【BP】今日という日に

担当叶野山 結
タイプイベント 日常
舞台Celticflute
難度易しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2019/11/22
結果成功
MDP中藤冴香(pa0319)
準MDPゲルト・ダール(pa0208)
シルフィ・レオンハート(pa0829)

オープニング

◆来訪者は用意する
 授業も終わり、放課後を迎えたUNICO内にて。学生達からの質問に答えているナサニエル講師の下に、一人の来客がやってきた。
 彼の名はサミー。眩い金髪をなびかせた、講師よりやや低い身長の男だ。講師の友人だと言う。
「やぁ、ナサニエル! 今年も来たよ!」
「帰れ」
 にべもない。だが、それで諦める男ではない。

登場キャラ

リプレイ

◆下準備はこういう所から
 前もっての準備は大切だ。
 パーティーが始まる前、祝われる側である者達や祝う者達の中で、必要な者達は控室を使用していた。
 特に、女性用の控室では、服装に自信の無い者が助言を貰いに来たり、メイクの不得手な者が得手な者に教わったり、着付けを頼んだりと、一種の戦場と化している。
 対応するホテルのスタッフ達や学生達は目の回るような忙しさだ。
 彼らと共に動き回る中で、中藤冴香は充足感を得ていた。
 化粧や理美容に精通し、更には変装の技術もずば抜けている彼女。
 他人に化粧を施す事が好きな冴香にとって、今この場で張り切らない理由が無かった。
(皆さんに正装させるの、超楽しい)
 レンタルを希望する者へ服を見立て、着せて、それからメイクを施す。
 メイクや服の見立て、着付けだけではない。彼女なりの思慮深さも見せている。
 例えば、主役の者へ、小ぶりのトパーズのアクセサリーをつけさせたり、椿の花を胸もしくは髪に挿すなどだ。祝う者と祝われる者の区別をつけている彼女なりの気遣いは、他のスタッフにも影響を与えていた。
 その一連の流れを先程から色々な者へしているのだが、一向に疲れた様子を見せない様子もまた、影響を与えているのだが。

 メインホールでは、給仕による手伝いなども見受けられる。
 動き回る中で、ジェームズ・クレイトンは、給仕スタイルとしてのスーツ姿に身を包んでいた。
 彼のお気に入りなTシャツは残念ながら封印されており、トレードマークなサングラスをかけたまま給仕している。
 片手に持ったお盆に乗せたシャンパン入りグラスを配膳していく中で、壁の花となっているナサニエル・フォスを見つけた。いつものマントを外し、オールバックにタキシードという正装姿、胸にはトパーズのブローチをつけている為、初見では気付かなかったが、その高身長と手に甘味を乗せた皿を持っているので判別できた。
 講師に近付き、ドリンクの有無を尋ねる。
「先生、一つどうですか?」
「いただこう」
 皿を受け取り、代わりにシャンパン入りグラスを差し出す。
 グラスに口をつけて一度喉を動かしたのを見てから、ジェームズは気になっていた事を尋ねた。
「‥‥というか先生、いつもの格好じゃ駄目な理由はなんですかっ!?」
 彼がいう「いつもの格好」とは、萌系のイラストがプリントされたTシャツの格好という事だろうか。
 講師は少し考えた様子を見せてから、彼に向き直った。
「こういった場では正装で溶け込む事もまた、今後に必要であるからだと考える。いつ何時、どんな事態になるとも限らないだろう」
 そう言って、もう一度グラスに口をつける。今度は飲み干し、空になったそれをジェームズへ渡す。
「ごちそうさま。働くのは良いが、無理をしすぎないよう、気をつけるように」
 手を振って離れていく講師。その背中を少しの間見送って、ジェームズもまた踵を返した。
 パーティーはまだ始まったばかり。

◆パーティーの進行はつつがなく
 パーティーの進行に、決まったプログラムは無い。
 用意された壇上は、余興を行なう者が居れば自由に上がり、余興を行なってよいという。既に数名程が余興をした後だ。
 オリバー・カートライトもまた、演奏しようかと思い、バイオリンを持った者である。
 だが、その彼は今、ドゥエイン・ハイアットの両手で頬を伸ばされているところであった。
 彼がそういう事をした理由は、オリバーの表情に問題があったようで‥‥。
「祝う時にはもっと笑顔の方が相手も嬉しかろう?」
「う‥‥わかってるよ」
 仏頂面をしていた彼を友として諌めれば、相手も渋々と頷いた。
 その手を離して、次にオリバーの背中を軽く叩く。
「頑張れ」
「‥‥うん。ありがとう」
 友のお礼を聞き流しながら、ドゥエインは祝いに戻る。
 男性陣にはモデルガンを贈り、女性には小さいながらも花束を贈る姿を見て、オリバーは溜息をつく。
 視線の先では、彼は今度はある女性に花束を贈っていた。
 見知った‥‥というか、家族でもあるその女性とドゥエインを見ながら、もう一度溜息をついた。
「‥‥ドゥエインみたいに出来ればいいんだけど」
 それは彼の意識次第。
 彼はどのように祝ったのか、それがわかるのはあと少し後の事。

 メレディス・メイナードはパーティーならではの正装に胸に椿の花を一輪差している。そんな彼だが、並べられた料理を前に少しばかり思案していた。
 食事への興味が薄く、食べられれば「美味しい」と認識する彼にとって、このパーティーで出された料理も例外ではなく。どれを食べても一緒なのでどうしたものか、という顔だ。
 悩む彼の隣に、誰かが立つ。片手に皿を持ったナサニエル講師の姿を認め、メレディスは彼に声をかけた。
「ナサニエル先生、誕生日おめでとうございます」
「そちらもおめでとう」
 互いに祝われる側であるがゆえの応酬ではあるが、さておき。
 会話を続けようとしたメレディスの下へ、アデライン・エルムズがやってきた。
「メレディス、お誕生日、いや、お誕生月かな? とにかくおめでとー!」
「ありがとうございます」
「‥‥では、私はこれで。良い時間を」
 軽く会釈をして、講師はその場を後にする。皿の上にちゃっかり甘味を乗せて。
 二人も講師へ軽く会釈した後、改めて互いを視界に入れる。
「お料理も美味しそー!」
「そうですね。どれから食べましょうか」
 悩んだ結果、アデラインが取ったのとは別の物を選択する。
 すぐにつまめる物を皿に乗せ、テーブル席まで移動していく。
 料理に舌鼓を打って暫く堪能した後、アデラインから切り出された話は、彼女が鞄から取り出した小さな包みと共に。
 ラッピングされた透明の袋の中に入っていたのは、小ぶりのブルートパーズをあしらったピアス。
「誕生石を身につけるとお守りになるって言うしね! メレディスが怪我とかしませんよーに!」
 祈りを込めたその贈り物に、メレディスの目元と口元が柔らかくなる。
「アデルさんにお祝いして頂ける今年の誕生日は、ちょっと特別ですね」
 忘れがちな自分の誕生日をこうして祝ってもらえる事が、胸を温かくするとは、去年までは考えられない事だった。
「今年のアデルさんの誕生日も、来年も、その先も‥‥一緒にお祝いできると嬉しいですよ」
 彼の素直な言葉に、アデラインは顔を綻ばせた。
 その言葉の実現を、互いに夢見て。

 パーティーの開場前、設営の準備などをしていた今井天だが、今は祝う側の人間としてタキシードに身を包み、会場内を回っていた。
 主役に当たるもの達へ次々と声をかけていく。
 アデラインと一緒にいるメレディスを見かけた時は、二人の邪魔をしないように祝う言葉だけ述べてすぐに立ち去ったが。
 次に目を留めたのはシルフィ・レオンハート
 肉料理が並んだテーブルとにらめっこしている彼女を見て、相変わらずだなと思いながら声をかける。
「ほら、シルフィ。鳥行くか? それとも豚か?」
「ぴっ?」
 一瞬困惑した彼女だが、天の姿を確認すると、すぐに笑顔をみせてどの肉にするつもりだったのかを話す。
 それを聞き、彼女の手が届きにくい場所の物をとってやる。
 彼らの後ろをマクシム・ヴェッカーが通り過ぎる。隣にはアルフォンス・サインツの姿もある。
「おお、マクシム! お前も食うか? 美味いぞ」
 無言で首を横に振り、その場を後にした二人を見送る。
 シルフィにせがまれて肉をとりわけた後、彼は次の人へ祝いの言葉を贈るべく、再び会場内を歩き回るのだった。

 マクシムには壁に置かれた椅子に座って休んでもらい、アルフォンスは「少し待ってて欲しい」と言い残してシルフィの下へ行った。
 肉団子をてんこ盛りにした肉パフェを作り、キャンドルと共にシルフィに渡した後、彼は戻ってきた。
 お礼の言葉を背に受けながら戻ってきた彼は、途中でジェームズからシャンパングラスを二つ受け取る。
 一つを差し出し、マクシムが受け取ったのを確認してから自分も隣に座る。
 共に会場内の方へ顔を向けながら、アルフォンスの方から話が切り出される。
「‥‥ヴィキ、23日生まれだったな。いつも俺たちを助けてくれてありがとう」
「アルフォンス? 何ですか急に改まって」
「俺の両親のことについても、ヴィキのおかげで辿り着くことができた。感謝しているよ」
「何を今更、ですよ。私は私の仕事をしただけです」
 あくまでそれが自分の役割だというふうに話す彼に対し、アルフォンスは口元に感情を乗せる。
「気の利いたことは言えないが、これからもよろしくな」
「根回し、裏方は任せてください。成功の積み重ねが、私に自信を与えてくれる。良き仲間に乾杯です」
 グラスをぶつけないようにしながら言葉を交わし合う。
「貴方がうちのリーダーでよかったと思っていますよ」
 面白い事が転がり込むのに加え、背中を預けられる相手である。
 その事を告げられ、アルフォンスの表情が柔らかくなったのを知るのは、ヴィキと呼ばれた男だけ。

 そんな二人の空気に割って入る者が居た。
 斧箭鎌刀である。
 彼は「失礼します」と一言断りを入れてから、マクシムへと向き直った。
「僕からささやかながらプレゼントを」
 そう言って彼が差し出したのはUSBメモリ。
 マクシムが理由を問う前に、鎌刀が話す。
「花や物品より儚くも1と0が織り成す芸術の方がお好みかと思いまして。結構頑張ってみました」
 大真面目な顔で言われては、マクシムの方も期待せざるを得ない。
 御礼の言葉を受けて、鎌刀はその場を後にした。
 次に彼が遭遇したのは、ナサニエル講師。
 既に空の皿に一瞬だけ目をやった後、何事もなかったかのように講師へ祝いの言葉をかける鎌刀。
「ナサニエル先生、おめでとうございます。何処かの文芸部の部長が悔しがっていました」
「そうか、彼女にもよろしく言っておいてほしい」
「はい。それから、これは先生の為でもある会です。今日という日を楽しんで下さい」
「‥‥そうだな、ありがとう。だが、それは君にも同じ事だ。楽しむといい」
「はい」
 応酬の後、二人は踵を返す。
 どこか不器用な真面目さを持つ彼らもまた、パーティーを楽しむのだった。

◆祝い、祝われ、また来年も!
 ゲルト・ダールは、同じサークルの後輩によってホテルまで連れてこられていた。
 色原朔から、バイクで出かける誘いを受けてOKしたところ、辿り着いたのはツインタワーホテル。
 レンタル服の手配をしてあると言われ、控室に行けば、朔が用意したという、レースが大人っぽい落ち着いた緑のパーティードレスがあり。
 ついでにそのドレスと共に待ち構えていた冴香によってあれよあれよという間に化粧を施され、ドレスを着せられ、髪には椿の花が一輪添えられる。
 そのままでは胸元が寂しすぎるという理由で、トパーズのネックレスもかけられた。
 パーティー会場に入れば、既に始まってだいぶ経ったようだ。今はオリバーが演奏するバイオリンの音色が流れている。
 あるテーブル席の前でシルフィと共に朔が居るのを見つけた。彼女もまたパーティードレスを着ており、ゲルトを手招きする。
 パーティードレスに肩掛けポーチをかけたシルフィの腕の中には、ぬいぐるみが一点。先程義弟のオリバーから貰ったプレゼントだ。
 素直な「おめでとう」の言葉と共に贈られた。プレゼントもだが、その言葉も彼女にとっては嬉しいだろう。
 朔からもプレゼントがあるという。シルフィとゲルトに贈ると前置きされた上で渡されたのは箱。
 ワクワクした顔で二人はその箱を開けて――――出てきたのは風船だった。
 目を丸くする二人の前で、朔は余裕のある顔で微笑む。
 そして、彼女が体をズラした。テーブルの上に現れたのは皿に乗った水晶。よく見るとそれはケーキだとわかる。
「パティシエに依頼して作ってもらったケーキだ。ゲルトにはアメトリン、シルフィにはシトリン。チョコレートベースだから甘いと思う」
「ありがとう、朔!」
「うん、ありがとう」
 二人からお礼の言葉を貰って、サプライズ成功だと屈託なく笑う。
 和やかな空気のテーブル席へ近づく二つの影。
 一つは紅嵐斗。もう一つは一条葵。葵の手には温野菜がたっぷり乗った皿がある。
「肉だけでなく、たまには野菜も食え」
 そう言ってテーブルに乗せれば、シルフィの顔が若干引きつる。
(ちゃんと食べればプレゼントがあるんだが)
 全部食べたら、チェーンでのステーキ店にて使える食事券が現れるようになっている。
「たくさん食べて大きくなるんだぞ」
「‥‥びぃ、わかったYO」
 彼女がちゃんと食べてくれる事を祈る横で、嵐斗がシルフィに話しかける。
「はい、プレゼント」
 差し出されたのは、推理系のカードゲーム。
 ミステリー研究会の部長として、それに目を向けない訳がなく。
「ルールは簡単だけど駆け引きや観察眼、想像力も必要だからミステリー研究部のみんなで遊ぶのにちょうどいいんじゃないかな」
「いいNE! ありがとうだよ、嵐斗!」
「どういたしまして。面子が足りなかったら呼んでくれていいからね」
「その時はお願いするYO!」
「それはそれとして、野菜も食べるんだよ?」
「ぴぃー‥‥」
 わかりやすいほどに項垂れた彼女に苦笑する。
 テーブルの上と彼女の周りを見回して、嵐斗は思った事を口にした。
「君はやっぱり友達に恵まれてるんだね」
 その呟きは、演奏を終えたバイオリンへの拍手にかき消され、彼女の耳に届く事は無かったけれど。
 その近くを、ドリンクサービスに回っているジェームズが通る。
 彼を見つけたシルフィは、ジェームズに声をかけて近付くと、「お祝いしてほしいんだYO」と話す。
 対する彼は、残念そうに首を振った。
「悪い。今日はスタッフ参加だから持ってないぜ。けど、浮かれすぎて忘れ物しないようにな?」
 項垂れた彼女が別れの挨拶をして踵を返す。
 それを、ポーチが汚れてると言って止めて、汚れを払う為に手に取った。
「ほい、これで大丈夫だ」
「ありがとうなんだYO!」
 笑顔でお礼を言い、今度こそ踵を返して他の人に話しかけに行くシルフィ。
(いつ気付くかねえ)
 こっそり忍ばせた、ある封筒。
 似顔絵つきのバースデーカードと美味しいお肉屋のリストが入った封筒。バースデーカードには「君は世界中の愛を受けるに値する」と書かれている。
 贈り主の名前が書かれていないそれを、彼女が気付くのはいつだろうか。

 シルフィへのプレゼント渡しも、演奏も、やり切って休憩するオリバー。
 隣に座った冴香に気付き、お互いに労う。
(来月はそういえば‥‥俺の誕生日だったけど‥‥祝ってくれるのかな‥‥)
 ふと気になって、オリバーから冴香へ声をかける。
「冴、来月って‥‥いや、なんでもない」
 結局引っ込めた彼に、冴香が何と返したのかは二人しか知らない。

 ハッピーバースデー!
 来年もまた、君を祝いたい。



 8

参加者

a.おめでとう!
今井天(pa0066)
♂ 21歳 英探
b.シルフィに肉を食わせる日だと聞いて(??)
アルフォンス・サインツ(pa0087)
♂ 24歳 弾忍
a.今年はちょっと特別ですね…?
メレディス・メイナード(pa0098)
♂ 22歳 探魅
b.野菜も食べようね。
紅嵐斗(pa0102)
♂ 20歳 英忍
a.ふふっ、じゃあ、連れていってもらうよ。
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 23歳 知魅
c.どうするかな
ジェームズ・クレイトン(pa0243)
♂ 23歳 探知
b.オリバー、そんな仏頂面で祝うものではないよ。
ドゥエイン・ハイアット(pa0275)
♂ 27歳 英弾
c.ふふっ、おめかしでしたらお任せくださいな。
中藤冴香(pa0319)
♀ 25歳 探魅
a.なんだか気恥ずかしいですね(会場の端で状況を楽しみつつ)
マクシム・ヴェッカー(pa0436)
♂ 28歳 探知
a.誕生日だからお祝いしてくれると嬉しいNA!
シルフィ・レオンハート(pa0829)
♀ 23歳 英探
b.ホテルでパーティーなんて素敵だねーメレディス!
アデライン・エルムズ(pa1094)
♀ 20歳 弾忍
c.う、わかってるよ…ドゥエインみたいにできればいいんだけど(チビを見て)
オリバー・カートライト(pa1468)
♂ 22歳 忍魅
b.(隅っこの人影に気付き)…行きますか
斧箭鎌刀(pa1581)
♂ 20歳 刃知
b.肉が食えると聞いて。
一条葵(pa1712)
♂ 20歳 刃乗
b.さあゲルト、行こうか。行き先はコイツに聞いてくれ、というやつだ。
色原朔(pa2372)
♀ 19歳 英超
 ‥‥(無言でおめかし中)
ナサニエル・フォス(pz0018)
♂ 36歳