【PF04】人と動物の未来

担当野間崎 天
タイプグランド 事件
舞台シンガポール(Asia)
難度難しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/03/29
結果成功
MDP真純清輝(pa0904)
準MDP馬並京介(pa0036)
紅嵐斗(pa0102)
大神隼人(pa0137)
ゲルト・ダール(pa0208)
シヴ・ゲイルドッティル(pa1004)
宍倉静(pa0201)
エドワード・カーライル(pa1426)
ルフィナ・クラスノフ(pa1451)

オープニング

◆恐るべき捕虜達
 『サイボーグ捕虜』。すぐに『コネクター』と呼称される者たち。
 春季特別講習のあちこちでその影を見せ、やがて直接対峙し、そして捕えた存在。彼らは一様に、身体の大部分を改造されていた。
 いや、改造というのは、正確ではない。
 彼らは等しく、両目・両手・両足が機械であった――が、それは、体を機械で覆ったわけではなかった。本来、手や足や目があるべき部分が、機械的なパーツ(いわばサイバー義手や義足や義眼)と入れ替わっているのだ。
 つまり実態としては――恐るべきことだが、「両目両手両足を失った人間に、サイバー義眼・義手・義足を装着」した存在が、コネクターなのである。

登場キャラ

リプレイ

◆トリガー
「――うん、そういうことで、自称天才の鼻を明かしてやりたいんさ」
 真純清輝神崎真比呂の運転するトラックの助手席で、ノートPCをタイプしながら通話していた。
 連絡先は帝都大学理工学部物理学科准教授、福山秀樹。超天才的な物理学者であり、また、広範囲の雑学知識を持つが、独特な雰囲気から陰で変人ダヴィンチと呼ばれるローゼンナハトの外部協力者だ。
 コネクターのトリガー対策に、変人ダヴィンチへと情報を送る。それから、事情を説明しようとすると、情報だけで良いと突っぱねられた。
 そして、すぐに変人ダヴィンチの見解が次々と示された。曰く
「トリガーとなっているコネクターを無力化させるとおとなしくなるのでは」
「トリガーが、改造人間でなければならない理由があると推測できるが、その場合、妨害電波等ではトリガー発動を防げない可能性が高い」
「動物が狂うメカニズムを推察するに、動物へのアプローチより、コネクター自身の無力化のが手っ取り早い可能性はある。その際、パーツ破壊が有効な可能性がある」
 清輝は准教授にお礼を言うと、すぐに電話は切れた。
 清輝は早速、他の仲間にも周知したのであった。

◆防波堤
 人々は園外へ避難させなければならない。
 けれども、動物やコネクターは園外へ逃してはならない。
 二律背反な状況で、学生達は、このような結論を出した。
「はいはい、どいたどいた」
 人波をかき分けるように進んだ4tトラックが、入口の半分を塞いだ所で停車した。
 逃げるのに邪魔だと、入口付近に溜まった観光客達が文句を言い出すが、すぐに口はつぐまれた。
 運転席から荷台の屋根に乗り移った雷鳴まゆがコンパウンドボウを持っていたからだ。
 逃げて来た人々の頭に一瞬、テロリストの文字が浮かぶ――
「あなた達に向けての物ではありません。動物を逃さない為のものです。もはや慌てる必要はありません。ここまでくればもう大丈夫です」
 落ち着いた声でそう告げたのは、ゲルト・ダール。その言葉は、全く余裕がなかった人々の心に自然と響いた。
「ゆっくりと進んで、園の外でお待ちください」
 花鼓紫の誘導で、一人ずつ入口のゲートを潜っていった。
 人々を園の外に待たせたのは、斧箭槍剣の判断だ。
「すぐに帰す訳にもいかないだろう」
 だが、アイザック・ブライトン明神小夜からなる救急隊によって怪我人が運ばれてくる度に優先して通さなければならなくなり、人の流れが滞り、入口周辺の人溜まりは大きくなっていった。
 だんだんと、帰られない人達からの不満も当然聞こえるようになってきた。
 だが、槍剣は事態を予測し、対策を講じていた。
 仲間によって届けられた物は動物園のグッズや飲食店で提供される軽食だ。
 それを大盤振る舞いして、人々の不満を抑えたのだ。

 入口から出たところの脇に、ビニールシートを引き、簡易式のテーブルを並べ、かき集めた治療道具がそろえられた医療スペースが完成していた。
 野戦病院とも呼べそうなそこでは、ゲルトや、アイザックのコネで呼んだ闇医者ブラック・ジャッカルも腕を奮っていた。
 ジャッカルは、大型動物に踏み潰され、臓器が破裂した瀕死の患者すらも救うなど、奇跡的な働きをしていた。
「ジャッカル様、こちらの方もお願いします」
 緊急オペを終えたジャッカルの元へアイザックと小夜が即席の担架で連れてきたのは、両脚を折られて自力では逃げられなくなった女性だった。
 シートの上に横たえられた女性の脚を診て、ジャッカルは感心したように声をあげた。
「しっかり固定されているな。これなら治りも早いだろう」
「恐縮です」
 一礼すると、アイザックと小夜はすぐに園内に戻った。まだまだ、園内に残されている人は多いはず。
「…誰も殺させやしませんよ」 
「どうか…私達が行くまで頑張って」
 二人の祈りを叶える為に、小夜は急いで救急車代わりのリムジンを出した。

 ゲルトが、子供が腕に負った擦り傷を消毒してやっている時、空から白頭鷲の鳴き声が響いてきた。
「よし、これでいいよ」
 子供の治療を急いで終わらせ、園の中へと急ぐ。
 途中で槍剣に声をかけて一緒に人波の中へと潜ると、厚着した男の腕を掴んだ。
「怪我がないか、確認するよ」
 掴んだ時点で分かってはいたが、袖をまくらせると、袖からのぞいた腕は金属製。
「やっぱりニセモノが混じってたね」
 ゲルトの言葉に男は舌打ちして人々を突き飛ばして逃げようとした。
 だが、一瞬早く槍剣が捕まえると、ゲルトが時計型麻酔銃を首元へと撃ち込み、コネクターは眠りこけた。
 槍剣は捕まえたコネクターを縛り上げると、ひとまずトラックの荷台に詰め込んだ。

◆美学と校則と
「もー! 動物に人間を襲わせるなんて酷いよ!」
 アデライン・エルムズは、担当する地域に向かいながら、コネクター達に対しての怒りをあらわにしていた。
「そりゃ弱肉強食は自然の摂理だけど、動物を無理矢理凶暴にさせるのは違うでしょー!」
 それこそ人間のエゴでしょ!と彼女は憤る。
 凶暴化させられた動物達の末路を思うと心配にもなるのだ。
「首謀者は死ぬより酷い目に遭っちゃえって思うけど!」
「もっと冷静になるべきだよ、アデライン」
 それを怪盗ククがたしなめた。
「冷静さを失い、普段の力が発揮できないなら、勝てなくなってしまうだろう」
 それに、裏校則の第二則で唱う不殺は、殺人に等しい非道な行為もするべきではない。としている。殺人以上となれば言うまでもない。
 落ち着く為に一度深呼吸したアデラインに、ククは続けた。
「同じことは動物達にも言えるよ。破壊力があろうと、凶暴化し、普段の力が発揮できないなら勝てる」
 自然な状態の動物達と違い、暴走状態の動物達は、判断力は低下している。ククは何度か見て知っていた。
 何メートルもの跳躍ができるホワイトタイガーに対して、高さ1メートル幅5メートル程の障害なぞあってないようなものだが、それでも冷静さを欠いた獣に対して先読みして設置すれば、自分達の元への誘導くらいはできた。
「入り口には行かせない。それが森の賢者、ククとしての使命だ」
 ドロイドの鴉から送られてくる情報を確認すると、マレーバクもこちらに向かって来ている。ホワイトタイガーもマレーバクも、我を忘れたように猛っていた。

 ホワイトタイガーとマレーバクは走る勢いを全く落とさぬまま、同時に二人の元へと到着した。
 怪盗ククはシザーグローブを握り込み、アデラインは散弾銃を構えて待ちかまえていた。
 ドロイド鴉の映像を参考に、迎撃しにタイミング良く前へ出たククへ、二頭のホワイトタイガーが飛びかかる。ホワイトタイガーの突撃をククはいなすようにかわして、首筋へと掌底を打ち込む。だが、大型獣に見合う体力のあるホワイトタイガーを一撃で落とすにはいたらない。
 逆に、ホワイトタイガーに捕まり、のしかかられてククは喘いだ。
 いくら高性能な防弾衣を着用し、硬質化するスプレーで身体を固めてはいても、200キロ程度の体重をかけられれば苦しくもなるし、自力脱出は難しい。
 ククはホワイトタイガーの脚をタップすると、バチッ!と激しい音がした。
 ククの指輪による電撃にホワイトタイガーが跳びはねた隙にすばやく転がってホワイトタイガーの下から脱出。転がる流れで立ち上がると息を整えた。
 ホワイトタイガー達はもちろんそれくらいでで襲うのを止めない。だが、だからとホワイトタイガー達に立ち直れない大怪我を負わす訳にはいかない。
「少し痛いかもしれない。人間の事情に巻き込んでごめんな」
「殺処分されないようにしたいんだもん」
 アデラインにも、危険が迫っていた。マレーバクの方はククではなくアデラインの方に狙いを定めて突っ込んできていたのだ。
 だが、まだだ。まだ撃つのは早い。
 通常よりもスピードが出ている事を考慮して計算しつつ、慌てず、見極めて、マレーバクの前肢が、目の前に迫りその見開き血走った目が見えるまで
「えい!」
 静かな音が響き、衝撃に仰け反ったマレーバクも、何が起きたかは理解出来なかったかもしれない。
 そのまま地面を転がったマレーバクは、ピクリともしない。
 アデラインは次弾を装填しながら、マレーバクの事を心配していた。
(驚かせないようにしたかったけど、大丈夫、だよね?)
 良く目を凝らせば、微かに胸は上下していた。ちゃんと麻酔が効いただけのようだ。

 アデラインが目線をククとホワイトタイガーの方へ向ければ、互いの爪をむき出しにしての殴り合いに発展していた。
 先程のように直撃して倒されれば、今度は電撃で抜け出すことも難しい。だが、直撃さえしなければ十分に殴り合えた。
 そして、疲れ知らずの身体を少しでも消耗させられたら……ククの使命を果たすためには十分であった。
「悪いのはホワイトタイガー達じゃないけど、ごめんね」
 連続して放たれた麻酔弾が、1頭ずつ確実にホワイトタイガー達を眠らせたのであった。
 二人は動物達を殺さずに無力化できた事に安堵し、ドロイド鴉から送られてきた情報を仲間に転送すると、次のターゲットの位置まで走るのであった。

◆巨体に負けず
 こちらも、まずは動物達の封鎖から始めていた。
 ナタク・ルシフェラーゼがトラックを運転しゾウ達のいる地域へとやって来た。タイヤを滑らせて車の向きを90度回し、道を塞ぐように停める。トラックの荷台は普段から食べている動物達の餌で満載だ。
 もっとも、餌で満たしているのはただの重しだ。餌+αで暴走しているのだから、餌を食べさせてさらに暴走させるわけにはいかないし、そもそも暴走した動物達で今まで餌に喰い付いた者はいない。
「……間に合い、ましたね」
 アガーフィヤ・コスィフが銃匠にカスタマイズしてもらった突撃銃の具合を確かめながらナタクに問うた。
 動物園の入口とは違う。1箇所封鎖しても、まだ逃げ道は残る。だが、ナタクは存分に腕を奮って飛ばし、なんとか主要な道は塞いだ。
 まあ、本来なら閉じ込められているはずの範囲を飛び越す状態の為、これで万全かといえば怪しいところだが、そんなところは避難する人も通らないだろうから大丈夫だろう。
 というわけで、逃げてきた人が道を塞ぐトラックに驚いていたが、下をくぐるように指示した。
「あんたらは大丈夫なのか?」
「ええ。彼らを閉じ込める分、彼らの命とその責任は背負います」
 それすらできずにいては、死にきれない、と。
 アガーフィヤの言葉に避難者も強い意志を感じた。
「そうか。気をつけろよ」
 避難者が素直にトラックの下を潜っていったのを見届けると、ナタクは地面にビニールシートを敷いて水を撒いた。
 そうして準備を終えて一息ついたその時、一際かん高い象の鳴き声が響き渡った。近い。
 アガーフィヤがトラックの陰から50m先の曲がり角へと標準を合わせて待つ。ナタクはオフロードバイクへ乗り換え、いつでも発車できるようにエンジンをふかす。
 緊張の時間は、10秒か、20秒か。じれったくなる気持ちを抑えて、待つこと1分。
 曲がり角から飛び出してきたアジア象は、道を塞ぐトラックを見ても減速しない。その巨体でもって押し通るつもりなのだろう。
 アガーフィヤは迫る象の巨体にも怯まず、アバカンの引き金を引いた。
 装填していた麻酔弾が連射された。一発目は狙い通りに象の左前脚の膝を撃ち抜き、瞬く間に撃ち尽くされた残りの弾も半分弱は胴や太ももに刺さる。
 巨体故の体力を誇るアジア象。麻酔弾を一発ずつ撃っていては、止まらなかったかもしれない。
 だが、10発前後だ。
 立て続けに撃ち込むことで、今の興奮した状態でも沈静化させる事ができたのだ。
 脱力して崩れ落ちた象を前に、二人は安堵した。が、少し離れた所から衝突音が聞こえると、
「乗って!」
 ナタクがすぐに反応し、バイクの後ろに乗るように示すとアガーフィヤはすぐに頷いた。
 どうやら、他の場所のトラックに、体当たりしている動物がいるらしい。ビニールシートに水撒き作戦で踏ん張りをききにくくはしているが、突破される前に向こうも眠らせてしまおう。

◆知恵比べ
 園の中央、オランウータンの支配地域では、彼らと人との知恵比べが始まっていた。
 逃げ遅れた人々を蔦を伝って先回りして取り囲み、好きなようになぶるオランウータン達。
 逃げ出そうとする人間の親子を見つけたニ頭が競うように蔦を伝って追いかける。
 その片方のオランウータンが渡っていた蔦が突如、爆音が鳴り響くと同時に切れた。
 慌てて近くの蔦に飛び移ると、再度同じように蔦が切れる。
 また飛び移ろうとしたオランウータンだったが、今度は上空からコンドルが強襲してきた為、飛び移るタイミングを逃して地面へと落ちた。
 大怪我を負いながらも立ち上がろうとするオランウータンへ、ドゥエイン・ハイアットは拳銃を向け、ラバー弾を撃ち込んだ。
「サルどもが死のうと私の知ったことでは無い…」
 ドゥエインは、今度こそ動かなくなったオランウータンに無情に告げた。
 蔦の上に残っていたオランウータンは、落とされた方には構わずに逃げる者を追おうとしていた。が、こちらには鴉が飛びかかった。追い払おうとするオランウータンだったが、鴉はしつこく爪やクチバシを叩き付けてくる。
 鴉から逃れる様に蔦から樹へとオランウータンは飛び移った。が、それはドゥエインの罠だった。
 オランウータンが飛びついた樹は、その体重を支えきれず――むしろ支える気は一切なく崩れてしまい、オランウータンはそのまま地面へ真っ逆さま。
 だが、今度の奴は着地を決め、追いついてきて銃を構えるドゥエインへと飛びかかるべく振り向いた。が、
「さてさて、仕上げだよ!」
 コンドルとドロイド鴉の主の莫水鏡が、オランウータンにタッチし、指輪の電撃を浴びせて感電させた。
 地面に倒れたオランウータンが気絶している事を確認すると、水鏡は制空権を主張するように飛び回る2羽を見上げた。
「やっぱり、上からの強襲が無くなればお客さんも逃げやすいね」
 水鏡は、上空を旋回するコンドルに合図を送り、ブラッディカードを投げて蔦を切る。余計な蔦を切ってしまえば、オランウータンの移動範囲を絞って安全を確保する事ができる。
 役目を果たして戻ってきたブラッディカードをキャッチしてポケットにしまいこむと、新たに聞こえた悲鳴の方へと急いだ。
 ドゥエインも、次の避難者の元へと向かって走り出す……その前に。
「少々待っていたまえ。必ず治療の手配はする」
 一言そうつぶやいた。

 6頭ものオランウータンに茂みの奥へと追い立てられ、囲まれてしまった家族がいた。父親が傘を、母親がハンドバッグを振り回して幼き子供は守ろうと必死に抵抗していた。
 だが、オランウータンはひるむ事すらなく、荷物を掴むと無理やり奪い取って投げ捨てた。
 楽しくなるはずの海外旅行も、これでもう一巻の終わりか。家族が諦めかけたその時、人々とオランウータンの間に割って入った物がいた。
「わんちゃん!」
 跳び込んで来たビーグルに、小さな子が声を挙げた。
 ビーグルが人々を背に唸り声をあげる姿に、オランウータンは一瞬ためらった。だが、体格差は2倍に近い。構わず襲いかかろうとし――
「みんな、目瞑って耳塞いで伏せて!」
 上からの声に反射的に人間は目を閉じ、オランウータン達は逆に見上げて、手榴弾が破裂する瞬間を目にした。
 炸裂する光と音の爆弾。10秒ほどして一家が目と耳を開けると、オランウータン達の半数が倒れていた。
 代わりに、新たに二つの影が戦っていた。
 手榴弾に続いてブラッディカードを投げつけてオランウータン達を麻痺らせている周立夏と電撃鞭を振るって感電させて気絶させようとする紅嵐斗
 音と光の幻惑から回復した残りのオランウータン達がありえない高さを垂直に跳び上がり、蔦にぶら下がった。
 上からもの凄い形相で睨まれ、思わず悲鳴が上がった家族に対し、嵐斗は、安心させるようにとびきりの笑顔を作って言った。
「動物達は悪い奴らに操られてみんなを襲っているだけなんだ。これからおれ達が大人しくさせるから安心して!」
 大人にとっては、突然言われても戸惑ってしまう。だが、素直な子供の心には、スッと染み込んだ。
「ほんとう?おさるさんもわるくないの?」
「もちろん。操る悪い奴らを倒せば、今度は一緒に遊べるよ」
 嵐斗が笑顔で子供達を安心させるように話すと、立夏が両親へ逃亡ルートを示す。
「あちらの方からなら安全に逃げられるはずですわ」
 礼を述べつつ逃げていく家族を見送ると、追いかけようとしたオランウータンへ、立夏がブラッティカードを強く投げつけて牽制し、嵐斗が樹を利用した三角跳びでオランウータン達がぶら下がる蔦へ登り、先回る。
「おれ達が取り戻すのは、人と動物達の『絆』」
 これ以上犠牲者を出さないと決意し、嵐斗は宝石のついたステッキを取り出し、オランウータン達に向けた。
 オランウータン達は、何か警戒する素振りを見せるが、宝石がキラキラと様々な色に変わり始めると、次第に興奮が収まり……蔦から滑り落ちた。
 落ちる前に正気を取り戻した者も、それだけ動きを止めていれば、立夏にとっては良い的だ。
 投げつけたカードの毒でやはり麻痺したオランウータンも地面に落ちてピクピクと痙攣していた。
「やったね立夏さん。この調子でがんばろう」
「はい…それにしても、どうやって動物を操ってるのでしょうか?」
 立夏が首を傾げる。偉い変人学者の話しは伝え聞いたが、やはり謎だった。

 謎は残るものの、その後も、この範囲を担当した4人は、蔦を切ったりワイヤーを張ったり立体的な陣取りにも似た活動をしながら、オランウータン達との戦闘と避難誘導を続けたのであった。

◆サバンナ?の戦い
 ライオンの狩りは複数頭でもって行われる。
 暴走した今も、園右側の縄張りで複数頭にて、群れからはぐれた獲物――一人逃げる女性を追い立てていた。
 走り疲れた獲物が小さな小石につまづいて倒れると、一頭が先陣を切って襲いかかった。
 強靭な顎が地面に倒れた女性の細い首に噛みつき折る――そんな絶対絶命の危機を前に、一頭の草食獣が駆けつけた!
「草食系の恐ろしさ思い知らせてやるぜ」
 二足歩行の馬、否、ホースマンが勢いのままライオンの頭を蹴り飛ばし、一撃で意識を刈り飛ばして女性を救った。
 取り囲んでいたライオン達も、狩りを邪魔された怒りに任せて、ホースマンへと飛びかかる。
 何発か獅子パンチをもらいながらも、ホースマンは通常の3倍を超える4倍の跳躍力を活かしてライオン達との距離を一定に保ちながら、じわりじわりと戦場を移動させた。

 こちらも馬……本物の馬が人々の救いを求める声に従い走っていた。
 背に載せるのは主たる黒き侍――ブラックサムライ十八――だ。
「獣の軍勢とは言え、多数の敵と相対するのは武人の誉れ。人を襲うのであれば獣といえど容赦せぬ」
 ミーアキャットの群れを蹴散らし、シマウマの群れを薙ぎ払ってきたヤスケと愛馬に、疲労の色が見え始めていた。
 小さき獣も草食獣も、ヤスケの威圧に怯まず襲いかかってきており、家長やリーダーを倒してもなお最後の一頭まで纏わりついて来たのを払いのければ、流石の侍といえども息の一つは切れる。
 峰打ちで叩き折った牙や爪の数ももはや覚えていないが、より強敵とまみえる為にもまだ止まるわけには行かぬ。
 優れた視力で見つけた獣へ愛馬の鼻先を向け、忍刀を抜いた。
 相手は短距離界の雄、チーター。
 もしチーターの体力が切れないとしたら?そんな恐ろしい想像が今現実となっていた。
 チーターが、ヤスケと戦闘馬の周りをトップスピードを維持したまま何十秒もの間回り続けて襲いかかるタイミングをはかる。
 それでもヤスケは慌てない。悠然と構えたまま敵の出方をうかがい、チーターがヤスケの脚に噛み付いた所を切り返した。
 お互い一撃では倒れず、それから2合、3合と傷つけあった。チーターがヤスケの脚を、腕を、胴を噛み付く度に、勢いに負けずにチーターの牙や脚を切り返した。
 チーターとヤスケの戦いも熾烈を極めたが、やがて地面に転がり悔しそうに鳴いたのは、チーターの方であった。
「なかなかの強者であったな。さて、まだ逃げ遅れている者がおらんと良いが」

 ホースマンは狙い通りに動物達の怒りを買って、避難客から引き離す事に成功した。さらにそこから全力で加速して追手のライオン達を引き離すと、決めていた合流地点で手を振る仲間達の姿を見つけた。
「この辺りの人達はもう避難させた」
 顔の下半分を仮面で隠し、蒼いシャルワニに身を包んだトワイライトバレットが大きな声でホースマンを呼び、李紅花がバイクのエンジンをふかす。
 怪我人も多いエリアではあったが、救急隊の手が伸びると、小夜とアイザックの二人で応急手当をしたはしから次々と搬送されていった。
 到着したホースマンが安心して片手を挙げた。
「後は任せたぜ?」
「任せろ」
 挙げられた手に手を合わせたトワイライトバレットが、土煙を上げて駆け込んでくるライオン達を相手に武器を構えた。
(コネクターも動物も人々も皆、犠牲者だ。叶うならば、皆を救いたい)
 そのために、まずは人々を避難させた。次は動物達をなるべく怪我なく大人しくさせる。
 深刻な顔をするトワイライトバレットと逆に、紅花がアヒャヒャと嗤う。
「こりゃ楽しめそうだ…生死を賭けた追いかけっこと洒落込もうかぁ!」
 北海NR750のハンドルを強く回し、アクセル全開でライオンの群れへとツッコむ。
 ライオンの巨体が、宙を舞うかのように、重さを感じさせない動きで、バイク上の紅花へと飛びかかる。
 だが、紅花は身体と機体を素速く左右に振り、急旋回を繰り返して群れの隙間を抜けていく。
 そして、群れを縦断した瞬間にタイヤを滑らせて反転すると散弾銃をぶっ放し、ライオンにラバー弾をぶち込んだ。
「このスリル、タマンナイね!」
 ライオンが紅花に集中しているうちに、トワイライトバレットは構えていた武器を使った。
 ベルトポーチから伸びる小型火炎放射器のチューブから炎を撒き散らしたのだ。
 小型と言えど、範囲は30mにおよぶ。
 炎に巻き込まれたライオン達は苦しみ地面に転がる。無事だったものはトワイライトバレットに標的を変えてにらみつける。
 だが、注目された今、続けて放たれた手榴弾から放たれた閃光が良く目に刺さった。
 動きの止まったライオン達へ、紅花のショットガンからラバー弾が気絶するまで撃ち込まれた。トワイライトバレットも拳銃から麻酔弾を撃ちたかったところであったが、手元にあったのは小銃用の弾。
 代わりに、全てのライオンの沈黙を確認すると、後ろを含めて周囲を余さず警戒しながら、空へと拳銃を何発も撃った。
「さあ! コネクター共! こっちへ来い!!」
 コネクター達への挑発だ。

◆川辺で爬虫類と戯れる
 開放感のあったサバンナ(狩)地方から一転、鬱蒼と茂る爬虫類の庭。
「大事の度、柄でもない事してる気がするな」
 巨大な葉っぱを手でのけながら進み、清輝がこぼした。
「人命は勿論、無理矢理おかしくされた動物達も守りたいよ!」
 真比呂がファントムビジョンの赤外線視界で要救助者と動物を探す。
「まったくだ。どんだけ大層な主義主張があるか知らねぇが……命を蔑ろにしていい理由にはならねぇよ」
 宍倉静も同意する。彼も赤外線を捉えるコンタクトで熱源を探し、人並み外れた聴力で動く音を探る。
 そして、その耳に飛び込んで来たのは、人々の悲鳴だ。
 静が仲間に声をかけてそちらへと急行する。声を頼りに進み、茂みから抜け出した場所は、川辺。
 幅5m程の川岸に5人の男女がうずくまっていた。
 一人は足首を抑え、一人は腕、他二人は外傷は見られないが、最後の一人は大蛇に全身巻き付かれていた。
 さらには、川には不自然な水しぶきが立ち……一瞬人の手が水面に浮かび、すぐに沈んだ。
「まっぴー!鴇さん!」
 清輝の声にすぐに反応した真比呂が銃を大蛇――アミメニシキヘビ――へ向けて撃ち、花鼓鴇がわざわざ運んできていた発泡スチロール製の箱の蓋を開けて中身をバラ撒いた。
 銃から放たれたのは、雪玉。箱の中身は、大量の氷だ。
(短時間でも冷たい場所にして、活動が弱まれば)
 この気温では気休めかもしれないが、雪玉を当てられた大蛇は、嫌がるように巻き付いていた女性を放り出し、警戒音を出す。
 ゲホゲホと女性が咳き込む。彼女の安全を確保すべく、清輝が魔術師のジャケットに仕込んだ火炎放射器を放とうと大蛇へ指をさした。そのとき、茂みから何かが彼女へと一直線に飛びつき――静が庇って噛まれた。
「おー、やさしいねえ。助かったよ」
「バーカ。毒で動けなくなったら足手纏いなんだよ。そら、さっさと終わらすぞ」
 清輝の感謝の言葉をバッサリ切り捨てると、静は指輪でコブラを感電させて茂みの方へと投げ捨てた。
 清輝も軽く息を吐くと、炎を大蛇へ見舞う。雨の多いこの時期のシンガポールは湿度も高く、しかもここは水辺ときたもんだ。延焼はそうそうしないだろうが、一応消火器も持参している。
 遠慮なく浴びせられた炎に大蛇がのたうち回る間に、真比呂は川の方の対応を迫られていた。
 他の動物を誘い込んでから纏めてとは言っていられない。また、人がいる状態は想定してはいなかった。
 だが、水中で催眠スプレーは使えない。今やらねば手遅れになる。
「どちらも守るんだ!」
 電撃鞭を水面へと振り下ろし、高圧電流を拡散させた。
 すぐに川へ飛び込み、浮かんできた男性を岸へと運んだ。男性が流した血は多く、片腕も失っていたが、息はかろうじてある。
 炎から抜け出したニシキヘビも戻ってきた真比呂がスプレーで眠らせた。

◆容赦なく
 その頃、ホワイトタイガーのエリアでもう一組活動しているペアがいた。
「ヤイ、テメーくっつきすぎんじゃねぇ!手元がブレるだろ!」
 大型ロードバイクを繰るグリエラ・アマツカは、後ろに座る大神隼人に文句を垂れた。
 本格レース仕様のバイクのパワーに振り落とされぬように、役得とばかりに隼人はグリエラに強くしがみついていた……わけではなかった。
「わりぃ」
 軽く謝ると、腰に回していた手を緩めた。
 女性とひっつけてラッキーとか、今がチャンスだ少しでも柔らかい身体を堪能しようとか、そんなよこしまな気持ちは少しもなかった。
(何が実験だ…糞ッタレが!)
 今日の隼人は、マジだ。
 その時、ククから通信が入った。内容を聞いた隼人の瞳孔が開き、狼が獲物を狙うときのような目つきになった。
「グリエラ、そこ右だ」
「そっちは嫌な予感が……わかったよ!」
 バイクが丁字路を右に曲がると、マレーバクが怒り狂って木の幹を引っ掻いていた。二人に気がつくと、飛びかかってくるが、
「あたしがしっかり届けてやるよ!」
 見事な急減速急旋回で、マレーバクの突撃をやり過ごすと、再度急加速して突破した。

 ホワイトタイガーの展示スペースの前に、その男がいた。足元には、男の子が転がっている。
「おっと、暇すぎて退屈してたんだ。話し相手にでもなりに来てくれたのか?」
「オイ、テメーその子をどうしやがった!」
 グリエラが拳銃を引き抜きながら問う。
「俺は何もしてないぜ。むしろ坊主の願いを叶えてやったぐらいだ」
 楽しそうに笑う男にグリエラは照準を合わせた。それでも構わず男は続けた。
「ホワイトタイガーをもっと近くで見たいって言うから、虎にこっちまで来てもらったんだぜ。いやあ、喜んだ顔お前たちにも見せたかったぜ」
 高笑いするコネクターへグリエラが引き金を引いた。だが、コネクターは左腕で弾いてさらに嗤う。
 と、隼人が静かにバイクを降りた。そして、剣を握り、獣の如きスピードでコネクターへと肉薄する。
「そうこなくっちゃ、なあ!」
 その動きを歓迎するように、コネクターは右腕の手甲から刃を伸ばして隼人に斬りかかる。
 隼人の振るう剣の刃とコネクターの腕の直刀が交差し震えた。互いに歯を食いしばって押し合う中、隼人が吠えた。
「今日の剣は一味違うんだぜ」
 隼人がさらに力を込めると、コネクターの直刀が切り飛ばされた。高周波ソードが、敵の刃をつばぜり合いの状態から切断して見せたのだ。
 だが、折れたのは敵の刃だけではなかった。
「そういうのがおまえらだけだと思ったか」
 コネクター側の刃も同等の物だったようで、隼人の高周波ソードも斬られていた。
 だが、隼人は止まらない。
 手甲で殴りかかってくるコネクターの攻撃を軽く捌くと、容赦なく目を突いた。
「義眼なんだろ。容赦しねえぜ!」
 目がー!目がー!と、顔を抑えてふらつくコネクターの胸ぐらを掴むと、叫ぶ口を塞ぐように自白剤を口の中に流し込んだ。
「さあ、てめえらの頭か指揮者がどこにいるか、今すぐ吐きやがれ」
「博士か……ぐっ!」
 コネクターが何かを言おうとすると、うめいて気を失った。
「くそっ!またか!」
 隼人は大きく舌打ちすると、グリエラにすぐ出発するように頼んで後ろに乗った。
(博士?それが頭か。いかにも糞な実験が好きそうな輩じゃねぇか!)

◆忍者の戦い
 左奥側で区切った場所の中ほど。ナタクとアガーフィヤが向かったのとは別の地点。そこで黒服とニンジャは火花を散らしていた。
「猿が一匹こっち来たかと思えば、なんだキサマは」
「――悪党にアイサツは必要ない」
 コネクターの放つマシンガンからアクロバットな動きで逃れながら、澤渡龍兵は近づくチャンスをうかがう。
 本来の彼であれば、敵対者と遭遇したら必ずアイサツを交わす。それが敵味方への最低限の礼儀だ。
 だが、その美学を捨ててでも、なすべき事を今日は優先させる。
「マルセイユでの件ではいろいろ聞きそびれたこともあったからな、お前を倒した後でインタビューさせてもらうぞ」
「できる物ならやってみな!」
 コネクターは右腕の弾を撃ちきったなら、今度は左腕から撃ち放つ。龍兵はそれを低木や茂みに身を隠しながらやり過ごし、ときには幹を利用した三角跳びや枝のしなりを利用して着地点を惑わし、射線をかわし続けた。
 そして、左右のリロードの僅かなタイミングの差を狙って懐に飛び込むと、一瞬で相手を地面に転がし、義椀と化した腕を締め上げた。
 機械化されていても、きっちりと極まれば動きは封じられる。そのままの体勢で龍兵はインタビューを敢行した。
「頭は博士っていうらしいな。今どこに居る?」
「!――誰がしゃべった!?俺は何も言わんぞ」
 どうやら隼人からもたらされた情報は確からしい。だが、それ以上の情報を引き出そうとしても、何も言わんの一点張りで話にならなかった。
 これ以上は時間の無駄と判断した龍兵は、絶打で黙らせ、園内の巡回に戻るのであった。

◆とある場所にて
「くくっ。実験はどうなっとるかね?」
 その場に似つかわしくない白衣を着た老人が、ウォッカの瓶をあおりながら、付き従う黒服へと尋ねた。
 かつてない規模であらゆる動物達が暴れ、その中で人々が逃げ惑い、命を散らしているはず。
 自分達の意思一つで、大勢の運命を変えてやった。
 その神がかった成果の確認であったのだが、黒服からの答えは天才にも予想できないものであった。
「不明です」
 老人――ジゴスキー博士――は、眉間に皺を寄せて黒服へ聞き返した。
「どういうことかね?」
「一部コネクターからの通信が途絶えました。よって、成果報告が集まっておりません」
 博士は奥歯をギリッと鳴らした。
「トリガーに失敗したのかね?」
「否定です。動物達の暴走を一度は確認済みです」
「ならば何故?ワシの理論通りならまだ負荷に耐えられなくなるような時間じゃないはずだろう!?」
「コネクターに敵対する者の存在が確認されています。戦闘データも収集中です」
「それを早く言えウスノロ!」
 博士が黒服の頭をはたいた。黒服は反撃も反論もせず、黙って博士の顔を凝視していた。
「まあ良いだろう。これはこれで貴重なデータが集まるというものだ」
 奥の手もあるしな。と、博士は白衣のポケットの中身を確認するように弄った。

◆兵器キラー
 園の中央でコネクターとの戦闘を担ったのは、皇龍炎の剣だった。
 二人は、コネクターを狙って園内の人員不足のところを巡り、ここで狙いの敵を見つけたのだ。
「意図的にしろ、洗脳にしろ、結果的に人を助けるための義手などを兵器として利用し、人を傷つける行為は赦しません」
「そうだ。行くぞ、我が剣…世界を乱す歪な力を薙ぎ払うのだ」
 炎の剣と皇龍は、それぞれ高周波ブレードと合金製の爪を構えると、目で合図をして散開した。
 ターゲットは大口径の拳銃使いのコネクター。例のごとく武器と義椀が融合されているようであった。
 樹の陰や茂みに隠れて高威力の弾丸をぶち込んでくるタイプのコネクターに対して、二人は大胆に距離を詰めていった。
 怖いもの知らずな二人へ、特に皇龍へと弾は集中して撃ち込まれた。だが、彼は避けるまでもなく身体で受け止め、かすり傷すら負わない。
 自慢のマグナムが効かない事に慌てたコネクターは、動揺して身を隠す事を怠り、炎の剣に背後をとられた。
 そうして振るわれた不意打ちの一太刀。
 拳銃と化していた手首より先が一瞬でなくなり、コネクターは目を見開く。だが、終わりじゃない。
 正面に飛び込んだ皇龍が鳩尾に重い一撃を打ち込み、コネクターの意識を刈り取り、二人で完全に無力化することに成功したのであった。

◆薔薇の戦い
 サバンナ(仮)でコネクターを発見したのは、動物への対処をシグナ達に任せて途中で別行動を取ったエルフ・プレシスだった。
 コネクターに狙いを絞ってこのエリアをバイクで巡回し続けていたのだ。
 鳴り響く銃声と炸裂音にシグナ達が上手く行っているのだろうと安心して巡回していると、高速で移動する陰を見つけた。
 動物か、ホースマンか、と良く目を凝らせば。
「……なんだあれは?黒豹か?」
 エルフは自信なさげに自問した。もしかしたらただの黒猫かもしれない。
 どうしてそんなに確信がもてないかと言えば、頭だけ……被り物した人だったからだ。
 ホースマンが見たなら、「パクリだ!」と怒るか、「仲間だ!」と歓迎するか。どう反応するかはわからないが、学生でなく、こんなところで黒ずくめの格好をしているのならコネクターなのだろう。
 ビクビクしながら銃声から遠ざかるように逃げているコネクターへ向けて、エルフは発進した。
「ゆくぞ、薔薇は散る為に!」
 バイクの音に気付くとコネクターは反対方向へ逃げ出した。
 追いかけっこは数分続けられたが、コネクターの義脚から煙が出始めると立ち止まって鉄爪を伸ばしてファイティングポーズを取った。
 エルフもバイクから降りると、片手でスピアを突き出し、片手にポリカーボネートの盾を構えて強引に突撃した。
 エルフの重歩兵戦術に対して、コネクターはフットワークを活かして背後に回ろうとあがくが、槍のリーチが期先を制した。
 エルフの高周波スピアが鉄爪を弾き、特別性の義椀を半ばで切り落とし、トドメとばかりに両義脚を断ち切った。
「我が槍の前では紙も鋼の身体など同然!」

◆治療と救助
 爬虫類の庭では、次の被害者や凶暴化動物を探す前に、エリィ・トウドウが怪我人の治療にあたっていた。
 コブラに噛まれていた者には解毒薬を飲んでもらい、傷口を消毒。痛みが完全に引いたわけではなかったが、解毒薬を飲んだ者は、表情や息遣いが少し和らいだ。
 重傷者もエリィが応急処置をした。止血と傷口の消毒をしてから、麻酔で痛みを止めて眠ってもらっている。仲間に頼んで呼んだ飛行船も、もう少し開けた場所まで戻れば降りて来てくれて、重傷者を預けられるだろう。
「さあ、こちらへ。仲間から安全なルートは教えてもらっているから安心して」
 エリィが誘導し、健常者に怪我人を支えてもらって戻ろうとすると、大蛇に巻き付かれていた女が立ち止まった。
「忘れ物…ってわけではないな」
 鴇が殺気を感じて他の避難者を背にかばうと、黒い服の女がふっふっふと邪悪に笑う。
「そうそう。実は私がこのエリアを担当するコネクターなんだよね。君達、覚悟するんだよ」
 突然カミングアウトし、右腕に仕込んだショットガンを鴇とエリィや後ろの避難者達にコネクターが向けた。だが、
「ああ、そうかよ。ご苦労だったな」
「うん?」
 声の方を振り向いたコネクターの首元へ、静は的確に一撃見舞ったのであった。
 目を回して倒れたコネクターを見下ろし、真比呂は清輝へ確認した。
「これで、このエリアは大丈夫ってことだよね」
「そうだね、まっぴー」

◆考えつくことを
 各地でコネクター無力化と動物達の沈静化が進んでいたが、まだ博士発見の報告はなかった。
 ジェームズ・クレイトンは、集まる情報を元に推理しようとしていたが、首謀者に関しては、博士と呼ばれている事くらいしか追加情報はない。
 地上からはもちろん、空からの目もあるというのに……
「園外の可能性もある、油断せず慎重にだ」
 自分へ言い聞かせるように、仲間達にも通信で檄を飛ばす。
「博士、か」
「どうした華龍?」
 陳華龍から返された呟きに、ジェームズが尋ね返すとそこから推理が広がっていった。
「これまで繰り返された動物暴動は何らかの実験…コネクターの洗脳も合わせて考えれば生命体に対する戦闘力強化と行動制御を目的としている」
「ああ。マルセイユで起きた事件。なんでヤツらは俺らをUNICOと断言出来た?そういう情報が得れて戦争産業に関わるって事は…国家か?」
「研究実験の最終目的は恐らく何処かの組織の兵力強化と確保。国家もあり得るかもな。となればこの動物園での行動目的は陽動でもテロでもない大規模実験とみた。ならば…研究を主導する者が観察目的で場に来ているのは間違いない」
 まだ見つからずとも、必ずこの場には来ているはずなのだ。

 博士を探している間に、捕えたコネクターに対してのアプローチも行われていた。
 シヴ・ゲイルドッティルが超科学で洗脳解除を目指したが、やはり医療的な治療とは勝手が違うようで、上手くいかなかったようだ。
 アリス・クラークも、コネクターの保護と社会復帰を目指して調査を進めた。
「ヒトも動物種の1つ、類人猿を操れるならヒトにも同じように感情を操られるわ。機械の手足に薬物が仕込まれてるかも」
 超科学の物体を確りと調査するには、対応できる設備が必要であったが、調べられる範囲で手を付けた。
 取り外せるパーツを取り外して動力をカットし、あらためられる範囲で確かめていく。
 そんな中、機械の部位から薬品の代わりにある物を見つけたアリスは、その物が仕掛けられていた意図に気がつくと一瞬言葉を失った。
 そして、我に帰ってすぐにその事を周知しようとした……その時、博士発見の報告が皆の元へもたらされた。

◆凡人・天才・奇才
 最初に博士を発見したのは、ステラ・ワードだ。
(実験とやらも大掛かりになってきたですね、こうなるとこの計画を主導している者が現地にいても不思議ではないのです)
 首謀者であるのなら、配下であるコネクターをたくさん従えているはず。そう予測したステラは、一人用トランクヘリで空から黒服が複数固まっている地点を探していた。
 なかなか見つけられなかったのだが、このたびとうとう見つけられたのだ。
「ボート乗り場なのです。てへペロ☆」
 博士と何人かの黒服達がボートから降りてくるところが、空から丸見えであった。
 そう。博士達は、動物園を取り囲む貯水池に浮かぶボートから、最終実験を観察していたのだ。
 あまり意識される事がない場所で、屋根付きボートの為空からでも中に乗っている人の事までは見えなかったのだ。

 ステラの一報により、すぐに動ける学生達は一斉にボート乗り場を目指して移動し始めた。
 そうとは知らぬ博士は、ボート乗り場へわざわざやってきたブギーマン取締役の歓迎に満面の笑顔を浮かべていた。
「博士、直接お会いできて光栄です」
「迎えご苦労。だが、あんたはこの研究の事知っとったか?」
「今までは秘密にしておりましたが、存じてはおりました。これはお近づきの印に」
「おお、気がきいとるな。酒の時間は守られなければならんからね」
 取締役に差し出されたウォッカの瓶を博士は上機嫌で受け取ると、すぐに封を開けて口を付けた。
 そのまま先程の問いを忘れてしまったような博士に、取締役にふんしたエドワード・カーライルはこっそりと胸をなでおろした。
(酒があれば口も回るかな?)
 そう思って持ってきたウォッカだったが、色々ごまかすのにも効果があった。もちろん、友好的に接触したからこそだが。
 博士との接触は上手くいった。後は取り巻き達もいる中でいかに博士を拘束するか。
 手荒なことは嫌いだから、穏便に済ませたいと思うエドワード。とはいえ、それなりの手段も用意していた。
 さて、どうするか。と、博士と世間話で間を繋いでいるうちに、他の学生たちも到着し始めた。

 タリア・フエンテスの大型ロードバイク、北海CBR1000RRの本気をもって送り届けられた廻環ゆめは、博士を前にするなり、言い放った。
「博士…あなたは、馬鹿だ」
 敵意むき出しのゆめに黒服がそれぞれの武器を向けるが、博士がそれを制した。そして、戯れに声をかけた。
「ほぅ、この大天才に開口一番言う言葉はそれかね?」
「天才じゃない。天才はこんなことをしない…ただの人を好き勝手弄って、人生を玩んで…こんなの、赦されない。それでも、あなたは自分を天才だと言うの?」
 喉から声を絞り出すように語られた言葉。だが、博士からの答えに、ゆめの身体が怒りに震えた。
「天才だとも。凡人を玩弄することこそ、天才の証だろう」
「他人を不幸にして、自分はそれで良いと思ってるの?誰にも認めてもらえず、ただ犯罪者としてこうして追われる身になっても、自分のやったことは偉業だと言うの?」
 満面の笑顔で博士は肯定した。
 ゆめは、その博士を必死に否定した。
「…違うよ。人道に反すれば、あなたがやった程度のことをできる人達はたくさんいる。あなた一人が特別なんてことはない…ううん、他人に犠牲を強いらず、もっと人間や動物のためになることをできる人もいるはず。その人こそ、本当に称賛されるべき天才じゃないかな」
「天才のワシからしたら、そんな奴らは凡人と変わらぬ阿呆だ」
 その返答を聞いた時、ゆめの両腕は無意識の内に自分の首元へ向かい……タリアが抱きしめて止めた。
 はっとするゆめの耳元で、タリアはそっとささやき落ち着かせた。
 その様子を博士はあざ笑う。と、そこに新たな声が届いた。
「まぁ、博士は奇人なんだろうね」
 声の主はシヴ。駆けつけた事で弾む息を整え、天才論に加わる。
「少なくとも、人に迷惑かけて自分が天才だって自惚れてる人間を天才だなんて誰も思わないよ」
「自惚れ、かね?」
「そう。それで神になったつもり?これは悪魔の所業だよ。本当の天才はね、世界に評価される人のことを言うんだよ」
 過去の偉人の名と功績を挙げながら、シヴの語りは続いた。
「博士を評価するのは、世界の中のごく一部だ。人拐いに同意を得ずに改造、犯罪を評価するわけないじゃん」
 一瞬うろたえたようにも見えた博士だが、最後には再び不遜に振る舞った。
「天才を知るのは天才だけ。あんたらのような凡人にはわからんだろうな」
 意地悪く嗤う博士に対して、ゆめは握りこぶしを強く握った。
「説得なんてするつもりはない。ただ、今ここであなたを止めるだけだよ。あなたは他人を不幸にする」
 あたしと同じ。付けられた言葉にタリアが悲しげに目を伏せる、が、感傷に浸る暇はなかった。
「もう問答は終わりかね?存外に無駄な時間を過ごしたようだ」
 戦闘はすぐに始まったのだから。
 ゆめが握りしめられた拳で殴りかかるその前に。
「武装の使用を許可する、コネクターを排除しろ」
 声をした方を皆が振り向く前に、パンパンパンと拳銃が弾かれる音が響いた。
「私からは逃げられんよ」
 華龍が問答無用で撃ったマグナム弾が、博士の土手っ腹を撃ち抜いたのだ。

◆決戦・博士
(退却策を必ず用意しているはず。一切猶予を与えない)
 博士発見の報に、マフィアを連れて急行した華龍は、まず対話から始めた者達とは違い、博士の確保の為に他を全て犠牲にした。
 ボート乗り場を取り囲む茂みの中から迷わずマフィアに撃たせ、迷わず自らも撃った。
 初弾命中。次弾も素速くリロードして撃つ。が、狙い定めたはずの位置に博士がおらず、エドワードが何かをつかもうとして空振ったように腕を振って体勢をくずしていた。
 博士の姿を探そうとした時、真横で汚い悲鳴が聞こえた。見れば、白衣を羽織った悪魔じみた何かが、マフィアの一人の首を締め上げていた。
 何か……といえども、状況からして、一人しか思い当たらなかった。先程までの研究者然とした姿とは似ても似つかない。
 各部の筋肉が常人の何倍も膨れ上がり、シルエットが老人からゴリマッチョ、いや、それ以上の変化を遂げていた。眼は充血して真っ赤に染まり、口や鼻からは血が流れ出ている。とても正常な反応とは思えない。
「ば、化け物!」
 マフィアの一人が恐慌に駆られて拳銃を博士に向けて撃つが、まるで弾が見えているかのように軽々と避けてみせ、掴んでいたマフィアを撃ったマフィアへと投げつけた。
 残るマフィアも、恐怖に駆られて博士を撃ったが、でたらめで甘い狙いの弾は全て外れ、あっという間に動員されていた10人全員が殴られ、蹴られ、踏まれ、投げ飛ばされ、転がされた。
 この惨状を到着早々に目撃する事になったヴァレリ・クラスノフルフィナ・クラスノフの兄妹も、あっけにとられていた。
「……これが奥の手なのでしょうか」
「隠し玉がありそうとは思っていましたが、これは……」

 取り巻きのコネクター達の側にも動きがあった。
 暴走した博士を掴もうという反応をみせたエドワードに、コネクターの一人が疑念の眼差しを向け、口を開こうとしたその時、一番外側にいたコネクターがうめいて肩を抑えた。
 射手の姿は見えない。先程まで問答していた者達は、一人が拳を握っているだけ。
 だが、二人、三人と連続して同じように撃たれ続けた。
「くそっ、さっきのチンピラとは腕が違うぞ」
「このままじゃやられっぱなしだ。博士に続け!」
 そうして、取り巻きのコネクター達も茂みの中へなだれ込み、場は混戦模様となった。

 クラスノフ兄妹は、互いに目配せすると、兄がコインを投げて煙幕を張る。
 博士に続けと意気込んでいたコネクター達が煙にまかれて、勢いが一気に削がれた。
 動きが鈍ったところへ、軽い破裂音が何発か撃ち込まれた。
「さっきから、どこから撃ってきてやがる!?」
 重なる不意打ちに浮足立つコネクター達が己の敵を探す間に、発砲者、石動詩朗は敵の懐に入り、持ち替えたファントムブレードを振り切った。
 コネクターもギリギリで受けようと小銃と化した腕を差し出し、刃を受ける事に成功した。さらに、反撃しようと、銃口を向けるが、弾が出ない。
 ジャムった?と首を傾げるコネクターを置き去りにして距離を取ると、回転ノコギリの腕を振りかざす別のコネクターへ鉛玉をお見舞いした。
 さらに別の銃使いに狙われそうになると、指輪からの閃光で目眩ましした隙に低木の裏へと隠れてやり過ごす。まさに間合いを制した戦い方でコネクター達を翻弄した。
「武装は豊富でも練度はイマイチみてェだなァオイ!」
 挑発の声がした方へマシンガンを向けたコネクターだったが、弾をばら撒く前に意識を失った。
 倒れたコネクターを見下ろしていたのは、アイサツ省略ファントム・サワタリ。
 隼人も到着早々一人、義眼を潰して無力化していた。
「狂った爺ぃはどこだ」
 それでも二人とも怒りは止まらない。集団の頭の身柄を抑えるまでは止まれない。

 茂みの中で激しい戦いが繰り広げられる中、案外こんな奴もいた。
 ボートの前での見張り番だ。万が一逃げる事になったときの退路確保要員。
 茂みの方を注意深く警戒していたこのコネクターの足元の地面が突如爆ぜた。
 地雷か手榴弾かと慌てて伏せたコネクターは、自分にかかった影で爆発の正体を知った。
 恐る恐る見上げれば、小さなヘリから伸びる突撃銃の銃口。
「抵抗するなら容赦はしないです、てへペロ☆」
 ステラが空から敵の逃亡手段を抑えていた。

 狂った爺ぃの相手は、引き続き華龍が引き受けていた。
 だが、華龍の放つマグナムの弾を、博士は軽く避け、掴みかかってくる。
 博士の動きは力任せで直線的で、わかりやすい為、回避行動は取れたが、当てられない。
 1対1では埒が明かない。だが、学生達は一人じゃない。
 木陰からルフィナが放ったダーツが博士の顔面をかすり、続けて首筋がチクリとした。
「存分に語り合おうじゃないか。人類の未来と、可能性ってやつをね」
 エドワードの腕時計型麻酔銃だった。
「丁重にお招きした後でね」
 博士が眠気を振り払うように首を大きく振る。エドワードへの言葉に反発するかのようにも見えたその行動は、しかし大きなすきとなり、そこを学生達は逃さなかった。
 ヴァレリが背中を袈裟斬りにし、華龍が貫手で喉元を突き、ゆめが横っ腹を殴り指輪で電流を流して感電させる。
「がっ……はっ……」
 悲鳴をあげる事も出来ず、かすれた息をもらした博士は、一歩、二歩、とふらつくと、ドサッと崩れ落ちたのであった。
 博士が敗れ、意識を失うと、わずかに残っていたコネクター達はその救出に動こうとしたが(そう洗脳されているのだろう)、その直線的な動きは御しやすく、怪盗達の敵ではなかった。

 そうして全ての暴力が鎮圧されてからほどなく、地面に寝かされていた博士が目を覚ました。
 博士は赤く染まった白衣のポケットに手を入れ……ルフィナがその手にダーツを放った。
 博士が掴めずこぼれ落ちたのは、小さな起動装置。
「コネクターの義肢や義眼に爆弾が仕掛けられてるそうですね」
 ルフィナの予測の中の一つを、アリスが見つけて教えてくれていたのだ。
 最後の奥の手も防がれた博士は、力なく口を震わせた。その肉体は不自然に膨張したままだが、すでに脅威は感じられない。
「かはっ、忌々しいローゼンナハトめ、プロメテインとコネクターはやっとこれから、というところまでこぎつけられたというに……!」
「そのへんについて、もうちょい詳しく聞きたいねぇ」
 清輝に見下ろされ、博士は、血管の浮いた顔でニンマリすると。
「そうだな、よかろう、何もかも教えてや……ぐほぁ!?」
 突然の吐血。胸を押さえてもがき苦しむ博士、その肉体が不気味に律動する。
「暴走などありえん! ぐぅ、まさかダブルオーめ、何か仕込んでいたな……!?」
「ダブルオー? おいどういう意味だ!」
 隼人が詰め寄るが、博士は背骨が折れそうなほどの痙攣ひとつ、再び吐血し、そして――もう息を吸うことはなかった。

 連絡を受けた救急隊の二人が駆けつけたが、異様に変質した老人の肉体を再生させるすべはなかった。
 ジェームズがファントム仕様の小型ヘリに収容し、すぐに入口まで搬送してブラック・ジャッカルにも診せられた。
「……よし、事件の首謀者の確保完了したのか。動物の収容も終わったらしいな。任務完了。帰るぞ」
 槍剣の合図でまゆがトラックを動かし、入口を開放した。
 事実上の事態の終息宣言を受けて、人々から歓喜の声が湧き上がる脇で、この事件唯一の死亡確認がされた。ジャッカルにも手の施しようがなかったのだ。


 こうして、シンガポールにおける動物園パニックは、多数の重軽傷者を出しながらも、一般人の犠牲者は出さず、首謀者の死亡によって終結したのであった。

◆盗り戻したもの
「死因は特殊たんぱく質の暴走だって」
「因果応報だねぇ」
 事件から少し経ってから判明した事実を、校舎の廊下を行く学生達が噂していた。
 研究対象が原因で死んだとすれば、皮肉な話である。しかし、それが『仕込まれた』という言葉もあった。
「……それにしても、あの博士は私達ロシアの元国民ですか」
 ヴァレリが、なんとも言えぬ表情でぼやいた。
 事件が終息してから、博士の素性が判明した。
 ロシア(旧ソ連)出身のアメリカに亡命した研究者。
 ジェームズは改めて推理していた。
「博士はロシアで、ブギーマンはアメリカ企業。この2国はWW2の後、技術争いをしてたな。アメリカがロシアから来た博士を囲う意味と、博士が恐らく差し出し提供する物。やはり、戦争産業や技術と見るのがいいだろう」
 事件の最中にされた予測が正しいものだと確信を深めた。
 だが、国家だとすれば、博士を囲っていたはずのアメリカなのか?
 いや、博士が最期に残した言葉。ダブル・オー。その意味を紐解かねば解答は得られないだろう。

 動物園の動物達は、学生達の意見が通り、殺処分をまぬがれた。
 原因は世間に公表される事はなかったものの内部でははっきりしており、再発する可能性が著しく低かったからだ。
 中には、怪我を負った動物もいれば、怪我を負わされた人間もいた。
 だが、亡くなった者はいない。
 いつか傷が癒えたとき、再び歩み寄るチャンスは残されたと言えた。
 はじめからその気のなかった博士を除き。

 こうして、人と動物達の『絆』は盗り戻された。
 だが、今回の事件で取り戻されたのは、それだけではない。
 アリスやヴァレリが心配していたコネクター達の処遇については、既に多くの者が知っている通り、洗脳が解かれ、失われたパーツを補い、元の生活に戻ったり、UNICOの学生となったりしている。
 彼らの未来を取り戻したのも、他ならぬ怪盗達であった。



 21

参加者

e.狩りごっこだね?わかるとも!
馬並京介(pa0036)
♂ 25歳 刃魅
f.動物達との絆も人の命も、全部守ってみせるよ!未来は掴み取るものなんだ!
神崎真比呂(pa0056)
♀ 21歳 刃乗
サポート
e.さて、派手にやりますか!
シグナ・ガントレット(pa0058)
♂ 19歳 弾知
g.さァてヤリますかァ!
石動詩朗(pa0059)
♂ 24歳 刃忍
b.動物たちを無力化するぜ。前線に立つんで、よろしくな
今井天(pa0066)
♂ 19歳 英探
d.立夏さんと連携して猿たちの動きを抑えるから要救助者の保護はお願いね。
紅嵐斗(pa0102)
♂ 19歳 英忍
a.構わねぇよ。対応出来るように装備を整えとくぜ>ゲルト
斧箭槍剣(pa0114)
♂ 21歳 刃乗
サポート
g.【狩狂】さぁて…こんな糞ッタレな所業を実験とか抜かすボケはどこにいる…
大神隼人(pa0137)
♂ 21歳 刃忍
サポート
c.何とか建機で抑え込めないかなぁ?
ナタク・ルシフェラーゼ(pa0155)
♀ 23歳 乗魅
g.――外道にアイサツはいらんな。貴様らの計画、必ず潰す。
澤渡龍兵(pa0190)
♂ 21歳 乗忍
d.こっちで!うまく出来るかな
莫水鏡(pa0196)
♀ 19歳 忍魅
f.「楽させて」って交渉するか?動物らに。…さっさとやるのが一番楽そうだな
宍倉静(pa0201)
♂ 20歳 忍探
a.ありがとう。よろしくね >槍剣さん
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 21歳 知魅
g.【狩狂】お迎えはお任せあれ、だな
ジェームズ・クレイトン(pa0243)
♂ 22歳 探知
d.人々を救うのも貴族の務めだ。
ドゥエイン・ハイアット(pa0275)
♂ 26歳 英弾
z.【救急隊】応急処置を行いながら搬送。入口班に引き継ぎます
アイザック・ブライトン(pa0348)
♂ 26歳 探魅
z.好きにはさせん。
劉文(pa0392)
♂ 21歳 英刃
g.博士じゃなくコネクターの人たちに用があるわ。必ず救ってみせるんだから。
アリス・クラーク(pa0456)
♀ 19歳 刃知
z.人を傷つけるものは赦しません。
トゥーリ・コイヴ(pa0587)
♀ 19歳 刃弾
f.少し増えてくれたかー……ありがたや、楽させてくれ……
真純清輝(pa0904)
♀ 20歳 探知
サポート
z.【救急隊】こちらも探索しますが…重傷者の連絡があれば迎えに行きますね
明神小夜(pa0954)
♀ 19歳 乗知
c.よろしくお願いします。
アガーフィヤ・コスィフ(pa0970)
♀ 19歳 英弾
g.気をつけて行かないとね…
シヴ・ゲイルドッティル(pa1004)
♀ 25歳 知魅
d.動きを止めてみますわ。
周立夏(pa1061)
♀ 22歳 忍魅
b.麻酔弾で動物を眠らせてみるよー。
アデライン・エルムズ(pa1094)
♀ 19歳 弾忍
e.アヒャヒャ、ド派手なパーティにしようか!
李紅花(pa1128)
♀ 21歳 弾乗
e.アフリカの野獣には慣れている。牽制し威嚇し動きを止めなるべく生かす。
ヤスケ・クロボーズ(pa1163)
♂ 26歳 刃乗
e.薔薇は散る為に!
エルフ・プレシス(pa1173)
♀ 26歳 刃乗
g.必然かも知れんな…。
陳華龍(pa1190)
♂ 26歳 弾探
g.逃がさないのです、てへペロ☆
ステラ・ワード(pa1302)
♀ 19歳 弾乗
g.【狩狂】……あの人は、みんなを不幸にする。
廻環ゆめ(pa1420)
♀ 18歳 忍知
サポート
z.存分に語り合おうじゃないか。人類の未来と、可能性ってやつをね。
エドワード・カーライル(pa1426)
♂ 23歳 忍知
g.……異端の博士ですか。
ヴァレリ・クラスノフ(pa1447)
♂ 25歳 英刃
g.戦力として加勢します。
ルフィナ・クラスノフ(pa1451)
♀ 23歳 忍魅