
'; document.write(js_file); var sflg = smartphoneCheck(); if(sflg == 1){ if (window.innerHeight > window.innerWidth) { document.write('\n'); } else{ document.write('\n'); } document.write('\n'); } else{ var rand = Math.floor( Math.random() * 100000 ) ; var css_file = 'http://rexii.jp/pd/css/style_pc.css?' + rand; document.write('\n'); document.write('\n'); } function map_show(){ // キャンパスの要素を取得する var canvas = document.getElementById( 'map-canvas' ) ; // 中心の位置座標を指定する var loc = '45.4289446,-75.6955969,16'; var ary = loc.split(","); var latlng = new google.maps.LatLng(ary[0],ary[1]); // var z; var z = ary[2]; if (z == '' || z == undefined){z = 15;} z = parseInt(z); // 地図のオプションを設定する var mapOptions = { zoom: z , // ズーム値 center: latlng , // 中心座標 [latlng] }; // [canvas]に、[mapOptions]の内容の、地図のインスタンス([map])を作成する var map = new google.maps.Map( canvas, mapOptions ) ; // ドラッグできるマーカーを表示 var marker = new google.maps.Marker({ position: latlng, title: "", draggable: true // ドラッグ可能にする }); marker.setMap(map) ; // マーカーのドロップ(ドラッグ終了)時のイベント google.maps.event.addListener( marker, 'dragend', function(ev){ // イベントの引数evの、プロパティ.latLngが緯度経度。 var lat1 = ev.latLng.lat(); var lat2 = ev.latLng.lng(); document.getElementById('gmap').value = lat1 + ',' + lat2; }); } -->
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ダメ、ゼッタイ
オープニング◆若者の未来を守るべく「集まったわね。急な呼び出しだったけど、ちゃんと来てくれたのは助かるわ」 暗器講師のマリーヒェン・テュラムは、集まった一同に対しどこか安堵したようにそう告げる。 突然の呼集‥‥ローゼンナハトとしてではなく、UNICOとして。学生としてではなく、『ICPOの準捜査官として』の呼び出しだ。それだけを聞かされていた生徒達の表情は硬い。 本格的な授業が始まったかと思えば、ほぼ間髪入れずに表舞台に引っ張り出されるのだ。緊張するなというのは無理な話である。‥‥もっとも、これも実戦授業の一環なのだが。 「最近、カナダのティーンエイジャーの間で麻薬の流行が顕著になってきているらしいわ。ICPOも、当然ながら首謀者がどのあたりを根城にしてるかや規模の程度くらいは把握しているみたいね。ただ‥‥」 登場キャラ
「あの連中の情報だぁ? 嬢ちゃん、若ぇのに面倒くせえモンに手ぇ突っ込むじゃねえか」 「教えてくれるのか、くれないのか。はっきりさせてくれればいいわ。なんなら売人を見かける場所だけでもいいわよ」 バイワードマーケットからわずかに離れた場所にある雑居ビルの一室。入り口まではごくごく普通の金融業者に偽装したその部屋の中では、剣呑な男と涼しげな顔をした女とが向き合っていた。 男は、この界隈ではそこそこ顔の利くマフィアの組長。厳つい身体と顔に刻み込まれた傷とが、威圧感を強くしている。 他方、長い黒髪を後ろで束ね、女性ながらかなりの長身を誇る女性‥‥名をガブリエラ・ユレという。ICPOの準捜査官、UNICOの学生の一人である。 常の彼女とは似ても似つかぬ外見ながら、自信と責任感に裏打ちされた視線の強さは変わらない。目的の情報を得られるまでは、動くつもりはないようだ。 「まったく、物好きなこったぜ。ま、俺らもあの連中には縄張りで好き勝手やられてンだ。知ってる限りで教えてやらあな」 組長も、強固なガブリエラの態度に根負けしたように首を振ると、地図を取り出し、卓上に広げた。形はどうあれ、客人である。何も持たせず帰すようなことは出来ない‥‥そんな判断のもと、彼は行動したようだ。 無論、それなりの対価を受けたうえで、であるが。 『拠点の候補がばらけすぎているわね。それだけ広く、マーケット内に売人が現れるってことでしょうけど‥‥』 「絞り込みでしたらお任せくださいませー。今しがた売人とお近づきになりましたのでー」 ガブリエラからの秘匿通信に、棋流山デス男は明朗な声でそう応じた。無論、くだんの売人がいない場所で、である。 彼の行動は、やや長期的な計画に基づくものであったが、短期間であれば全く意味をなさないものか、といえばそうでもない。『売人とパイプを作る』という一点において、情報屋のコネとその交渉技術さえあればトラブル処理を買って出て、限定的ながらも信頼関係を結ぶことは可能だったのだ。必然、そのつながりは売人の拠点の絞り込みに優位に働く。 情報網を駆使した二人の行動は、結果としてこの事件の早期解決に大きく働いた、とみて間違いはないだろう。 「クスリねぇ? 何がいいんだか‥‥」 「なんでそこまでおおっぴらに売りたがるのか、何を求めて欲しがるのか‥‥そのあたりも考えると、好奇心をそそられる話だな」 ミュージシャン然とした男‥‥MNにより変装した宍倉静が呆れ半分に言葉を吐き出すと、今井天は『そういう連中こそ興味深い』とばかりに笑ってみせた。逃走技術に長けた静と、追跡技能に長けた天。互いの不得手なところをカバーしつつ、周辺の調査を進めていた彼らは、断続的に流れてくる情報をまとめながら次の行動へ向けて準備を進めていた。 訪れたばかりの場所で、その地に根ざした犯罪組織の行動予測や移動経路の予想は簡単な話ではない。しかしながら、ある程度でも、相手の拠点を絞り込めているのであればその限りではない。 くわえて、『逃げる』立場から静が予測し、『追う』立場から天が思考を巡らせれば、おのずと経路は掴めようというもので。 あとは売人と『客』として接触する側の人間との連携如何ということになるが‥‥少なくとも、彼らは互いの行動が悪い方向に向かうなどとは露程も考えてはいまい。 そして事実として、彼らは互いにとっての最善を選び取るに足る知性を持ち合わせているのだ。 天と静は、ガブリエラの姿を視界に収めると頷きあい、次の行動へ移るべく動き出す。‥‥そして、次に動くべきは『客』となる者達だ。 ◆ 麻薬の密売人というのは、極論、知性を要しない稼業である。 麻薬の流通ルートは背後の組織によって整備され、警察組織を欺く抜け穴も整備されている。彼らに要求されるのは、薬物に『堕ちやすい』人間を見抜くための視力と、そういった相手を引き込むためにどの程度の金額を提示し、薬物中毒への一歩を踏み出させるかという話術である。そういう意味で、デス男が接触した密売人は下っ端ながらにそれらの技術に心得があり、同時に、人並み程度の野心を持つ男だったといえるだろう。だからこそ、彼の斡旋による顧客との接触に、疑念を持つことはなかったのだが。 「アンタか、コイツを欲しがってるってのは」 密売人の男は、路地裏に身を潜めていた金髪の女に声を掛けた。ほっそりとした姿見、楚々とした立ち振る舞い、しかしながら、どこか緊張感をはらんだその視線。いっときの好奇心に身をやつし、容易に身を持ち崩すタイプ――男がさんざ陥れてきたタイプの若者と相違ない、『どこにでもいる落伍者候補』だ。 「ええ。友人から常々聞いていたのだけど、これを機に試してみたいと思ったの」 白人女性――MNで姿を変えたフロウティア・モリスンは、言葉を選び、口を開く。彼女はあずかり知らぬことだが、緊張感から吐き出された言葉が『世間知らずの女性』として相手に映り、結果として警戒心を解かせたことは注目すべき事実である。 「それで? 売っていただけるのかしら」 どこか取り繕ったような、あるいはわざと居丈高な態度を装っているような口調で、フロウティアは言葉を重ねる。可能な限りボロが出る前に、話の主導権を握り『取引』を成立させる。それが第一段階である。そこから先は仲間次第。幸い、というべきか。或いはそれも売人の計算なのか。提示された金額は末端価格を考えれば異常なまでに安価であり。少年少女が容易に手を出すことのできる金額だったことも特筆に値する。麻薬を渡し、きびすを返した売人を視界に収めつつ、フロウティアはAiフォンを駆使して仲間と連絡を取り始めた。 フロウティアが売人に接触する、少し前。 「なんだ、お前らもクスリ、やってるのか?」 「関係ないだろ、ほっとけよ」 ヴォルク・ヴァレリィは地元の若者達‥‥ひと目で分かるほどに濁った目をした少年たちに話しかけ、会話を続けていた。眼の前にいる者達がどの程度薬物に依存しているか、それはヴォルクには判別できない。だが、一度踏み外した道に戻るのに、容易な道ではないだろうということだけは分かった。なにしろ、会話を成立させるのも簡単ではなかったからだ。 それでも、彼にとって、若者達にとって、その会話は有益であった。ヴォルクにとっては単純に趣味、好奇心を満たすためのものとして。 若者達にとっては、いかに自分達が薬物に染まり、末期的な状態になるかを理解するためのものとして。双方に『気づき』をもたらすものであったことは間違いない。 紫煙の向こうに見える少年少女の目に、理性の光を灯すのは並大抵の努力では務まるまい。だが、それ以上悪化させないように根幹を断つことはできる。彼は、秘匿通信を受けるなり、煙草を若者達に放り投げ、歩を進めた。 「じき、草が手に入らなくなる。別の娯楽も要るだろ」 その言葉に対する答えは帰ってこなかった。 「こっちが追ってた売人が拠点に入っていったわ。何人か確認してるから、この界隈には一箇所だけ、ってことで間違いなさそうね」 ガブリエラは、拠点と思しき建物に売人が入っていくところを見届けた上で通信を入れる。フロウティアが接触した者とは別に、偶然遭遇した売人との交渉の末、麻薬の購入に成功していたのだ。 ‥‥それだけではない。一同合流してから散った仲間‥‥静や天らもまた、偶然とはいえ売人との接触があり。しかもそれが、ガブリエラの接触した相手と同一であったときた。 必然、その密売人の売上げの実績は他の連中よりも秀でたものになり、成果報告を逸った彼の警戒は緩いものとなる。フロウティアと接触した売人もまた、『信頼できる筋』から上客候補の情報を掴み、まんまと上客との交渉を成功させたのだから、前途は明るいと誤解しても致し方あるまい。 今この状況下、かの売人達とそれを抱える密売組織は前途洋々、いうなれば幸福の絶頂期にあったといっても過言ではあるまい。 だが、忘れてはならない。 神と呼ばれる全能の輩(ともがら)が、平凡な人間の幸福を嫌うという単純明快な事実を。 ◆ 「ドアは前後ひとつずつ、車の影はないけど裏口は道路に面していて移動は容易。どちらから侵入するにも、鉄扉を開いて突入すれば間違いなくバレる‥‥なるほど、隠れて潜入しようとしても簡単にはいかないわけだね」 ジョー・プリンスは拠点の周囲をざっと確認し、相応に整ったその護りにやや辟易したような声をあげた。一般的な建物‥‥ではあるのだが、扉はやや重そうで引けば音が響きそうな鉄扉。車両は見当たらないが、裏口が直接、道路と接続しているため急場しのぎに車両を接触させて飛び乗り、逃走する‥‥そんなプランもありえなくはない。 侵入経路は、一箇所の窓のみ。ジョーの潜入技術であれば、組織の構成員に悟られず侵入は可能だが‥‥彼女一人が単独で侵入して発見されたときのリスクを考えれば、現実的ではない。 「拠点を見つけるまでが俺達の任務だろ? 無駄に潜入してまで荒事を起こしちまうってのも考えもんじゃあるが‥‥」 「確かに拠点の発見までが与えられた任務ではございますがー、場所を伝えてからICPOや連邦警察が到着するまでに逃げられたり、被害が出るのもそれはそれで厄介ではありませんかー?」 静は可能な限りの不干渉を提案するが、しかしながらデス男はそれだけでは不十分であると考えていた。不十分‥‥というよりは、組織が壊滅するさまを何らかの形で見届けたいという欲求に近いだろうか。拠点から姿を見せた構成員を逐次捕縛していく方法もあるが、それでは不十分‥‥もう一歩踏み込んだ手段はないか、と。 秘匿通信を通し、次にどう動くべきかを考える面々をよそに。 ルイ・ラルカンジュはひとり、無警戒を人の形に整形したかの如き足取りで拠点へと歩み寄っていく。あまりに悠然たるその歩調に、仲間達も一瞬、その意図が掴めなかったぐらいである。 「ここから先は、僕にまかせてください。ふふっ、こういうのは得意なんですよ?」 ルイの言葉が秘匿通信を通して流れたのと同時に、何名かの学生は咄嗟に動き出していた。彼を止めるためではなく、彼をサポートするために。 ルイが鉄扉に手をかけるよりわずかに早く、デス男が勢いよく鉄扉を引き開ける。中にたむろしていたのは9名‥‥幹部クラスと思しき男と、あとは下っ端達だ。 「あァ? 何だお前ェは。他所の連中の鉄砲玉かなんかか?」 「嫌だなあ、私はそちらの方と仲良くさせてもらっていたんですよー。こちらの人が、ここの『誰か』に用事があるとかでー」 腰だめに銃を構えた幹部の男に、デス男はすらすらと出任せを並べ立てた。当然、事前に接触していた売人の一人が彼の顔を見て、自分の客であると進言するが‥‥秘密主義を敷いているであろう密売組織で、拠点が知られるのは大事だ。その売人は容赦なく足を撃ち抜かれ、悲鳴を上げてのたうち回った。 「お取込み中失礼します‥‥ふふっ。僕は、情人に会いに来ただけですよ?」 そんな修羅場にあって、ルイは見えていないかのようにするりと幹部の懐に踏み込み、銃に指をかけた。拠点の中に高貴な香水の匂いが漂い、その手元の薔薇、そして変装したルイの美貌。それらは蠱惑的に、幹部の目を引く。 「変だな、暫くこっちにいるから会いに来てくれって言ったのは、あいつのほうなのに。‥‥じゃ、誰が今夜の相手をしてくれるんです? 麻薬より気持ちイイこと教えてあげてもいいですよ?」 立て板に水とはこのことだろうか。すらすらと口から出まかせを綴り、同時にその身振り手振りで相手を魅了しようとし、正常な警戒心を奪っていく。 そして、その間に仲間達も動いている‥‥多少なり博打の要素があれど、ヴォルクは拠点周囲に駐車してあった車両のタイヤをパンクさせ、移動力を削ぎ。 仲間達は手分けして前後の入り口に身を隠し、連邦警察へと連絡を取る。 またたく間に状況は整いつつあるが、その間も。ルイが誘惑し、デス男がその様子を観察しつつ、売人達に不用意な動きがないかを警戒する。 そして、路地裏に空き缶が転がる音が響き。拠点内の一同の視線がそちらに集中する。 「なんだ、猫でございますか‥‥」 誰がそうのたまったものか。胸を撫で下ろした密売組織の一同はしかし、次の瞬間になだれ込んできた連邦警察に驚き、為す術もないまま縛り上げられる‥‥危うくルイとデス男も捕縛されかけるが、そこは身分を明かすことで事なきを得る。 「誰も逃げてないみたいだから、これで全部かな」 「みてえだな。おつかれさん」 ジョーが確認の為に周囲を見回すと、静もその言葉を肯定する。UNICOの面々の仕事はこれで終わり、あとは連邦警察がうまくやってくれるだろう。 「薬なんかに頼らなくても、この世にはいくらでも面白い、未知があるのにな」 「それが見つけられないからクスリに走るのよ、多分」 天の、どこか理解できないような言葉に対してガブリエラがため息混じりに口を開く。それにしたって、悪いのは密売組織だが‥‥一部の仲間のように『楽しめて』いれば、そうそう道を外すこともないだろうに、と。彼女ならずとも思ったのは無理からぬ話である。
参加者
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