【MC】成り上がりの踏み台

担当槻又ともこ
タイプショート 授業(島外)
舞台ベルギー(Europa)
難度普通
SLvC(紛争地域、島内)
オプ
出発2018/07/24
結果成功
MDP九曜光(pa0455)
準MDPエリカ・ファラデー(pa2109)
タキ・バルツァ(pa1565)

オープニング

◆三枚目の絵画
 学生達の活躍により、強奪されたボサティの絵画のうち、2点は取り戻すことができ、残るは1点となった。
 最後の一枚の絵画の名は、『煉獄』。天国と地獄が入り混じったような不可思議な世界観の名画で、数千万ドルの価値があるとされる。

「残る1点の行方だが、前回の実習の成果として、情報が入ってきているぞ。
 ピエールのかつての仲間であった、グレンツォという男が持って行ったそうだ」

登場キャラ

リプレイ

◆車を降りて
 遮るものがない広い土地を、武器回収用のトラックと、九曜光の運転するボルタ製のスポーティカーが走る。

「狙撃手というからには、高台と思ったが、それらしい高台はないな、鼻と目に頼るか」
 大神隼人が、視力と嗅覚をフルに効かせ、狙撃手の潜む家屋に当たりをつけた。
「うん、あっちだ、においでバレバレだぜ?
 あとは向こう‥‥だよな? 恭耶」
「あぁ、あそこだと、武器商人達のアジトもよく見通せるな」
 目の良い斑鳩恭耶が、隼人の指さす先に小さく見えている家屋を確認して、頷き、
「じゃ、俺達はここで降りるか」
 二人は、トラックから降りた。

 こちらは、トラックの荷台の中。
 エリカ・ファラデーは、仲間を見て尋ねる。
「アジトの入り口はどうやって開けてもらいます?」
「わたしにまかせてよ、良い案があるんだ」
 イザベル・クロイツァーが、自分の胸をドンと叩いた。

 暫く進むと、トラックを運転していたニナ・ガルトが、学生たちに声をかけた。
『ここらへんで待機しておくから、何かあったらすぐに連絡しろよ?』 
『僕は、もう少し先まで進ませてもらうよ、乗せられるだけ乗せよう』
 返事の主は光だった。

 光はアジト近くまで行くと、そこで仲間達をおろした。
「幸運をいのるよ」
 言って光は車の窓を閉めた。車が近くの茂みに寄ると、車が消えた。
「迷彩でございますね」
 厳島火練の言葉に、陳晶晶スティーヴ・カラサワタキ・バルツァが頷いた。

◆狙撃手制圧
 イザベルは、ピザの配達員に変身。ピザのバッグを持ち、アジトの玄関前に立った。
 他の学生達が身を隠す。玄関のベルが鳴り。
「ピザをお届けにきましたー!」
 玄関から、男が顔を出した。

「頼んでないぞ?」
「お届け先は間違いないですよ。電話番号もほら‥‥」
 イザベルと問答を始めるアジトの男。その隙に、仲間達が動き出す。

 天翔ける紅き狼こと隼人は、狙撃手が潜んでいると思われる家屋の屋根を見上げると、膝を深く曲げ、鍛えたバネを使って飛び上がった。
 高さはいつもの二倍。さらに高い木にワイヤをかけウインチを機能させると、隼人は硬い屋根の上へ、コトリと音もたてずに飛び降りた。
「窓際にはいなかったな」
 隼人は、ロングコートの光学迷彩で姿を隠し、ワイヤでベランダへ。
 狙撃手は、窓を背にしてテレビを見ていた。
(鍵は開いてるな)
 隼人は気配を殺して部屋へ入ると、狙撃手の背後へ立ち、頸椎へ手刀を素早く落とした。
 狙撃手は、うっ、と小さく呻くとそのまま気絶した。
(他愛もねぇ‥‥あとは、アジトに来た警官達に居場所を示しておけば、大丈夫か)
 隼人は、ワイヤで縛りあげた男を一瞥してから、家屋を後にした。

 同じ頃、怪盗ヌルこと恭耶は、仲間からの通信を受け、
『任務了解‥‥敵スナイパーの迅速な排除を開始する』
 返事を返し家屋へ侵入。物音が聞こえる奥の部屋へと忍び寄り、開いているドアの隙間から中の様子を確認。
 窓に向けて置かれている革張りのソファから、革のこすれる音が聞こえた。
(そこか)
 彼は、ドアの隙間から体を滑り込ませ、剣の柄を手に持った。
 電磁形成したビーム刃をそこに発生させると、ソファを飛び越えて、狙撃手と対峙!
 狙撃手が驚いて一瞬固まった隙をついて、狙撃手の足を切りつける。狙撃手が銃を構えるも、ヌルは手の甲から伸びた爪を素早く動かし、斜め45度から敵の肩に突き刺し、狙撃手の肩から血が流れた。そして……。
 毒にやられた狙撃手は、ヌルの足元にすがりつくように倒れこんでいった。
「敵制圧完了」

◆ベランダの敵と強襲
 イザベルがピザ屋に扮して、男と玄関で問答を始めた頃、エリカはアジト周りのベランダの一つに忍び寄っていた。
 見張りがよそを向いた隙に、ほふく前進で近づくも、体に草が擦れて音を立てる。
(まだまだ鍛錬しないとですね)
 エリカは自分への課題を脳裏に刻みながら、ベランダの下まで辿り着き、ズームで確認済みだった死角へ鉤爪ワイヤを投げた。
 見張りの足元の手すりにそれが引っかかり、音が鳴る――カンッ。
「なんだ!?」
 見張りが、鉤爪の引っかかっている手すりの方へ向かって歩いてきた。
(あの人、無線を持っているひとです。通信されると大変です!)
 エリカは急いでベランダへ登り、見張りと対峙。
「なんだお前っ!」
 エリカは見張りの撃つ弾をギアの盾で防ぎながら、相手に走り寄った。
 間合いに入ると、足を蹴り上げる。レイピアが見張りの肘を貫いた、そしてしばしの攻防の後。
「1人確保です。
 銃にサプレッサーを付けていたのも、お見通しです。音が小さいと周りにもバレないです」
 エリカに、ワイヤで縛り上げられた見張りは、項垂れる事しかできなかった。

 イザベルのピザ屋作戦もそろそろ厳しくなってきた。入口から男の怒鳴り声が聞こえ出す。
「さっさと帰れ!」
 ここで、恭耶と隼人から無線が届いた。
『制圧完了』
『こっちは済んだぜ!』

 それを受けて、仲間達が動き出す。

 火練が植木の影から、飛び出した。
「何っ?」
 男は仲間を呼ぶ暇もなく、火練に靴で蹴り上げられ、毒にやられて地面に沈んだ。
 その隙に、外で隠れていたサイバー忍者こと、スティーヴと、銀の腕ことタキも屋敷内へ侵入。
 ヴィントシュティレとなったイザベルが、廊下の向こうにある階段に向かって走り出す。
「奥に向かうよ!」
「ミーも、二階の武器の部屋まで、一気にいくでゴザル」
「僕も武器の所へ!」
 タキとスティーヴ、その後ろに火練も加わり、四人が廊下を走り抜けた時、各部屋から銃を手にした男たちが、飛び出してきた。
 火練は、階段を駆け上がっていった仲間達を見送ると振り返り、階段を背にした。
「屋敷内のゴミ掃除、承りましてございます」

 火練は、ジリジリと迫ってくる男達にたじろぐことなく目を閉じて集中。そして‥‥ゾーンに入った!
「ゴミは大人しく、掃除されてくださいませ」
 目を開けた火練は、男達に間合いを詰めると、腕に出現した斬馬刀で、一気に切りつける!
 その刃は、武器ごと両腕を切り落とす勢いで振られ、男達はその場にうずくまった。
「撃て、撃てっ!」
 うずくまった男達が叫んだその時、屋敷の照明が落とされた!

 火練には、男達が赤外線スコープを一斉に着けたのが、ハッキリと見え、
「これで、俺達が優勢‥‥ぐあっ」
 暗くなって優勢になったのは、火練のほうである。男たちはその刀と蹴りに次々と倒されていった。

◆玄関の攻防と、武器商人と護衛
 エリカは、イザベル達が玄関から強襲を始めたのを受け、すぐに玄関へ回り、他のベランダに残っていた見張り達が、屋敷内へ入ろうとするのを一人で阻止。
 隼人と恭耶も途中で参戦したが、隙をついた何人かが三人を抜いて、玄関に入っていってしまった。
『ベランダの敵が、何人か玄関に侵入しましたです!』
 切羽詰まるエリカの無線へ、イザベルから頼もしい返事が返ってきた。
『今、武器を回収してそっちに向かってるよ! すぐつくよ』
 イザベルが屋敷の入口についた時、数人の男達が、玄関から屋敷内に踏み込んできた。
「いらっしゃーい」
 イザベルは言って奥歯を噛むと、パンッという音が鳴り、天井にぶら下がったシャンデリアからジェルが男達に降ってきた。
「うっ、動けねぇ!」

 こちらは武器商人の書斎。この部屋も真っ暗だが、武器商人と護衛は夜目が効くようで、ゴーグルはつけていない。
 目の前にある監視モニターで、玄関の様子を見ていた武器商人が、隼人達に気絶させられていくジェルまみれの男達を見て、声を低くした。
「ベランダのやつらもやられたか、武器のところへ行くぞ」
 その時、武器商人と護衛のすぐ後ろから、声がかかった。
「何処に行くって?」

「誰だっ! 何処にいる!?」
 振り向くが、誰もいない。
「ここに居るぜ?」
 光学迷彩のコートを着ていた雲影こと、陳晶晶。コートの迷彩効果が消え、彼の姿が暗闇に浮かんだ。
「いつの間に!」
 武器商人が言うのと、護衛が動くのが同時で、雲影は、護衛の撃った弾を防弾衣で受けるとそのままハルバードを持って、二人の前に走り込み、身を低くしながら、ハルバードを振った。
 斧頭の重みで、柄が振り子のようにしなると、それは二人のすねに当たった。
「うわっ!」
 足元をすくわれた二人が、尻餅をつく。
 雲影はさらに斧を振るって、倒れた二人に重い一撃。男達は、頭から血を流してうずくまった。
「峰打ちだ、死にゃしねぇよ」
「この真っ暗な中、なぜそこまで動ける‥‥?」
「雲には明かりの有無なんて関係ないのさ」
 雲影の言葉を聞いてから、男たちは床に倒れていった。

◆絵画と武器
 武器庫となっていた部屋にたどり着き、段取りを整えたタキとスティーヴ。
 イザベルは、軽い武器を持って早々に部屋を後にしていた。一階の入り口へ、もう着いた頃だろう。

「武器は、エレベーターで運べそうだよ」
「エレベーターがあったでゴザルか?」

 タキは、重量物用のエレベーター等はないだろうか? と、辺りに注意しながら動いた結果、エレベーターの場所を把握。さらに、部屋へ来る途中で台車を見つけた。
 彼はその台車に、ダクトテープで纏めた武器を乗せ、エレベーターに向かうべく、部屋のドアを開けた。
 すると、向こうから銃をもった男達が走ってくるのが見えた。タキは台車から手を放し、忍者刀の柄に手をかける。

 部屋の中で絵画を外そうとしていたスティーヴも、ブラッディフェザーを手に持った。
「やるでゴザルか」
 二人が戦う覚悟をした時、男達の後ろ、一階からの階段をイザベルが駆け上がってきた。
 イザベルは、素早く体を動かし、男たちの間を縫ってタキ達のそばまでくると、二人の前に立つ。
 男たちが銃を撃ってきた! イザベルが、クロウのマントを広げそれを防ぐと、二人に顔を向けた。
「行って!」

 台車で後方のエレベーターへ走るタキ。心配なのは、明かりを消された際に、エレベーターへの通電も止まってしまっていないかだが。
(よし、動いたよ)
 エレベーターは、別電源だったようだ。エレベーターに乗り込んだタキが、イザベルを振り返った。
「弾薬は、敵の制圧が終わってから持っていこうと思うよ!」
「了解!」
 返事を返してくれたイザベルの肩越しに見えたのは、こちらへ駆けてくる仲間達の姿だった。

 エレベーターの扉を閉じたタキを見て、男達が叫ぶ。
「残った武器を守れ!」
 男達が武器部屋へ押し入ろうと動く。そこに駆け付けた隼人、恭耶、エリカ、火練、そして晶晶が、その男達を別の部屋に押しやろうと試みる。

 エレベーターを介して武器を運ぶタキ。一階に来たイザベルがワックスを廊下に塗って、武器の運搬効率を上げ。

『先生、トラックを!』
『あぁ、もうすぐ着く』
 ニナがトラックを屋敷に横付けすると、男達を制圧し終えた二階勢も合流。
 全員で武器をトラックに積み終えると、自分達も荷台に乗り込んだ。
「外はがら空きだ、やるなお前たち」
 講師の誉め言葉に、一瞬ニヤリとする学生達。
 そこに光から無線が。

『パトカーの音が聞こえてきたよ!』
『了解、武器は全部運べたよ』
「ミーは、あっちに乗るでゴザルよ」
 スティーヴが、タイヤの擦れる音が聞こえ出した方を指さした。
『そっちにスティーヴが乗るよ』
『わかった! 40秒で支度して!』
 光は無線を飛ばしながら、迷彩を施した車のアクセルを踏みスピードを上げた。音に驚いた猫が道を走り抜けるのを、光は見事なハンドルさばきで避け、玄関に到着。
「乗って!」

 光とスティーヴは、武器と仲間が乗ったトラックが走り去るのを見届けた。そして光は車を茂みへと移動。
 トラックとすれ違ったパトカー達が、光の車の横を通り過ぎていく。
「見つからないでゴザルか?」
「『銃声が聞こえる』と、通報があった屋敷のほうから、こんな田舎道を車が二台も続けて通ると、多分怪しまれるよ」
「これが無難、という事でゴザルね」
 それに光は、静かに頷いた。

 屋敷では、武器商人を含め多くの男たちが倒れていた。屋敷内では武器商人としての証拠も多数発見され、狙撃手たちの情報も残してきたので、すぐに狙撃手のいる家屋にもパトカーが行くだろう。

 現場の検証の為、武器商人が警官に引っ張られながら、武器部屋に入るとなんと、絵画が残っていた。
「武器は根こそぎやられたが、絵画は守ったか‥‥」
 商人が呟くが目の前で突然、絵画が姿を消した。
「なんだ‥‥と?」
 武器商人は、愕然とし膝を床についた。

 そのすぐ後、玄関の監視モニターには、屋敷を出ていく警官の姿が映っていた。
 その手には、万年筆。

 光学迷彩で、パトカーや警官達をやり過ごしていた光。絵画は彼女の車に乗っていた。
 そんな光の元に、警官の姿から元に戻ったスティーヴが現れた。
「回収できたかな?」
「勿論でゴザルよ」
 実は、絵画は早い段階で、光の車に運び込まれていた。
 武器部屋に残っていたのは、万年筆のプロジェクタに投影されていた絵画であった。

「じゃ、帰ろうか」
 光は、車の色を変え、玄関の監視モニターに映った車とは別の姿に車を偽装すると、悠々と武器商人のアジトを後にしたのであった。

 こうしてボサティの三枚目の絵画も、取り戻すことが出来た学生達。
 今回取り返した絵画は、かろうじて額縁にいれられていたものの、雑に扱われた跡が所々に見られたのであった。



 12

参加者

a.まずは狙撃手から仕留めてきますかね♪
大神隼人(pa0137)
♂ 22歳 刃忍
c.やる事は変わらないけど、少ないC班に回ってみるねー
イザベル・クロイツァー(pa0268)
♀ 21歳 弾忍
b.潜入して絵画の持ち出しに掛かるでゴザル。
スティーヴ・カラサワ(pa0450)
♂ 21歳 忍知
b.絵画の運び出しを担当させてもらうよ。
九曜光(pa0455)
♀ 22歳 乗魅
a.任務了解…スナイパーを排除する
斑鳩恭耶(pa1232)
♂ 27歳 刃忍
c.どの程度運べるかな。
タキ・バルツァ(pa1565)
♂ 23歳 忍機
a.入口より強襲、敵戦力を排除致します。
厳島火練(pa1582)
♀ 26歳 刃機
a.突入は十分そうですのでエリカはベランダの見張りを撃破するのです
エリカ・ファラデー(pa2109)
♀ 25歳 刃機
a.俺はここだな。武器商人とその護衛の相手をする予定だ。よろしくな
陳晶晶(pa2267)
♂ 22歳 刃機
 本気でやってこい。何かあったら手伝うからな。
ニナ・ガルト(pz0019)
♀ 34歳