なまはげレースin男鹿

担当 北野旅人
出発2016/12/17
タイプ コミック C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP 風間太郎(ka01079)
準MVP 升田 千絵代(ka00869)
空木 椋(ka00358)





オープニング

◆濃いぃメンツ
 出羽国、日本海に突き出す形の男鹿(おが)半島。なまはげ信仰で知られる土地だ。
 そこの、雪が積もった小さな村に、来世人らとなまはげ(本物)と河童の姿があった――なぜかって? なぜなんだパオロ・ベルカント?
「いやーまさかこんな事になるなんてネ‥‥」

◆どうしてこうなった

登場キャラ

リプレイ


◆レース準備、着々と
 だりゃっせえええええい! ‥‥どっせえええええい! ‥‥おきょろきゅきゅ~。
 白く染まった男鹿に、白煙と蛮声が巻き上がっていた。大門 豊と、そのペアの河童だ。
「なあにやっでんだ~」
 なまはげが声をかけると、豊は、寒いのに汗さえ浮かべながら、
「河童さんと親睦を深めるための相撲ですよ。こうしてお互いの信頼を築いておけば‥‥ぶるわああああああい!」
 みなまで言わずにドスコイしだした。やれやれ、と首を振るなまはげ。
「僕は、怪我がないのが一番かと思いますので‥‥河童さんには体力を温存しといてもらおうかな、と」
 空木 椋がそう言うと、なまはげは「いい心がげだ~」とうなずいた。この辺の評価基準は、誰にとっても謎である。
 そして升田 千絵代も、河童とガチ相撲中だ。豊ほどうるさくはないが。で、一息つくと、おもむろになまはげに頭を下げた。
「ああ~? なんだ女?」
「ナマハゲさんには感謝しなくちゃ、と思って」
「ああ?」
「私、その‥‥夫ができたの。去年、ナマハゲさんのお陰でね」
 千絵代が頬を赤らめてそう言うと、最初から顔の赤いなまはげは「ああ~?」とますます首をひねる。
「ナマハゲさんはきっと幸せを運んでくれる神様なのよね‥‥私も今年もサンタのように幸せを運んでみせるわ!」
「お、おう‥‥しっがりやれ‥‥って、何笑ってんだ~?」
 なまはげがジロっとやったのは、鈴城 透哉
「あっいや、千絵代のリア充オーラについニヤついちまったっていうか‥‥別にあんたを笑ったわけじゃねえよ! ほ、ホラ、この根付もなまはげだろ? 敬意払ってんすよって事で!」
 透哉はなまはげ飾りを印籠のように突き出して弁解に必死――その後ろでは風間 太郎が、ソリにせっせと何かしているようで。
 そしてついにレース時間となるや、豊は無駄に爽やかな笑顔で、汗だくの河童の肩を叩き、空を指差して、言った。
「貴方も見事な相撲でした。さあ、次は私と一緒に走りましょう! あの夕日に向かって!」
「まだ昼前だけどネ‥‥」
 パオロ・ベルカントがそうツッコんでも、豊と河童(と書いてバディと読む)の瞳の輝きは一点も曇らなかった。

◆【技】ソリ競争
 雪原に横並びとなる、5人の来世人、5つのソリ、5匹の河童――腕を組んだなまはげがうなずくと、パオロ(副審?)は、右手をあげて宣言した。
「それじゃ‥‥スタートネ!」

 各馬、もとい各河童一斉にスタートしたぞお、さあ最初に飛び出したのは透哉の繰る河ノ丞だあ! 透明なゴーグルを装着した透哉は「いいぞっ」と拳を振り上げる!
「河ノ丞‥‥俺の命運はお前に預けたぜ! なぜなら俺に操縦技術はないから! 落ちねぇようしがみついとくから自由に走れ!」
 そう、河ノ丞はもとより透哉の愛河童(まながっぱ)! 全てを丸投げもとい信頼し託すことで河ノ丞はフンスフンスと気合充分なのだ!
 その背中を猛追するのは千絵代と豊‥‥おおっと速い! こちらの両河童も必死の形相、まるで親の仇でも取らんばかりにほとばしりまくっているう!
「いいですよ、そのままぶっちぎりましょう! さああの夕日に向かって‥‥あるでしょ夕日? 元気があればなんでも見える!」
 豊のムチャクチャに気圧されたか、豊河童も‥‥いやここでペースダウンか!? 本気で相撲取りすぎたのでスタミナ切れか!?
 そして千絵代河童が抜き過ぎる!
「ふふ、河童大王の徳利があるからね、河童の敬意は私のものだわ。それに‥‥秘密兵器、おすねちゃん!」
 おおっと、ソリからすねこすりが飛び出し‥‥河童と力を合わせて綱を引き始めたではないか! これは反則では!? いやなまはげは何も言わない、なまはげの笛は鳴らない、ならばパオロも口を挟めない、セーフセーフ!
「さあ2匹で力を合わせて一気に‥‥あれ? ちょっと?」
 ここで千絵代号が失速した! みるみる疲れ果てる河童、その横でやたらツヤツヤしてるすねこすり‥‥あっまさかコイツ、すねェこすってやがる!? 近すぎたんだ!
「ダメですよー安全第一ですよー」
 と、追いついた椋が、ソリ上から地蔵菩薩慈悲真言で千絵代河童を癒してあげた。敵に慈悲を贈る、美しい戦いがここにある!
 っと、先頭の透哉、急にペースダウン!
「ど、どうした河ノ丞!?」
 おっとこれは、お互いがむしゃらに進んだ結果、積雪の深いゾーンに突っ込んだ模様! 河童が埋まってしまっている!
 コース取りに四苦八苦の透哉号、すねこすりは引っ込めたけどまだ動揺中の千絵代号、ヘロヘロノロノロの豊号、ゆっくりのんびり椋号、を尻目に、太郎号が我関せずとスイスーイッとゴールしましたとさ。

1位:太郎
2位:椋
3位:千絵代
4位:透哉
5位:豊

「――では、優勝の太郎さん。勝利の要因は?」
 パオロのインタビューに、太郎はのんびりと答える。
「ソリの調整をしっかりやったし、僕が連れてきた河童も優秀だしね。操縦技術にもかなり自信があったし」
「さすがネ。で、皆の敗因は?」
「うーん‥‥力入れすぎか、力抜きすぎとか?」
 ごもっとも!

◆【体】おかゆ競争
「‥‥いつからおかゆの早食いがサンタの定番になったんですか」
 豊のジト目。
「まったくだよな。よりにもよってなんで粥にした‥‥」
 透哉のジト目――パオロは、「ゴメンゴメン」と頭を掻く。
「でもネ、ヨーロッパではサンタさんへのねぎらいにお粥を備える風習があるんダヨ」
「そ、そうだったのかよ‥‥そういうことなら仕方ねぇ、みんなの霜月祭のために己の限界を突破する勢いで食い抜くぜ!」
 透哉がりきむと、千絵代も「そうよ!」と拳を振り上げ。
「日本人の魂、お米‥‥お粥といえ米を供出するのは大変なことだわ。大量のお粥を用意してくれた村人に感謝しなきゃね。このお粥おろそかには食べないわ!」
「ええ心がげだ~。よし、そんじゃ始めっど!」
 なまはげの一声で、5人が卓の前についたところへ、アツアツのお粥が続々やってきた!

 始め、と声がかかるや、千絵代は眼鏡を曇らせる勢いでかきこみ始めた。
「梅干を持ってきたから、これで梅粥にすれば何杯でも食べれるわ。そして、ちょっと冷ましておいたこっちの椀は‥‥」
 ずずずずず~。スープというか、まるで水のように飲み下す。これには村人たちもあぜん。
「そっちが梅なら、こっちは!」
 透哉はコーンスープの粉末をざらりとブチ込んだ。隣の太郎も、これにはギョッ。
「え、それアリ?」
「シチューに飯とかアリだろ? アリだよな?」
「いやその‥‥ってこっちも!?」
 太郎、今度は豊が胡椒の砕いたのをカユ・インしたのでドン引き。
「味変は正義! って辛! からっ! つらっ!」
 ちょっと入れすぎちゃったようです。
「ははっ、辛いんじゃペースもあがらないだろ? ここは別腹作戦で」
 透哉、今度はあろうことか、粉末ココア・オン・ザ・カユ! 太郎が「ない、それはない」と首を振るも、本人は気にせずサラサラ~。
「ココアの粥はどっかの国に存在する! したはず! なっパオロ!?」
「い、イタリアでは見た事ないヨ‥‥」
「ねえ、あんな食べ方信じられる? って‥‥なんで赤いの!?」
 太郎は見た! 椋の粥は、すでにピンクに染まっていた!
「ああ、ホットワインですよ。一度やってみたかったのです。なかなか悪くない気が‥‥」
「嘘だ、絶対悪!」
 耳を塞ぐ太郎。だが椋はしれっと。
「ああ、このお砂糖が味を調えてくれたのかな?」
「やーめーてー」
 太郎、食欲不振でペース大幅ダウン。と、そのタイミングで透哉がラストスパート!
「醤油! 味噌! そして最終兵器サンマ缶! これらを組み合わせ変幻自在に!」
 イロモノからの王道で、透哉はみるみる椀を平らげる!
 しかし。超えられない壁というものがあった。千絵代――『お粥は飲み物女』。吸引力の変わらないただ1人の女。これには透哉はもちろん、マイペース椋や悶絶豊やゲンナリ太郎がかなうわけもなく――

1位:千絵代
2位:透哉
3位:豊
4位:椋
5位:太郎

「なかなか面白かったどー!」
 なまはげ&村人の拍手喝采のなか、千絵代は眼鏡をふきふきすると。
「完食成功ね。秋田の米が美味しいせいかしら?」
 そう村人を称えると、透哉も同調し。
「結局和食最高! 食も進むし笑顔も出るぜ!」
「だ、だったら最初からココアなんて使わなければ‥‥」
 太郎が肩を落とすと、透哉は「いやアレはアレで」と味わいを語りだして追い討ちをかけた。

◆【心】和つりー対決
 競技開始の合図。各員、似たような松盆栽を前に、そそくさと作業を開始する。
「わびさびというからには、華美にはならずに、それでいて見る人にはクリスマスツリーだとすぐにわかるものにするべきだと思うんだよね」
 太郎がそう言うと、豊は「んんん?」と首かしげ。
「そうですねえ。僕も悩みましたが、やはり松の木は自然な姿が美しいので、極力手を加えないほうが」
 椋がそう言って太郎とうなずきあうと、透哉も「んんんん?」と首かしげ。
「手を加えずに飾るって‥‥どゆこと?」
「さあ‥‥謎かけですね‥‥」
 透哉も豊も‥‥首、ごきり。
 と、隣で千絵代が、鼻唄混じりになにか細工している。2人はそれをまじまじと見ると、「よし」となにかやり始め――

 そして、完成品が並んだ。パオロはなまはげと協議した結果を発表する。
「才能アリ1位は、太郎君ネ!」
 やった、と微笑む太郎。皆がその作品に視線を注ぐ。
 太郎のは、たしかにクリスマスツリーと明確にわかるのだが、それでいてまさに和なものだった。松の頂上には、控えめに渋く輝く銀の星。葉にまとわせる白い綿は、あえて黒ずんだ古もめんを使うことで静かさを醸している。
「ばびばびってやづだな、うん」
「わびさび、ネ」
 なまはげとパオロはそう評価した。

「で、才能アリ2位は、椋君!」
 やりました、と小さくガッツポーズの椋、その作品とは。
 宣言どおり、松そのものは手をつけていない。手を加えたのは、その周囲だ。
 竹や木切れで作った、小さな家。その存在が、松を本来以上の大木に見せている。そして松の『背後』には、なんと富士山。雪を押し固めたものだが、それはたしかに「遠くに見ゆる富士の山」を表していた。
「これら一体となっで、見事な世界を創り出してるど~」
「ま、ツリーかどうかは微妙だけどネ、空間センスの勝利ネ」

「凡人第3位は、千絵代ちゃん!」
 凡人かあ、と肩を落とす千絵代だが、それは村の子供らにはウケていた。
 最大のポイントは、梅干と干し柿を糸で垂らしてオーナメントにした点。ブラブラ揺れるそれら食材は、クリスマスぽいっちゃクリスマスぽいし、和っちゃ和だが‥‥まあ、子供の笑う程度にはシュールで。
「ま、ガギの笑顔が一番だべ~。ちゃんど和だしな」
 なまはげは褒めてるようだが、千絵代は若干、引っかかるようで。
「それはいいんだけど‥‥じゃあなんで、凡人査定?」
「なんで、って‥‥どごをどー見だっで、いがにも『凡』って雰囲気だべ?」
「」

「で、才能ナシ4位5位は、透哉君と豊ちゃんネ」
 才能ナシ‥‥とは、これでも控えめに言ってるようなものだ。
 透哉のは綿だの赤い飾りだの魚の骨だのを巻きつけたりぶら下げたりして、カオスで名状しがたき具合になっている。
「だって、みんな食いモンとかいろいろ巻きつけたりぶら下げたりしてたじゃねーか‥‥」
 透哉のコメントはほっといて豊のも見ざるを得ないが、これはもう、なんというかもう、『松だったもの』が鎮座するばかりで。
「いや、太郎さんが引き算の美学とか言うから‥‥こう、剪定してはみるものの、ああでもないこうでもないと繰り返してたら‥‥切るトコなくなっちゃいまして」
 と、いう具合に全競技が終わった。とくに得点つけて順位を決めるとかそういう趣向ではなかったのだが、あえて1名だけ決定するというなら、豊ということで全員の意見が一致した――ビリッケツに。

◆丸く収ま‥‥った?
 で、レースが終わっても来世人は村人に囲まれて、楽しくやっていた。椋と太郎が力を合わせて作った氷の滑り台では子供がキャッキャと遊び、豊は持ってきていたハロウィンな駄菓子セットを子供へ配り、透哉も余った粉末でコーンスープやココアを振る舞っていた。
「クリスマスなのにハロウィン菓子?」
 千絵代が苦笑すると、豊は「食材を無駄にしない心意気です」と気恥ずかしげに答えたり。
「よぐやっだ。思っだより根性見せだし、民やガギへの配慮も認めたるど~」
 なまはげは、褒美として『今回のなまはげレースから想起された何かを作ってやる』と約束し、意気揚々と去って行った。
「ふう、なんだかわからないケド‥‥危機? は回避できたみたいダネ。みんな、お手柄ヨ!」
 パオロがそう言うと、5人は一斉に『元凶』を見やり、誰が言い出すでもなく一斉にパオロに雪玉を投げ始めるのだった。


※本リプレイを元に、李央イラストレーターによるコミックが作成されます。完成をお待ちください。



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参加者

c.生皮剥がれない程度に、頑張ります……;
空木椋(ka00358)
Lv184 ♂ 20歳 傀僧 来世 大衆
b.…よりにもよってなんで粥…なんかもっと他にあっただろ…絶対。
鈴城透哉(ka00401)
Lv174 ♂ 15歳 武僧 来世 傾奇
b.今年は幸せを配ってみたいわね。お粥を食べる競争は正式種目なのよね
升田千絵代(ka00869)
Lv165 ♀ 25歳 武陰 来世 異彩
c.頑張って、わびさびを重視したツリーを作るよ
風間太郎(ka01079)
Lv186 ♂ 19歳 忍傀 来世 質素
a.よろしくお願いします。
大門豊(ka01265)
Lv99 ♀ 15歳 武忍 来世 質素
 ミーのせい、なのカナ‥‥あ、ミーは副審を務めるネ
パオロ・ベルカント(kz00007)
♂ 30歳 武僧 来世人