元家主を探せ

担当槻又ともこ
タイプショート 日常
舞台モンゴル(Asia)
難度やや易しい
SLvB(アメリカ程度)
オプ
出発2018/07/04
結果成功
MDP神崎真比呂(pa0056)
準MDPディルク・ベルヴァルド(pa0112)
シルフィ・レオンハート(pa0829)

オープニング

 モンゴルの首都、ウランバートル。
 山や草原地帯の多いイメージのあるモンゴルだが、ウランバートルはこの国の首都。
 国の人口のおよそ半数がひしめき合っており、この国にとっては大都会というイメージのあるこの地区で、アンディ・クレイは授業を終え、一息ついていた。

「イメージは草原だったけど、近代的な建物も結構あるんだよな」
 シンボルとなる大きな銅像を見上げたアンディが、つぶやく。

登場キャラ

リプレイ

◆それぞれが動きはじめます
 広場の銅像前には観光客がひっきりなしに訪れ、次々と記念写真を撮っている。
 神崎真比呂は、大きな白い柱が何本も並んでいる赤い建物を指さし、真純清輝に笑顔を向けた。
「自由時間! すずきさんとの時間! ねっ、あれ劇場だよね!?」
 そんな浮かれている彼女達にも、アンディ・クレイから声はかかり。

「人探し? ‥‥あー、あのお家の!」
 だそうだよ? と、真比呂が清輝に視線を送ると、清輝は、じゃ‥‥と、Aiフォンを手に取り、様々なコネクション先に連絡を取りはじめた。
 それを見ていた真比呂も、Aiフォンを手に取り、まずはダフ屋にナーダム祭り絡みで接点がないか調べてもらうように依頼。マフィアには裏社会経由で、探してますよのサインを送ってもらうことに。
「偶然の出会いに期待して観光しよ、すずきさん! じゃ、アンディさん、また連絡するね!」
 目まぐるしく作業を終えた二人は、手を繋いで観光客達の中に消えていった。

 その傍でゲルト・ダールは、持っている手品道具をひろげた。
 見ていたシルフィ・レオンハートが小首を傾げ、
「ぴあ? 何をするのかNA?」
「うん、聞き込み班のみんなの為にね」
 ゲルトは言うと、手に持ったトランプを、派手にシャッフルし始めた。

 その近くにいるのは、宍倉静と、エリーゼ・クレーデル
 静のほうは、氷見彩玻と一緒に屋根裏部屋で件の地図を発見した張本人だ。
「殆ど運試しみてぇなモンじゃねぇの? これ。
 情報が少なすぎるし、そもそも正式な任務でも授業でもねぇんだ、見つかったらラッキー、って位だろ?」
「そうね、特に予定になかったし、機器類はあんまり持ってきていないのよね‥‥」
「だろ? やる気でねぇよ。なぁ? エリーゼ」
 言われたエリーゼは、クスリと笑いながら。
「えぇ、そうね」
 さらに続ける。
「でもせっかくだから見つかったら運が良かったわね、くらいのつもりで、歩いてみましょうか」

 そしてこちらは、ディルク・ベルヴァルド。彼は、アンディから頼まれるとすぐに、近くのベンチに腰掛けて、トランクPCを開けた。
「入出国の確認‥‥からやって‥‥みるね」
 それに集中しはじめると、もう周りの雑踏は耳に入らない。彼はアンダーグラウンドな世界へと入っていった。

 そんな横では、一条葵が、
「人探しなら人手が多い方が楽だろ?
 俺もどうせ街中ぶらつくつもりだったし」
 聞いた彩玻が、ポソリと口を開く。
「困ってる人、ほおっておけない、せいかく‥‥?」
「ちがっ」
 葵がそう言いそっぽを向くと、そのやりとりが面白かったのか、タキ・バルツァが笑いを噛み殺しながら。
「じゃ、僕達もなんとなく探そうかな、ね? よしだ?」
 タキが言うと、アメリカンショートヘア型ドロイドの、『よしだ』こと『吉田ツナ』は、それに応えるかのように、口を大きくあけた。

「ところでアンディ、その人、なんか好きな食べ物とかあるか?」
「んー、全く不明なんだよな。顔もな。だから、葵のコンタクトレンズは暫く待機になるな」

 そんなこんなしている間に、ゲルトの器用な指さばきにつられて、結構な人垣ができはじめており。
「大変だけど、ぜひとも見つけたいね」
 ゲルトは言うと、観客の前で手品を始めた。

◆情報集め
「手に持っているトランプが‥‥」
 ゲルトが言いながら、一枚のトランプを空に放り投げる仕草をすると――
「あっ! トランプが消えたよ! すごい!」
 見ていた子供が、目を輝かせながら拍手。次にゲルトは、
「ポケットを触ってごらん?」 
 言われた子供は、自分のズボンのポケットに手を入れてから、ハッと息をのんだ。
 そのポケットには、先ほどゲルトの右手から消えたトランプが入っていた。

 そうしながら、ゲルトは手品の合間に、ちょっとした小話を入れ込む。
「困ってる人がいたんで、その人の質問に答えてあげたんですよ。いいことしたと思いましたね」
 そして、観客達に協力的になる暗示がかかったと判断したゲルトは、後ろを振り向いて、仲間達に指で小さく丸を作って見せた。
 観客の中に、散っていった仲間を見送りながら、ゲルトは芸を続ける。
「おねーちゃん、もういっかいさっきのトランプの手品やって!」
「ん? 引き金は二度引かないよ?」
 ゲルトは子供にウインクをすると、その子供が手にしているハートのエースのトランプを、一瞬でスペードのエースに変えた。

 こちらはシルフィ。彼女は、観客の中に入ると、Aiフォンを手に取り電話をかけた。
『アンディだ』
『シルフィだYO! 元家主さんだけど、モンゴルに来る前はどこに居たのかNA?』
『んー、地図を持ってきてないんだ。聞いてみるから、少し待っててくれるか?』
 了解だYO! と返事をして通信を切ると、すぐにシルフィの携帯のメールの着信音が鳴った。
 開いてみると、それはディルクからで、その内容は、元家主の足取りだった。
 そのメールは、アンディにも届いて、
「電話かける必要なくなったな、やるなぁ、ディルク」

 次にシルフィは、観光客との違和感を手掛かりに、役場の人間を見つけ出した。
 そして彼女は、役場の窓口係だという彼に、外堀から聞き込みを開始。その人物から信用を得ると、込み入った質問の答えも得る事ができ、それを元に推理を始める。
「元家主さんがモンゴルに入国したことは確認できたんだYO。
 でも結局、それらしい人物が住民として登録してきたという事実はないんだよNE‥‥」
 うーん、うーん‥‥と、げんこつに顎を置いて首を左右に倒すシルフィ。それを見ていた子供たちが、その仕草を真似すると、それに気が付いたシルフィは、一旦笑顔を見せ、再び、思考を巡らせる。
 そして、ピンと閃いた!
『その人は、ホテルに長期滞在しているYO』

 そしてこちらは、葵、タキ、彩玻。
 彼らは、シルフィの連絡を受け、情報収集。
 とあるホテルに長期滞在中の外国人がいる、という情報を掴み、ホテルへ向かっている。
 件のホテルまではさほど遠くなく、三人は徒歩で移動。葵はその道すがら、飲食店を覗く。
「ちゃんこ鍋屋ないなぁ」
 彼は、まったり食べ歩きは後回しにしたものの、帰りに食べる物を物色中。
 道順は、タキの都市に関する土地勘が、目を見張るものだったので、彼にお任せだ。

 タキは、葵が、大きな肉まんを見ながらよだれを垂らすのを横目で見つつ、彩玻に尋ねた。
「僕は前提や経緯を知らないのだけれど」
「まえのじゅうにん、かいとうらしいって‥‥」
 彩玻が聞き込みをした結果、ここいらで義賊のような者が、たまに出没しているという情報を手に入れた。
 さらに裏路地の情報屋から、背の低い小さな怪盗という情報を手に入れ、それはゲルトのコネによる収集情報内容や、仲間たちの連絡から固く裏付けられ。
(怪盗の身長は間違いなく小さい‥‥前に聞いた元住人の特徴とも合致するし)
 彩玻のこの高速思考は、その口調から察することは難しい。
 それはタキであってもなのだが、彼は、彩玻のゆっくりとしたしゃべりを特に気にする様子もなく、さらに彼女に話しかけた。
「そう言えば彩玻は、聞き込みも姿をかえつつ違和感なく行っていたね、なかなかの捜査技術だね」
 言われた彩玻が、う、うん、と下を向く。彼女の口元が少し上がっているが、それを見せまいとしている。なので、タキは気が付かないふりをして、質問を続けた。
「ところで、島の家はどんな使われ方をしていたのかな?」
「かくしちかしつ、やねうらべや‥‥アンディ気づかなかった」
 へぇ、とタキが感心した様子で返事をした時。
「ん?」
 三人が同時に声を出した。
「だれか、みてた?」
「だよな、あっちのほうか?」
 葵が指さす。
「うん、そうだね。でも‥‥」
 そこには、日向ぼっこをしている背の小さな老夫婦と、サッカーボールを蹴っている背の低い男性の姿があるものの、誰からの視線かまでは特定できず。
『今、誰かに見られた気がするんだけど』
 タキが、念のためにと皆に無線連絡すると、真比呂から返事が返ってきた。
『探しにくいなら相手から探してもらおう作戦、順調だね』

 その頃の、エリーゼと静。
 周辺をぶらつきながらも、静は、自分の隠密技術の知識を生かして、自分と同じような感覚を持っていそうな人物はいないかと、目を光らせている。
「身のこなしの癖っていうのも、面白い視点ね」
「ん? そういうおたくも、面白い視点じゃね? 家の作りなんてよ? あとこれギョーザでかくね?」
 静はしゃべりつつ、通りすがった出店で、飲み物を二つと、ホーショールを購入していた。
「あら、本当、大きな‥‥これ、ホーショールね‥‥ありがとう」
 エリーゼが半分に割ったホーショールと、飲み物を受け取り礼を述べる。何気に奢ってくれる所が静らしいと思ったエリーゼだが、そこは口に出さず、飲み物を口に運び、しばらくブラついていると、
「‥‥おい」
 静がエリーゼに、Aiフォンの画面を見せた。
 そこには、文字が打っており、
『後ろの、老夫婦』
 エリーゼは、小さく頷くと、
「ちょっと休憩しましょ?」
 言って、近くの木陰にあるベンチへ移動した。
 老夫婦が、自分達の横を通り過ぎる。女性のほうが、一瞬こちらを向いた気がした。

◆情報と、コネ
 こちらは、真比呂と清輝。
「引き受けたものの、ぱっと見つかるわけもなく」
「この小箱。可愛いね!」
 隣にいる真比呂が、雑貨屋のショーケースに置かれた小箱を指さす。
 それに頷きながら清輝は、ツァイを一口。
 そして、そのカップを真比呂に渡すと、真比呂もそれを一口。
「おおぅ。‥‥塩味だけど、癖になる味かも」
 言って、二人でクスクスと笑った時、清輝のAiフォンが鳴った。
「はい‥‥、ふむ、ふむ、おお、有難う。ではまたー」
「何か進展かな?」
 真比呂の言葉に、清輝はニヤリと笑って、全員に無線を飛ばす。
『ホテルに向かっている三人さん。そこ当たりのホテルだから慎重にねぇ、お年寄りの男性らしいよ』

 その頃、エリーゼ達は、二手に分かれてしまった老夫婦のうち、女性の方の後をつけていた。
 その女性の自宅はとても広く、エリーゼはトンボ型のドロイドを飛ばして、屋内をチェックしている所だった。そこに、清輝や、シルフィの無線が届いた。
「あら、じゃ、おじいさんのほうが、当たりだったのかしら? この家の表札の名前、どこかで見たことがあるような名前だと思ったのだけれど‥‥」
「マジかー、運悪くハズレをひいちまったな」
 二人がそこを離れようと、呼び戻したトンボ型のドロイドの後ろ。そこには、身なりのキチンとした老婆がついてきていた。

『おとこのひと、いま、ひろば』
 彩玻の無線を受けて、皆は再び広場へと戻ってきた。
 そこでは大道芸人たちが芸を披露していた。その中にはゲルトの姿もあり、清輝は、それに手を振りながら ディルクから送られてきた画像を見て、
「あら、このおじーちゃん、最初のほうで、すずきさんも目撃してたね」
 見ると観察とは大違いだねぇ、と言いつつ。
「さ、人込みに紛れられるからねぇ。出てきてくれるかね」
 そこに、タキや、葵、彩玻、シルフィも合流。
 葵は、ディルクが街の監視カメラから手にいれた老人の画像をもとに、コンタクトで老人を探す。
 すると老人は、運よくというか、確率なんて知るか状態の‥‥真比呂の真後ろに居た。
 真比呂は不意に肩を叩かれて、振り返り、すぐに察して元気に手を出した。
「鍵を取りにきました!」

◆鍵は家に
「よく来たのう、あいつが確率の問題じゃって、言っておったが、本当に来るとは」
 彼の言う、あいつとは、一緒にいた老婆のことであった。そして、件の鍵だが‥‥。

「これをもっておゆき」
 老婆に呼び止められ、話相手をさせられていた静とエリーゼに、小さな金の鍵を渡す老婆。鍵はここだった。

『鍵貰ったわよ』
 エリーゼからの無線を受け、ディルクはようやくPCを閉じた。
 そこに、葵が大きな肉まんと、カップに入った飲み物を持ってくる。
「ほら、でかいだろ? 肉まん!」
「ん‥‥うん、ありが‥‥とう」
 そして、ディルクは葵の差し出したカップに入っている茶色い飲み物を指さし、
「これ‥‥は?」
「ツァイって言うらしいぜ? 癖になる美味さだぞ?」
 ディルクは受け取ったカップを軽くゆすって、飲み物の中に浮いている粟を動かしながら、それを一口。
「うん‥‥、塩味?」
 言いながら、確かに‥‥癖になる‥‥味だね、と葵に返答するディルクだった。

 無事、鍵を手に入れたUNICO生達。
 アンディの家の屋根裏にあった小箱の鍵穴に、金の鍵を差すと、それはカタカタと音を立てて、蓋が折り畳まれ、中から、
「バッヂ?」
 掌サイズで、大きな目をした猫のバッヂが入っていた。‥‥と、突然その猫の目がチカチカと光った。
「これどーすんの?」
「‥‥通信機‥‥かな?」
 ディルクが猫の鼻を押すと、猫の口が動き出した。
「おぉ、受信できたか、さすが未来の怪盗じゃの。では、また連絡するかのぅ‥‥なお、この通信機は、自動的に爆発‥‥」
 全員がそこから走って逃げる。
「しないぞ。フォフォフォ」
 プツンと、通信は途絶えた。

「皆ありがとうな、またよろしく、になりそうだな、この通信機」
 アンディが苦笑いすると、全員は、うーむと唸った。



 15

参加者

c.人事尽くして天命を待つ! というわけで…どこ見に行こうか?(うきうき)
神崎真比呂(pa0056)
♀ 21歳 刃乗
b.……出来るだけ……やってみるね……
ディルク・ベルヴァルド(pa0112)
♂ 22歳 乗知
c.…いやー、メンドくせぇわー…。
宍倉静(pa0201)
♂ 20歳 忍探
a.聞き込みしやすいように人を集める予定だよ。よろしくね
ゲルト・ダール(pa0208)
♀ 21歳 知魅
c.ヒントもないし……たまにはゆるくも、いいかもしれないわね。
エリーゼ・クレーデル(pa0404)
♀ 19歳 忍知
a.ぴあー、頑張るんだYO
シルフィ・レオンハート(pa0829)
♀ 21歳 英探
a.やるだけやって、あとは観光だなー
真純清輝(pa0904)
♀ 20歳 探知
a.ううん…やるだけやってみる、ね
氷見彩玻(pa1093)
♀ 23歳 刃探
c.なんとなく、というのもいいかもね。
タキ・バルツァ(pa1565)
♂ 22歳 忍機
a.そーいやモンゴルって何の料理がうまいんだっけ。ちゃんこ料理?
一条葵(pa1712)
♂ 19歳 刃乗
 手伝ってくれてありがとな! よろしくお願いします(深々)
アンディ・クレイ(pz0035)
♂ 25歳