【PF04】生命の価値

担当旭吉
タイプグランド 事件
舞台アメリカ(America)
難度難しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/03/29
結果成功
MDPエヴァ・マルタン(pa0835)
準MDPリュヌ・アカツキ(pa0057)
アルカ・アルジェント(pa0217)
イザベル・クロイツァー(pa0268)
中藤冴香(pa0319)
マクシム・ヴェッカー(pa0436)
エイプリル・レモン(pa0679)
明神刃(pa0953)
斑鳩恭耶(pa1232)

オープニング

◆予兆
 春季特別演習は、高い成績を維持したまま終了した。
 複数の密輸業者を壊滅させ、密輸を未然に阻止し、動物を保護し、環境に貢献した。
 ――しかし、学生たちの間に、「めでたしめでたし」という雰囲気の者など、ほとんどいなかった。
 随所に現れた、黒ずくめの謎の存在。
 原因不明の動物凶暴化。その影にちらつく、大手ペットフード企業『ブギーマン』の影。

登場キャラ

リプレイ

 作戦開始前。一人の学生がどうしても言っておきたい事があると、Aiフォンを手に取っていた。
 彼女は栄相セイス。通話相手であるマーチ・カースン教授は、三コール目で丁寧に応じた。
「教授、貴方に言いたい事があります。人間は確かに馬鹿です。だけど、そんなに愚かじゃないはずですよ。愚かなのは、貴方です」
 指摘を受けても、教授は何も答えない。セイスからさらなる言葉は無いと見たのか、話す事は無いと見たのか、通話は間もなく一方的に切られてしまった。
「‥‥先生、教授が今どこにいるかわかりますか?」
 その様子を見ていた明神刃がUNICOの講師に連絡を取ると、是、との返答。
『ブギーマン本社だよ。より詳細な情報はそっちで調べてほしい』
「了解です」

 アメリカ合衆国、フロリダ州郊外。
 二人の目と鼻の先に聳え立つブギーマン本社が、今回の目的地となりそうだ。

◆彼らは知らない
『――以上がこちらの行動予定だ。何か、先にしておきたい事はあるか?』
「『行動開始前に知っておいた方がいい情報』というものはあるでしょう。ここは効率的にいきましょう、また連絡しますので」
 エヴァ・マルタンが了承するのを待ってリュヌ・アカツキが通話を切ると、待機していた中藤冴香と共に裏路地へと身を翻す。そこで二人を待っていたのは情報屋と、近くに縄張りを構えるマフィアの幹部だ。
 リュヌが黙って手を出すと、情報屋は全てわかったようににたりと笑って何かのファイルを渡す。幹部の方は――
「ブギーマンについての噂、だったな。目立って悪そうなのはねェよ。ま、最近はマフィアっぽい奴らがうろついて‥‥」
「‥‥‥‥」
 冴香の冷ややかな視線に、幹部は急遽訂正する。
「俺らの事じゃねーよ!! 俺も見た事あるし」

 手袋に、黒スーツにサングラス、帽子。全身黒づくめの怪しい人間が、社屋に出入りしている。
 ただの一般企業にしては、その情報だけで疑念を持つには十分だった。

 *

 会社はちょうどランチタイムらしい。この時間帯であれば業務の迷惑にもならないだろうと、本社近くの路地でマティアス・リブランはクラリネットを取り出すとおもむろに演奏を始めた。
 かなり年若い印象の彼が、チップ入れを置いて軽やかに演奏する様は、物珍しさや同情と共に複数の社員から興味を得る事に成功したようだ。
「お姉さん達、お仕事お疲れ様! 午後からもお仕事でしょ? リクエストとかある?」
 時々、聴衆の女性社員を中心にそんな問いかけをしながら、マティアスはあくまで純真なキャラとして演奏を続ける。周囲の反応を見ながら、何となく演奏と関係の無さそうな話をしていそうな女性社員二人組に目を付け、その片方の唇の動きを眼鏡の機能で分析してみた。いわゆる読唇術だ。
『あー知ってる、社内ニュースで聞いたわ。また他社の買収計画があるんだってね? 大学の同期がそこにいるんだけど、無職になるかもしれないーって焦ってたわ』
『上がるといいわね給料!』
 女性の様子からして、無職の危機にある知り合いより、自分達の企業がさらに成長し給料に還元される事を喜んでいるようだった。
 現経営陣はシェアの拡大に意欲的らしく、彼女達のような平社員からの不平不満は今のところ無い――ように感じられた。

 *

 社内では、自前で入館する術を得た学生達がまず調査を始めていた。
 ガブリエラ・ユレはMNで社員に変装すると、偽造屋から入手した社員証でゲートを通過し社内の調査をしていた。できるだけ多くの社員に話しかける事を目標としつつ、可能であれば社長の音声を入手できるような、役員の会議室にでも盗聴器を仕掛けられれば儲け物だ。
(所属する課によって、きっと情報も違うわよね‥‥どこかに案内板でもあれば)
 なるべく人が固まって談笑している場所へ軽く聞き込みをしていくが、彼らの多くは自分達の会社は業績が上がっている優良企業で、給料もいい、働き甲斐がある、といったプラスの認識ばかりだ。
 それでも、どこかに穴があるはず――そう思って見回した時に目についたのが、案内板の『経理課』の文字だった。

 受付担当が都合よく出払っている確率は――案外どうにかなった。何でも、急な取材の対応に追われているとの噂だ。後で電脳班の方に確認してみれば、九曜光の巧みな陽動であったとわかるのだが。
「そういう事なら利用させて貰って、と‥‥」
 人がいない受付内部に入ると、ジロー・セバスティアンは予想通りそこにあった空白の社員証と登録用の機器を発見する。ひとまずこれで新規の社員証を偽造できそうだ。
 正規の社員IDリストの後ろに新しくひとつデータを作り、出来上がったカードを自分とメレディス・メイナードで所持する。メレディスが受け取ったのを確認すると、二人は一旦別行動となった。

 一般社員の権限でどこまで行けるのかを試しつつ、メレディスが目指したのは食堂だ。社員の利用も多かった為、その中の一つのグループに話を聞いてみる事にした。
 ドリンクサーバー業者の新人営業だと言えば、彼らは新しく入れてほしい飲料の種類などをめいめいに答えてくれる。社内の空気についてもそれとなく聞いてみたが、こちらもおおむね好印象で残業も滅多に無いという。
「上役の方なんかもこちらでご一緒に食事を?」
「部署によるんじゃないか? 開発研究部はどうだよ、団結力強そうだけど」
 『団結が強い開発研究部』。その言葉に、話を振られた社員へ注目していると、彼は肩をすくめた。
「どうだかなぁ。最近は見覚えの無い奴が時々いるし、部長に聞いても気にするなの一点張りだし‥‥」
 開発研究部の中でも、情報に差があるらしい。

「――開発研究部の部長、ですか」
 誘惑に弱く、ある程度事の真相に近そうな役職についている社員。
 裏路地からの情報で標的を絞り込んでいたフロウティア・モリスンは社外の喫茶で、目の前で眠る女の社員証を確認しながらAiフォンの連絡に応えていた。もちろん睡眠薬の効果である。
 ブギーマンのペットフードが好きだと言ったら、とても機嫌よく色々と話してくれた。
(彼女は開発研究部の予算が最近上がった、くらいしか情報がありませんでしたが‥‥社内PC(パソコン)ならもっと何かあるでしょうか)
 彼女の社員証を密かに持ち出しトイレに入ると、数分後に出てきたのは眠ったはずの女と瓜二つの女性。『声も仕種も盗んで』開発研究部長に成り済ましたフロウティアは、堂々と本社を目指した。

◆情報戦線異常アリ
 今回の作戦において、全体の情報管理を一手に担っていると言っても過言でないメンバーがいる。決して前線に出ることなく、その戦場を主に電脳世界に置く者達――今は『プロヴィデンス』として振る舞うエヴァが中心になって指揮している『電脳班』である。
 彼女達の今回の本丸は、ブギーマン本社に近い道路脇に停めた彼女のミニバンだ。
「リュヌが入手してくれたリストは役に立っているようだな。本社に出入りする社員の内、色仕掛けに弱そうな者を筆頭に潜入の助けになりそうな者達のリストとは‥‥可能な限り内容の拡散を」
「入館に必要な偽造IDはもう発行しても?」
「大量に発行すると発覚しやすい。今はまだ最小限で」
「了解」
 同じく『電脳班』のマクシム・ヴェッカーが短く応答すると、入館に必要な社員証を偽造するためデータサーバーへのハッキングを開始した。
(‥‥一回では抜けませんか。回数を重ねると足が付きますし、現地でデータサーバーにクラックドングルを仕掛けて貰えれば‥‥)
『どなたか、設計図か見取り図のデータを入手された方はいませんか』
 仲間達に宛てたグループメッセージを送信すると、マクシムはひとまず反応を待った。

 * *

 一方、現場では。
「リンダが社員証をゲットしてくれたからね。これでゲートはパスしてきたよ」
 ブギーマン社員らしく変身したエイプリル・レモンが、リンダ・エンゲルバーグが失敬してきたという社員証を見せたのは、彼女と同じく館内の構造把握を目的とするリュヌと冴香だ。
 リンダの手管は実に用意周到であった。まず、リュヌが得たリストにあった非モテ系の男性職員が昼休みに社外の喫茶で食事を取っていたところを、美女に変身した彼女が相席に収まる。そこで今日は奢らせてほしいと誘い、その気になった相手に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませ、ぐっすりして頂いたところで社員証とスマホを失敬してきた次第である。店員にも「彼は疲れているから」と起こさないように伝え、作戦に必要とは言え突然巻き込んでしまった詫びには後日映画に誘う予定も立ててある。
「私は、先程の彼の『知り合い』のものを借りていますが‥‥」
 自分の社員証を見る冴香。ちなみに彼女はここへ来るまでに、多くの仲間達の変装や化粧を手伝ってきた後だ。
「エヴァの情報だと、IDの偽造さえできれば構造把握に協力できる仲間も増えるそうだ。外から見た限り、地上部分はおよそ十階程度。この人数で無理をする必要は無いだろう」
 他人の社員証に頼らず、セキュリティの隙を縫って潜入したリュヌは冴香の助力により社員らしく変装している。
 ひとまずはこの三人で、基本的な構造把握を優先する事にした。

 *

 システムの隙を突きながら、電脳班によるIDの偽造は怪しまれない程度に少しずつ、優先度の高い順に進んでいた。今優先されるのは、IDやセキュリティの管理を一括して行っているメインサーバーの確実なクラック。そこへ至る為の最少要員。
(電脳班から設計図のデータが送られてこないでゴザルが‥‥何か難儀しているのでゴザロウか)
 そのサーバールームへ天井裏から向かっているのがスティーヴ・カラサワ、もとい『サイバー忍者』である。すでに潜入している仲間達が実際に足で調査したデータは電脳班で分析され、セキュリティの位置や通行可能エリアなども判明しつつあるが、まだ全体像は見えない。
『そっちはどうだスティーヴ』
 マルチヘルメット内にアルフォンス・サインツの声が響く。アルフォンス自身は契約清掃員としてまだ外部にいるが、鼠ドロイドに排水管を辿らせる事で他の配管の配置を追っていた。今のところ、存在しないはずの部屋などに続く配管は無い。
「まだ見つからないでゴザル。平面の設計図があればわかりやすいのでゴザルが」
 設計図は無いのかと電脳班に確認するが、まだ入手できないとの返答。苦戦は続きそうだ。

 *

 メインサーバーのクラックに手間取っているとの情報を受けて、小林三代はターゲットの変更を考えた。
 彼女は当初支社からの応援を装い、受付の担当が確認しに行く間に食堂へと向かった。電脳班から提供された情報を元に男性受けのいい女性社員を探し出すと、個人的にトイレに呼び出し背後から首筋へ鮮やかな一撃。そのまま気絶させてしまった。
「本当に魅力的なオンナは、こんな棘も持ってないとね?」
 女性が起きない内に制服を頂戴すると、個室のトイレに座らせて鍵を閉める。
 ‥‥一応、要らぬ不幸を振り撒かない為に後で返すメッセージカードは投げ入れておく。

「もしもし。私ですけど、そちらにセキュリティ部門の部長っていらっしゃいます?」
『はーい♪ 今ここにいますけど、会いたいです?』
 通話相手は、すでにセキュリティ部門の部長秘書として物理的にも心理的にも潜入を果たしていたルイ・ラルカンジュだった。後方で聞こえる骨抜きの声が部長だろうか。
 変更を考えていたターゲットがすでにその状態なら、自分が行くだけ二度手間だ。自分は本来の相手を狙うとしよう。
「でしたらそのまま、彼を虜にしておいてください。セキュリティの突破が難しいようなので」
『了解。僕の方でもセキュリティを下げられないかやってみますね』
 短い通話を終えて、三代は妖しく笑む。
「さてと‥‥警備員を纏めているご立派なおじ様は、どんな顔で求めてくれるのでしょう‥‥」
 彼女の目的は、システム・警備双方の指揮系統麻痺だ。

 *

 ブギーマンのセキュリティが徐々に危機に晒されている頃。
 若い社員の一人が、アルカ・アルジェントの愛撫に堕ちかけていた。彼女はエヴァによるシステムハッキングを待って潜入する予定だったが、これ以上は待てないと判断。外食から戻ってきた初心(ウブ)そうな社員に目を付けて密室に誘い込んだのだ。
「アナタが言ったコトは内緒にしてアゲル‥‥」
 耳元で熱を孕んだ溜息と共に囁くと、男性は堪らずアルカの胸元に顔を埋めながら話す。セキュリティ部門と人事部門の部長は女を囲ってる噂があるとか、開発研究部の部長に想いを告げたら振られたとか、役に立つものと立たないものが半々といった具合だ。
(セキュリティは‥‥ルイが行ってたわね。じゃあその人事、オトシテみようかしら)

◆謎は謎を呼び
 社屋の構造を調査していた班からもたらされた情報は、電脳班にとって誤算だった。
「現社屋の設計図が既に存在しないだと!?」
『協力してくれたマフィアの方にも話を聞いたのですが、現社屋の建設に携わった業者は随分前に倒産していて入手できないと。当時の責任者は消息不明で‥‥』
 驚くエヴァに、情報を得た冴香が通話で説明していく。
『業者のさらに下請け業者の一人と連絡が付いたのですが、彼らは外周の工事を担当しただけで内部はわからないそうで。わかったのは、元々別の場所にあったブギーマン社がここへ移転工事をしたのが十年前、という事だけです』
 つまり、建物に関する全ての情報は自らの五感で調べざるを得ず、それでわからない物はわからない、という事になる。
「妙では無いですか? 『証拠隠滅として完璧』過ぎます」
 あまりに徹底された行為に、マクシムは逆に違和感を覚えた。
 そこまでして何を、誰が、何故隠したいのか。
 いざとなれば自分も直接出向く必要があるかとマクシムが席を立とうとした時、潜入しているジローからメッセージがあった。
『サーバールームの前まで来たけど、カードキーになってて一般社員権限じゃ開かないんだよね。開けられそうな人いる?』
「‥‥いるにはいますね。ついでに、彼には別の用事も頼んでみますか」
 常に適材適所の人材を。それを考えるのも電脳班の仕事の一つだった。

 * *

 設計図が無くとも、おおよその情報は揃いつつあった。
 この社屋は外から見た通り地上十階建てで、少なくとも案内板に地下は無い。社長室は最上階で、見える範囲のエレベーターや階段、避難経路や防犯システムの確認は済んだ。監視カメラもいくつかは微妙に角度をずらして細工した上で電脳班に報告済みだ。
 五階と六階にわたって『開発研究部』が広がっていたが、無理の無い範囲で潜入したところここは本当に一般向けペットフードの開発室だったようだ。
「研究部で噂になっていた『秘密ラボ』は見付からなかったな」
「地下に何かあるなら、どこかに災害時の非常口があるはずなんだけど‥‥ひょっとして敷地外とか?」
 監視カメラの死角に集まっていたリュヌとエイプリル、冴香の視界に入ったのは――社長室。
「エヴァ、社長室に行っても大丈夫?」
『社長室は‥‥いや、今は待て。もうしばらくすると『社長がそこを離れる予定』だ。その時に』
 一度はエヴァにより待てをくらったエイプリル。しかし、そこへすぐ思わぬ連絡が入る。
『エイプリル、皆。恐らくここには『地下三階』があるぞ!』

 その情報を得たのは、新たに偽造IDによって潜入を果たした推橋ソロラ黒鳥由理だった。本来であればソロラの技術でもっと早くに潜入する予定だったが叶わず、このタイミングになっていた。
「結局電脳班の世話になってしまったが‥‥ここからだ。お前も頑張れよ!」
 例に漏れず冴香によって社員の変装を施された一人であるソロラは、ノートPCを手にサーバールームへ急ぐ。残された由理はAiフォンを敢えて電脳班の元へ残し、自分のコンタクトのカメラ機能で社内を撮影して送っていた。
 彼が特に注目したのは――つい本音を話してしまいがちなトイレである。そして、ちょうどトイレ清掃員の体で男子トイレに近付いたところ、室内から二人の声が聞こえていた。『開発研究部』という単語が聞こえる。
『じゃあお前は説明できんのか? 俺達の開発研究部がある階より上に、何の用事があって研究員が向かうんだよ? 部長の定例報告や辞表の挨拶じゃないんだぜ? やっぱり地下三階の秘密ラボの噂はマジだと思うな』
『地下の施設に何で上から行くんすか』
『じゃあ今度見に行くか?』
 その会話を最後に二人はトイレから出てきた為、由理が聞いたのは聞いたのはそこまでだ。
 なぜ地上階の案内しかない施設に、地下三階があるのか。地下一階と二階は何なのか。

 *

 トイレにいた研究員達の上司――になりすましているフロウティアは、まず開発研究部にある部長のデスクトップPCにクラックドングルを挿し電脳班に解析を求めた。
『何かありますか』
 怪しまれないよう、Aiフォンのメッセージで尋ねる。
『この部長自身は‥‥最近の予算拡大を純粋に喜んでいるだけですね。研究成果が認められた、と。予算拡大を決定した経理か、もっと上の上役を調べられますか』
 社内メールのやりとりにあった上役の名前を控えると、マクシムの指示を受けたフロウティアは本人のように研究員達に挨拶して次の部屋へ向かう。さて経理と上役どちらへ向かうか、と迷った時。
『フロウティア、経理に潜入したガブリエラから情報が。『出所不明の収入や支出が突然あって収支が合わない』とぼやいていた社員がいた、と』
「社員はおおむね現状に満足していたはずですが‥‥秘密の横領や賄賂などがあるのでしょうか?」
 となれば、ローゼンナハトの怪盗として悪事の証拠を押さえ、その罪を盗む必要がある。少なくとも地位が低い社員は悪事に加担している意識が無い事はほぼ明らかだ。
 事は急ぐ。フロウティアは物陰でその姿を『月下の蛍灯』へと変じさせると、研究部がある階より上――役員の部屋を目指した。

 *

 役員会議が始まる直前。偽造IDによって入館したアルカは、人のいない会議室で人事部長を熱く見つめていた。
「ねぇ‥‥社長に逢わせて? アナタが社内でもっと高くイケるようにしてアゲルから」
「ふふふ、私はもう出世が決まっているようなものだ、逆に君を貰いたいくらいだがね。それくらいの働きはしているのだから」
「まあ‥‥どれだけ頑張ったの?」
 甘えるように口付ければ、人事部長はさらに気をよくする。
「社長命令で、無条件で大勢外国人を採用したんだ。国も男女もバラバラのね。しかも他の社員にはばらすな、質問は受け付けない、なんて‥‥あんまりだろう?」
「そうね。相応しい報酬があるべきだわ。ましてや、景気が良いブギーマンだもの‥‥私からも社長に言ってアゲル」
 見ていてあげるから、と艶めかしい仕草でアルカが人事部長のスマホを手にとって渡すと、人事部長は求められるままに社長を呼び出し、アルカを伴って別室へと移動した。

 そんな二人が去った後の会議室に、専務や常務などの会社役員達が集まる。社長が来ない事には会議が始まらないので、しばらくは雑談が続いた。
『先月はオークションでダイヤを見つけましてね?』
『ダイヤなんて小さいですよ、買うなら別荘ですよ』
『家は動かせないじゃないか、私は臨時ボーナスでクルーズ船を買ったよ』
 そんな大富豪を思わせるような会話ばかりが、会議室に仕掛けられたガブリエラの盗聴器を通して彼女のAiフォンに聞こえていた。会議室外の通路にいる彼女の姿は、アンダーウェアの光学迷彩により他人からは隠されている。その彼女の目の前を、奥からやってきた小太りの男が通過していく。
「全く、役員会議は社長の私がいないと始まらんのに、なぜ今なのだ人事め‥‥」
 先程アルカと人事部長に呼び出されていた男――恐らく、彼が社長だ。とっさにAiフォンを向けて撮影し、その音声データを録音する。
 会議室も素通りした社長が入っていったのは、アルカ達が入っていった部屋だ。それとほぼ行き違うようにスーツの男性が会議室へと入ると、その後方から男性を尾行していたと思しき由理の姿が見えた。彼はこちらに気付いていない。
「研究部にしばらくいたのに白衣じゃ無かったから、逆に気になってつけてみたけど‥‥ここは秘密ラボ‥‥じゃねぇよな?」
「そうね。ここは悪の巣窟の一角に過ぎないわ」
 話した事で突然見えるようになったガブリエラに思わず声をあげそうになったのを己の手で塞ぎ、由理は彼女と共に会議室を見た。
「じゃあ、ここに乗り込むのか‥‥?」
「乗り込むのは完全に証拠を揃えてからがいいでしょうね。それは電脳班に任せるとして‥‥」
 先程Aiフォンで採取した社長の音声データをベースに、ガブリエラは室内の重役達へ語りかける。
『何だね諸君、何を買ったの買わないだのと』
『社長! いえ、いつもボーナスを水増しして頂けているのは感謝しておりますとも。時折経理が苦労しているようですが』
『‥‥上手くやれと言ったはずだぞ。本来はお前達の金でなくてあれは‥‥』
『社長、その話は!』
 よほどタブーな話題だったのか、誰かがドアに駆け寄ってくるのを感じてガブリエラと由理はその場から逃走した。

 ――黒いのは、役員会議級の役員。そして怪しいのは、大金の本来の用途と出所。これが決め手となりそうだ。
 それはそれとして、役員達は横領の罪で逮捕する必要があるだろうが。

◆電脳班展開!
「フロウティアからまた情報だ。これは‥‥専務のPCか?」
「壺‥‥骨董品の落札メールが高い頻度でありますね」
 役員会議の隙に、現場のフロウティアが重役達の部屋を解錠しては個人のPCにクラックドングルを挿して電脳班に解析させていたのだ。あまりの金の亡者ぶりに、エヴァもマクシムも言葉が尽きる。
「これは‥‥しっかり、行くべき所へ‥‥行って貰わないとね‥‥」
 ぼそりと呟き、これまでに得られた情報の精査を黙々と行ってきたのは同じく電脳班のディルク・ベルヴァルド。メール画面を保存しては、罪状も調べて当てはめていく。
「でも‥‥これだけ横領があって‥‥。なのに、何で‥‥平社員の人達、ほとんど不満が無いんだろ‥‥?」
「残業も解雇もなく、売り上げも好調。一般社員目線では、横領に気付かなければマイナスは確かに無いですが」
 あと、情報が出るとすれば――未だ苦戦中のサーバールームと、社長室だろうか。

 * *

 ソロラがサーバールーム前に到着した時、ジローはカードキーの端末を何やら工作しているようだった。
「何してるんだ?」
「ああ。分解して、ちょっと中身を調べてみようと思って。ここ、何故か人は通らないし」
 人が通らないのは、ルイと三代によりセキュリティや警備の指揮系統が停止している影響である。これ幸いとカードリーダーのカバーを外そうとしていたジローに、ソロラが待ったをかける。
「パスワード解析装置ならある、ある程度ならこれでいけるはずだ」
 期待と共に装置をカードリーダーに読み込ませる‥‥が、解析が成功した様子は無い。会社の心臓部だけあり、セキュリティが高いのだ。
「‥‥やっぱり解析(物理)かな?」
「ノンノン。ちゃんと『パパ』からカードキー預かってきましたよ、ホンモノ♪」
 秘書風の出で立ちで現れたのはルイだった。その手には確かにカードキー。しかし今、『パパ』と。『パパ』とは。
 謎を残してルイがカードキーを通すと、ついにサーバールームの扉が開いた。

 そこはいくつものサーバーが並ぶ、本当の意味でのこのビルでの中心だった。
 この部屋のセキュリティはまだ解除できておらず、感知される可能性もある。
「クラックドングルさえ仕込めたら、電脳班が‥‥」
「――鍵は、必ず開くもの。でゴザル」
 声がした天井を見上げると、空調の近くからサイバー忍者の声がした。
「床から光と声が漏れていたのでやっと見つけたでゴザル。しばし待たれよ」
 天井の板が一枚どけられると、そこから埃まみれのサイバー忍者が降りてきた。
「あとはコレさえ仕込んでしまえば、任務完了でゴザル」
 そう言って自分が持っていたクラックドングルを持ち出すと、近くのサーバーの回路を弄り始める。彼の作業の様子を見て要領を得たソロラも、自分のドングルを設置すべく回路を選んでいく。
「こんなところか?」
「どうにかアラートを誤魔化せたでゴザル。電脳班、認証できているでゴザルか」
 ソロラとサイバー忍者が確認を取ると、力強い返答が返ってくる。
『ああ、よくやってくれた。これでこのビルは丸腰も同じだ!』
「フム。ミー達は虎口を破り、門を開いた。本丸の制圧は任せるでゴザル」
 そう言い残して、サイバー忍者は現れた時と同じようにまた天井裏へと消えていった。

『今こそ我らの力を見せる時! 神意に屈するがいい!』

 エヴァの一言でネットワークのファイアウォールは解除され、オンラインサーバー上の情報は完全にオープンになる。入館を妨げていた認証システムも早々にダウンした。
「ね、ちょっと調べたい事があるんですけど」
「少し待ってくれ、こちらの用事がもうすぐ終わる‥‥社員名簿の送信完了、と」
 ソロラに頼んでルイが調べたのは、電脳班からの依頼。
 十年前にこの社屋を建設した業者名と、その役員名、そして何が原因で倒産したのか。
 ――結果は、このブギーマンという会社への疑念をますます深めるばかりとなった。
 業者名や役員名は社内の記録にはヒットしたものの、実際のインターネットで詳細を検索してみてもその名前は出てこない――偽名である。
 そして倒産時期についてもあまりに計画的で、まるで社屋建設の関係者を口封じするような、そんなタイミングだったのだ。
「ひとつの企業を、新社屋建設の為だけに使い捨てた、という事ですか‥‥?」
「外部からのアクセスログを吸い出してみてるけど、時々変なIPからアクセスあるね? 電脳班解析おねがーい」
 このブギーマンの背後にいる組織を洗い出せるかも知れない。僅かな望みと共にジローとルイが返事を待っていると、残念そうなマクシムの声が返ってくる。
『国外のIPでしたが、恐らく発信元を偽装するためのIPでしょう。クラッカーにはよくある手口です』
 結局、奇妙な背後の存在を特定する事はできなかったが、『そのような存在がいる』可能性だけは濃厚になった。
 恐らくブギーマンでさえ、本丸どころか一端に過ぎないかもしれない、という恐ろしい可能性である。

 *

 認証システムが停止し、施設内の監視カメラや防犯センサーも沈黙し、電子制御のロックは全て解除された。セキュリティ部門ではまだ社員が働いているが、その誰もが異変に気付かないよう監視カメラに通常の画像を表示させておく事も忘れない。いずれは気付かれる工作だが、そこは現地の仲間達の手際に賭けるしかない。
(‥‥セキリュティが緩んでいる‥‥警戒も‥‥皆のおかげ‥‥)
 集推スイホと共に社内に入った栄相サイスは、彼女が社員に聞き込みをするのを少し離れて見ていた。
(私も‥‥皆の為に頑張らないと‥‥)
「ご協力ありがとうございました」
 社長秘書風に変装したスイホは、「現場社員の声を集める社長指示」という体で話を聞いていたようだ。
「あの方は営業で、新製品のペットフードやサプリメントをペット業者に紹介するお仕事のようでした。サプリはペット用プロテインとの事でしたが、特に怪しい点は無いですね」
 一般社員は動物達の暴走騒ぎを知らず、関与もしていない。改めてそれを確認できたところで、二人が迷わず向かったのは――社長室である。

 彼女達が社長室に潜入予定の仲間達に合流した頃には、役員会議は終了していた。しかし、社長は社長室に戻らず、アルカが長時間連れ出す事に成功したようだ。
「見回りの警備員は二人‥‥では、私が注意を引きましょう」
 到着したばかりのスイホが早速通路脇に立つ警備員に声をかける。
「社長がもう随分お戻りにならなくて‥‥私も予定を聞いていないのですが、捜索を手伝って頂けないでしょうか‥‥あの方は、我が社になくてはならない方です!」
 真実と嘘を半分ずつ。真剣に頼み込む様子に警備員達も信じ込んだのか、慌てて待機部屋へ応援を呼びに行った。
 恐らく今頃そこでは、三代が警備部長と『仲良く』過ごしている事だろうが。
 そしてこの隙に、仲間達はすでにロックが解除された社長室へと潜入を果たしていた。

「そう言えば、セキュリティ部門の『パパ』にお遣いを頼まれてまして」
 社長室の本棚を探りながら、ルイがそんな事をこぼす。ちなみに『パパ』とは仲良くなった部長の事らしい。
「『社員名簿にない謎の人員が採用されているらしいが、もしかしたら社長室にその名簿があるかも』ってね。上層部になると皆疑心暗鬼で本当に嫌になっちゃいます」
「名簿とか‥‥持ち出す‥‥? 無くなってると、怪しまれるから‥‥写真や、ボイスメモで持ち出すのも‥‥いいかなって」
「私は逆に現物持ち出しちゃった方がいいと思うな。証拠としてはその方が強いし、どうせ社長さんがここに戻ってくるのは逮捕後の立ち会い調査とかだよ」
 サイスとエイプリルで一度は意見が割れたものの、エイプリルの『絶対に社長を捕まえる』という意志の強さにサイスも頷いた。どうしても持ち出せないものだけ、写真に撮って持ち出せばいい、とも彼女は言う。
「本当に大事なものって、オンラインからは切り離しておくものですよね。例えば‥‥鍵をかけた頑丈な金庫、とか」
 社長室の奥、広いデスクの足元には確かに金庫があった。こちらの鍵はダイヤル式のようだ。
「解錠‥‥やってみるね」
 サイスがダイヤルを回して僅かな感覚の違いを確かめる間、エイプリルはしきりに部屋の外の様子と部屋の壁を見比べていた。
「どうしました?」
「‥‥隣の部屋のドアの位置と比べて、やけに壁が迫ってる気がして。まさかとは思うけど」
 ルイが興味深そうに見つめる先でエイプリルが本棚を触っていると、妙な違和感を感じる箇所があった。ただの本と本棚ではなく、ここは――
「開いた‥‥!」
 その時、サイスもついに金庫を開けたようだった。中には一冊のファイルと、タブレットPCが一台。タブレットPCは操作するためにまたロック解除の数字入力が必要なようだ。
「さっきは使えなかったけど、これならいけるんじゃないか?」
 ソロラのパスワード解析装置をタブレットのカードリーダー部分に差し込むと、解析されたパスワードでロックが解除され端末のホーム画面が開いた。
「どれから見よう‥‥やっぱりメール、かな‥‥?」
 サイスが開いたメールアプリ。その受信ボックスには、特定の相手からのメールが数多く届いていた。
(『組織』? 何だろう‥‥これ‥‥)
「とりあえず、コレ挿しときません? 電脳班にも情報送りたいですし」
 ルイはクラックドングルを端末に挿すと、電脳班に解析を頼んだ。
「こっちのファイルは、やっぱり正規じゃない方法で採用された人達の名簿と、勤怠管理表みたいです。配属先は全員『地下研究所』、目立った長時間労働は無いですが‥‥噂の地下三階でしょうか」
「でも、その地下三階へ行く方法が‥‥これかな!」
 本棚を触っていたエイプリルが、違和感の正体を突き止めある一箇所を強く押すと、本棚がゆっくりと折り畳まれていく。

 本棚があった壁には、「B1」から「B4」までの案内が書かれたエレベーターが出現していた。

◆風雲急を告げ
 人が少なくなった路地では、もう情報収集の対象である社員を見かける事も無くなった。そろそろ撤収か、とマティアスは楽器を片付ける。
 Aiフォンの通知画面には電脳班や潜入組のやり取りがびっしりと並んでいた。察するに、そろそろ地下施設とやらへの潜入が始まるのかと、ふとブギーマン本社の方を見た。
 彼の目に映ったのは――。

 アルフォンスは、社長室の様子を電脳班からの報告で知り、潜入させていた鼠ドロイドを一足先に地下へ向かわせ社長室以外のアプローチ方法を念のため模索していた。
「まさか、最上階の社長室から地下への直通エレベータ‥‥いざとなれば、地下研究所だけ爆破すれば綺麗に証拠隠滅ができる、という絡繰りか」
「揉み消しはできるだろうが、その時は地上部分も無事では済まないだろう」
 契約運送業者に成り済ましていたイリヤ・ヴォエヴォーダは、他のブギーマンロゴを付けたトラックの運転手から軽く情報収集を終えて戻ってきた所だ。
「ドライバー連中は何か?」
「既に聞いていた平社員達と大体同じだ。現状に不満なし。特に不審なものを運搬したり、搬入されてるのを見た事もない印象だった。研究所が確実にある以上、何らかの手段で原材料の搬入はしている筈なんだが‥‥」
 ブギーマンは表向き一般的なペットフード企業。社員達は残業がない。開発研究部内でも黒い部分は完全に隔離されている。
 もしかすると、本当に地下研究所に関係している運転手はブギーマンの業者ではない可能性が――?

『皆聞いてくれ。社長室のメール履歴と、アルカが社長から直接得てくれた情報なんだが、先に結論だけ言えば‥‥マーチ教授が消されるのも時間の問題だ! 地下への潜入組は至急行動を開始して欲しい!』
 突然入ってきた電脳班からの指示と、社長室で得られた情報の開示に一時意識をそちらに集中する。
 いわく。
 現在のブギーマン社屋は初めから合成たんぱく質プロメテイン開発の目的の為に移転、建設が行われ、何者かの依頼によりのプロメテイン開発を請け負う見返りに莫大な援助を受けた事で急成長を遂げてきたとの事。
 そして、プロメテインの開発目的にして最終目的は――人間投与による軍事利用である、と。

「合成たんぱく質‥‥プロメテイン? 確か、ここは表向きにもプロテイン系サプリを作っている所じゃ無かったか?」
「表向きの製品なら倉庫に在庫があるかもしれな――おい」
 イリヤの疑問にアルフォンスが倉庫の確認を提案した時、アルフォンスは二人の様子を窺うようにしていた人影に気付いた。この季節に黒手袋、黒スーツにサングラス、帽子。すでに聞いていた、『本社周辺を彷徨いているというマフィア風の黒ずくめ』そのものだ。
「おっと‥‥プロメテインは社外秘扱いだったか?」
 イリヤがコンバットナイフを両手に構えると、黒ずくめの片腕の服が破けてマシンガンが現れる。機械化人間――『コネクター』だ。
 有無を言わさずマシンガンを発射してきたコネクターの攻撃を躱すと、反撃にイリヤが距離を詰めてコンバットナイフ二連で斬り付ける。避けられず数歩下がったコネクターが、サングラスの奥で何かを文字通り光らせていた。
「余計な真似はしてくれるなよ!」
 マシンガンの腕を殴りつけ、両手の指に嵌めた怪盗AED仕様の指輪の能力で感電させる。コネクターは小さく呻いて気絶し、その場に倒れた。
(メカなら電気ショックには弱い。マシンを扱う者なら既知の事実だろうに)
「二人とも大丈夫だった!? 加勢が来るかも知れないし、撤退した方が」
 その時、マティアスに声をかけられた。もう少し戦闘が長引けば、フルートに擬態させていた狙撃銃で参加する準備があったようだ。そう言えば今回はコネクターの回収も任務にあった事を思い出し、アルフォンスの協力で今倒されたコネクターをイリヤのトラックの荷台へと運び入れたのだった。

 *

「マーチ姉さん。私達今、ブギーマン本社の社長室にいるんだよ。ここの連中は、マーチ姉さんを利用する事しか考えてない! 戦争なんて、姉さんは望んでないよね? あとで証拠持っていくから、お願い信じて!」
 社長室での情報を得たエイプリルはその場で急ぎマーチに連絡を取ったが、マーチは深く溜息をつくと答えた。
『それが本当なら‥‥これに勝る生命への侮辱がありますか。‥‥ですが、そうだとしても。もう手段を選ぶ時間は残されていないのです』
「姉さん! 待って!」
 エイプリルの引き留めも虚しく、通話口からは機械音のみが返る。
「私達は、この資料を持って‥‥引き上げるね‥‥。地下‥‥気を付けて、セイス」
「うん、頑張るよ。サイスもお疲れ様!」
 姉妹で挨拶を交わしていると、社長室に帰り道の確保を終えた月下の蛍灯とメイデイが迎えに来る。
「地上の指揮系統はまだ正常化していませんが、コネクターが別の命令系統で動いているようです」
「私達でできるだけコネクターを回避できるルートを探しといたわ。向こうの数が増えたら終わりよ、ついてきて」
 二人が先導するのを、社長室に残っていた学生達が追う。
「ここを‥‥こうして、こうすれば!」
 走りながらソロラがPCを操作すると、別の場所で警報が鳴り響く。ハッキングによる警備システムの誤作動に反応したコネクターが移動していった隙を突いて、非常口から脱出していく。
 あとはエイプリルだけ、という時に――よりによってこのタイミングで、エイプリルが派手にこけてしまったのだ。
 思わず出てしまった声に、コネクターの数人が反応して寄ってくる。
「皆は行って! 私は絶対大丈夫だから!」
「‥‥絶対帰ってくるのよ」
 手を差し伸べていたメイデイがその手を戻し脱出すると、エイプリルは盗聴発信機能を持つ指輪を口に含み奥歯を噛み鳴らした。

 集まってきたコネクター達の前で、エイプリルは両手を挙げて呟く。
 私もよくよく運がないなぁ、と。

 *

 その少し前。
 本社がそのような自体になっているとはまだ気付いていない社長は、人事部長からアルカを取り上げ彼女の用意していた密室でひとしきり楽しんだ後だった。
「ねぇ‥‥社長って『それ』がオシャレなの? USBでしょ、それ」
 衣類を脱いでも文字通り肌身離さない、ネックレスのトップに繋げてあるUSBだ。
「皮膚の一部に等しいよ、これを引き剥がされたら死んでしまうわ。いくら君でも中身は教えんよ?」
「あらイジワル」
 微笑みながら、社長の両頬に手を添えてゆっくりと言い聞かせる。
「教えてくれたら、もっとイイコト、全部してアゲル‥‥社長の大事なモノ、ちゃんと教えて?」
「だ、だが‥‥これは‥‥あいつから渡された、教授の使い方で‥‥」

 マーチ・カースンの来歴について。彼女は熱心な生物学者にしてローゼンナハトの協力者である。
 彼女のイカレた思想はともかく、技術は非常に優秀なのでうまく使え。
 プロメテインが完成・安定するまでは、護衛としてコネクターを常に付けておく事。
 仕事が終われば証拠は抹消するように。
 ――それが、正体もわからない『あいつ』から社長が渡されたUSBの中身であるらしい。

◆秘密研究所
 コネクター達に捕まったエイプリルは、目隠しをされたままどこかへ転がされた。うっかり指輪を飲み込みそうになったのを堪えたが、視覚を遮断されているぶん音が酷く耳に残る。
 何かを削っているような音の正体を確かめる間に、目隠しが外された。目に映ったのは、無機質な白い部屋に並べられる寝台。順番待ちのように床に座らされている、自分と同じくらいの年頃の男女。そのような男女がそれぞれ寝台に寝かされ、あの音の正体――電動のこぎりで、腕を、脚を、そしてメスで眼を抉り取られているのだ。
 隣室からは、金属を加工しているような音が聞こえる。両手足の切断と、機械。想像できるのは、ここでコネクターが『作られている』という事。
 そして、まだ座らされている列の中に。
「‥‥エリザベト、エリザベト!」
「‥‥あな、た‥‥」
「諦めたら駄目。もう少しだから、一緒に頑張ろう。皆、エリザベトがここにいるってわかってくれるはずだから!」

 * *

 社長室からのエレベーターに乗れる人数は限られている。まずは先行して露払いや様子を見る仲間達が先に地下へ降りる事となった。桜朏空の提言により三人一組での行動を推奨され、最初に地下三階へ降り立ったのはエラ・ウォーカーヴェロニカ・ラプシア鹿目淳一の三人だ。
「ミーが先行して無力化していきマス。ヴェロニカは淳一頼みマース!」
 二人が頷くと、エラは左右を確認してなるべく音を立てず研究所の扉を開けて身体を滑り込ませる。その扉をヴェロニカが押さえる間に、扉の近くへ淳一が偽装対人レーダーを設置しておいた。なお、ここは室内である為小石の偽装は逆に浮くのだが、大きさで目立たないため、偽装面としては帳消し状態といったところである。
 地下研究所はさぞかし陰惨な空気――という事は無く、むしろ『清潔すぎた』。生命に関する研究を行っているはずなのに生命活動の匂いが感じられず、生きた科学者によって実験が行われているはずなのに機械的な空気しか感じられない。
(あれは‥‥実験用のマウスか。ケージの中で暴れまくってて‥‥)
「淳一、余所見厳禁よ。監視カメラに気を付けて」
 エラを先頭に、なるべく人がいないタイミングを縫って進んでいくが、どうしても出会い頭に職員に声を出されそうになった時はその口を手で塞いでから万年筆で軽く傷付けた。もちろん、そのまま倒れると音が鳴るので、ヴェロニカと協力してゆっくりと横たわらせる。
「この人が持ってたのは‥‥数字とグラフの意味がよくわかりまセンが、動物の種類とプロメテインの関係‥‥デショウカ?」
「プロメテインに関する資料はなるべく全部回収した方がいいかもね。印刷前のデータ状態の方がかさばらなくていいけれど‥‥」
 周囲のラックに並ぶ実験記録を纏めたファイルなどを手始めに回収しつつ、淳一はPCを探した。どこかに必ず、これらのデータを打ち込み計算する為のPCがあるはずだ。

 続いてエレベーターで降りてきたのは崎森瀧集推スイヤ。彼らはもっぱらコネクター達の無効化が目的だ。
「上官、思い切り暴れますよ‥‥勿論ちゃんと考えて行動しますが、私は今、すごく気分が悪いんです」
「証拠となる『モノ』は壊さん程度にな。‥‥だがお前の怒りはわかる」
 生ある者の意思を奪い、戦いの『道具』として使用する。二人が共に抱える過去が、そのような扱いを決して許せなかった。しかも、瀧が悪い方向に考えていた『コネクターを使って戦争を起こす』という予想がほぼ当たっていたのが火に油を注ぐ。
「こんな事をした奴こそ、意思を残したまま改造してやりたいな。そうすれば自分がどれ程の事をしたのか思い知るかもな」
「私では、改造する前に手が滑って殺してしまいそうなのでできませんが。‥‥さあ、いきますよ!」
 スイヤが『ティタヌス』に変身しファントムガンを構えると、瀧を前衛にして勢いよく研究所へ入った。
「さあ出てこいコネクター! お前達も被害者だろうが、容赦はしないぞ!」
 密かに潜入していたエラ達と異なり大きく注意を引いた二人の元へ、応えるようにコネクター達が集まる。ある者は肘からマシンガン、ある者は膝下が鎌のような刃物、またある者は肩から回転ノコギリなど、形状は様々だ。
「スイヤ、生身の部分を狙ってみろ!」
「了解です上官!」
 真っ先に飛び込み、蹴り――実際には鎌を振るわれているようなもの――を見舞おうとした個体の胴体をティタヌスが狙い撃ち、転倒したところを瀧が拳で狙うが、機械化による強化もあり簡単には落ちない。その間に他から狙おうとしてくる個体に対してはティタヌスが連射で牽制し、なるべく隙を生じないように互いを固めていった。

「人間は動物だけでなく、人間を支配したいものですよ。正直、社長室のメールを見た時もあまり驚きませんでした」
 最後にエレベーターで降りてきたのは、エヴァからクラックドングルを預かったマクシムと、セイスだった。
「しかし、カースン教授はどこまでご存知なのでしょうね。プロメテインの人体投与‥‥その効果。私が善の心を持ち合わせていないなら、きっとそのような『実験』を行った事でしょう」
「実験動物‥‥人間と動物が一緒なら、人間も実験体にされるべき‥‥って事なのかな‥‥」
 しかし、相手が人間であれ、動物であれ植物であれ、セイスはやはりそれは良くないと思った。『共に生きる』とは、誰かを無闇に痛めつけることでは無いと思う。
『私だ。やはり地下研究所へのクラックはこのままでは実行できない。どこかにクラックドングルを挿せそうなマシンは無いか?』
「探せそうな状態であれば‥‥おや」
 エヴァの通信を受けて研究所の扉を開けてみれば、瀧とティタヌスの奮戦により主だった導線には気絶したコネクターが転がっていた。よく探せば、目立たない位置にも職員やコネクターが密かに気絶している。こちらはエラやヴェロニカによるものだろう。
「この人達‥‥治せるかな!?」
 倒れているコネクターの一人に駆け寄ったセイスは、機械化されている境界面を観察してみた。当然のことながら、この場に生身の本来の手足は残っていない。機械との接続箇所付近の処理も皮肉なほどに完璧で、出血などは見られない。
(この腕‥‥もう、戻らないんだ‥‥‥‥)
 医療に詳しいからこそ、中途半端な楽観視はできない。この人に、本来の腕はもう二度と戻らない。
 不慮の事故でも生まれつきでもなく、自分の腕で満足に生きていけたはずなのに。
「でも、せめて学園に連れ帰る事ができたら、何かできるはず!」
「しかし、この人数をあのエレベーターで運ぶのは‥‥十階まで戻らずとも、他に地上への出口があればいいのですが」
 セイスの提案にマクシムが難色を示してると、コネクターの一人が二人目がけて襲ってきた。手の武器はハンマーだ。とっさにセイスの前に出たマクシムが腕時計から鋼糸を出そうとしたが、それより先にコネクターの背後から伸びた暗殺者のリボンが腕ごと鮮やかに絡め取った。ヴェロニカ――『ヴルペス』のものだ。
「ちょうど良かったわ。電脳班に協力できそうなマシンがあったの。こっちに来てくれる?」

 ヴルペスが案内した先は、淳一がメールの送受信履歴を見ていたデスクトップPCだった。
「地上の調査でも何かの組織? が背後にいたらしい事はわかってたけど、研究データ頂くついでにもう少し洗えないかと思ってな。見てくれこれ」
 淳一が画面を見せる為に身を引くと、そこに表示されていたのはプロメテイン開発に関するマーチ教授と所長(メール内ではジゴスキー博士と呼ばれていた)のやり取りだった。そこからわかったのは、マーチ教授がこの開発に協力するようになったのは一年ほど前からと意外に浅く、また文面の端々から何となく感じられるのは、『マーチ教授と所長の目的は必ずしも一致はしていない』という点だった。
「『彼ら』の希望なので君には護衛を付けさせてもらう‥‥って、社長のUSBにもあった内容らしいけど。皆が相手してくれたあのコネクター達が護衛なのか?」
「‥‥そうとも言えますし、また言えないのではないでしょうか」
 ひとまず、このPCにクラックドングルを挿す事でエヴァにも情報を送る。また、これで彼女も研究所内にクラックできるようになるだろう。

 エヴァの危惧を思い出す。マクシムもその通りではないかと思っている。
 教授は、恐らく。

◆生命の価値

「‥‥カースン教授。‥‥課外授業をお願いします」

 地下研究所奥の一室を、パスワード解析装置でカードキーを開けた先。
 マーチ教授は一人、試験管の並ぶテーブルに向って座っていた。
 彼女に対して刃が真っ直ぐ頼むと、教授は無表情で振り返った。

 最初に質問したのはリラ・ミルンだ。
「教授は、動物と人間の在り方で、最も善いと思うものはどんな在り方ですか。共存? 淘汰? 支配?」
「もちろん共存です」
 嘘発見器の反応から、その答えが嘘でないことはリラにはわかる。
 しかし顔色一つ変えず即答する教授に、ミルク・マクナイトが疑いを持つ。
「本当のことだけ、話して。共存を望むなら、悪いこと、してないよね‥‥地球にとってじゃないよ、人を傷付けるようなこと」
「‥‥貴女には、今の私がどう見えますか。嘘吐きの悪い人間に見えるでしょうか」
「先生はUNICOで、『自然を守る為に自分を磨いておいてください。自然は答えてくれます』って、言ってくれたよね‥‥? その先生が‥‥地球を代表して動物を兵器みたいにする事が、正しいの‥‥自分達も自然の一部のくせに‥‥」
「‥‥‥‥」
 向けられる純粋な悲しみと怒り。悔しさ。
 ミルクの言葉に、教授は沈黙と瞑目でしか返せなかった。
「‥‥教授。私は友達に動物をプレゼントした事があります。物扱いをしてるようにも見えますが、友達は喜んでくれて。あげた子が友達の希望になって、一緒に歩んでいける存在になってくれたらなって思うんです。そんな在り方を、教授はどう思いますか?」
 リラが改めて問うと、教授は淡々と答える。
「‥‥その動物もそれを望んだのであれば、それは良い事でしょう。そうでないのなら貴女が言った通り、動物を心通わせるペットではなく、自分達の欲望を満たす道具として扱ったにすぎないと思います」
「その言葉、今のあんたにそっくり返すぞ」
 静かな怒りに身を滾らせた大世宮典人の眼差しが、真っ直ぐ教授を捉える。
「‥‥池の水を抜いた時、あんたは俺の意見に同意していたな。『人間の手で連れてこられたなら人間の手で戻すのが筋』だと。‥‥人間は頂点ではない。間違いも犯すが、正す事も出来る。‥‥だがそれは、動物本来の姿を歪めて行うことじゃない」
 あの日、学生と共に泥塗れになっていた教授が教えてくれた事だ。その教授が誰の強制でもなく、自らの意思でこのような研究に手を染めている事が典人には許せなかった。
「今あんたらがやってる事は何だ。動物を意図的に狂乱させる。それはコントロールとは言わないのか。動物を、人間を裁く道具に貶めてる自覚はあるのか」
「私が、その事を全く考えなかったと思いますか。自然の為に、自然を犠牲にする矛盾を。初めから全く躊躇わなかったと思いますか」
 低く圧のある怒りの声にも、教授は全く怯む様子を見せない。むしろ、年を重ねたが故の芯の強さ、悪く言えば――すでに狂信の域に達した信念の強さを感じさせる。
「リスクなしに、叶う希望があると思いますか。リスクを払わずただ希望が潰えるのを待つくらいなら、私はパンドラの箱を開けます。たとえ、それで尊いものを失おうとも」
「そのパンドラの箱に手を伸ばす前に、探しませんか!」
 その強さを感じてもなお、リラは訴える。
「人間は、命の大切さを理性で理解しています。そんな人間が生き物を大切にできるように、傷つかない道を!」
「‥‥全ての未来ある若者が、心から貴女のように思ってくれていたら、どれほど良かったか。そうであって欲しいと、どれだけ願ったか」
 教授は少し部屋を歩くと、何も無い床の一点を見ていた。
「‥‥全ての若者がそうじゃないから、先生はこんな事をするの? 僕達に嘘ついてまで‥‥?」
「ミスマクナイト。貴女達に伝えた言葉に偽りはありません。皆さんには自然を慈しむ心を、ゆっくり時間をかけて学んで、大切にして欲しかった。それは紛れもない本心であり、今この瞬間も思っていますよ」
 ですが、と。教授は諦めるように首を横に振った。
 このような形で会ってしまった以上、何を言っても互いに言葉は届かないだろうと。
 理解は求めない。理解するには皆はまだ若過ぎて、絶望するにも若過ぎる。
 ただ、この姿を知られてしまった事だけが残念でならないと、彼女はその一点だけを悔いていた。
「‥‥そんなの、駄目です。逃げないでください」
 怖いほどの『寒さ』を感じながら、レイン・アンダーソンが食い下がる。
「生命は存在し、心を持つから美しいんです。その意見は教授も同じはず、ですが。それを実験で変えてしまうのは違う。ありのままである事が私にとっての生命。心を壊す『調和のとれた生態系』など、美学ではありません!」
「では、貴女と私は違っていたのでしょう。意見も美学も、私について誤解をしていた。違いますか、ミスアンダーソン」
 簡単に言い切られてしまうのが、ますます『寒い』。それでも、ここで負けたくはない。
「で‥‥は‥‥っ、心は、不要だと‥‥それが美しいのですか! さっき、リラさんに言っていたじゃないですか! ペットの動物がそう思うなら、と! あなたは、動物の心を認めていたじゃないですか!」
「不要なのではなく、『有無自体が関係無い』のです。生死の循環で織り成されるのが、調和のとれた理想の生態系。そこに意思が介入する余地はありません。私はこの調和を、あるべき形にする手伝いをしているだけです」
 ついに返す言葉を失ってしまったレイン。まだ言葉を返そうという意思はあるが、得も言われぬ恐怖がそれを圧し潰している。
(‥‥動物がどう思っているかなんて、実際は誰にもわからない。だからこれは、カースン教授が動物達を利用して行った、『教授の復讐』になる)
 一連の言葉のやりとりを見ていて、刃は思った。彼と同じ結論に辿り着いていた者は他にもいただろう。結局今回は、何を言い訳にしようが『教授の意志』が直接の原因だと。
(‥‥でも、それは教授の『願い』なんだろうか?)
キティ・ラップいいます。先生にどうしても聞きたい事あるんやけどええ?」
 刃が言葉を考える間に、キティがレインを励ましながら質問していた。
「先生は、池の水を抜いて人間の死体が出てきた時、『天罰』言うてたそうやなぁ。せやったら、一連の事件は地球の自然が起こしたもんやと?」
「あの表現は喩えです。地球に人間的な意思があるとは思っていませんが‥‥傲慢に振る舞う人間は、相応の仕打ちを受けるべき存在だと思っています。増えすぎた人間は間引きされてこそ、自然はあるべき姿を取り戻すのです」
 ――彼女は今、はっきりと言ったのだ。自然の為に、人間は間引かれるべき、殺されるべきだ、と。
「つまり、人間を減らすために動物を利用した戦争‥‥それが先生の目的なんやろか?」
「矛盾と思われるかもしれませんが、私はいたずらに大虐殺や世界戦争を望むのではありません。博士の真の目的がどこにあるかは私にも測りかねますが、私の目的はあくまで調和の為の適度な間引き。それによって、人間を循環系の自然環境として組み込む事です」
 その為に必要なのは、環境汚染を引き起こすような大戦争ではなく、自然の力、動物の力で人間を間引く事。それを確実に行える技術を確立する事。それが、教授が選んだ手段だった。
「その人の本意や思想がどうあれ、力を求めるんはどこにでもおる。ダイナマイトみたいになぁ。求めるんが本人か他人かの違いや。先生の技術がそうならん保証はあるか?」
「‥‥そうならないよう、努力はしたいですが‥‥」
 キティの追及に、若干教授の回答が鈍った。
「教授、私と来て頂こう」
 その時、学生達の最後尾から駆け付けたのが斑鳩恭耶が変身した『ヌル』だった。こうなった以上は貴女の身が危険だ、と手を差し伸べる彼の行動に、教授は疑問を覚えたようだ。
「率直に言おう。貴女は利用されていただけだ。貴女のそもそもの目的である『人間を間引いて自然を循環系に戻す事』が実現される事は無い」
「‥‥何ですって?」
「貴女も知っているのではないか? あの得体の知れない何者かの組織を。連中に初めからその気は無く、最初から人間投与による軍事利用が目的だったと判明しているぞ」
 あたかも証拠があるかのような物言いに、教授の視線が険しくなっていく。
「連中が欲しかったのは、貴女の技術だけだ。その成果物が完成した以上、ローゼンナハトの協力者で最終的な目的も異なる貴女を、連中が置いておく理由は無い。むしろこれまでの行動からして、確実に口封じにかかるだろう」
「ではお伺いしますが、それらが真実である証拠はあるのですか。私の悲願が、決して達成される事は無いと、確かに示す証拠――」

 その言葉を最後まで聞かずに、ヌルは彼に歩み寄ろうとした教授を強引に突き飛ばした。

「言った傍からか、『護衛のコネクター』!」
 ヌルは教授を突き飛ばす事で、彼女の背後から奇襲してきた『護衛として宛てられていたであろうコネクター』から彼女を守ったのだ。突き飛ばした際に腕に受けた傷は気にも留めず、彼はシノビブレードでまず機械部分を切断、その後に胴体へ爪先からナイフを出した蹴りを見舞い、麻痺毒で動きを停止させる。
「‥‥他に、証拠が必要か? いくらでも見せる事はできるぞ」
「‥‥いいえ。‥‥‥‥十分です」
 教授は大きく息を吐くと、傷付いたヌルに一言謝罪して立ち上がった。彼女自身の外傷は軽いもので済んでいるようだ。
「貴女は命を慈しんでいるようでその実、種や群でしか見ていない。個が映っていない。私が愛する女性は言った、植物は何も言わないが無力じゃないと。花の一輪さえ慈しむ彼女なら、きっと貴女を否定する」
「‥‥では貴方は、貴方の想う『花の一輪を愛するような女性』を、永く慈しんであげてください」
 結実しつつあると思っていた希望が、実は初めから樹すら生えていなかった。それを知らされた教授の落胆は大きかった。
「教授。あのタイミングで俺らに授業をしたのは‥‥自分が倒れても意志を繋ぐ為か? 本当は気付いてて、止めて欲しかったんじゃないのか」
 刃が尋ねると、教授は力なく首を横に振る。少なくとも、止めて欲しいと思った事は無かった、と。
「私は‥‥できるなら、ただの生物学者として。自然を愛し尊重する気持ちだけを、若い貴方達に伝えたかった。この時期に講義の話を受けたのは‥‥きっと、私自身の為だったのかもしれません。パンドラの箱の鍵と知っていて実験に協力する私が、まだ自然を純粋に愛するだけのマーチ・カースンである事を忘れないための‥‥最後の拠り所として」
 こうなった以上は、許して貰う気は無い。それだけの事をした自覚はあると、教授は準捜査官でもある学生達に手首を差し出した。
「その前に、一つ教えて欲しい。敵は‥‥コネクターはマルセイユでUNICOの名前を出した。教えたのは教授か?」
「コネクターが、マルセイユ‥‥世界で‥‥それが博士の目的ですか。‥‥コネクターについては、私も今日まで噂でしか存在を知らなかったくらいで。彼らがどこで、どのように生み出されているのか、全くわからないのです」
 しかし、これだけは信じて欲しい、と彼女は強調する。
 UNICOやファントムについて、誓って誰にも口外した事は無い、と。
「‥‥私をこの研究に誘った『彼ら』は、初めからローゼンナハトの存在を知っているようでした。これは推測になりますが、UNICOの本当の姿に気付いている相当な組織なのかもしれません。『彼ら』の事は、私も謎の組織という印象しか無いので有益な情報は‥‥どうか、くれぐれも用心してください」

◆エリートとは
 マーチ教授によると、『本社の敷地内』から研究所に入る道は社長室のエレベーターしか無いが、地下研究所から直接『地上』に出る為の出口はあるという。地下研究所用の搬出入も行っている車庫から行けるそうだ。
 実験の被害者でもあるコネクター達や、連行すべき職員達はそこから運びだそうと地上へ連絡を取ると、同様の情報は地下の配管を鼠ドロイドに走らせていたアルフォンスによって先に得られていた。地上で車を待機させているイリヤや光の他、BICOからも車を出してくれるそうだ。
 学生達は、先にエリザベトの救出に向かった仲間達と合流する事になった。

 *

 地下三階と四階の攻略は、実は同時に行われていた。
 エイプリルからの位置情報はエヴァのAiフォンに向けて発信されており、その情報によると地下四階にいる事がわかっていたからだ。

 時を少し戻して、その地下四階への潜入が始められた頃。
(エイプリル、リーザ‥‥無事でいて‥‥!)
 地下研究所の職員の一人を麻酔シールで眠らせ、トイレの個室に運んだイザベル・クロイツァーは、MNでなるべくその職員に近く変身し潜入した。指紋や声紋、網膜まで寄せた変身は、他の職員にもまず怪しまれない。
 なるべく怪しまれないよう、どこに何があるかを把握し、部屋の奥まで進む。『ギア製作・加工室』と、『素体調整室』、『試運転室』に分かれているようだ。
「エヴァ、エイプリルの反応はどの部屋?」
『素体調整室だ』
 そこに、エリザベトもまだ無事でいる事を信じて。
「イザベルさん、先にエリザベトさん達を助けてあげて下さい。無事だといいのですが‥‥私も心配なので」
 イザベルが潜入した時に同時に入室した『愛らしき者』に言われると、イザベルは軽く頷いた。愛らしき者は仲間達を引き入れる為、一度入口へと戻る。
「お待たせしました」
 彼女が扉を開けると、ファントムブレードを手にした『一刀繚乱』を先頭に『戦場の勇気』『西王母』も入ってくる。空もワイヤーソーの準備はできていた。
「皆様、抵抗すると少し痛いですよ?」
「コ、コネクターを! コネクターを出せ!!」
 一刀繚乱がにこりと微笑むと、職員が慌てて部屋の奥へ駆け込む。彼らが目指したのは『試運転室』だ。開かれた部屋からは様々な武装のコネクター達が現れた。
「奴らはまだ『人間』だ、トドメは刺すなよ」
「機械の部分を斬れば止まりますかね? あの部分なら、峰打ちしなくても大丈夫でしょう」
 戦場の勇気が釘を刺せば、一刀繚乱はそんな提案をする。
「人との接触は避けたかったのですが‥‥そういう訳にもいきませんか」
 面倒くさそうに怪盗器用貧乏がコネクター達を見回すと、その内の一体が襲いかかってくる。
「――人の理を犯して悪夢を紡ぐ、愚かなる者達はさぁいずこ?」
 怪盗器用貧乏がコネクターの脚にワイヤーソーを振るい、外そうと踏ん張るもう片方の機械の脚を西王母の電撃鞭が絡め取る。強力な高圧電流は、コネクターの意識をショートさせるように瞬間で落とす。
「我らは仄かなる光纏う怪盗(ゆめ)、闇に差す無数の星々。さぁ、星の旋律をここで奏でましょう‥‥なんて、たまには詠いませんと」
「さあその腕、頂きますよ!」
 次の相手には、一刀繚乱が肘から先の機械腕を断ち切る。無論出血は無い。戦場の勇気がレイガンで脚を撃ち抜いた個体は、床に倒れても腕の銃を撃とうとしたが、愛らしき者が顔を覗き込んで睡眠スプレーをかけると沈黙した。
 コネクターが押され始めると、戦闘能力の無い職員達は逃走を図ろうとする。社長室直通のエレベーター側ではない。
「向こうに非常口でもあるのでしょうか」
「人数は多くないが、逃げられると面倒だな‥‥出口まで泳がせてみるか」
 器用貧乏が承諾すると、戦場の勇気は一刀繚乱に追跡を任せた。
「こちらのクラックドングル、重要そうなPCにお願いしますね」
「おう、そっちも気を付けてな」

「リーザ! エイプリル!」
 イザベルが部屋へ入った時、エリザベトの目の前でエイプリルがまさに寝台に上げられるところだった。
「侵入者だと!」
「コネクターは何をしてるんだ!」
 電動のこぎりを持っていた職員と、エイプリルを運ぼうとしていた職員。イザベルはまず電動のこぎりの職員を髪飾りの麻痺毒で痺れさせると、その間にエイプリルが振り切ったもう一人の職員を麻酔シールで眠らせた。
「皆、もう大丈夫だよ。エイプリルも危なかったね‥‥間に合ってよかった」
 それはそれとして、彼女にはしっかり言っておかねばならない。四肢を失う危機は去って一時安堵の表情を見せたものの、エリザベトはすぐに顔を背けてしまっている。
「‥‥何ですの。私の無様を、わざわざ見に来られましたの?」
「もー、違うよリーザ。話聞いて」
 エイプリルの他、座らされている者達の拘束を解きながらイザベルは話す。
「私ね、山岳部なんだ。チームで登山する時って、足が一番遅い人に歩調を合わせるの。誰もリタイアしないように、皆で生きて下山できるように」
「‥‥‥‥」
「リーザは才能も能力もあるよ。これから先、お互いに現場の指揮を執る事もあるかもね? だから、取り巻きの皆もリーザが護らなきゃ」
 エリザベトが無言のままなので、改めて正面から「ね?」と確認する。
「‥‥付いてこれないノロマは、エリートには不要ですわ。ここまで失敗を重ねて、今更どの顔を提げて‥‥」
「じゃあ頑張ろうよ! 私もリーザに置いて行かれないように頑張る。だから約束して。次は一緒に行こ?」
 イザベルがエリザベトの手を取っていると、戦闘を終えた仲間達が部屋に集まってくる。
「随分しおらしくなってしまって。流石に功を焦りすぎた自覚はある様子ですか」
 敢えて煽るような言葉を選ぶ空。
「ご無事でよかったです。心配したんですよ‥‥」
 背中からそっと抱き締める――と見せかけて首に回す腕に力を込めるサラ。締まる。
「あなたが見たものが、現実であったとして。その程度であなたの『真』は揺るがないでしょう。あなたが、根本から人間を辞めてしまわない限り」
 蕾の言葉には少し考えるところがあったようだが、ユウキが超科学治療で気持ちを落ち着かせるとようやく本来の顔が戻ってきた。
「いつもの調子に戻って貰わねばこっちも困る。とりあえず貸しにしとくから、ちゃんといつか返しに来いよ」
「貸して欲しいと頼んだ覚えはありませんわ」
「おぉ、流石エリート様は礼の言い方も知らなかったか。知らないなら仕方ない、いや悪い事をした」
「何ですって‥‥!」
「エリザベトさん」
 ユウキの言葉に煽られるエリザベト。そんな彼女に、さらに声をかける者がいた。職員達の追跡から戻った紡だ。
「高笑ってくださいな? 笑う門には福来ると言いますし、いつも通りの行いは気持ちを穏やかにしてくれますよ」
 突然笑えと言われても、とためらうエリザベトに、蕾もサラも笑おうと誘う。
「笑い声というのは、悪い気を祓ってくれますよ」
「元気に笑うリーザと一緒に、私もここから出たいな! 『オーッホッホッホ』‥‥こんな感じ?」
 サラにもっともらしく言われ、イザベルには物真似までされてしまう。
「‥‥全くなっておりませんわ。真のエリートは、笑い方も高らかでなくてはいけませんのよ。本物はこう――」
「あの、エリザベト様、そろそろ撤退」
「おだまり!!」
 うまく乗せられて笑おうとしたところを、タイミングの悪い取り巻きに遮られてしまった怪盗エリートであった。

 *

「さて、今話題のペットフード企業への突然の取材もそろそろお時間となりそうです。少し前に危うく地下から不審者の脱出を許す所でしたが、文字通り『煙に巻いて』おきましたのでご安心を。本日の取材記事は私の気まぐれで載ったり載らなかったりしますが、今後とも宜しくお願いします‥‥というわけで」
 本社ビルの敷地から少し離れた謎の緑地帯が、地下研究所からの直接の出口であり地下への資材搬入口でもあった。ここから脱出しようとした職員を、本日「高級誌の若手記者」として陽動で駆け回っていた光がイヤリングを投げ込み煙幕で追い返したのである。
「‥‥本日のお勤めご苦労だったね、運転手さん」
 彼女の傍にはエリザベト達を回収すべくRRリムジンが。さらにイリヤの4tトラックも到着している。
「そっちもな。しかし、あの人数に実験の被験者達も加えるのか‥‥足りるか?」
『職員の方は‥‥BICOに渡していいんじゃないかな‥‥。現地警察に渡しちゃうと‥‥後で困るの、何も悪くない普通の社員になるし‥‥』
 電脳班は、すでに事後処理に入っていた。ここまで全体を纏めてきたエヴァに代わり、ディルクが中心になってUNICO側のアドバイスを受けながら差し障りの無い処理をしている。最終的にはエヴァが地下研究所の電源を落とし、その時に研究所からは全てのデータが消える予定だ。
 別の誰かに不利益が生じるほどの大きな改竄などは特にせず、プロメテイン関連は当然伏せる。表だった変化は、横領の罪で問われる事になる役員クラスまでだろう、というのが大まかな方針だった。

◆生命の意味
 あの後。
 改めて会社や研究所の諸データを精査した結果、改造された悲しき者たちは、すでに外部組織にまで配置されている形跡が見つかった。また、コネクター開発に関する研究データは、外部へ持ち出されている可能性が強く窺えた。
 彼ら彼女らが、コネクターと呼ばれているのか、はたまたサイボーグ、バケモノ、なんと呼ばれているのかは、知るよしもない。配置先を追跡しようとしても、恐ろしいほど綺麗に『洗浄』されていたからだ。だが、処分されたのでなければ――いずれまた、ローゼンナハトの前に姿を現すかもしれない。
 一方、急成長していたペットフード企業ブギーマンは、経営陣トップの横領が発覚、逮捕。役員の総入れ替えにより、今後はより透明で健全な運営を目指していく事が発表された。
 この建て直しにローゼンナハト系企業の支援があった事は言うまでも無い。

 プロメテウスの研究に直接関わった研究員や旧社長、マーチ教授の身柄はBICO預かりとなった。マーチ教授はまさか目と鼻の先どころか、足元でコネクターが作られているとは考えもしなかったようで、連行されていく後ろ姿は少しやつれているように見えた――というのは、現場を見ていたあるBICO捜査官の感想だ。

 そのプロメテウス研究にブギーマンや、マーチ教授を引き込んだ全ての元凶たる謎の組織は、未だその全容は明らかにならない――というより、まったくなんらの手がかりさえ掴めないまま、事件の幕が引かれそうであった。異常な話といえよう。
 それは、そうである以上、やむを得ない――それは諦めるとしても、さて、今回捕虜としたコネクター達をどうするか。
 保護されたコネクターは危険な武器のパーツは外され、洗脳も解かれたが、ローゼンナハトの技術をもってしても本来の四肢や眼、洗脳中の記憶は返してやれない。
 彼らは皆ファントム才覚を持つ優秀な者達だったが(その点も残された大いなる謎の1つだ)、本人が望むならローゼンナハトの保護の元、高級な義肢や義眼を与えられた上で親元へ返されるだろう。
 だがもし、機械の身体となっても、その命をファントムとしての活動に使うなら――UNICOは彼らを『ピグマリオ』として、温かく迎える事を決定したのだ。



 21

参加者

c.【池の水】研究所のデータとセキュリティ全部抜く【全部抜く】
鹿目淳一(pa0044)
♂ 25歳 忍知
a.どの辺りを重点的に調べようかしら
ガブリエラ・ユレ(pa0050)
♀ 22歳 弾探
a.多少効率化を図れればという所だな。
リュヌ・アカツキ(pa0057)
♂ 24歳 忍魅
b.【電】出入りの業者になりすまして各所情報を探り、手筈を整えるよ。
アルフォンス・サインツ(pa0087)
♂ 23歳 弾忍
b.とりあえずはこちらで…?
メレディス・メイナード(pa0098)
♂ 20歳 探魅
サポート
a.上手く入り込めれば良いのですけど……。
フロウティア・モリスン(pa0099)
♀ 20歳 忍知
c.【電】……やるよ……
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)
♂ 22歳 乗知
a.クスクス…忙しくなりそうだわ。
アルカ・アルジェント(pa0217)
♀ 23歳 弾魅
c.『実験』の成果、奪らせてもらうわ。
ヴェロニカ・ラプシア(pa0222)
♀ 20歳 英忍
d.リーザ…、無事だよね?
イザベル・クロイツァー(pa0268)
♀ 20歳 弾忍
a.ボクは、建物に関しての情報を集めてみるよ。
中藤冴香(pa0319)
♀ 24歳 探魅
e.人と自然のために、何を思ったのか…
リラ・ミルン(pa0389)
♀ 19歳 弾魅
a.【電】内部からの情報リークはお任せ♪先に潜入して情報を掴んでおきます。
ルイ・ラルカンジュ(pa0432)
♂ 23歳 英魅
b.【電】慎重かつ華麗に怪盗らしくやりましょう。情報系サポートはお任せを。
マクシム・ヴェッカー(pa0436)
♂ 26歳 探知
d.さて…間に合いますかねぇ
桜朏空(pa0437)
♂ 21歳 英探
b.【電】本社勤務の運搬係を装って潜入する。輸送用トラックを確保してある。
イリヤ・ヴォエヴォーダ(pa0440)
♂ 24歳 刃乗
b.セキュリティの本丸攻略の為ルートを繋ぐので仕上げはお願いするでゴザル。
スティーヴ・カラサワ(pa0450)
♂ 21歳 忍知
d.お姫様の退出の準備を整えておくよ。他の犠牲者の搬送も可能な限り。
九曜光(pa0455)
♀ 21歳 乗魅
c.医療班として着いて行くよ!でも怪我しないでねー!
栄相セイス(pa0459)
♀ 19歳 知魅
a.・・・潜入、頑張ってみる・・・。
栄相サイス(pa0460)
♀ 19歳 英探
a.社員に化けて警備部門の責任者に接近し、ガードが緩くなるよう足止めします
小林三代(pa0527)
♀ 19歳 英魅
a.【電】現場調査担当の私からの連絡が途絶えてもAiフォンは手放しちゃダメ
エイプリル・レモン(pa0679)
♀ 26歳 探知
サポート
b.【電】バックアップは任せるがいい!
エヴァ・マルタン(pa0835)
♀ 26歳 知魅
e.……直接会えればいいが。
大世宮典人(pa0940)
♂ 22歳 刃乗
e.…俺はもう一度、教授と話さないと。
明神刃(pa0953)
♂ 19歳 英刃
c.では、調査に潜入しましょうカ。
エラ・ウォーカー(pa1057)
♀ 23歳 刃忍
e.気になる事があるねん
キティ・ラップ(pa1077)
♀ 19歳 弾知
c.何かあったときの戦闘がメインになるかな。ちゃんと守るぞ。
集推スイヤ(pa1090)
♀ 19歳 英弾
a.社長室の周りの警備を緩ませますね。あとはお任せします。
集推スイホ(pa1091)
♀ 20歳 英魅
a.本社の近くで路上ライブをやって平社員に探りを入れるよ
マティアス・リブラン(pa1168)
♂ 19歳 弾魅
c.戦闘になった時、敵の無力化と仲間の護衛に回ろう。
崎森瀧(pa1178)
♂ 24歳 英刃
d.よろしくお願いします。
サラ・ハサン(pa1214)
♀ 19歳 乗魅
d.泡沫は消え、現の時間へと。
李蕾(pa1220)
♀ 22歳 探魅
e.……
斑鳩恭耶(pa1232)
♂ 26歳 刃忍
d.さて、やるか。
ユウキ・ヴァルトラウテ(pa1243)
♂ 26歳 英弾
d.救出に行きますね。
月羽紡(pa1364)
♀ 26歳 刃探
b.潜入しやすく細工する予定だ。
推橋ソロラ(pa1424)
♀ 21歳 英知
e.私にとっての生命は…
レイン・アンダーソン(pa1425)
♀ 19歳 英忍
a.よろしくお願いします。
黒鳥由理(pa1427)
♂ 20歳 忍探
e.間違ってるなら、止めないと……
ミルク・マクナイト(pa1465)
♀ 19歳 弾乗
 これが一番正しい形なのです。自然にも。人間にも。
マーチ・カースン(pz0130)
♀ 58歳