タマには海辺ですねこすり

担当 午睡丸
出発2017/07/11
タイプ ショート C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP 空木椋(ka00358)
準MVP 御堂 マリナ(ka00057)
吉弘 龍重(ka00291)





オープニング

◆タマ・タマ・タマ――みたび!
 玉である。
 玉の集会状態である。
 ……さすがに三回目ともなれば、これが何を表しているのかの説明は不要だろうか?
 そう、もはや毎年恒例ともいえるキジムナーの集団だ。
 今年もとある漁村へとやって来た来世人をこのキジムナーたちが出迎えてくれた。

登場キャラ

リプレイ

◆玉ビーチ
「うっひょ~い! 海だぁ!」
「ひゃっほーい!」
 着替えに借りた漁師小屋から飛び出した男たちがあった。不知火 焔羅吉弘 龍重である。
「夏! 日差し! 浜辺! 海水浴! とくりゃきれいなおネェちゃんだろ! ……っていねぇのかよチックショウ! アッチッ!」
 焼けた砂浜で地団駄を踏む焔羅。そこには海水浴を楽しむ玉が転がっているばかりである。
 一方、龍重はそんな玉専用ビーチには目もくれず、どこかをウキウキと見つめていた。視線を辿ると、そこにはビキニが眩しい女性陣の姿が。
「ありがとう玉! これで今年の夏も乗り切れるぜー!」
 すねこすりに感謝を伝える龍重だが、返ってきたのは怪訝な視線だけであった。
「わー、茶すねこがこんなに……水に濡れてもちっとも細くならないのですね~。首はどこなんでしょう……?」
 空木 椋もウキウキと大量のすねこすりを眺める。
「たぶん元からまん丸なんじゃないか? しかしすっげーいるな……」
 御堂 マリナは改めて浜を見渡した。確認できるだけで三十匹はいるだろうか、すべて茶色いすねこすりだ。
「そうですね、うちの猫も洗っても顔しか小さくなりませんでしたし……福々しくて良いと思います!」
 茶色の玉が幅を利かせる浜だが先住玉の存在も忘れてはいけない。そう、キジムナーたちだ。
「これがキジムナーかー。前にテレビで観た気がするけど、実物はなかなか可愛らしいんだな」
 横溝 さわ子は一匹のキジムナーを掌に乗せてまじまじと見つめる。
「なんだか蹴鞠でもしたら楽しそう……イテッ! 悪い、冗談だよ! ごめんって!」
 つい口にした冗談だがテレパシーで伝わってしまったのだろう、キジムナーから抗議のキックが飛んできたのだった。

◆弾む玉
 いよいよ本題、隣の浜への移動である。殆どのすねこすりは浜での日光浴と浅瀬での水遊びを交互に楽しんでいるようだが、なかには沖で泳いでいるのもいた。
 一口にすねこすりといっても性格や好みはそれぞれらしい。
「よーし、沖はあたしに任せておけよ」
 マリナはサーフボードを手に自信を見せる。彼女は昨年もこの浜で化身退治に活躍したのである。
 すると三匹のキジムナーが『連れていけ』とアピールを始める。もしかしたら前と同じキジムナーかもしれない。
「おっ、一緒に来るか? いいけど、邪魔しないで頭にでも乗ってろよ……って、そこは頭じゃねーだろ! ほら、動くなって!」
 胸のふくらみに陣取った二匹を強制退去させようとするマリナだが、座り心地が気に入ったのかビキニのトップを掴んで予想外の抵抗をみせるキジムナー。
 詳細な描写は控えるが、ぽよんぽよんでたゆんたゆんであった。
「おい龍重、あのタマども相当やるぜ!」
「くっ! なんで俺はキジムナーじゃないんだ……!」
「こら! こっち見んな! ふんっ!」
 マリナは熱視線に気付くと二人の顔めがけてキジムナーを投げつけた。

「んー、沖で泳ぐのはしんどそうだな……でもせっかく水着も着たし、俺は浅瀬で頑張ってみるよ。すねこすりのご機嫌でも伺ってみようかな」
 どうやらさわ子は浅瀬に狙いを絞ったらしい。
「じゃあ僕も沖に出て集めますね。龍重さんはどうします?」
 問われた龍重は赤い鼻を押さえて考えていたが、やがて子供のように純真な瞳で語り始めた。
「僕、漁師さんたちのためにいっしょうけんめいやるよ。そしてさっきのキジムナーのようなラッキースケベが許される存在になるんだ……ってことで、浅瀬でがんばるぞー!」
「許してねーよ! やったらぶっとばすからな!」
 マリナが鋭く釘を刺す。
「なんだみんな海に入るのかよ……しゃあねぇ、ここはいっちょタマどもを油断させておくか」
 焔羅は四人を見送ると浜のすねこすりの真っ只中に単身乗り込んでいった。
「おいそこの茶色いタマぁ! 俺も仲間に入れろよ! いっしょに日焼けでもしようぜ!」
 すねこすりたちはズカズカと近寄ってきた焔羅を警戒するものの、当の本人は意にも介さずその間に割って入り、寝転がった。
(こうして無防備なとこを晒しとけば警戒しねえだろ!)
 内心ほくそ笑む焔羅だったが、
「くかーっ……くかーっ……」
 と、数分後には見事な寝息を立てていたのだった。

◆玉運び
 椋は亀型機巧に乗って沖まで出てくると、プカプカと漂うすねこすりたちを観察していた。思いのほか上手に泳いでいる。
「はー、なるほど。これだけ泳げるなら海水浴も楽しいでしょうね。毛に覆われていると暑いでしょうし……っと、感心してる場合じゃないですね」
 すねこすりにビニールプールが近寄っていった。老漁師に借りた縄で鮫型機巧に牽引させているのだが、警戒させないようにすこし潜らせている。
 突然現れた物体に驚くすねこすり。
「こんにちは。泳ぎ疲れてませんか? よかったら陸まで送らせてください」
 敵意が無いことを示すために優しく語りかける椋。すねこすりはスピスピとプールの臭いを嗅いでいたが、やがて危険はないと判断したようだった。
「はい、どうぞ」
 すねこすりをプールに乗せると慎重に鮫型機巧を発進させる。底面が平らで水の抵抗を受けやすいうえ、一部でも破裂すると即沈没に繋がるおそれがあるからだ。
「なー」
「大丈夫そうですね。もうちょっと乗せられるといいんですが……」
 プールのサイズにはまだ余裕がある。椋は近くを泳いでいるすねこすりを見つけると鮫型機巧を向かわせた。

 離れた場所ではマリナがパドリングしつつ、すねこすりに接近していた。
 見慣れない物に乗った人間を警戒するすねこすり。沖というのは比較的に凪いでいるものだが、マリナはわざと派手にボードを操ってみせる。
 その度にボードの先に立ったキジムナーが海に落ちそうになっては踏みとどまるという動作を繰り返した。
 やがて興味を持ったのか、すねこすりが近付いてくる。
「ほーら、こっちも面白そうだろ。乗るか?」
「なー?」
 すねこすりがどう思ったのかはともかく、一度乗ってしまえばこちらのものである。マリナは移動先の浜へ向けてパドリングを開始した。
 目的の浜が見えてきたところで波を待つマリナと玉たち。
「そらいくぞ! 振り落とされんなよ!」
「なー!」
 こうして波乗りすねこすりが一匹、浜に到着したのだった。

「どーだお前らー。乗り心地最高だろう!」
「「「なー」」」
 浅瀬では龍重がすねこすり相手に会心のどや顔を向けている。
 彼はイルカ型浮き輪に跨がっていた。前には数匹のすねこすりが相乗りしているが、これは片っ端からナンパしていった成果だった。
 モテモテである。
 もっとも、魔法らしきもので眠らされそうになっては抵抗で回避した事も多かったが。
「ふふふ……そうさ、いまや水の上は俺たちの独壇場! さぁイルカヌス三世、俺を浜へと導いてくれ!」
 どうやら浮き輪の名前らしい。だが、そのイルカヌス三世も寄せる波に翻弄されてなかなか進めないのが実情である。
「焦ることはない、すねこすりと共にプカプカ漂っていこう……って、いくらなんでも遅すぎないか? 日が暮れちまうぞ!」
 さすがに本来の目的を見失うわけにもいかず、やむなく龍重はイルカヌス三世を押して歩き始めたのだった。

「うーん、あんまり上手くいかないなぁ……」
 すねこすりはさわ子の操作するドローンに対して少し反応を見せるものの、すぐに興味を失ってしまう。
 ドローンで気を惹き、それを追わせることで移動させようと考えたのだ。
「もしかして海から離れるのが嫌なのか……?」
 妖怪の基本的な行動原理はその霊修である。もしも『海水浴』が霊修だとすれば、自発的に止めさせるのは難しいのかもしれない。
「いっそ強引に連れていった方が良いのか? でも手荒な真似は好きじゃないしな……って、あ! ドローンが!」
 バッテリー切れらしく浜を飛んでいたドローンが落下する。この稼働時間の短さもネックであった。
「いてっ! なんだよこれ!」
 ドローンは寝ていた焔羅の脛に直撃した。幸い怪我は無いようだが、大声を出したせいで周囲のすねこすりがいっせいに注目する。
「わ、悪い! 大丈夫か?」
「まーったく、気をつけろよ。俺のビューチホーなスネに傷が……って、なんでこいつら近寄ってきてんの?」
「「「なー」」」
「「「なー」」」
「「「なー」」」
 浜にいた大量のすねこすりが焔羅ににじり寄る。そしてその熱い視線は『兄ちゃんいい脛してるじゃねえか』と言わんばかりに脛に集中していた。
「お、おい……こんだけの数に一気にこすられたら、さすがにヤベエんじゃねえの……?」
 そう、超体力馬鹿でも死ねること受けあいである。
「……うおおおーっ! 冗談じゃねえぞー!」
 脱兎のごとく逃げ出す焔羅だが、逃げられると追いたくなるのは人も妖怪も同じである。
「……なるほど、同じ霊修だとこうなるのか。勉強になるな」
 十数匹のすねこすりに追われる焔羅の姿を見て納得するさわ子であった。

◆避暑玉
「おっ、随分連れてきてくれたみてェだな。暑い中ありがとうよ!」
 夕刻、老漁師が隣の浜に様子を見に来ると、そこはすねこすりのプライベートビーチといった状態であった。
「ええ、気に入ってくれたようで良かったです。ごゆっくりどうぞ~」
「なー」
 椋のプールはすっかりプールラウンジと化して浅瀬に浮かんでいる。のんびりと楽しむには格好なのだろう。
「さすがに何度も往復して疲れたな……ま、サーフィンもたっぷりできたけどさ」
 マリナの作戦は一度に多く運べなかったものの、サーフィン好きの彼女には一石二鳥で楽しめたようだった。
「ただ、怖がって乗らないのも結構いたから、そのへんは性格かもな」
 のんびり屋やスリル好きなど、好みもさまざまなのだろう。

「ここがツアーの目的地だぜー! ほら降りた降りた!」
「「「なー」」」」
 やがて龍重がすねこすり御一行を乗せたイルカヌス三世を牽いて到着する。浅瀬を地道に歩いて何度も往復しているのだ。
「け、けっこうキツいなこれ……」
 一方、手伝っていたさわ子は疲れ果てていた。不安定な砂地と波の抵抗で、浅瀬を移動するのは思いのほか疲労度が高い。
「さすがに警戒されちまってもう無理だな」
「お疲れさん、これだけ運んでくれりゃ十分だろう」
 老漁師が浜を見渡して言った。半数以上を運ぶことが出来ただろうか、あとは明日から分散してくれることを願うばかりである。
「そういやあの威勢のいい兄ちゃんはどこ行ったんだ……って、あんなとこで寝てんのか」
「くかーっ……タマァ……」
 焔羅は岩場の上で寝こけていた。すねこすりから逃げるうちにタマタマこの浜に逃げ込んだらしいが、その際何匹かを引き連れて来たらしい。
「ま、なんにしてもお疲れさん。いつものようにメシを用意してあるから喰っていってくれ。くれぐれも脛をこすられねェようにな」
 老漁師はそう笑うと、来世人たちを宴で労ったのだった。

 その夏の間、浜はすねこすりとウォッチャーの隠れスポットとして人気を集めたという。



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参加者

a.俺のタマが必要と聞いて‥しゃあねぇ、日焼けでもすっか!
不知火焔羅(ka00012)
Lv183 ♂ 23歳 武僧 来世 異彩
c.よーし、沖は任せておけよ
御堂マリナ(ka00057)
Lv149 ♀ 24歳 忍僧 来世 大衆
b.たまらず、タマタマ来てみたら
吉弘龍重(ka00291)
Lv160 ♂ 17歳 武忍 来世 異彩
c.まるっとしてますね~、うちの猫も濡れてもシルエット変わりませんでしたw
空木椋(ka00358)
Lv116 ♂ 20歳 傀僧 来世 異彩
b.浅瀬で、彼らのご機嫌を伺ってみようかな。
横溝さわ子(ka01796)
Lv178 ♀ 17歳 忍誓 来世 大衆