【日武部】禍津日神を射て

担当ちま
タイプイベント 部活
舞台Celticflute
難度易しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/06/07
結果成功
MDP斧箭槍剣(pa0114)
準MDPイザベル・クロイツァー(pa0268)
厳島火練(pa1582)

オープニング


 セルティックフルート島の東部には農地が広がっている。
 植えられている作物は、ブドウ、レモン、トマト、バナナ、マンゴー、サトウキビ、ジャガイモ、タマネギ等。今は、夏の収穫に向けて植えられたトウモロコシが、特に青々と茂って元気よく風になびいている。
 まだ腰までもないが、蒼天に恵まれて、すぐに人の背丈を超えるほど伸びて、黄色く熟した実をつけるだろう。
 トウモロコシだけでなく、農園・畑に植えられている全ての作物の豊穣祈念、そして島民とのますますの交流を目的として、日本武道部では祈年祭を行うことを決定した。


登場キャラ

リプレイ


 その日は朝からCF島東の休耕地では力強い金槌の音が響いていた。
 UNICO学生達が会場設営を行っている音だ。
 機器を用いて順に強度チェックを行うシグナ。彼の恋人のエルフは舞台に上がって神楽幕を張っていた。
 シグナの忠告を聞いて、脱いだ履物はきちんと楽屋側の階段下に揃えられている。
「演舞中、万が一にも崩れぬようにせねばな」
 衝立を補強し、床へ木釘で留めていく。
「エルフ、これを受け取って」
 シグナに呼ばれて振り返ると、シグナが格子状の竹でできた天蓋を舞台下から持ち上げていた。
「シグナ、無理をしなくていい!」
 エルフは急ぎ駆け寄り、天蓋を掴んだ。
「力仕事は私に任せろ、シグナ。愛する我が君の為に力を尽くすのも騎士たる女の喜びだ」
「そうか。
 ああ、エルフ。念のためだ。耐久テストを兼ねて踊ってみてくれないか?」
「分かった」
 天蓋を嵌め込み、四隅を補強したエルフは棒を手に舞台の中央へ立つ。
「武楽はアクロバティックな踊りだ。激しく動いてくれ」
「うむ。
 見ていてくれシグナ、今は貴殿の為だけに我が武の舞を捧げよう!」
 槍棍術を体得しているエルフの演舞は素晴らしく、床の具合を注視していたシグナもいつしか彼女の舞にすっかり目を奪われていた。
(よかった……舞台は、大丈夫そう、ですね)
 トゥーリは、エルフが宙返りをしてもびくともしないのを見て安心する。
 あれならきっと、が舞う時も大丈夫だろう。
 覡姿で舞う彼の姿を想像して頬を熱くさせながら、トゥーリは観客席の準備へと戻る。
 ここが終わったら舞台裏の休憩室も用意するつもりだ。参加する者達が、大切な神事に集中することができるように、心を込めて。
 それにしても想像の中でも劉は素敵だった。本物の劉の演舞は、もっともっと素敵に違いない。
 その時が今から待ちきれなかった。


 別の場所では弓射神事のための射場の準備が行われていた。
 新しく入ってきた2期生に追い抜かれないようにと、衣吹は張り切って設営を行う。
 御的を衝立の前に設置し、初立・中立・後立の位置に旗を立て。観客が近づきすぎないようにロープを張る。
 ちゃんとできているか確認し。
「ユウキさん、こっちは終わりました。お手伝いしましょうか?」
 衣吹の提案に、ユウキは「いや」と首を振った。
「それより弓と神矢の確認をしてきてくれ。足りなかったり、問題があるといけないから」
「分かりました!」
 垂れ幕を回り込み、向こう側にある出演者控室へ向かう衣吹。
 ユウキは白砂利を敷き詰める作業に戻る。ふと目を上げると、カイリーが垂れ幕と御的の間の空間をよぎるのが見えた。挨拶しようとしたが、あっという間に消えてしまう。
 彼に気付いたのはヒューイだった。
 「何?」と視線で訊いてくるヒューイに首を振ろうとして、彼に訊きたいことがあったのを思い出す。
「先生。生徒が危なかったら、命をかけても守ろうとするのが講師ですか」
 ユウキはカイリーとのやりとりを簡単に話した。
「キミは、カイリーを弱いと思ってるんだね」
「え?」
「ソル先生や他の講師が同じ事をして、キミは同じ疑問を持ったかってこと。
 人助けに動くことと自分の命を粗末にすることは違う。命を賭ける事と投げ出す事が同じでないようにね」
 キミの疑問の根っこは案外別のとこにあるんじゃないか、と呈してヒューイは立ち去る。
 ユウキはヒューイの肩越しにカイリーを見つめた。


 雲一つない蒼天の下、日本武道部主催祈年祭が幕を開けた。
 見物に集まったのは農民だけではない。話を聞きつけた島の住民達が、めずらしい東洋の島国の神儀を一目見ようと殺到したのだ。
「ま、待って待って」
 杏花は内心あせりながらも彼らに対処する。
「ちゃんと駐車する場所はあるし、観客席もあるよ。まだ始まってないし。今からでも十分間に合うから、急がないで」
 地図をタブレットに出し、空いた駐車先を指で示しながら説明をする。
 合間を縫うように、Aiフォンで緊密なやり取りを行っているのは隼人だ。隼人は臨時駐車場を回り、車上荒らしのような不審者はいないかチェックをしつつ、降車した者達を会場まで誘導する係を務めていた。
 にこにこと営業スマイルを浮かべ、用意済みの会場案内図を手渡す。美人を相手には、ほんの少し長めに手を触れあわせたり、目を合わせたり、感謝の言葉をもらうなどの会話を楽しんだり。
「もしどうしても分からないようだったら、俺が手取り足取り、席までご案内しますよ、お綺麗なお嬢さん。
 今なら神儀の解説を都度都度聞ける、お得なオプション付きです」
 隼人の言葉を冗談ととり、「きゃー、やだぁ」とくすくす笑う女性多数。
 本当に真に受ける女性はいなかったが、そういう反応もかわいいと、隼人は大満足だった。

 会場の入口では、スタッフの腕章を付けた巫女姿の水鏡があった。
「会場はあちらになります。立て札に沿ってお進みください」
 来場者への声がけを行う彼女の視界に、こちらを見ているの姿が入る。
 足元には彼の愛犬、柴犬のゴンスケがいて、右手は8歳くらいの少女とつながれていた。
「晴くん。それにゴンスケさんも。いつから?」
「ついさっきだ。
 その格好。よく似合ってるぞ」
「あ、ありがとう」
 彼から褒められて、かあっと頬がほてる。
 ゴンスケがシッポをパタパタさせて水鏡の気を引いた。
「ゴンスケさんもご機嫌だね」
 しゃがんで頭を撫でていると、少女がふにゃんと泣きそうになる。
「っと、すまない。この子を迷子預かり所へ連れて行くところだったんだ」
「うん。早く行ってあげて」
 そこでふと思い立って、黒猫のネネを少女に渡す。
「ネネさんっていうの。よろしくね?」
 もふもふの体を抱っこして、少女の涙が引っ込んだ。
 ありがとう、と少女の頭の上で晴の唇が動くのを見て、水鏡はにっこりほほ笑んだ。
「ふふ。確か日本だと今年は犬が干支だったっけ? 皆に幸運を運んでいってねーゴンスケさん」
 ばいばいと手を振って、2人と1頭を見送った後、ふと思う。
 迷子預かり所で親が来るのを待つ間、心細さを払拭するのにネネとココは役に立つのではないか。
「あとで行ってみようか、ココさん」
 足下のココを見下ろして提案する。ココがにゃーんと答えた。


 始まりの時間がきて。部長の槍剣が神楽幕の後ろから、純白・無紋の狩衣姿で現れた。
 後ろには、やはり純白・無紋の狩衣を来た男子部員達、巫女あるいは浄衣姿の女子部員達が粛々と従い、並んで立つ。
「これより日本武道部部員達による鳴弦の儀ならびに蟇目の儀を行います」
 巫女姿のが告げると全員が弓を構えた。弦を指で弾く。その音が邪気を祓うと言われる魔(病)除けの儀礼だ。
 一定鳴らした後で、神楽幕から巫女姿の可愛らしい少女が現れた。
 実はそれは紡に巫女服を着せられ、冴香の手で化粧を施されたマティアスである。
 こんな格好で大勢の人前に出るのが恥ずかしくて、俯いて歩く。
「マティアスくん、よく似合ってますよ」
 すれ違いざま、紡が彼にだけ聞こえる声で言うのを聞いて、マティアスはますます顔を上げられなくなった。
(……もぉー)
 似合うって言われても女性の服だ。素直に喜べない。
(こんなの、(クエスティ)先生に見せられない……)
 終始靴先と床だけ見て槍剣の元へ行き、蟇目鏑と呼ばれる矢を乗せた盆を両手で捧げて渡した。
 槍剣は弓につがえ、天空に向けて矢を放った。
 ヴォーンという音が周囲に響き渡る。神鳴により邪気を祓う、これも魔除けの儀礼である。
 音が消えるのを待って、おもむろに槍剣は口上を述べた。
「皆々様、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。今年の豊穣祈念を祈願しまして祈年祭を執り行わせていただきます。
 祈年祭とは日本で行われる祭りのひとつですが、神事として厳かに過ごしていただくも良し。
 広い世界の1つの文化として見物していただくのも良し。
 ここに集まった皆、誠心誠意を持って勤めさせていただきますので、何卒宜しくお願い致します」
 部員一同、合わせて礼をし、退場する。
 凜として崩れない立ち姿が、長らく人々にため息をつかせた。

「かっこいいなあ、みんな!」
 観客席で、恭耶に抱き上げられて見ていたカイリーは、笑顔でほうっと息をつく。
「恭耶くん、ありがとう。おかげでよく見えた。
 だがいいのか? 恭耶くんも祭りに参加していると聞いたが」
「私の役目は警備だ。こうしている間もちゃんと会場内に目を配している。問題ない」
「そうか。
 でも、それはそれで少し残念だな。恭耶くんもあの白い服、きっと似合ったと思うぞ」
 今の恭耶は人混みに紛れるため、普段着だ。
 恭耶はカイリーを見上げてほほ笑んだ。
「私の祖国の祭り……愛するあなたに見て欲しかったのだ」
 途端カイリーは赤らんだ顔をそむけた。
「……恭耶くんだけだ、わたしをそんなふうに扱うのは。だから……どうすればいいか、分からない」
 カイリーは恭耶の手をするりと抜けて地面に足をつけると、人の間を縫って走る。化粧道具セットを提げて向かい側から来た冴香とぶつかりそうになった。
「あら先生」
「あっ、冴香さん、お疲れさま!
 今回の着付けとメイク、一手に担当してるって聞いたよ! もういいの?」
「いいえ」冴香は笑顔で首を振る。「ちょうど今、射場の控室から楽屋へ向かっているところです。武楽の演者さんは動きやすく崩れにくいように調整しなくてはいけませんから」
「そうか。呼び止めてすまなかった」
 冴香は笑顔で首を振り、軽く会釈をして再び小走りに楽屋へ向かった。
 その表情はいきいきと輝き、忙しいながらも充実した時間を過ごしているのが分かる。
 先の日本武道部部員達もだ。
「ああいう者達を見ていると、自分も何かしなくちゃって気になるな」
「あら。ではお手伝いいただけますか? カイリー先生」
 独り言を聞き付けて、提案してきたのは紡だ。
 彼女はマティアスと共に、舞台準備の待ち時間、客達にお神酒や甘酒、ジュースを配っていた。
「うん、手伝わせてくれ」
 配布する飲み物を受け取ろうとし――カイリーはマティアスを見る。
 マティアスはとっさに下を向いて顔を隠した。
「これ、どうぞっ。ぼ……ワタシは、別のをもらってく……きますからっ」
 裏声でほほほっと笑ってごまかし、大急ぎその場を離れる。
 問いかけるように見てくるカイリーに、紡は笑みを浮かべるだけだった。


 舞台下手の階段から、白上衣に赤袴、長くまっすぐな黒髪の上に金冠を留めた火練が、すり足で舞台へ上がる。
 手に握られているのは刀だ。
(メイド服でないのは少々落ち着かないところはございますが、動きに支障はございません。
 我が異名ソードダンサーの名の通り、舞わせて頂きます)
 舞台中央に立ち、見守る者達へ心の中で礼を贈ると、ゆっくりと白刃を抜いた。その動きを合図に、神楽幕の後ろから笛の音が流れる。
 火練は鞘持つ手を背中に回し、剣を持つ手を前に出して人々の注目が剣に集まるようにしながら、高音のロングトーンに合わせて舞い始めた。
 時に厳かに、時に力強く。緩と急、止めを効果的に使い、女性的な柔らかさを感じさせるしなやかな動きで人々の目を釘付けにする。
 徐々に笛の音が小さくなり、舞台が陰る。
 音楽が笛から太鼓の力強い響きへと変わる。
 火練と入れ替わって鎌刀と槍剣が刀を手に舞台へ出た。
 向き合い、抜刀した2人は、阿吽の呼吸で動き始める。
(兄さん、随分な張り切りようで)
 ライトに強く照らされた槍剣の張り詰めた横顔を肩越しに見て、鎌刀は思う。
(大事にしないといけない精神ですから仕方ないとも言えますが。
 曲解を招かぬよう、しっかりと勤めさせていただきます)
 2人は円を描くように動きながら全く同じ動きをする。それは鏡の映し身のようでありながら、剣を打ち合わせる者同士の姿でもあった。
 刃をかわし、転身し、足を払い。立て直した体勢から斬り上げる。袈裟懸け、逆袈裟、腹抜き。左右に切り返した後、一直線に体の真芯から刃を落とす。
 最前列にいた者は、刃が空を切る音を聞いたに違いない。
 これぞ気剣体一致。
 客席に向かい立ち納刀し、一礼をする。下がる2人と入れ替わって、カフカと劉文が跳躍からの回転で、文字通り舞台に躍り出た。
 立ち上がると同時に、敬意を込めた一礼を客席に向かってする。そして互いに一礼した2人の腕が、舞台中央で打ち合わされた。
 かけ声と共に腕や足を打ち合わせたかと思った次の瞬間には距離を取る。
 2人が披露するのは中国武術だ。先までに比べるとアップテンポで火花を感じさせる音楽に合わせて打撃・蹴撃の型をつなげていく。身を沈め、後掃腿からの前掃腿。かと思えば突然跳ね起きて虎尾脚そして旋風脚。
 鎌刀、槍剣の時と違い、非対象の動きは一つ一つがまるで本物の戦いのように緊迫感をはらんでいる。彼らの動きは炎のようにとどまることを知らず、それは流れる川のようになめらかで、風のような奔放さを感じさせた。
 速く、鋭く、揺らがず。
 華麗にして苛烈。
(劉、かっこいい、です)
 トゥーリは瞬きも忘れて、食い入るように舞台上の恋人の姿に釘付けになる。
 そして彼らが演舞を終え、舞台を降りるのを待ちかねて舞台裏の控え室へ駆け込んだ。
「劉の、演舞、とても、よかった、です。神秘的、で。厳かで……凄く、遠くに、見えました」
 劉の手を、そっと両手で包み込む。
「お疲れさま、でした」
 トゥーリの真摯な言葉に、彼が演舞に込めた思いが届いていることを感じた劉は笑みを浮かべ、耳元への囁きで感謝を伝えたのだった。

 舞台ではイーノクがトリを務めていた。
 長棒を手に武楽を舞う。
 彼は普段杖をついて歩いているが、そんなことを感じさせないほどその踊りは安定しており、動きの1つ1つが無理なくつながっている。
(……よし。大丈夫だ、分かる)
 武楽をすると決めてから、ずっと練習を欠かさなかった。大勢の人の目にさらされて、緊張から踊れなくなるのではとの不安はすぐに消えた。音楽が鳴り出した瞬間、唇がカウントを刻み、手足が自然と動いた。
 頭が真っ白になっても体が覚えている。
 祈りも、本質はそうなのかもしれない。
 頭じゃない。理屈じゃない。言葉はいらない。
 ただ願うのだ。届くように。叶うように。
 たとえ信じる神は違っても、願うことは同じだから。


 奉納の舞が終わり、人々は興奮気味にオリエンタルで刺激的な体験を口にしながら射場へ移動を始めた。
「うわー。来た! 来たよ、すずきさんっ!」
 とうとうボク達の出番が!
 幕の隙間から観客席を覗き見て、真比呂は声を上ずらせる。
「ボク、弓道初めて……ちゃんとできるかな……」
 ぎゅっと胸の前で弓を握り締める真比呂と違い、すずきさんこと清輝は、大勢の観客にも動じた様子は一切ない。
「すずきさん、どうしてそんな、いつも通りなの?」
「何を隠そうすずきさん、実は昔から弓には親しい。
 流鏑馬や、扇の的を射抜く弓道大会……を見学したことがあるよ」
 見ただけな、と言ったのだが。
「えっすずきさん弓に詳しいの!? じゃあ教えて!」
 真比呂は両手指を組んだ祈りのポーズで目を輝かせて清輝を見つめる。
 それじゃあ、と清輝は話したが。
「この千木ってやつ。これが10で十千木(とおちぎ)。栃木の語源って説がある」
 それって雑学で、弓には関係ないんじゃあ……。

 同じ控室には、イザベル千歳の姿もあった。
 真比呂の屈託ない騒々しさに千歳はくすりと笑うが、イザベルは自分の中に入っていて、気付いていない様子だ。
「イザベルさん、どうかしましたか?」
「えっ? ……ううん。何でもないよ!」
「そうですか」
 その時、衣吹が彼らを呼びに現れた。
「時間ですのでそろそろ表へ出てください。
 皆さん頑張ってくださいね、観客席で陰ながら応援してます」
 彼の気配りに礼を言って、イザベルは千歳達と共に幕を回って表に出た。

 奇しくも4人とも、釵子と浄衣姿だった。
 真比呂と清輝が御的に一番近い初立に。和弓に心得のある千歳が後立につき、イザベルは中立からとなる。
 まず最初に真比呂が、武道の心得と社交技能を総動員して、美しい所作となるよう心がけながら神矢を射た。
 次に清輝が難なく射て、真比呂をぽーっと見とれさせる。
 いよいよ自分の番だ。
(こんな厳粛な空気で……私が参加しちゃっていいのかなぁ)
 ずっとそんな迷いが消えなかったイザベルだったが、ここに至り、謙虚な気持ちがわき上がる。
 昔、故郷で羊飼いをしていた時。
 子羊が生まれる春、心配で小屋の近くで毛布に包まって眠っていた。
 みんな無事に生まれてきますように。
 大きく育ちますように。
 その思いだけが心を占めた。
(きっと、あの時と同じでいいんだ)
 まだ肌寒い、霧の故郷の早朝の薄明りを心に描き、矢をつがえる。
 いつ矢が手を離れたか、イザベルは分からなかった。
 気付けば矢は御的に当たっていた。
 心は静かなままに。

(さて、次は私ですね)
 愛用の和弓と神矢を手に、千歳は御的と向き合った。
 以前、禰宜の友人から聞いたことがある。
 この様な祭事は荒魂――神の荒々しい側面を鎮め。
 和魂――神の穏やかな側面にする儀式の意味もあると。
(私の名前の由来も縁起物……鶴に因んでいますし)
 今回ばかりは気合を入れて五穀豊穣、子孫繁栄、商売繁盛、平穏無事を祈り。
 千歳の放った神矢は見事、御的の中心へ当たった。


 有志の手によって切り分けられた御的は、魔除けの御守りとして観客に配られた。
 島民達は、「いい祭りだった」と満面の笑みで礼を口にしながらありがたく受け取って帰っていく。
 それから、余った分を学生達で分け合った。
 水鏡と晴は符牒のようにぴたりと合わさる破片がもらえて大満足だ。
 島民達だけでなく、学生達一人一人にとっても強く残る思い出となったのは間違いない。
 学生達は心を大きな満足感で満たし、心地よい疲労感と共に帰寮した。
 



 16

参加者

a.こっちで日本の神事だなんて、すごく不思議な気分! お祭みたいな感じ?
神崎真比呂(pa0056)
♀ 21歳 刃乗
c.俺は設営だな。
シグナ・ガントレット(pa0058)
♂ 19歳 弾知
b.わんわん!
羽乃森晴(pa0077)
♂ 19歳 英探
a.弓射神事に出ますよー。
桜葉千歳(pa0088)
♀ 19歳 英弾
a.どれに参加すっかな
斧箭槍剣(pa0114)
♂ 21歳 刃乗
b.んじゃ、いっちょ手伝いますかね♪
大神隼人(pa0137)
♂ 21歳 刃忍
b.もふもふ……
莫水鏡(pa0196)
♀ 19歳 忍魅
a.珍しく真剣にやってみよっかな。みんなの願いだもんね。
イザベル・クロイツァー(pa0268)
♀ 20歳 弾忍
c.ふふ、当日の衣装の着付けなどに回らせていただこうかと思います。
中藤冴香(pa0319)
♀ 24歳 探魅
a.紡がれてきた歴史に敬意を。
劉文(pa0392)
♂ 21歳 英刃
c.少し、お手伝い、してます。
トゥーリ・コイヴ(pa0587)
♀ 19歳 刃弾
a.やれる範囲でお手伝い、ってことでよろしく。
真純清輝(pa0904)
♀ 20歳 探知
b.待ってよ紡、コレおかしくない……?
マティアス・リブラン(pa1168)
♂ 19歳 弾魅
c.最高の舞台にしてやろう!
エルフ・プレシス(pa1173)
♀ 26歳 刃乗
b.任務了解…
斑鳩恭耶(pa1232)
♂ 26歳 刃忍
c.さて、準備は手伝うか…(先生いるかなときょろきょろ←
ユウキ・ヴァルトラウテ(pa1243)
♂ 26歳 英弾
b.お手伝い、しますね。
月羽紡(pa1364)
♀ 26歳 刃探
c.裏方が少ないようなので、こちらで。
花澤衣吹(pa1440)
♂ 20歳 忍知
b.駐車場整理や場所案内位ならできるかな。
桜葉杏花(pa1513)
♀ 18歳 知魅
a.此方で。宜しくお願いします
斧箭鎌刀(pa1581)
♂ 19歳 刃知
a.僭越ながら、一差し舞わせて頂きましょう。
厳島火練(pa1582)
♀ 26歳 刃機
a.武楽か……棒使う奴ならいけるか。
イーノク・オルティス(pa1600)
♂ 23歳 英機
a.拳法の型を披露しましょう。
カフカ・アドゥセイ(pa2114)
♂ 23歳 刃機