【PF02】太陽の仮面

担当九里原十三里
タイプショート 連動
舞台日本(Asia)
難度やや難しい
SLvA(日本程度)
オプ
出発2017/10/06
結果大成功
MDPジェームズ・ワース(pa0279)
準MDPアルフォンス・サインツ(pa0087)
リュヌ・アカツキ(pa0057)

オープニング


 耐震工事中の塔内にグラインダーの音が響く。
 足場の下を見下ろすと、上司の塚原が怒鳴っていた。
「作業やめや三国! 早う降りてこい!」
 下にいるスーツ姿にヘルメットの人物を見て、三国は慌てて電源を切った。
 彼は「林田組」の現場監督だった。

登場キャラ

リプレイ

◆怪盗の現場より
「はぁ?! ヒビて、どういう事です?!」
「しーっ。金子さん、そないな大声出さんといてください」
 公園管理事務所の一室。
 林田組の大島に扮したジェームズ・ワースは人差し指を立ててみせた。
「1週間で何とかしますよって、ここは耐震工事の一部やいうことでお願いします」
「せやけど、黄金の顔いじるいうことになったら」
「この事が公になったら、林田組だけの責任やないゆうことになりまっせ?」
 ジェームズは声を潜め、金子の顔をじっと見た。
「金子さんにも謝罪会見で頭下げてもらうことになるやろなぁ」
「しゃ、謝罪会見て」
「たった7日足場組むだけや。なぁ……文句、あらへんやろ?」
 顔を青くする金子を、ジェームズは静かに威圧した。
 小心者の担当者はすぐに「大島」の要求を飲んだ。
「金子くん、何やえらい真っ青な顔してたなぁ」
「また大島さんに無理言われてるんとちゃいます?」
 ジェームズにやり込められた金子の様子を見て、窓口の職員たちがささやきあう。
 そこへ、1人の大道芸人風の女がやって来た。
「公園使用許可ってここでいいのか? 手品やりたいんだけど」
 ゲルト・ダールの姿を見て、職員たちが慌ててパフォーマー用の許可証を出した。
 そこへそっと近づくと、ゲルトは何かを差し出した。
「何だかお疲れ、って感じだな。甘いものでもどうだ?」
「大判焼き?」
 ゲルトが指を鳴らすと、大判焼きは一瞬にして花束になった。
 ご挨拶代わりに、とゲルトはそれを職員に差し出した。
「太陽の塔が工事中でこれから大きな足場組むからさ。中が見れなくなるだろ?」
 ゲルトは会話の中に催眠術を紛れ込ませ、さり気なく関心を逸らすように仕向けた。
「その代わり、僕の手品を見に来てくれよ。1週間位いるから、また会いに来るな」
「楽しみにしてるわ。ほな、頑張ってや。応援してるで!」
 どうやら今のパフォーマンスでちょっとした「ファン」になってくれたらしく、職員たちはにこやかにゲルトを見送った。
 ゲルトは事務所を出ると、花壇の脇に立っていたリュヌ・アカツキに「大成功だ」と告げた。
「ジェームズさんと僕で事務所の方はうまく誤魔化せた。そっちはどうだ?」
「警備員の巡回ルートが分かりました。太陽の塔の周囲と、自販機のある場所は必ず通るようです」
 リュヌは路上ライブをするパフォーマーに扮し、園内の見取り図や人の動きを観察していた。
 黄金の顔を外した後の搬出ルートを見極めるためだった。
「公園事務所が設定した工事業者の搬出入経路通りに動くしかないようですが、工事車両にはあまり巡回警備員の注意が向いていないようです。もっとも……目立つような事をすればどうなるか分かりませんし、塔の警備員の目もありますが」
 太陽の塔の工事現場にも、ヘルメットを被った警備員が交代で1人立っていた。
 アスマ・スィーンはボルゾイ犬のキロロを連れ、退屈そうにしている警備員に近づいた。
「こら坊主。ここにいたら危ないで。向こうで遊び?」
 幼い少年に扮したアスマを見て、警備員はそう言った。
 その足元には巻き尾の雑種犬が寝転がっていた。
「坊主じゃないよ俺、アスカ。その犬と遊びたいんだ。だめ?」
「ダメやないと思うけど……ペスはここの番犬みたいなもんやからなぁ」
 警備員は中にいる下請けの作業員たちを振り返った。
 下請けの塚原が缶コーヒーを飲みながら修理作業員に扮した大神隼人と談笑していた。
「大神くん、例のヒビってどないなってんの?」
「あー……足場が上がらないから、まだ俺も話聞いただけでさ。だけど、けっこう派手にイッてるって話だぜ」
 隼人が適当に話を合わせていると、警備員が外から塚原を呼んだ。
 塚原はペスと遊びたいと言うアスマに「ええよ」と快く応じた。
「高そうなワンコ連れてんなぁ。お前ええとこのボンボンやろ?」
「へへっ、内緒。親に、危ないから自分の事を外で話すなって言われてるんだ。おーい、ペス、おいで!」
 アスマが犬用のおやつを見せると、ペスはむっくり起き上がって側に寄ってきた。
 どうやらこれで「番犬」の対策は成功のようだ。
 そして足場作業が開始して3日後、ようやく足場が黄金の顔に届いた。
 鉄筋に足場板が渡されるのを待って、アルフォンス・サインツは素早く動いた。
「作業お疲れ様……あの、これ」
「ああ、おおきに。あともう一段上げたら完成やから、これ飲んだらやってしまお」
 アルフォンスからコーヒーを受け取った足場の作業員達は暫くの間休憩スペースで談笑していた。
 しかし、暫くするとウトウトと居眠りをし始めた。
(よし……今のうちだ)
 アルフォンスは睡眠薬が効いている間に足場に上がり、絵筆を黄金の顔の上に走らせた。
 しかしその時、下請けの三国が足場を登ってきてしまった。
「上に誰かおる? まだ途中やし危ないで」
「え、いやその……!」
 棋流山ですゑはとっさに言い訳して三国を誤魔化そうとした。
 すると、1匹の子猫が足場の上から顔を出した。
「何や野良猫か。ほら降りといで」
 三国は猫を抱き、足場を降りていった。
 その間にアルフォンスが作業終了。
 居眠りから覚めた作業員達は黄金の顔を見て「えらいヒビやな」とため息をついた。
「こんなんあと4日でどうにかできるん?」
「大丈夫だって。ウチには優秀な『棟梁』がいるからさ!」
 声をかけられたですゑはニカッと笑ってそう答えた。
 棟梁、と呼ばれたのは同じ海洋部員のケン・サトウのようだ。
「どうも、『佐藤』言います。あと4日以内には仕上がりますよって、撤去作業は予定通りお願いします。ほな皆さんお疲れさんでした」
 ケンは関西弁でさらりと作業員を演じ、足場作業員たちを帰した。
 そして工学の知識を活かし、黄金の顔の設置状況を確認した。
「俺がまずLEDの配線外すね。周りの支柱は部品多くて大変だけど……ですゑさんの工具で十分いけるはずだよ」
 柱や支柱の外し方を間違えれば黄金の顔は70m下に落下し、粉々になってしまうだろう。
 作業には細心の注意が必要である。
「外した途端落ちねぇように先にワイヤー張っとくぜ。目立たねぇように、裏側だな」
 隼人がうまく補助のワイヤーを取り付け、準備完了。
 そしていよいよ、黄金の顔の取り外し作業が始まった。
「もしもし、あの、大型車の貸出をお願いしたいのですが」
 シャロン・コーエンは作業予定を確認すると、工事会社の事務員に扮しどこかに電話をかけた。
 黄金の顔を搬出するトラックを借りようというのだ。
「ええ、重量物の運搬目的です。え? 大型免許、ですか」
 レンタル会社の担当者から「当日は免許証のご提示を」と言われ、シャロンは戸惑った。
 すると、横で見ていた大世宮典人が自分の免許証を無言で差し出して見せた。
 シャロンは手続きしたトラックを取りに行くため、典人と一緒にレンタル会社に向かった。
「ありがとうございます。そういえば典人さん、自分のトラック持ってたんですね」
「……あれだと多分、現場で使う重機は運べない。……高さ50m……一番長いアームが居るからな」
 2人はまず、一番大きいトラックを借り受けた。
 そして次に、黄金の顔を下ろすための重機を見に行った。
 担当者はシャロンに「トラックは問題ないが重機は1日しか貸せない」と言った。
「次の予約入っとるもんで、すんませんが」
「何とか2日に延長できませんか? 時間が押すかもしれないので、できれば、夜まで使いたいんです」
「うーん……せやったら朝イチで返却お願いします。何せ、ウチに1台しかない特別製ですよって」
 どうにか交渉が成立し、いよいよ重機の置き場へ。
 案内された場所に行くと、そこには見上げるような大きな機械があった。
「……よし……これならいける」
 典人は額に手をかざし、満足そうに重機を見上げた。

◆決行前夜
 堅牢な足場とバリケードで囲まれた太陽の塔。
 ゲルトはその前で手品を披露し、観光客を集めていた。
「太陽の塔は残念ながら修理中で、ご覧のような状態です。その代わり、僕の手品を楽しんで行ってください」
 帽子の中から鳩が現れ、歓声が起こる。
 そこから少し離れたハンバーガー店で、ジェームズとリュヌが打ち合わせをしていた。
「典人とシャロンが重機を最終日に手配したらしい。リュヌは当日どう動く?」
「警備員と、それから監視カメラの対策ですね。トラックの搬入時間に合わせて……」
 2人が話していると、そこへ1人の老人が近づいてきた。
 ジェームズが呼んだ「情報屋」は、搬出を決行する時間についてこう話した。
「最近、夜中も公園にぎょーさん人おんねん。明け方の2時から3時くらいがええやろね。4時になるとまた、ランニングとか犬の散歩の人がいてはるし」
 2時から3時の1時間が勝負である。
 情報はすぐに塔の作業をしている仲間にも伝えられた。
 黄金の顔の取り外し作業は順調に進んでいた。
「よし、半分まで切れたぞ。ここから先は、当日でいいな?」
 アルフォンスはメインの柱を切る手を止め、ケンを振り返った。
 ですゑと一緒に支柱を外す作業をしていたケンは「大丈夫」と手で丸を作ってみせた。
「アルフォンスさん、お疲れ様。こっちも終わったよ。支柱も当日にボルトを抜けばOKだ」
「しかし、部品の数がすげぇよな……後で戻すの大変そう」
 Aiフォンのカメラで当日使う工具と作業部分の写真を撮りながらですゑがやれやれと一息つく。
 そこへ、隼人が上がってきた。
「作業員の三国から当日の予定聞けたぜ。19時には作業終わって帰るってさ。塔にいるのは警備員と番犬のペスだけだ」
 そのペスも、アスマにすっかり懐いていてここ数日は塔を不在にしている。
 塔の上から電話をかけると、アスマは芝生広場から塔に向けて手を振ってみせた。
 ペスは芝生の上でキロロとじゃれていた。
「いよいよ明日だな。ペスは俺に任せとけ。うん、そうだな……もう1枚撮っとくな」
 アスマは電話を切ると、カメラの望遠レンズを太陽の塔に向けた。
 フォルダ内には既に塔の周囲や足場の上から撮った何十枚もの写真が収まっている。
「騙してごめんな、ペス。でもペスと仲良くなれて、俺もキロロも嬉しいぞ」
 アスマが頭を撫でてやると、ペスは茶色い巻き尾を千切れるほど振ってみせた。
 するとそこへ、1人の男が「マル」と叫びながら近づいてきた。
「お前、マルやろ?! 何処行ってたんや! えらい心配したんやで!」
 アスマが聞いたところ、ペスは太陽の塔に迷い込み番犬のようになっていたが、本当はマルという飼い犬らしい。
 今日は偶然ここを通りかかったとのことだ。
「親切にしてくれておおきに。見つかったんは坊っちゃんのおかげやわ」
 飼い主はアスマに礼を言い、マルを連れて帰っていった。
 その後姿を美しい夕焼けが優しく照らし出していた。

◆消えた仮面
 真夜中、典人は巨大マシンの操縦席にいた。
 巨体の上から伸びたアームの先には大きな電磁石がついている。
「……やっぱりこのアタッチメントは載ってないな……あの会社で改造したのか」
 今一度性能表を見返しながら典人はそう呟いた。
 そのすぐ近くでは齧りかけのハンバーガーを持ったまま警備員が寝ている。
 大島に化けたジェームズが「差し入れ」に一服盛ったようだ。
 その時、暗がりの中で黄金の顔が動くのが見えた。
「アルフォンス! 傾いてる!」
 ですゑが足場の上で叫ぶ。
 だが、アルフォンスは「大丈夫だ」と返した。
「この角度で下ろせば下のアームまで届く。右に45度……このまま行くぞ!」
 アルフォンスはそう言うと、木槌で柱部分を思い切り叩いた。
 すると、黄金の顔はかたん、と外れて降下し始めた。
「いいぜ! 順調だ!」
 隼人がワイヤーが外れないよう、足場の上を駆け下りて黄金の顔を追いかける。
 そこへ典人の操作するアームが伸び、ワイヤーが伸び切るギリギリで黄金の顔を受け止めた。
 そしてそのまま傍らに停めてあった典人のトラックの荷台に降ろし、外にいるリュヌに電話をかけた。
『了解しました。予定通り出てください』
 リュヌは典人にそう言うと、トラックがバリケードの内側から出てくるのを見ながら公園内を走り出した。
 そして塔を映す監視カメラに向かってコインを投げ、煙幕でトラックの姿を隠した。
 しかしその時、1人のスーツ姿の男が目に入った。
(今、俺以外はここにはいないはず。本物か!)
 リュヌは男に近づき、「金子くん」と声をかけた。
 男はビクリとしてリュヌを振り返った。
「大島さん? えらい遅くまでどうしたんです?」
「金子くんこそ……随分遅いじゃないか」
「いえ、いっぱい引っ掛けた帰りに忘れ物とりに来まして。ていうか、今日変やないですか? ホンマの大島さんです?」
 大島に化けたリュヌにほろ酔いの金子は冗談交じりに絡む。
 リュヌは金子の顔をじっと見た。
「俺の名前は――」
「んん? 何ですそれ、どっかで聞いたようなネタやなぁ」
 とっさに出まかせした名を金子が笑う。
 その間に、トラックは公園から出ていき、残りの学生たちも速やかに撤収した。
 そして翌日――帰国した大島は太陽の塔を見るなり、腰を抜かした。
「ど……どうなってるんやこれ。何やこの足場!? しかも、黄金の顔……なくなってしもてるやん!!」
 前代未聞の黄金の顔盗難。
 この事件に日本中が大騒ぎになったのはいうまでもない。



 16

参加者

a.監視カメラについては警備員に紛れるついでに潜入できれば
リュヌ・アカツキ(pa0057)
♂ 24歳 忍魅
b.関西弁…無理だな…一作業員に成りすまして、巧く運搬できるようにするよ…
アルフォンス・サインツ(pa0087)
♂ 23歳 弾忍
b.とりあえずは高所の作業になんだろーから上手いことやってみんぜ!
大神隼人(pa0137)
♂ 21歳 刃忍
a.なら僕は観光客と公園担当者を担当しよう。担当者には催眠をかけるよ。
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 21歳 知魅
a.私は主に大島役で動こう。多分、公園担当者、下請けへの対処が多くなる。
ジェームズ・ワース(pa0279)
♂ 26歳 弾魅
b.うまく外せないかんと頑張ってみるよ
ケン・サトウ(pa0314)
♂ 19歳 乗探
c.……重機は動かせるが、どこから調達したもんかな……レンタルか?
大世宮典人(pa0940)
♂ 21歳 刃乗
b.頭数は一人でも多いほうが良いだろし、ま、よろしくな(準備運動はじめ)
棋流山ですゑ(pa0943)
♀ 18歳 英弾
a.あとカメラ持ってっての撮影だな!外側だけしかできないけどいっぱい撮る!
アスマ・スィーン(pa1281)
♀ 18歳 英忍
c.公園から持ち出すトラック等も必要。運転は無理ですが手配を試みようかと
シャロン・コーエン(pa1290)
♀ 20歳 探魅