寛永ストロベリ。

担当 九里原十三里
出発2017/07/14
タイプ ショート C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP 藤枝梅花(ka00566)
準MVP 毒島 右京(ka01318)
梧桐 彩葉(ka01552)





オープニング

 夜の寝苦しさが辛くなってきたある朝のこと。
 来世人仲間の住まいに泊まり込んでいた塗保 舞己(ぬりほ まいこ)は夜明け前の訪問者に叩き起こされていた。
「わん! わん! わんっ!」
「い……いぬ? って、レタル……?」
「わんっ♪」
 舞己の布団の上で尻尾を振るアイヌ犬が一頭。

登場キャラ

リプレイ

◆飛騨の夏山
 霧が晴れると、イチゴ畑は朝日にキラキラと輝いた。
 その横を白い犬と黒い犬が追いかけっこしながら駆けていく。
 アイヌ犬のレタルと、花織 ひとひらが連れてきた黒柴のコノハだ。
「コノハー、レタルと仲良くするんですよー」
 楽しそうに野原を転げ回る愛犬にひとひらが優しく声をかける。
 その足元には真っ赤に熟れたイチゴの実が沢山実っていた。
 ひとひらは手拭いで汚れを落とし、そっと口に運んだ。
「ふふ……美味しい。まだ青い実もたくさんありますね」
 小さな葉をめくると、そこから小さな実や可憐な白い花が顔を出す。
 この花もこれからちゃんと実を結びますように。
 そう心の中に想いながら、ひとひらは籠にイチゴの実を摘みとった。
「レタルちゃんに干し鹿肉をご用意して来ました。犬はあんまりイチゴ食べると毒らしいですから、気をつけてあげてくださいね?」
 カミラ・ナンゴウが紅茶の用意をしながら好一にそう言った。
 周囲には甘い香りが漂っている。
 ガッツキのレタルがイチゴのかぶりつくのは時間の問題だった。
「いつもありがとなカミラちゃん。そういやこの前もあいつこの前もアカガエル丸呑みして腹壊し……ってコラ! 何食ってんだレタル!?」
「?」
 好一の声に振り返ったレタルは口をもぐもぐさせていた。
 口からはみ出しているのはバッタの脚のようだ。
「ったく油断も隙もねえなお前は! 吐き出せ! おい! 逃ーげーるーなっつーの!!」
「えっまさか……コノハは食べてないですよね?」
 ひとひらも慌ててコノハを呼び寄せたが、幸いお利口なコノハはバッタに興味を示さなかったらしい。
 おすそ分けしてもらったひとひらのイチゴをお行儀よく食べ、嬉しそうに尻尾を振っていた。
「なんとも美味しそうに熟れてるな。天気も良いし、山がきれいでいい景色だ」
 由良 悠頼は明るい斜面でイチゴを摘みながら遠くの山を眺めていた。
 槍ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山。
 遠くには信濃国の山並みがきれいに見えていた。
「それにしてもすごいですね……。全部摘んでしまっては、山の動物も困ってしまうでしょうけど……これだけ沢山あれば、その心配はなさそうです。料理するのが楽しみですね」
 悠頼の手元の籠を若桜 涼が覗き込む。
 摘んだイチゴは一緒に来られなかった弟の分なのだと悠頼は言った。
「紫苑がどんな料理にしてくれるか今から楽しみだ。苺シロップとかいいだろうな。砂糖で瓶に仕込んで常温で数日……ってとこか。暫くは楽しみが増えるな」
「僕も持って帰ったら、兄さんとも一緒に食べようと思います。火を通して、ジャムやコンフィチュールにしてもいいですし、胡椒を少し入れても美味しいんですよね。もちろん、そのままでも美味しいですけど」
「そうだな。勧めるにしても味は知っておかなきゃだし。採れたては今だけの特権だよな」
 悠頼はそう言ってイチゴを口に運ぶ。
 その隣では梧桐 彩葉も次から次へとイチゴを頬張っていた。
「ウチも茶倉姉さまのお土産にしたいんどすけど、美味しくて手が止まらへんのどす。姉さまの分はお腹いっぱいになってからでええやろか……」
「たくさんあるんですし、いいと思いますよ。こうしていると昔ウチの店でやっていたストロベリー祭りを思い出しますねえ」
 藤枝 梅花も手際よくイチゴを摘んで籠へ。
 その向こうでは、毒島 右京が何故か雪の斜面を登っていた。
 何やら舞己におつかいを命じられているらしい。
「毒島さ~ん、きれいな雪、採ってきてくださいねー?」
「ハッ、ハイ! かしこまりました!」
「お願いしま~す」
 ……何で右京はあんなに舞己にペコペコしているのだろうか。
 事情を知らない者たちに、梅花が「例の飲み会」(リプレイ『梅雨払いという名のカオス』参照)が原因だろうと言った。
「私も舞己さんには先日迷惑をかけたっぽいので希望の苺かき氷を作ってあげようと思ってるんですが、多分それに使う雪を採ってこいと命じられているのではないでしょうかねぇ」
 詳しくは後で右京に聞いてください……という事で。
 そして、その「迷惑」の元凶はレタルを押さえつけて必死にバッタを吐かせようとしていた。
「だぁああ! もう! 飲み込んじまいやがってこの馬鹿犬が! 後でまた腹下しても知らねえからな!」
「ゔー! がうがうっ!」
「ったくお前はもう! あすこにいるお前の『進化系』を見習え!」
 好一が指差したのは右京が連れてきた四尾ノアイヌ犬の六花だ。
 がうがう言って暴れるレタルとその飼い主を呆れた顔で見ている六花の近くでは、右京の式神4体がせっせとイチゴを収穫している。
 六花は山の動物がその邪魔をしないよう警戒し、イチゴ畑の周囲を飛び回っているようだ。
「いい休日になりそうですね……」
 舞己は雲一つない青空を見上げながら、ほっと一息ついた。
 次第に日も高くなり、日当たりのいい山の斜面は少しずつ気温が上がり始めていた。

◆山の恵をいただく
 山の日差しはイチゴの蕾を次々に開かせ、青い実に色をつけていく。
 ハイマツの生えた岩場には熊の親子が歩き、遠くからイチゴを摘む来世人達を見つめていた。
 その様子をコノハとレタルがじっと見つめ返している。
「みんなもう料理を始めてるみたいですね。コノハ、レタルも戻りますよー」
 ひとひらが立ち上がり、犬たちを呼び戻す。
 そこへちょうど、雪を取りに行った右京も戻ってきた。
 今日は1日舞己の言うことを聞く気なのか、態度は相変わらずだ。
「採ってきました! これでよろしいでしょうか!?」
「ありがとうございます♪ そうしたら、これ梅花さんに渡してあげてください。あと、練乳お借りできますか?」
「はいっ、もちろんです!」
「じゃあ、六花ちゃん達も撤収ですね。おーい、熊さん達、もうこっち来ていいですよー?」
 イチゴはまだたくさん残っているが、後は山の動物達の分だ。
 早朝から全員で頑張ったおかげで、来世人の分のイチゴはもう十二分に確保できていた。
「レタルちゃん、もう変なもの食べちゃだめですよ。もっと美味しいものがあるんですからね?」
「わんっ♪」
 レタルはカミラに鹿肉を貰い、すっかり機嫌である。
 その傍らでは火にかけられたイチゴがコトコトと煮えている。
 涼と彩葉がイチゴジャムを作っているのだ。
「ここでほら、こうやって香り付けに胡椒を入れるんです」
「あ、ほんまや涼さん! ふわ~っと香ってきはって、ええ香りやわぁ」
「粒は小さいけど、イチゴ自体の香りもすごく濃厚なんですよ。そういえばさっきそっちの鍋に入れてたのって金平糖ですか? うまく溶けましたね」
「そうどすなぁ。姉さまの分が十分持って帰れそうで良かったわぁ。あれぇ? 悠頼さんはそれ、火にかけないんどすか?」
 彩葉が鍋をかき回しながら悠頼の手元を覗き込む。
 悠頼は「ああ」と応えて笑顔を浮かべた。
「俺のレシピだとこのままで大丈夫なんだ。1日じゃできないけど、時間をかけるのも楽しみの1つだからな」
 瓶に近くの湧き水で洗ったイチゴを入れ、その上から上白糖をたっぷり。
 加熱はしなくても良いようだ。
「よし、このまま涼しいところに置いておけば何日かでシロップができるはずだ。お、そっちはかき氷用か?」
「ええ。水分が多くて柔らかいイチゴなので、すぐに火が通りそうです」
 梅花はイチゴをボウルに入れ、ハンドブレンダーで潰してから火にかける。
 そこへ、八咫烏でどこかに出かけていた好一がたくさんの器を抱えて戻ってきた。
「かき氷用の器とか、いろいろ借りてきたぜ~。梅花ちゃんシロップは?」
「これから布で漉すところですよ。あ、カミラさん、後で残りのイチゴをジャムにしますから紅茶に添えてくださいね」
「ありがとうございます、梅花様。イチゴの甘みを引き立てるようにストレートティーでお淹れしておきます」
 きれいな雪を器に丸く盛り付け、そこへできたてのイチゴシロップをたっぷり。
 仕上げに切ったイチゴを可愛らしく飾り付けに――。
 この時代では食べられない、贅沢な逸品が出来上がった。
「はい、雪苺完成です♪ 舞己さんどうぞー」
「梅花さんありがとうございます! すっごくきれいです……! わぁあ! 食べる前に写真撮らなきゃ!」
 舞己は大感激でスマホのシャッターを押しまくる。
 季節の味覚にカミラの淹れたおいしい紅茶も添えて。
 みんなそれぞれ収穫したイチゴを存分に楽しんだ。

◆一番のお土産は山の思い出
「毒島ちゃんその装置なに? イチゴ冷やしてんの?」
「そうそう、こうやって耐熱容器に水とイチゴを入れて……急冷の指輪でこうじゃ」
「おお、すげぇ! 頭いいなー!」
 好一が右京の手元を見て笑い声を立てる。
 足元にはレタルと六花がリラックスした様子で寝そべっている。
 隣ではひとひらと悠頼が紅茶を飲みながらコノハの頭を撫でていた。
「コノハ、寝ちゃいました。レタルと一緒にたくさん走り回って、遊び疲れちゃったのかもしれません」
「そろそろ帰ったほうが良いかもな。ギルドの皆、イチゴ持って帰ってくるの待ってるかもしれないし」
 山のイチゴは鮮度が命である。
 おいしいうちにギルドに持って帰ろう。
 来世人達は正午を迎える前に、山を降りる準備を始めた。
 ところが……。
「ん? 彩葉ちゃんどうした? お腹痛いの?」
 食器を片付ける好一の横で、彩葉はなにかを堪えていた。
 しかし、彩葉は首を振って腹痛ではないと言う。
 そして、思わぬことを口にした。
「……たい……んどす」
「ん? もっとイチゴ食べたい?」
「違うんどす! 脱ぎたいんどす!!」

 ま さ か の ご 発 言

 彩葉は何故か、激しい脱衣衝動と格闘していた。
「あああああ! 脱ぎ……たい!!」
「ちょ、彩葉ちゃん落ち着いて!!」
「あ、あかん! が、我慢出来ひーん!」
 彩葉がジャムに加えた甘味料の『金平糖』が、まさかのKKK商品だったようで……。
 このまま山でイケナイ格好になってしまう前に、彩葉は舞己に取り押さえられた。
「はーい、いけませんよ彩葉さん。若い女の子がこんなところで脱いだらそこにいる変なおじさん(※好一のこと)が喜んじゃいますからね―」
「おいこら! 上司に向かって変なおじさんとは何だ!」
「じゃあ、すいません隊長、緊急事態なんで私このまま彩葉さん連れて先に帰ります。後片付けはお願いしますね?」
「こら待てマイコゥ!!」
 こんなちょっとした(?)ハプニングはありつつも。
 来世人たちは存分にイチゴを満喫し、お土産をたっぷり持って帰ったとのことである。
 ちなみに彩葉のジャムをお土産にもらった者がどうなったかは……まぁ、本人に聞いて欲しい。



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参加者

a.これだけあればイチゴジャムにイチゴシロップと色々出来ますねえ♪
藤枝梅花(ka00566)
Lv210 ♀ 22歳 神陰 来世 麗人
a.すごいですね…どう、楽しみましょうか。
若桜涼(ka00758)
Lv138 ♀ 18歳 神傀 来世 異彩
a.お、なんとも美味しそうに熟れてるな。
由良悠頼(ka00943)
Lv156 ♂ 17歳 陰忍 来世 大衆
a.たくさん摘んで、たくさん食べましょう…!
花織ひとひら(ka00978)
Lv177 ♀ 17歳 神僧 来世 異彩
c.それでは、レタルちゃんのお相手をしつつ、紅茶の用意を致しましょう。
カミラ・ナンゴウ(ka01313)
Lv146 ♀ 23歳 忍僧 来世 大衆
a.先日の「宴会」ではご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。(土下座)
毒島右京(ka01318)
Lv219 ♂ 35歳 陰僧 来世 大衆
b.うわぁ、すごくおいしそうどすなぁ。姉さまにも食べてもらいたいけど…
梧桐彩葉(ka01552)
Lv116 ♀ 19歳 神陰 来世 異彩
 わぁいい香り~♪ あ、あっちまだ雪残ってますね。苺かき氷できないかな?
塗保舞己(kz00043)
♀ 23歳 武忍 来世人