姿に一瞬身構えた。
「何してるのかしら?」
 扉の前の二人に声をかけてきたのは、カークの妻のクロエだったからだ。が。
「ヴェロニカさん、ですよね?」
 マクシムの言葉に、鎌刀ははっとし、クロエの姿をした女は、微笑みを浮かべて肯定した。
 指紋擬装、声紋擬装も使用してのMNによる変身は、そうと分かっていなければ見抜けない完成度を誇っていた。
「これなら、行けそうですね」
 マクシムが、ヘカトンケイレス技術を用いたノートパソコンと扉の認証装置を繋ぎ、パスワードの解除を試みる。
 並のセキュリティであれば秒で終わるところ、しばし時間がかかってしまったが、無事に解除することができた。
 続けて、ヴェロニカが指で画面に触れると、指紋がスキャンされた。こちらは待つこと無く結果が表示され、『OPEN』の文字が表示された。
 室内に潜入した二人は、タブレット端末を発見。当然ロックされていたが、こちらもクラッキングして強引に解除した。
「警備システムを掌握させていただきます」
「僕も手伝います」
 マクシムは、タブレット端末を自分の物かのようにすいすい操作して、セキュリティ関連の情報を改竄していき、鎌刀も自分のノートPCからその援護をしたのであった。

「どうしたのですか?」
 カルロがカークに尋ねると、カークは苦虫をかみつぶしたような表情で答えた。
「何者かが、うちのセキュリティに侵入したらしい」
 屋敷の警備システムにエラーが発生したというのだ。
「こんな時に……すぐに保管室から出てくれ」
 アルフォンス達を保管室から追い出し、扉を閉めると、カークは急いで地上階へと駆け上がっていった。
 残された者達は、カークの背中が見えなくなるとすぐに扉を開けた。開け方は今しがた見せてもらったのだ。再現することなど、たやすいこと。
 声紋判定も、カルロが声紋偽装のMNオプションを駆使してクリアした。
 その後、侵入していた仲間達も続々と保管室に集まりだした。
「これは……素晴らしいですね。まるで高名なギャラリーのようです」
 フロウティアは、飾られている美術品に目を奪われ、感嘆の息を漏らした。
「これは……グフタフ・クリムトの女性の肖像。あれは、フェルメールの合奏。近代画家の注目株の作品から、昔に美術書で見た、行方不明になっていた有名画家の名作まで――」
 手前にあったクロユリの花を描いた作品を壁から外すと、フロウティアは状態を確認してから、丁寧に梱包し始めた。決して、美術品に傷を付けないように、厳重に。
「こっちの彫刻なんかも、運ぶの大変そうっすね」
 追加の台車を運んできたダンテが大きな翼を生やした天使像を見上げてため息をついた。
「本当は、数時間かけてでも、間違いが起こらないように梱包したいのですが……」
 フロウティアは至極残念そうに言う。他に、コネのあった学芸員に美術品の取り扱い方を教えてもらっていたカルロも梱包を手伝うが、それでも激しく動くには不安が残りそうであった。
 しばし、時間に追われて焦りながら梱包作業を続けた学生達は、
「これで全部です」
 フロウティアとカルロで箱に詰めた天使像を台車に積み、さあ脱出しようとなったとき、屋敷中に警報が鳴り響いた。
 どうやら、カークの手でセキュリティシステムが復活させられ、保管室の美術品に異常がある事がバレたらしい。
「急ぐっすよ。逃走ルートは――」
 カルロが仲間を先導しようとして、保管室から廊下へと飛び出ると、地上階から降りてきた警備員の黒服達と目が合った。
 続けて保管室から出てくる怪盗達に気付いて、警備員達は全員腰のホルスターから拳銃を抜いた。
 怪盗達に警告を発しながら銃口を向け、標準を合せようとした。そのとき、彼らの足下に一枚のコインが落ちたかと思うと、白煙が上がり、彼らの視界を覆い隠した。
「なんだ! 煙幕か!?」
「迂闊に動くな!」
 警備員達が互いに声をかけ、煙が晴れるのを待つ……と、数秒後、煙が晴れてくると、青いシャルワニに身を包み、顔の下半分を仮面で隠した怪盗――トワイライトバレット――が、彼らの目と鼻の先にまで接近していた。
 怪盗の片手にはKg社の22口径オートマチック拳銃。逆の手には38口径オートマチック拳銃、に擬装した低出力ビームガン。
 警備員達が拳銃を構え直し、発砲する。が、狙いをろくに付けられていない弾丸は、トワイライトバレットの脇をすり抜け、壁や床にめり込む。
 トワイライトバレットは、近距離での銃の使い方を教えてやるとばかりに敵の懐に入り込むと、顔面を殴りつけるかのようなスピードでフェイザーガンを近距離から発射し、警備員の視界を奪い、その隙に22口径拳銃を突き付け、弾丸を撃ち込んだ。
 すると、エレクトリック弾でしびれた警備員は、白目をむいて、意識を手放した。
 最初の犠牲者が床に倒れる前に、トワイライトバレットは彼を遮蔽物にして隠れながら、次の獲物、その次の獲物にも電劇弾を撃ち込み、瞬く間に制圧してしまった。
「今のうちに、先に行け!」
 トワイライトバレット……シグナ・ガントレットの声で部屋から出てきた怪盗達は、台車を押して反対側の廊下の奥へと急いで走った。
 階上からは、敵の増援が駆けつけてくる音が聞こえる。情報からしても、まだ敵はきそうだ。
(全員倒すまで、徹底的にやってやる!)
 まもなく階段を降りて廊下に飛び出してきた警備員が10人ほど。それぞれ警棒と拳銃を握り、中には武器を使わず格闘技の構えをする者もいたが、全員臨戦態勢であることは変わらなかった。
 更に、一人追加で黒服が降りてくる。と、10人の方の最後尾の黒服がそいつに怒鳴った。
「おい! 一人だけか!? 5人のチームだったはずだろ!」
 問われた方は、ニヒルな笑みを浮かべて答えた。
「1階のキッチンからも不審な物音がしたので、そちらを見に行ってもらった。他にも、庭に不審者が現れ、テーマパークから戻ってきたアルファ班と格闘戦になっているという報告もある」
「そうか。なら、こちらを早く片付けて、そちらの応援にもいかないとか」
 前へ向き直った黒服はしかし、次の瞬間に最後尾に並んだその者に、スプレーをかけられ、眠りに落とされた。
 さらに、もう一人眠らせると、異常に気付いた黒服達が後を振り向いた。
 すると、最後の黒服は変装を解き、怪盗としての姿を見せた。
「情報は戦場の結果を左右する。さて、僕の幻術、堪能してもらおうか」
 ゲルト・ダールが、勝ち誇って胸を張る。
 前方にはシグナ、後方にはゲルト。挟み撃ちにされた形の黒服達は、冷静な判断をくだす事が出来なくなっていた。
 実は、もう武器を持っていないゲルトの方では無く、弾薬十分で待ち構えるシグナの方へと全員で向かっていった。
「とにかく、廊下の奥に逃げた者達を追え! そいつらがブツを持ち逃げしてる!」
 一度に8人に掛かられても、シグナは冷静に一人一人撃ち抜き、撃破していった。だが、一度に全員の足止めは叶わず、4人はシグナの脇を抜けて廊下の奥へと駆けていった。
 だが、警備員が追いかけるも、廊下の先には誰もいなかった。もちろん、持ち逃げされていた美術品達も。
 近くの扉を開けて部屋に入り込んでいないか探す黒服達であったが、人影は一切見つからない。見つけられる訳がなかったのだ。
 その頃、美術品を抱えた怪盗達は、下水道を駆け抜けていたのだから。
「先回りしていただき、助かりました」
「アメリカでは大事なものは大体地下に隠しますよね……」
 フロウティアの声に応じたのはメレディスだ。作戦決行時にメレディスが調べていた逃走ルートの一つである。潜入組もメレディスも互いに大量に持ち込んだディメンションフープを利用して、屋敷から下水道へとルートを繋ぎ、怪盗達は屋敷から逃れていたのだ。
 超科学的なアイテムを利用した非現実的な逃走劇に、黒服達はついて来れなかったのであった。

◆カークとノーネーム
 予備の端末からセキュリティを回復させたカークは、回復させた途端に鳴り響いた警報に驚いたものの、すぐに黒スーツ達が大勢向かっていった事で、ひとまず安心していた。
 威圧感をもって人の家を好き勝手に歩き回っていたのだ。名目くらいは果たしてもらわないと、割に合わない。
 しかし、いつまでたっても侵入者確保の報告がない。してやられたという報告すらない。
 仕方無く、自分の目で確かめるべく、まっすぐ地下へ急いだ。
 そして、地下に降りた瞬間、カークは言葉に詰まった。廊下に黒スーツの男達が折り重なって倒れていたのだ。
 しかも、保管室の扉は開けっぱなしになっている。
 カークは、慌てて保管室まで走ると、中を見て愕然とした。
 美術品が根こそぎなくなり、がらんどうとなっていたのだ。
 一歩一歩、よろけるようにして室内に入ったカークは、現実を受け入れられずにいて、しばらく何も言えなかった。
 にわかに、はっと気付いて壁等を確認する。が、光学迷彩やホログラムで隠されているわけでなく、本当に消えていた。
「これは……どういうことだ……?」
 壁の絵も、鎮座していた像も、何もかもがなくなっていた。
「こんなことが、あって良いはずが――」
「いいえ、当然の報いです」
 思わず漏らしてしまった独り言に対してかけられた声に驚いて振り向くと、部屋の中に踏み込んできた者達がいた。
「な、な、なんだおまえ達!?」
「BICOの準捜査官だぜ」
「美術品を『盗品』と知って購入した罪であなたを逮捕します」
「周辺の道路も封鎖されています。逃走はできません。おとなしく同行願います」
 警察手帳や逮捕状を見せる陳晶晶エイプリル・レモンエルミーネ・クロイゼル達にカークは震え上がる。
「こ、国際警察だと! ……ふん。その盗品とやらはどこにあるんだ?」
 証拠の盗品がなくなった以上、むしろ逮捕されにくくなったとも言える。
「無駄な抵抗は、やめた方がいいぜ……クエーサーでどんな取引が行われたのか、わかっているんだ」
 クエーサーの名前が出た途端、カークの顔色が変わった。
 犯罪者が安全に取引できるはずのプラットホームでのことだ。安全という前提の元で発信された情報が警察に把握されていれば、逃げ場はない。
「なぜ、こんなことを」
 晶晶に問われても、まだカークは言い淀んでいた。
 その様子に、エイプリルが口を開いた。
「私はカークも家族も救いたいです。罪は許されないけど、その罪は償う事ができる。罪人が親という重い十字架を子どもに背負わせたくないよ」
「罪を……償う?」
「そうです。司法取引に応じてください」
 エイプリルの提案に、カークは驚いていた。
「盗品を買ったという罪は許されないけど、盗品を自らの金で買い持ち主に返してあげていた事にする事はできるから」
「……どうやって?」
「それは……」
 と、エイプリルは説明しようとして、言葉に詰まった。
 美術品は我々、ローゼンナハトが返せば良いと思っていたし、事実その予定であったが、それでは、今美術品を盗み出したのは自分達だと白状するようなものである。
 しばし迷うも、エイプリルは、本物の代わりに精巧なレプリカを返すのだと説明した。
「実は、カークがクエーサーで買った物のうちのいくつかは、私達が仕掛けたレプリカだったんだけど、気づいたかな?」
 それで特定出来たという告白に、カークは数秒の後、ため息を吐いた。
「……なるほどな」
「家族の十字架も軽くなるでしょうから」
 エイプリルは続けて具体的な手段の話へ移した。
「司法に委ねられている間は合衆国の証人保護プログラムがカークを護ります」
「アメリカ警察とは、既に連携はとれています。ご家族も共に保護プログラムを受けられるように手配いたしました」
 エルミーネが説明を引き継いだ。
「カーク氏は組織と接触し盗品売買を行っていましたが、家族を組織から人質にとられ関係の継続を強いられていたと思われます。身柄を保護して証言者とすることで司法取引できるはずです」
 エルミーネが、自分達の狙いを話す。本人だけが保護されても、家族が護られないと安心できないだろう。そこで、ちゃんと家族も保護されるように手続きを踏んでいたのだ。
 家族の生活も変える事になってしまうが、どちらにせよこのまま今の生活を続けるのは危険すぎるので、仕方ないだろう。もし、証人保護プログラムを受けられなかった場合は、セルティックフルート島へ避難させる案が出たくらいだ。
 けれども、まだカークの口は重かった。今から逃げようというそぶりはなかったが、このまま逮捕して、それですっきり解決となるかは……。
 学生達が迷っていたそのとき。
「すまなかった、カーク!」
 扉を開け、叫びながら入ってきた人物を見て、カークは目を見開いた。
 息を切らせてやってきた人物を、ほとんどの学生達は直接目にしたことはなかった。
 仲間から調査結果だけを聞いていた、カークの友人。カークを裏切った男であった。
「君の大切な人を奪う事になってしまい、本当に悪かった。だが、仕方無かったんだ」
「何が、仕方無かっただ。一番大切だった人を、一番の理解者だと思っていた、おまえに奪われた俺の気持ちが分かるか!」
 怒りと悲しみ、後悔と恨み。いくつも混じり合った想いを全て吐き出すような声がカークから友人にぶつけられた。だが、友人……いや、友人に変装した冴香は、申し開きを続けた。
「あのとき、実家の事業が傾きかけていたんだ。当時の俺の稼ぎじゃ、まだ両親を救う事は出来なかった。けれど、それを助けてくれる、資金援助してくれると言ってきてくれた組織があったんだ。おかげで、実家の事業は持ち直して、再び軌道に乗ったよ。でも……」
 言い淀む友人にカークはにらみを利かせ続けていた。下手な事を言えば、いつでも殴りかからんばかりに。
「そいつらは、売った恩を両親に押しつけたんだ。気がついた時には、かつての君の恋人と俺は、婚約したことになっていた。俺はすぐに両親に文句を言いに行ったさ。もちろん、彼女とも話しをしようとした。だが、両親からは『この話を断れば、資金を引きあげられる』と言われ、彼女も『彼らに逆らう事はできない』と言われた。どうしようもなかったんだ」
「……言い訳はそれだけか?」
 カークの促しに、友人はその名を告げる。
「その組織の連中は自分達をこう名乗っていた。『ダブルオー』とな」
「おしゃべりはそこまでにしていただきましょう。招かれざるお客様方」
 カークの怒りの視線が、友人から今部屋に入ってきた2メートルを超えるサイズのロボット風パワードスーツへと移された。
 コネクター専用のパワードスーツを纏った、コネクトボーグだ。
「ノーネーム! 今の話、こいつに俺を裏切らせたのがおまえ達というのは本当なのか!?」
 カークの震える声に、コネクトボーグのノーネームは、おもむろに彼へ近づきながら今までと変わらぬすました声で応えた。
「さあ? ただの警備担当である私には分かりかねます」
 肯定も否定もされなかった。カークは怒りのぶつけどころが見つけられず、唇を強くかんだ。
「誰より自分の理解者だと思ってたら、裏切られた、か」
 晶晶が憐憫の目を向けた。
(それは、大きな衝撃だろうな。世界が変わるほどの)
 自分の身に置き換えて想像するだけで、身の毛がよだつ。しかし、準捜査官としては、言わねばならぬのは――
「だがな、金と権威はそれを解決してはくれないと思うぜ」
「なんだと……」
 晶晶の指摘に、カークは逆上しそうになった、そのときだった。
「もう良いのよ! あなた!」
 声をした方に全員が振り向くと、そこには、妻クロエの姿があった。
「お父さん! 僕達はお父さんの味方だよ」
 マイクの姿も。
「あたしも、だよ」
 ジェシカの姿も。
 自分の無様な汚点を見られ、知られたカークが、崩れ落ち、うなだれる。が、アルカに付き添われたクロエは、カークへ思いをぶちまける。
「お金にも恵まれて、子供にも恵まれて……でも、みたされなかったのは、あなたとの繋がりが途切れてしまいそうだったから。あなたと一緒にいたいの。あなたこそ私を裏切らないで、ずっと傍にいて!」
 スティーヴと共に来たマイクも、父親への思いを叫ぶ。
「お父さんはもともとヘンだったけど、好きなお父さんだったよ。ここにかくしてた変な絵とか像とかなくなったんだから、またむかしの好きなお父さんにもどってよ」
 ジェシカは、アリスと共に両親と兄の思いを聴く。まだ理解はできないかもしれない。けれども、思いは感じ取れる。
 自分が犯した罪によって、本来ならば最も近くで守り、支え合えるはずだった存在である家族達と一方的に離れてしまっている事に、カークはようやく気付かされた。
「……今度こそ、話してくれないか?」
 晶晶の再度の促しに、カークは、今度こそ、ぽつり、ぽつりと話し始めた。
「はじめてダブルオーが近づいてきたのは、『パーソナルバム』を立ち上げた頃だった。俺達の実力を見込んで高額報酬で技術提供を求められたんだ。はじめは断ったさ。法外な額の融資には必ず違法な裏がある。自分は真っ当に会社を成長させたかった。だが、次に個人的に接触してきたんだ。『その会社は君の技術あってのものなのに、会長とは名ばかり。君は利用されているだけ。実質的な会長職だけでなく、もっと大事なものも奪われるかもしれない』と」
 過去を語るカークの言葉は、後悔に満ちていた。この時もまだダブルオーの言葉に同意せず、要請を突っぱねていた。だが、その後は、冴香や宵蓮が掴んだ情報の通りだった。
「その後、おまえの裏切りだと思ったあの件があった。それでも会社には残ったが……ダブルオーは『優秀な人材も育ってきた。彼はそろそろ君を放逐して、会社を独り占めする気では?』なんて言う」
 そのときは、そうかもしれないと思わされてしまった。という。
「ジェシカが生まれる少し前に、技術提供を承諾し、クエーサーの基礎プラグラムの構築等を担当したんだ。それで受けた融資は、必要最低限の分以外は、すぐに美術品に変えたよ」
「どうして美術品に?」
 エイプリルが尋ねると、カークは答えた。
「物言わぬ美術品だけは裏切らないからね。ずっと傍にいて見守ってくれる」
 にわかに信じられないような理由であったが、カークの瞳は真剣で、うそを言っているようには見えなかった。
「でも、美術品はいつ家族に売られてしまうかわからない」
「だから、かくしてたんだ……」
「……見つかってたみたいだけどな」
 カークはマイクへ微笑みかけた。息子の成長を喜んで。
「そして、こう思ってしまったんだ。『世界へ復讐してやろう。富と権威が無ければ人並みの幸せを得る事も許さない世界に』。そうしたら、ダブルオーは、警備を派遣してくれた。代わりに俺に前以上の仕事を頼むようになった。だが、この関係も今日までだ」
 カークは学生達へ向けて両手を挙げた。
「司法取引に応じる。このまま逮捕してくれ」
 カークの覚悟を決めた言葉に学生達は胸をなで下ろし、緊張が一瞬解けた。
 だが、次の瞬間には感じた殺気に身が引き締められた。
「それは困ります。契約違反です。あなたにはまだやっていただく仕事がたまっているのですから」
 殺気は当然、ノーネームから放たれたものであった。
 更に、部屋の入り口からは、黒服のコネクター達がなだれ込んで学生とカークの家族達を取り囲もうとしていた。増援もいれば、廊下に倒れていた物が起き上がった分もいそうだ。
「ここにいる目撃者達を全てを亡き者にして、あなたをダブルオーの施設へ連行します」
 やりなさい。とノーネームがコネクター達に号令した。
 それぞれ、金属製の拳を握りしめたり、仕掛け刃を伸ばしたり拳銃やサブマシンガンを構えたりして戦闘態勢に入ったコネクター達だったが、学生達にこの拳や刃を振り下ろすよりも先に、コネクター同士で殴り合い始めたのだった。
「何をやっているんですか!?」
 ノーネームが一喝するも、止まる様子はない。突然の同士討ちに対応できなかったコネクターから一人ずつ戦闘不能になって床に倒れていく。
 最後まで立っていたのは二人だけだった。
「やっぱり機械の手足見せてやりゃいいだけだったろ?」
「今回はたまたまうまくいっただけだ」
 軽口をたたき合う彼らの顔をじっくりと見て、マイクが驚きの声を上げた。
「あ、黒服の中のやさしいおじさんたち!」
 マイクの声援に黒スーツに紛れ込んでいたブライアン・ビリンガムはちらりと視線をやり口の端を上げ、同じく煌宵蓮も黙礼した。
 巡回していた黒スーツのコネクター達の集団に入り込んでいた二人は、黒服の厳つい男達に怯える少年に声をかけた事があった。
「俺様、子どもも嫌いじゃねぇのよ」
 意外そうな顔をした者達へ、ひょうひょうと言う。
 任務を離れて一緒に買い物に出かけたりまではできなかったが、ちょこちょこ話をする機会はあったのだ。
 宵蓮も、言葉は少ないが、敵ではないと分かってもらえるように、威圧感を与えないように行動し、仲間のフォローもあって、味方だと思ってもらえていたようだ。
 ノーネームは舌打ちをして、学生達をにらむ。
「だが、そろそろアルファ班も、外の不審者を片付けて駆けつけ――」
「彼らなら、外でおねんねしてるわよ」
 開けっぱなしの扉から次に入ってきたのは、怪盗スーツを纏った、ドロシー・ロマンシアだ。
 小さな体躯を包むスーツは、いつもの青と白が基調のパステルカラーなファンシー系な配色でなく、闇に溶け込む濃い色だった。
 その姿に、ノーネームは戦慄する。
「まさか、一度襲撃されて消耗していた部隊とはいえ……こんな小娘相手に何をしているんですかあいつらは」
「失礼ね。元気な状態でも、わたしなら……わたし達ならきっと勝てたわよ」
 見せたかったわね。というドロシーの戦い方は、今回のスーツのカラーを活かした、闇に溶け込むもの。
 外に待機していた学生達から、テーマパークで潰されていた黒服達がある程度回復し、カーク邸に戻ろうとしているという報告を受けたドロシーは、庭の暗がりに潜み、黒服達がやってくるのを待ち構えていた。
 まもなく、玄関まで乗り付けてきたワンボックスカーから黒服達がぞろぞろと降りてきた。どいつも疲れた顔をしていたが、それだけイリヤにコテンパンにされたのだろう。
 そんな状態の彼らに不意打ちを仕掛けるのも、少しだけかわいそうに思えたが、それでも仲間の為に容赦するわけにはいかなかった。
 ドロシーは、暗がりから飛び出すと、一人の首元に手刀を繰り出して、意識を奪った。
 侵入者に気付いた黒服達がそれぞれの得物を手にし、ワンボックスカーも急発進しようとする。
 だが、その前にドロシーがシザーグローブの爪でワンボックスカーのドアをひっかいてみせた。
 ドアに深々と残った傷を見て怯えた黒服達を一人ずつ沈めるのは、少し手間ではあったが問題なかった。
 ドロシーは、外の黒服達を殲滅した後、逃げるか中に踏み込むか迷った末に、クロエや子ども達が悲しまずに済むか気になり、侵入する方を選んだのであった。
 エヘンと胸を張るドロシーに、ノーネームはいらだちを隠せなくなってきていた。
「……まあ、いいでしょう。私一人でも問題ありません。全員押しつぶしてあげましょう」
 鉄塊と言えそうな拳を打ち鳴らし、ノーネームは学生達へと挑みかかった。
 学生達からは、ファントムランサーを構えた晶晶が一番槍としてノーネームを迎え撃つ。
 まずは、ノーネームをカークから引き離すべく回り込んだ晶晶に、引き寄せられるようにノーネームは動く。ひとまず、いきなりカークの口を封ずるつもりはなさそうだが、そう思った時にできない位置関係にしておくべきではあろう。
 2本に分割した槍から流れる曲にのって舞うように腕を振るう晶晶に対して、ノーネームは無骨に、正面からただ重量に物を言わせた拳を振るう。
 2本の刃がノーネームの両腕とぶつかり何度も火花を散らす。
「そんな遅い攻撃で俺を倒そうなんて、百年はえーよ」
「あなたのなまくらこそなんですか。百年かけても倒せませんよ」
(確かに、見た目通りの硬さだ)
 全力で突いてようやくかすり傷を付けられるレベルで、ちょっと当たり方が悪いと傷にすらならない。
 膠着状態になると、偶然の一撃が怖くなるが、学生達は一人だけで戦っているわけではない。
「そんなものかしら? 新型の後輩さん」
 リュディア・ラヴィオラのイスラエル製50口径オートマチック拳銃――通称『砂漠の鷲』――が火を吹く。
 マグナム弾の使用が前提の驚異の大口径から放たれた弾丸は、信念を貫くべくまっすぐに飛び、機械の腕を弾いた。
 ノーネームは反撃の代わりに鋭い視線を返してくるが、ひるまず次々と撃ち込んでいく。
 だが、大口径のマグナム弾であっても、与えられるダメージは微々たるもの……当たり所によっては傷にもなっていない。
(くぅ。私が発勁の技をもっと鍛えられていたら、パワードスーツに護られた内側に威力を浸透させられたかもしれないのに……)
 ドロシーは悔やんでいた。彼女の発勁の基礎的な力は達人のレベルまで鍛えられていた。だが、具体的な技は修得できていないのでは、戦場で発揮することはできない。
 晶晶とリュディアの1発1発のノーネームへのダメージはわずかであったが、積み重ねに業を煮やしたノーネームが、力任せに晶晶を振り払い、リュディアとの距離を詰めようとした。だが、そこに切り札を使ったブライアンが立ちはだかった。
 次世代型のギアを装着したブライアンの切り札。
 アームギアとレッグギアにそれぞれ搭載された瞬間加速用ロケットブースターを全開にし、人智を超えたスピードでノーネームへラッシュをかけて、コネクトボーグの純粋な重量とパワーにも負けずに押し返した。
 ノーネームの進攻を止めた強力な攻撃であったが、代償はあった。電力消費が大きく、多用も長時間使用もできなかった。
 限界まで拳を打ち込んだブライアンが引いて、今度は宵蓮が入れ替わって前に出た。
「そんなつまらないものは――」
 宵蓮は大振りで叩き込まれる太い腕をギリギリまで引きつけると、ノダチを一閃!
 振り切った刀に刃こぼれ一つなく、ノーネームの腕は半ばで断ち切れ、重い音を立てて床に落ちた。
「そんな、馬鹿な!」
 目を見開き、これまでの余裕がなくなってきたノーネームへ、宵蓮は冷静に次の一撃を狙う。
「俺に斬れぬものなどない!」
 宵蓮の脚を狙ったなぎ払いに対して、ノーネームは大きく飛び退いた。その表情には焦りが見られていた。
 まさかがあるのでは――というノーネームの不安を実現させる為に、学生達はたたみかけた。
 晶晶が再び懐に飛び込み、2本の槍でノーネーム翻弄すれば、よろけたノーネームをエイプリルがFn社製の22口径オートマチック拳銃でノーネームを撃つ。
 放たれた弾丸は音速を超える速さでノーネームに届き、回避の隙を与えず、無事な方の肩の接合部に損傷を与えた。
 ノーネームが逆転の手を探して周囲を見回せば、クロエやマイク、ジェシカ達には、手出し出来ないよう、アルカ達にしっかりと護られていた。
 カークとの間には、常に晶晶がいて、そちらに手を出すのも無理そうだ。
 宵蓮にも迫られ、逃げ切れずにもう片方の腕も切り飛ばされても、ノーネームはまだ戦意を喪失しなかった。
 だが、仲間も既に壊滅させられ、自らも圧されている状態から逆転する手は残されていなかった。いや、学生達が残させなかったのだ。
 リュディアの放つマグナム弾でバランスを崩したところを、宵蓮が居合で袈裟懸けに切り裂き、ノーネームはとうとう崩れ落ちた。
 準捜査官達の奮闘により、コネクトボーグのノーネームもカーク邸にいた黒服達も、全員戦闘不能にされて確保された。

 マンホールの蓋を外し、路上に出た怪盗達。すぐ側に止まるトラックの運転手が彼らを見下ろしていた。
 明らかに不審な彼らに対して、運転手は咎めることも、通報することも、逃げることもせずに、ただ一言、発した。
「……お疲れ様だ」
 運転手は、先回りしていた典人。屋敷の外で待機していた典人は、下水道を逃げる者達からの連絡を受けてから行動開始。土地勘がなくとも、迷うこと無く落ち合う地点に辿りつき、マンホールが監視カメラの死角になるように停まって待っていたのだ。
「傷はついていないと思いますが、あとで確認しませんとね」
 フロウティアが、積み込む美術品を愛おしそうに眺めていた。
 美術品を全て積み込み、怪盗達も乗り込んだ事を確かめると、典人はすぐにトラックのアクセルを踏み、何事も無かったかのようにその場から離脱した。
 その後を追う者は、誰もいない。

 こうして、プラン「P」は完遂された。

◆アフター
 世界各地で行われた逮捕劇は、おおむね順調にいき、多くの大物犯罪者達が逮捕された。
 クエーサーの評判と魅力に傷がつき、緩やかにかもしれないが、利用者は減少していくだろう。
 さて、そのクエーサーについて学生達、特にマクシムが尋ねると、カークは少しバツが悪そうに答えた。
 クエーサーについては、基礎プログラムなどを担当したものの、それ以上のこと、ダブルオーについてはほぼ知らないというのだ。学生達やローゼンナハトが考えていたほど深くは、ダブルオーの闇に取り込まれていなかったのだ。
 マクシムがカークのアカウントでクエーサーにアクセスしてみたが、やはり、めぼしい情報は残されていなかった。
 期待に沿えず申し訳ない。と話すカークであったが、それでも、もしかしたらと、予想されるセキュリティ・ホールについて話してくれた。
 それは、クエーサーの開発に関わった天才だからこそ気付くことができたセキュリティ・ホールであった。
 ここを足掛かりに、またダブルオーの闇に風穴を開けることができるかもしれない。
 ローゼンナハトとダブルオーの闘い、今回はローゼンナハトに軍配が上がったものの、まだまだ戦いは続く。


※お詫び
 旭吉SDが執筆継続困難となったため、野間崎 天SDが代筆させていただきました。
 このたびはご迷惑をおかけし、まことに申し訳ございません。



 10

参加者

b.俺はこっちだな。接近戦を戦う。
シグナ・ガントレット(pa0058)
♂ 20歳 弾知
d.【P】美術品の運搬員や、警備会社の職員に成り済まして内部に潜入するよ。
アルフォンス・サインツ(pa0087)
♂ 24歳 弾忍
d.とりあえず、こちらの予定です。どうするかはまだ…(うーん)
メレディス・メイナード(pa0098)
♂ 22歳 探魅
d.美術品を保護致します。
フロウティア・モリスン(pa0099)
♀ 22歳 忍知
サポート
b.向こうに紛れて、情報をコントロールするね。よろしくね
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 23歳 知魅
c.妻クロエに対応するわ。
アルカ・アルジェント(pa0217)
♀ 24歳 弾魅
a.闇社会を牛耳っているつもりなら、驕りだと気付かせてあげる。
ヴェロニカ・ラプシア(pa0222)
♀ 21歳 英忍
b.とりあえず警備が殺到しちゃうと厄介よね?
ドロシー・ロマンシア(pa0318)
♀ 20歳 刃乗
z.氏の過去を色々と調べてみようか。 あぁ、変装するなら手伝うよ。
中藤冴香(pa0319)
♀ 25歳 探魅
c.【P】保険外交員とか、営業マン的な雰囲気で近寄っておきますね。ふふっ♪
ルイ・ラルカンジュ(pa0432)
♂ 24歳 英魅
a.【P】作戦の総合的なコーディネートを担当します。セキュリティ解除等々。
マクシム・ヴェッカー(pa0436)
♂ 27歳 探知
a.【P】決め手となる収穫、か。巧く得られればいいんだがな。
イリヤ・ヴォエヴォーダ(pa0440)
♂ 25歳 刃乗
c.ミーはマイク殿と接触してお友達になろうと思うでゴザル。
スティーヴ・カラサワ(pa0450)
♂ 22歳 忍知
c.ジェシカと仲良くなって話を聞いてみるわ。
アリス・クラーク(pa0456)
♀ 21歳 刃知
e.逮捕のときほど気をつけて
エイプリル・レモン(pa0679)
♀ 27歳 探知
c.家族対応、主に子供の対応の方で動こうと思う。
オリバー・カートライト(pa1468)
♂ 22歳 忍魅
b.【P】警備員の顔なんかいちいち覚えちゃいねぇだろ?ちったぁ似せとくか!
ブライアン・ビリンガム(pa1505)
♂ 26歳 乗機
a.主にセキュリティ関係のお手伝いをします
斧箭鎌刀(pa1581)
♂ 20歳 刃知
b.タイミングを見計らって突入、コネクターの相手をするわ。
リュディア・ラヴィオラ(pa1605)
♀ 22歳 弾機
e.逮捕のための必要手順を踏み、逃さないよう手配を行います。
エルミーネ・クロイゼル(pa1729)
♀ 23歳 英探
b.【P】我思う故に我在り…彼は、何を思い何を成し遂げたかったのだろうな?
煌宵蓮(pa2148)
♂ 24歳 刃機
e.もしもの場合(ノーネーム)に備えるぜ
陳晶晶(pa2267)
♂ 23歳 刃機
d.【P】美術品を頂く!ちょっとした壁ならすり抜けて中に入っちまうっすよ。
ダンテ・ヴェッキオ(pa2360)
♂ 24歳 弾超
d.【P】美術品回収班です。美術品の運搬業者に成り済まして、潜入します。
カルロ・ヴェッキオ(pa2361)
♂ 24歳 知超
 『プランP』、成功させようね。
ベイリー・フェルト(pz0011)
♂ 29歳