【PF05】危うきを律せよ

担当Toro
タイプショート 連動
舞台Celticflute
難度普通
SLvC(紛争地域、島内)
オプ
出発2018/05/10
結果成功
MDPディルク・ベルヴァルド(pa0112)
準MDPアルカ・アルジェント(pa0217)
ユウキ・ヴァルトラウテ(pa1243)

オープニング

◆委員会招致:危管委員会
 UNICO開校一周年にあわせ、各委員会の選出や継続の判断が行われる‥‥その一報は、いっとき学生の多くにわずかならずとも動揺をもたらした。
 だが、それは次第に個々の委員会の役割の再考と現状の整理を促す結果となり、新たな委員会を設立すべし、という流れへと続いていく。
 そして新たな委員会のひとつとして起案されたものの1つが、『危険物管理委員会』。成立に際し、『危管委員会』と名を改められた委員会である。
 求められるのは爆薬をはじめとした危険物の扱いを一括して管理し、CF島内外におけるUNICOの安全を担保する役割である。
 射撃部が提案したかの委員会は学長により設立を承認されたが、無論のこと、委員会活動に名乗りを挙げるのに優先順位を設けるものではない。

登場キャラ

リプレイ

◆委員会招致、始まる
(なんか‥‥近寄りがたい‥‥)
 ディルク・ベルヴァルドは、居並ぶ射撃部員達とメイの様子をやや離れた距離から見守っていた。
 彼とこの講師との邂逅はこれが初であったが、意図せず学生達を威圧するメイの雰囲気が、内向的な彼と反りが合わないのは間違いないだろう。
 それより何より、どこか‥‥そう、招致のために訪れた射撃部一同と彼女と間を流れる空気が、そこはかとなく剣呑なものに見えるのは気のせいであろうか?

「時間だね。今ここにいるのは全員、射撃部員として来てるって認識で間違いないね? なら、競合は無し。アンタ達が適正か否かで話を進めることになるけど‥‥」
 メイが資料と学生達とを見比べ、懐から例のスイッチを取り出そうとした時、真っ先に異を唱えたのは射撃部部長、アウラ・メルクーリだった。
「そもそも、この招致の想定がどのようになっているのかが甚だ疑問なのですが‥‥先生はどのようにお考えで?」
「想定?」
 アウラの問いに、メイはどこか驚いたような表情で首を傾げた。まさか、分かっていないのか? 仮にも招致を選考する身で、その体たらくはあるまいが‥‥。
「この招致の方法がおかしいんだが。危険物を『管理』する委員会なのだろう? なぜすでに仕掛けられている? 管理している倉庫なり何なりのセキュリティが破られた時点で管理不行き届き、仕掛けられた物を探すってのはどちらかと言うと治安維持に分類される、学外を想定しているならばそれは委員会の管轄外となる。正確な処理能力を試すなら隠す必要はない、大量に組まれた爆弾をひたすら解除して、そのスピードを競うのでも良かったのではないか?」
 ユウキ・ヴァルトラウテは不満‥‥というかこの状況に対し、憤懣やるかたなしという様子でメイに詰め寄る。
 手段がおかしい。想定がおかしい。学園内で行う意義がわからない。そもそも自分達の役割ではない。並べ立てられる言葉は、まあ、ある種でもって正論なのだろう。どこかメイを喝破したい、言葉でもってやり込めたいという自尊心も‥‥僅かながら匂わせているが。
「何故、すでに『管理不行き届き』状態で『管理』の招致をしようとしてるのか、僕にはわからない。納得いくように説明してもらえませんか、メイ先生?」
 最後まで話しきったユウキと、その答えを待つアウラを前に。
 メイは、鼻で笑った。馬鹿にしている、というよりは、彼女らの態度そのものに呆れた、といったトーンが正しい。
「それを言うなら、招致決定のためにこんな余興があること自体に異を唱えるべきだね。想定がなんであるか、想定された状況に対して誰が責任を取るべき場面か、そういうことを話し合え、なんて誰が言ったね? それにユウキ、アンタ『納得』だって? UNICOとして、ファントムとして解決してきた事件の犯人側、敵側の何割が、アンタに『納得』出来る答えを与えてくれたんだい?」
 メイの表情は薄い笑みをはりつけたままピクリとも動かない。怒りの予兆も悲しみの布石も隠れてはいない。笑っている。ただそれだけである。‥‥馬鹿馬鹿しい、とは思っていようが。
「講師が生徒に『ご納得いただく』? 冗談も大概にしな。お客様気分で学生やってるならその考えをいますぐ改めな。委員会をやるってんなら、その実力をアタシに見せてから言うんだね。ここまで来て降りますやめますは聞かないよ。腹括りな」
 招致を受けない、とは言わない。帰れ、辞めろ、とも言わない。学長に話を通した時点で学生達には覚悟があるものと、メイは理解している。
 翻って、筋違いの主張をしようと、それは学生が『なんとしても危管委員会として活動したい』という熱意の裏返しだと認識している‥‥ゆえに、強引にでもその覚悟を見定める必要がある。
 想像以上の鍔迫り合いの様相にディルクは腰を抜かしそうになったが、なんとか一歩引き下がるだけで持ちこたえた。
 彼の役割はもう少し先だが‥‥ともあれ、メイは押し黙った学生達を前に、淡々とタイマーのスイッチを押した。

◆危機を振り払え
「部長も思いきった事するもんだな‥‥」
 雷鳴まゆはあらためて委員会招致の経緯やらを聞き、アウラの委員会立ち上げの判断に驚いたような、感心したような様子であった。
 確かに、射撃部ほど危管委員会に適している部活がそうあるとは考えにくいのは事実である。火器を扱う機会が多い分、それらを管理することに重点を置こうというのは正論だ。
 ‥‥本当に適正があるや否や、はこれから彼らが証明する必要があるのだが。
「私も捜索を手伝いましょう。探さないことには解体もできないでしょうし」
 桜朏空は捜索に赴くまゆとユウキについて校舎内に足を踏み入れた。彼自身の能力は、解体よりも捜索に向いている。他の2人もそれなりの実力を持つが、空は彼らと比較しても一歩秀でているのは事実。
 校舎に入るなり、わずかな痕跡を見逃さずに追い、ほどなくして1つ目の爆弾を見つけ出した彼の捜査力は他者から見ても舌を巻くほどのもの。
 慎重に隙間から爆弾を取り出した空がすぐさま解体役のディルクに持っていこうとする‥‥だが、それをユウキが押し留めた。
 彼はわずかに鼻をひくつかせてから爆弾のサイズと形状をAiフォンに打ち込むと、何処かに送信を開始する。流れるようなその動きに、空とゆめは目を見開いた。
「あの、一体何を‥‥?」
「匂いと形を記憶している。もしもの時があれば匂いで分かるし、それに‥‥『味方』がいる」
 ユウキがAiフォンを持ち上げて意地の悪い笑みを浮かべるのと同時に、その画面にはアルファベット5文字が簡潔に表示された。
 『HALCO』と。

「あれ‥‥かな?」
 ディルクは校舎から飛んでくるコンドルを確認すると、それが抱えてきた箱を手に取り、早々に蓋を開ける。
 内部構造は彼にとっては児戯に等しいレベルで、解体するのにさほど時間がかかるつくりではなかった。そして、彼にとっては『楽しい』と思える程度には、しっかりとした作りであったらしい。
(配線におかしなところはないし‥‥罠があるとすればベル回りかな‥‥)
 一手ずつ確実に解体を進めながら、ディルクは興奮のなかに冷静さを忘れない。メイ講師のことは詳しくないが、委員会の活動内容を鑑みれば最悪の場合を想定しているだろうことは間違いない。簡単だと思っていると思わぬしっぺ返しを食らいかねない、という懸念があった。
 そして現に、彼から見れば雑としか思えないまでも、解体に際し2、3のトラップが挟んであったことが明らかとなる。
 驚きの声も焦りの気配も感じられない、淡々とした解体作業。メイは遠巻きに目を細めてそれを見守り。
「せ、先生‥‥その‥‥」
「なんだい? 手順については教えないよ」
 唐突に問いかけられたメイはやや目つきを鋭くしてディルクに告げるが、怯え混じりの彼はしかし、意外な問いを口にした。
「音源‥‥外して‥‥戻していい‥‥? 元に戻すのも‥‥楽しいから‥‥ダメ?」
 ディルクの問いに、メイは怪訝な視線を返した。精一杯の自制心と表情筋は彼女が顎を落とすほどの表情の変化を許さなかったが、内心はその限りではない。
「一旦外せば音源は非活性化するよ。それでもいいなら好きに弄りな」
 講師の言葉に、ディルクはありがとうございます、と小さく返す。
 彼のもとに2つ目の、そして3つ目以降の爆弾が運ばれてくるのは、彼が解体と分解を2度ほど繰り返してからだったことを付記しておく。

◆主張とは何か
「1つ解体すれば‥‥とは言ったけど、まさか全部とはね。いいよ、話を聞いてやるよ。来な」
 解体された全ての模擬爆弾を見て、メイは待機していたアウラとアルカ・アルジェントに、場を変えてアピールを聞くことを告げた。面接形式で、一緒に呼んだということは2対1で行うということか。
「部への恩は返した形ですし、あとは部長達に任せましょう。多分、大丈夫でしょうし」
 空のどこかやり遂げた表情に、ゆめは頷き、歩いていく2人を見守った。
「思ったよりあっさり課題は終わったけど、問題はこれからなんだろうね‥‥」
 彼女の懸念はおおむね正しい。部としての規模や個々の能力もだが、委員会を任されるに相応しいかどうか、の審査の半分は、面接で決まるのだから。

「我が部の長所は、危険な火薬などを多く扱うところです。射撃をする部活ですし、中にはロケットランチャーのような発射しなくても一歩間違えれば大惨事を引き起こしかねないものもあります」
 アウラはメイを見据え、語り出す。射撃部部長として築いてきた立場と、部活動を通じて感じているものが今回の委員会提案を決意させたのだとしたら、もっともな主張である。
「そういったものを普段から管理してきた部活だからこそ、こういう委員会で活動できるのではないかと新設を申請し、招致に参加した次第です」
「‥‥ふうん。それだけかい? ちょっといい子ぶってるかんじもするけどねえ。ま、少ないながらも手を貸してる連中がいるんだ、委員会をまとめる気が本気であるってんなら、一年かけて学校を認めさせな」
 メイの言葉に機嫌の悪さが混じっていない、といえば大いに嘘になるが。アウラが部員と顧問の合意を取り付け、審査をパスする部員を集めたことは特筆に値する。だから『今回』は通す、ということらしい。
「アラ‥‥ワタシの出番はなしかしら?」
「まさか。並べて呼びつけたんだから聞いてやるよ、アルジェント。少しは楽しませられるんだろう?」
 残念そうに肩をすくめたアルカに、メイは意地の悪い笑みを見せた。面識がなければ脅しにしか聞こえない言葉に、しかしアルカは余裕の表情だ。
「既に技術面で示した通り私達は学園設備・危険物の管理という任を果たす実行力を備えているわ。加えて適切な役割分担を可能とする人員を保有しており、広域業務を恙(つつが)無く完遂する機動力と多様性に富む。そして極めつけは部員の心がけ」
 メイはアルカの主張に、無言で先を促す。アウラは緊張の面持ちを崩さぬまま、先の言葉を待つ。アルカはひとつ頷くと、話を続ける。
「‥‥簡単に命を奪えてしまう武器類を日頃から扱う私達は危険物との付き合い方を誰より理解している、深淵を覗く者が深淵に見つめ返されている事を。私達がその力に溺れ、扱いを取り違う事はないと断言するわ」
 アルカはメイの試すような視線を避けること無く見返した。あたかも、試されるような下心はないといわんばかりに。
 長い沈黙。ついで、メイの深いため息が響き渡った。
「‥‥及第点だよ。危惧されてることが何かぐらいはよく分かってるようじゃないか。部員のひとりとして、メルクーリを支えてやるんだね」
 戻るよ、と席を立ち上がったメイに、アルカはしっかりと頭を縦に振った。部屋を出ていく講師のあとを2人は追う。
 戻ってくる講師の表情に緊張の度合いを高めた一同は、ついてくる2人の表情の穏やかさに胸をなでおろす。

「射撃部の手際、主張。よく見せてもらったよ。結果を先に言えば当然、アンタ達が委員会を任されるべきだろうさ」
 あらためて招致の成功を講師から告げられ、一同は喜ぶより前に安心が先に来ていた。‥‥「それと、メルクーリとヴァルトラウテ」と呼びかけられるまでは。
「アンタ達2人が不満を持つのも結構。アタシは答える義理はないけど、おかしいと思うことにちゃんと突っ込めるその根性だけは認めてやるよ。精進するんだね」



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参加者

b.……かいたい……
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)
♂ 23歳 乗知
a.探しに行ってくるぜ
雷鳴まゆ(pa0162)
♀ 19歳 刃弾
c.部員として役割を果たすわ。
アルカ・アルジェント(pa0217)
♀ 23歳 弾魅
z.私であれば捜索も解体もこなせますので、お手伝いしますよ。
桜朏空(pa0437)
♂ 21歳 英探
c.名乗りをあげたからには、アピールをしないとね…
アウラ・メルクーリ(pa0908)
♀ 26歳 弾魅
a.ひたすら探して持ってくるから、解体よろしく。
ユウキ・ヴァルトラウテ(pa1243)
♂ 27歳 英弾
 じゃあ、意気込みを見せてみな。
メイ・シルバー(pz0030)
♀ 43歳