【MC】依頼窃盗犯

担当なちか。
タイプショート 授業(島外)
舞台イギリス(Europa)
難度やや難しい
SLvC(紛争地域、島内)
オプ
出発2018/06/25
結果成功
MDPヴェロニカ・ラプシア(pa0222)
準MDPエヴァ・マルタン(pa0835)
陳晶晶(pa2267)

オープニング

◆盗品が金になるカラクリ
 名画の窃盗や強盗は明らかに割に合わない。これは怪盗である君たちも理解している事だろう。
 だが。
 ――にも関わらず、名画と呼ばれる作品群はこれまでにもたびたび奪われている。
 今もなお、だ。
 それは何故か。

登場キャラ

リプレイ

◆コネクション
 バースはイギリスにある高級保養地だ。グリーンルチルにとっては上流階級も顧客なのだろうか。
 どちらにせよこの別荘は彼女が保有する隠れ家の一つと考えていい。
 ヴェロニカ・ラプシアエヴァ・マルタンはそんなターゲットの行動理念や特徴を逆手に取るため、様々な方法で追い詰めていく。

 ヴェロニカは近隣のリゾート客に扮して拠点の外側――つまり監視カメラの位置やスイング角度、そこから死角を割り出していく。
 それから厄介な番犬の数と、その配置も可能な限り確認しておかなければならなかった。
「犬の方は任せる。私もやれるだけの事はしよう」
 エヴァが卓越した電算技能を有していて、クラッキングを成功させたとしても番犬たちを黙らせる事はできない。
 これはエヴァ自身も理解していて、ヴェロニカやエリカ・ファラデー陳晶晶ら潜入班をバックアップできるように動くのが最善と判断した。
 それに彼女の言う通り、相手はかなりの慎重派だ。
 初手を悟られるまでにどれだけの事が出来るかが鍵となる。
 それゆえ、各々が適した役割を担う事は非常に重要だった。
「エリカ、聞こえるな」
「感度良好。こちらの視覚情報はどうですか?」
 エヴァはエリカのフェイスギアから得られる視覚情報をAiフォン経由で受信できる事を確認する。
 潜入班との連携が取りやすくなれば作戦の成功率もあがるはずだ。

 晶晶は潜入開始までに入手できた別荘の見取り図を頭に叩き込んでいた。
 大規模な増築でもしない限りは内装に手を加えるにしても、建築的な制限は受ける。
 外部電源のダウンなど機械的な障害を突破するのに彼の得意分野の工作技能は便利ではあるが、それはあくまでも最終手段とした。
 たとえば強行突破を余儀なくされるといった場合だ。
 今回は可能な限り潜入する事を重視した作戦が展開される。
 とはいえ、不測の事態には備えておく必要がある、現場での連携によってはうまく『ハマる』かも知れない。

 ヴェロニカの索敵が終わり、エヴァの元に詳細なデータを送る。
「あとはマフィアのコネを使って彼女が好みそうな条件で仕事の依頼を持ち掛けるようセッティングしておくわ」
 マフィアのボスクラスなら、彼女とてその名くらいは把握しているだろう。
 金で動くグリーンルチルは逆を言えば『金でしか動かない』というポリシーがあるはずだ。
 価値ある本物の絵画を市場より格安で請け負う一匹狼の泥棒という商談相手――。
 マフィアのボスもこんなうまい話なら乗らない手はない。
 さっそくグリーンルチルと連絡を取りたがっている。
「金で動く彼女にとっても美味しい話だけれど、乗ってくれるかどうか‥‥まずは彼女の出方も見ておきたいわね」
 ヴェロニカのコネクション経由とはいえ、マフィアのボスもまさか怪盗たちの陽動作戦に組み込まれているとは思わなかっただろう。

◆潜入開始
 エヴァはヴェロニカのコネで動き出したマフィアのボスがグリーンルチルの気を引いている間に、少しでもこちらの作戦を気取られないよう慎重に事を進めていた。
 もう一方の作戦、イリヤ・ヴォエヴォーダの方も準備万端。
「グリーンルチルは慎重派という話だが、したたかな女だろう。一匹狼だが利用できるものは何でも利用すると見た」
 イリヤは『相手が逃亡する』事を逆手に取って、裏の運び屋――つまり彼女の逃亡を幇助する逃がし屋のふりをして接近しようと準備していた。
 エヴァはクラッキング実行のタイミングでこんな情報をグリーンルチルに提供する事になっている。

 青いガルウィングのスーパーカーを駆る、新進気鋭の逃がし屋『蒼い焔』がめざましい躍進ぶりを示している――と。

 こういった情報は裏社会に通じていればいくらでも耳に入るだろう。
 表裏を問わずフリーランスが名を売るのに独自のネットワーク経由で営業をかけるのはよくある。
 グリーンルチルもそういう時期はあったはずだ。
 とはいえ。
 これまで女泥棒が逃がし屋を使ったという情報はなかった。
 イリヤ扮する蒼い焔を利用するしないは別にして――『そういう情報』を与える事で、実際に逃亡を図ろうとする際――余計な選択肢を増やして判断を誤らせる、あるいは遅らせるという狙いがあった。

「一匹狼の泥棒‥‥か。今の俺の実力を測るのにぴったしじゃねぇか」
 晶晶は緊張を味方につけるかのように自らを鼓舞する。
 配置についた晶晶、ヴェロニカ、エリカの潜入班はエヴァからの合図を待った。
 エヴァがクラッキングを成功させた段階で作戦を開始する運びとなっている。

 グリーンルチルはとあるマフィアからの連絡を受けボスとの面会の約束を取り付けるよう動きを見せていた。
 彼女にとっても新規開拓、新しい仕事の依頼というのは興味があったからだ。
 怪盗たちにとっては、この展開はかなり好都合だった。
 ヴェロニカの機転とアイディアが手伝ってか、うまい具合にグリーンルチルの注意を逸らす事ができたのである。
 ここからは、エヴァの仕事だ。
「見えざる力、これが現代の魔法だ」
 周到な根回し段取りはしっかりと効果をあらわし、エヴァのクラッキングも成功率が上昇したのだから、上出来だ。
「外部装置は掌握した。潜入成功次第、内部の状況は適宜指示する」
 それと同時に、イリヤが頼んでおいた『逃がし屋』の情報提供も差し込む事に成功した。

 アナログな手法ではあるがヴェロニカが用意していたジャーキーで番犬たちには眠ってもらった。
「番犬も寝ている時は可愛いもんだな‥‥っとのんびりしてられねぇ」
「犬まっしぐらの謳い文句は伊達じゃないですね」
 睡眠毒の効果は抜群で、晶晶の言葉にエリカも思わず納得してこくこくと静かにうなずいている。
 ヴェロニカたちはエヴァのバックアップを受け、無事に別荘内部に潜入を果たした。

 別荘の見取り図は入手していたため侵入経路に難儀はしなかったが、やはり内部はそれなりに改装されているようだった。
 専門的な建築知識を有する晶晶は、作戦開始前にしっかりと見取り図を頭に叩き込んでいたから余計にその変わり様に注意を払う事ができた。
 役だったのが晶晶が装着していた赤外線視覚モードに切り替える事のできるコンタクトレンズだ。
「さっそくコイツが役立ってくれたな」
 エヴァがクラッキングを成功させてくれたおかげで、物理的にセンサ類をダウン――あるいは破壊、断線させても警報は鳴らない。
「機械いじりなら任せな」
 これで潜入班にとっては作戦行動がしやすくなった。
 エリカも晶晶やヴェロニカが気になった場所に素早く移動しながら、エヴァに視覚情報を手早く送信する。
 別荘の庭に番犬たちがいて内外には監視カメラ、内部にはそれに加えて赤外線センサが張り巡らされている。
「彼女の慎重さは噂通りね。ただの泥棒はここまで厳重なセキュリティ網は張らないわよ」
 ヴェロニカは、言いながら歎息する。
「この別荘にどれだけのお宝を保管しているのだか」
「ここはグリーンルチルの拠点の一部なのでしょうか。それとも本拠地なのでしょうか」
 エリカもそれほどまでに厳重な警備システムを導入する必要があるのか、疑問符を浮かべていた。
「それはわからねぇが‥‥ここまでするに足る理由でもあんじゃねぇか」
 晶晶はまたひとつ赤外線センサをダウンさせ、周囲を確認してからそっと歩を進める。

 多少の警備システムがあるにせよ、怪盗がこれを突破するのはそう難しい事ではない。
 もっと厳重なセキュリティを抜けてお宝を奪取するのが怪盗だし、それこそが怪盗たる所以である。
 しかし、この一匹狼の女泥棒はやはり噂通り慎重派だった――。
 警備システムに違和感を覚えたグリーンルチルは、アナログな手法で違和感の正体を確かめたのだ!
 ジャーキーで寝かしつけた番犬たちを『窓から目視』で確認して、何かが起こったと勘づいたのである。
 定期的に巡回する訓練を受けた犬たちが、吠えもせず勝手に眠るなんて事は今まで無かった。
 だがシステムには不具合はない。
 いや、だからこそ不気味に感じられた。
 そこに追い打ちがかかる。
 イリヤ扮する『逃がし屋』が裏手で待っている――。
 ジャストのタイミングでグリーンルチルの元に連絡が入ったのだ。
 新しいクライアントからのアクセスに浮かれていたと感じた女泥棒は、脱兎の如く別荘からの離脱を試みる!

 エリカは逃亡を阻止すべく裏手に回り込もうとしていたが、ここでも改装によって足止めを喰らってしまう。
 侵入を果たしていたとはいえ、内部構造を把握できていない以上どうしても先回りするのは難しかった。
 後方バックアップ担当だったエヴァがそれを受け回り込もうとしたが、時すでに遅し。
「もうひとりふたり位は抑えが必要だったか」
 裏手に到着した時にはグリーンルチルは脱出を果たした後だったようだ。

◆逃がし屋
 周囲に妙な動きがあれば恐らく感づいて逃げるだろうことは明白。
 そう踏んだイリヤの読みは正しかった。
「40秒だ。それ以上は待てない。仕事の内容は聞かない。それがルールだからな」
 しかし、だからといって誘いに乗るとは限らない。
 裏手で待機していた『蒼い焔』駆るスーパーカーに飛び乗ろうとした彼女はしかし、すんでで飛び退いた。
 それが『女のカン』というのなら、恐ろしい話だ。彼女はそして、闇夜に紛れるように行方をくらましてしまう。
 その後別荘から少し離れた場所に保管していたと思われるオフロードバイクで逃走を図ったのだ!

 急遽予定変更を余儀なくされたイリヤは追跡を開始する!
「この『蒼い焔』から逃げ切れるとでも思ったか」
 猛追するも、オフロードバイクは悪路も平気で走る事ができる。
 道を逸れ、ちょっとしたショートカットを利用されてはたまらない。
 いくら闘牛の名を冠するスーパーカーといえど、適した路面状況でなければ性能を存分には発揮できない。
 そこは運転技術ではなく、車両の適性によるものだからだ。
 イリヤもぎりぎりまでは追い詰めたのだが‥‥。
「船まで用意していたとはな‥‥」
 バースからブリストルまで壮絶なカーチェイスを演じていたイリヤとグリーンルチルだったが、そこで思わぬ状況となった。
 オフロードバイクを乗り捨てて、エイボン川に係留していたと思われるモーターボートで逃げ去ってしまったのだ‥‥!
 実はイリヤも船で逃がすという名目で湾岸までエスコートするつもりだった。
 さすがに自前で逃亡用船舶を所持していたとは想定外だったが。

◆隠し部屋
 グリーンルチルは極端に臆病だった。
 泥棒にとっての臆病さは実はかなりの長所である。
 臆病で慎重派だったからこそこれまでローゼンナハトにも気づかれにくかったのだから。
 そして実のところ、彼女をここまで追い詰められたのも今回が初と見ていい。
 残念ながら逃亡を許してしまったものの、収穫はそれ以上のものとなった。

 別荘の見取り図を頭に叩き込んでいた晶晶のカンが閃く。
「ここか‥‥違和感がある――」
 彼の着眼点は『内装にどう改装を加えているか』で、その1点で絞り込みをかけていった。
 機械や電工だけでなく、こんな所で『建築』に関する技能を発揮できるとは。
 晶晶が建築知識を活かして隠し部屋の場所を突き止めたのだ!
 隠し扉のアクセスに関しては電算のエキスパート、エヴァがハッキングしてこじ開ける事に成功した。
 その部屋の奥には――。
「これがそうですね」
 エリカは視覚情報をエヴァに転送し、確認を急ぐ。
 すぐにそれが盗まれたテイナー作品のひとつ『幸せな日の出』である事が判明。
 遂に発見する事ができたのである。
 しかし一方で残りの2点の行方はわからないままだった。
「少なくとも、この部屋には‥‥いいえ、この別荘では見つかりそうもないわね」
「残っているデータをまるごと頂いた。これで何か見つかるといいが」
 全員でしばらく捜索を続けたところ、エヴァが別荘のPC内に残されたデータから有益な情報を抜き出す事に成功した!
「ふむ――ビンゴだ。これを見てくれ」
 エヴァは暗号化されたファイルと文字列の解凍と解読に成功し、盗まれた3作品の残り2点の行方を割り出したのだ。
「これは‥‥?」
 エリカはその文字列を眺めながら問いかける。
「おそらくこれが『金の流れ』だ。それより興味深いのは、これだな」
 捜索の結果、グリーンルチルが盗み出した残りのテイナー作品2点『帆船の船出』と『光と影』がウクライナの新興マフィアボスの手に渡ったという重要な情報を得る事ができた。
「やはりここにはありませんでしたか」
「けどその場所は特定できた、って事か?」
 2人にうなずいて見せるエヴァ。

 犯人の残した重要な手がかりを得る事ができた怪盗たち。
 回収に成功した『幸せな日の出』は大胆に黄色絵の具を使った抽象的な作品で、およそ2千万ドルの価値があるとされている。
「逃がしたと考えるのではなく、泳がせたと考えを切り替えるわ」
 ヴェロニカは少々複雑そうな表情を見せたが、その言葉通りすぐに気持ちを切り替えた。
「本来なら、ここで終わらせるつもりだったけれど、ね‥‥」
 とはいえ、特別実地講習としてはじゅうぶんな成果だ。
 それにすぐにもこの情報と作品を持ち帰る必要がある。
 こうして怪盗たちはセルティックフルート島へ舞い戻ったのだった。



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参加者

b.あたしはこっちに回るわ
ガブリエラ・ユレ(pa0050)
♀ 23歳 弾探
a.確保に動くわ。
ヴェロニカ・ラプシア(pa0222)
♀ 21歳 英忍
a.俺は「逃がし屋」役で確保を狙う。いいマシンを選ぶつもりだ。
イリヤ・ヴォエヴォーダ(pa0440)
♂ 25歳 刃乗
c.バックアップは任せるがいい!
エヴァ・マルタン(pa0835)
♀ 27歳 知魅
a.エリカは潜入して犯人確保します。cに行く人にギアのインカムを共有します
エリカ・ファラデー(pa2109)
♀ 26歳 刃機
a.やりがいがありそうじゃねぇか。逃がしはしないぜ。よろしくな
陳晶晶(pa2267)
♂ 23歳 刃機