【褌道宗】ライムテラー

担当 Toro
出発2017/10/05
タイプ ショート A(Lv250以下) 冒険
結果 成功
MVP 富栄弩院頼伝(ka01639)
準MVP 土方 萌(ka00069)
遠前 九郎(ka01660)





オープニング

◆踊り歌い脱ぎ脱がせ
 褌道宗・天元(てんげん)派。褌道宗の中核にある一派であり、先だって紅女呪鬼に操られているところを来世人による説得(物理)で正気を取り戻した者たちが所属している派閥である。
 彼らはおおむね捕まるがまま、事情を聞き出さんとする来世人に対しても協力的な姿勢を保っていた。
「ときに、貴様らは『踊念(ようねん)派』については知っておるか」
 出し抜けに、天元派の僧侶がギルドの人間に問う。どうやら、踊り念仏にフンドラ様を見出した一部の宗徒がが踊りを交えて布教することを考案した一派だそうだが‥‥最近の動向がおかしいらしい。
「奴ばらめは近頃、踊りと歌のみならず、それを勝負にして負けたら勧誘、ということをしておってな。どうにも強引さが拭えぬのだ。おかしな男とつるんだとも‥‥」

登場キャラ

リプレイ


「我輩、其れなりに体術も嗜み、舞踊も心得ているの、で、R」
 白羽瀬 倫太郎の言葉は、真実である。寺育ちのRさん(仮称)は伊達ではないらしく、肉体的な運動能力や僧としての冠婚葬祭への知識は確かなものだ。踊り念仏のたぐいを心得ていてもおかしくはない。‥‥全裸で踊れという教義がどこのどんな宗教にあるかは疑問だが。すでにほぼ全裸になっている彼に言うのはまさに馬に念仏なのだが。
「拙僧も歌と踊りには一家言あるのだ。我が弟子の萌ともども、舞とは何か、歌とは何かを教えて進ぜよう」
 富栄弩院 頼伝はどこか自信ありげに胸を張り、褌道宗と対峙する。土方 萌をさくっと弟子扱いしている当たりが抜け目ない。もっとも、萌は弟子呼ばわりを容認してないようだが。
「誰が弟子だよ、おい。あんたに歌の指導したのは私だろ」
「冠婚葬祭その他を伝授したのは拙僧であろうが。ゆえに弟子じゃろう」
 そんな感じで、互いの得意分野を指導し合った仲のようだ。素晴らしいマウンティング合戦を見ている気がするが、ここはすでに敵の前、戦場なのだ‥‥とは、今回誰も突っ込むことはない。褌道宗と、どっかネジの外れた新人来世人を相手にして、この者達が遅れを取ることは(戦闘だけなら)十中八九、ありえないからである。
「それじゃあ、わたしはダンスを披露しちゃおっかなあ♪」
 諏訪 頼子は、そんな状況もなんのその。褌に外套、煽情的なセーターに地下足袋とフェティズムの塊のような格好で艶やかに腰をくねらせた。桃色の六尺褌がこうも煽情的に見える装いを思いつくのは、彼女ぐらいではなかろうか。
「nmm‥‥プライドはless、態度はhys、信念はすでにSoldOutなベイビーズ? Youに恥はないのかイ?」
 しっちゃかめっちゃかなラップで、邦洋は来世人一同をDisりにかかる。ここまで的外れで苛立ちを想起させる言い回しもないモンだが、来世人達に反論は無‥‥いや、あった。
「態度がTiredなあんた前に明日を生きる気力なんてあるのか? そんなBudGuyとツルんでちゃ無理だろうな」
 海動 涼の台詞回しはDisというよりもはや和洋折衷のダジャレなのだが、仕方ない‥‥のかもしれない。彼はそもそも、歌や踊りの才は人並み程度なのだ。とっさにこれだけ出てきた、というだけでもいいほうなのかもしれない。
「皆ノリノリすぎてもうさ‥‥俺帰っていいかな? ダメだよな?」
 遠前 九郎は、目の前で好き放題する涼と頼子の姿に目尻をおさえた。涼の愛馬、松風の血を引く『スカル』はどこか涼の態度に肯定的で、いつでも命令を聞けばすっ飛んでいきそうな始末。
 同じ長屋に済むツレを何とかするのは、どうやら彼の役割らしく。空気に染まりきれない常識人っぽい姿も、さらなる気苦労の原因なのかもしれない。
「はて。もう一人いたような、気がする、で、Rが‥‥?」
 倫太郎は、そこではたと気付く。来世人ギルドから派遣された人数、七名。なんらかの行動をとり、または己の本能に従って次になすべきことを決断したとみられる者は六名‥‥ひとり、足りないのではないだろうか。
「え? 七人目? だれそれわたししらなぁい」
 頼子は甘ったるい声で棒読みめかしてそう告げる。
「知らんな」
 涼もばっさりと、七人目の不在を否定した。
「俺の身内が3人来てる気がしたが。2人だったな!」
 九郎、ほか二人の態度を見て自分も知らなかったことにしよう、と考えたようだったがもう遅い。彼は周囲の空気とあきらかに異なる『それ』の姿を見咎めた。
「フー、フゥゥゥゥ‥‥!」
 そう、マシュマロ団員Mである。地の底から這い上がるような威圧感と唸り声を携え、恐るべき殺気と明らかに人の命を刈り取る形をした武器を振り回す彼女が、『気配を消して一気に仕留めにかかる』とか言い出した時は、仲間全員が無理だと断じていた。実際その通りで、あえて視線を切ろうとしてもまあ視界にこびりつくその存在感。
 倫太郎の裸なんてメじゃないくらいの恐るべき重みである。
「フゥじゃねえよお前がFoolでファウルな格好してるから俺達がフォルトみたいな扱い受けてるんじゃねえかちょっとは自重しろよチキショー!」
 九郎、英霊の力を借りてなけなしのリリックを紡いだがDisる対象をまさかの誤爆! だが彼のミスを誰が笑えたことだろう。身内が頭おかしいコトしてたら、そりゃ誰だってこんな反応になるというものだ。
「‥‥邦洋殿、あれはそなたの同輩ではないのか」
 褌道宗、目の前のあまりの状況に早々にライムバトルから降りた。でも踊る気はあるらしく、倫太郎と競い合うように腰を振っている。三つ子の魂百までとはよく言ったものである。
「Noゥ‥‥俺の許可なくRhymeでタイムを取るような神経太い連中はFriendじゃネェ‥‥」
 邦洋は、来世人達をみて退屈そうに首を振る。だが、待って欲しい。『FreshGUMI!!』の現役アイドル(当時)の萌を前にして退屈感を演出するこの男、よく考えなくても非常に失礼なのではないか。
「この寛永で、平成の歌姫に断りも入れずに歌ってるあなたに言われたくないですね」
 寛永の世で断りを入れる相手はそっちじゃないと思うが、萌の憤りも‥‥まあ、ごもっとも。アイドル街道のサラブレッド(類推)である彼女からすれば、無視された事実はことのほかいらだちを覚えるものでもある。そりゃアコギ片手に抗議したくもなる。
「鍛錬が足らぬな、弟子よ。拙僧が見本というものを見せて進ぜよう」
「だから誰が弟子だよ」
 頼伝がにやりと笑い、自信ありげに前に出る。そして、萌はやっぱり弟子呼ばわりが気に食わない様子であった。‥‥だが、彼は気にせず即興のラップで応じる。

 仏の教え ほっとけないお前
 信念 理念 なにしてんねん
 本能を昇華する試練 煩悩が邪魔をする未練
 褌一丁 白なら上等 お前の色は何色だ
 素が裸なら 清しい身体こそ至高
 キレてる筋肉 冴えてる頭脳
 お前の信念 NO! 足りん

 びしっと最後に邦洋達を指差し、頼伝は「決まった」とばかりにドヤ顔をする。そして、褌道宗徒の何名かは彼のリリックの前に崩れ落ちた。
「何という‥‥言葉の韻踏み‥‥! 彼奴(きゃつ)が僧であることが我等にとってここまで‥‥ここまで!」
 ここまで、なんだというのか。二の句も告げずに悔しがる彼らもだが、感情ではなく肉体面の問題で動けなくなっている者達もいた。
「あら、もうダウン? 外套(ダウン)も着ずにダウンなんてサイッコーに寒いよぉ?」
 頼子が、頼伝のラップに合わせて舞うのと同時に神楽法を成就していたのだ。口撃と吹雪、まさしく二重に「寒い」一撃に、褌道宗徒も倒れながら苦笑いだ。

「‥‥なんだこの空気」
 九郎はその惨状に顔を覆った。なんで常識人の自分が流れに置いていかれるのか、それがわからない。そして彼は、流れのために常識を捨てられる男でもない。
 だもんで、彼はまだまだ目の前の展開で気苦労を積み上げていくのだが。それはそれ、これはこれだ!


「ぶ‥‥舞踏は作法、武闘は力、舞台はここで我等魅せる者也!」
 あまりの猛攻(意味深)に膝を折りかけた褌道宗のひとりが奮起し、ほんのちょっと韻を踏んだセリフを吐く。それにあわせ、フロントバイセップスからのアブドミナル・アンド・サイ、さらにはそこからのバキュームポーズを披露する。‥‥踊りじゃなくて完全にボディビルのそれだが、筋肉を美しく魅せる手段は万国共通ということか。
「むぅ、『侘び』と『寂び』について心得る者がおった、の、で、Rな! 我が輩に張り合うとはなかなか!」
 倫太郎はそんな相手の所作に感銘をうけ、自らも連続してポーズをキメていく。彼の『侘び寂び』はどっちも決めポーズなのだが、自分のことで手一杯な一同は誰もツッコむことがない。
「そんな者達であれば、我が輩の『てんしょん零割の舞』を会得することもできよう、なの、で、R! さぁさぁさぁ!」
 倫太郎はそう告げると、静かな舞を披露する。するのだが、静かな舞ですら彼の肉体と、そして顔がなによりうるさい。さらにその先にテンションをあげた舞があるのなら‥‥もうどうすればいいのか。

「貴方達のラップやライムは美しくないんですよ。華やかさがない。信念がない。私の持ち歌でそのなんたるかを教えてあげましょう!」
 萌は、頼伝や倫太郎がなんかそれっぽく振る舞って褌道宗達の賛同を得ているのが納得行かない様子だった。確かに踊りでは彼ら2人に劣る。だが、彼女とてアイドル歌手だ。戦う時は、自分の舞台で。倒れる時は前のめり(かどうかは分からないが)。歌を披露せずして、負けを認めるわけにはいかない。
 ‥‥では歌っていただきましょう、土方 萌で『乙女の武士道』。

 さあ時がきた
 狂った恋慕に突き動かされて いざや 恋の修羅道
 狙う相手が同じなら たとえ友でも刃を打ち合わす
 それが 乙女の宿命
 フラれて散っても本望 なんていう訳ないよね
 絶対に射止めてみせる
 命短し 恋する 乙女の武士道

 熱のこもった歌唱を終え、萌はアコギを高々と掲げた。どこか誇らしげな、完全なる勝利宣言である。乙女の情炎を「武士道」に例えたそれは、褌道宗徒達にとってもどこか背筋を凍らせるプレッシャーがあった。
 だが、褌道宗徒がガチビビリしていたのは彼女の姿のみにあらず。その背後で、威圧的にデスサイズを振り回してポールダンスめいたことを繰り返すマシュマロ団員Mに対してだ。踊りの心得があるわけでもないのに萌の歌に合わせるもんだから適時色々アレなのだが、文句を言わせない強制力があった。
 そして――彼女がついに口を開く。

「気分上昇 結果上々 顎が二つでジョー・ジョー」
 狐面で隠れた己の顎を両指でさす渾身の一発芸。仮面の奥で引きつった表情に、一同の空気は凍りつく。
「‥‥Oh」
 邦洋も言葉をつまらせ、首を振った。こんな狂人達と同類だなんてショックをうけた。反骨精神やめます。そんな感じで、己の両手を前に出し‥‥かけたところで、後ろに引っ張られた。
「笑えええええええええええええ!!」
「いや笑えじゃなくて殺そうとするんじゃねえよ来世人だからって加減なさすぎだろう!」
 命の絶叫に、今日一番の下の滑らかさで九郎が突っ込む。彼が邦洋の背を引いていなければ、あわれ邦洋の両手首はデスサイズでずんばらりんであったことだろう!
「これ、殺生はよしなされ。彼も敗北を認めたじゃろう」
「笑え、笑‥‥笑えェ!」
 頼伝の声も、すでに彼女には届いていなかった。妖怪笑いおいてけになった彼女の、正常な判断は恥辱にまみれて消えたようですらある。
「‥‥お前達は抵抗するのか?」
 いつの間にか、涼はスカルに乗って威圧的に問いただすが。褌道宗一同、命の暴挙にビビりあがって声も出ないらしく、首をぶんぶんと振るばかりだ。
「ではここで、我が輩の『十割の舞』を」
「させるかぁぁぁァ!」
 倫太郎の言葉に、命は食い気味に反応していた。もはや彼女は、正当な手段では止められまい‥‥力づくでなければ、ぶっちゃけ不可能である!

「マシュマロ団員Mなんてしらなぁい。わたしは帰‥‥」
 頼子、ここで逃げ出そうとするが遅い。スカルに外套の裾をふんづけられ、九郎から肩を捕まれ。一蓮托生といわんばかりの態度だ。
「恋どころじゃなく修羅場なんだけど、これ何?」
 萌の言葉はもっともだが‥‥大体そういうものなのでお察しいただきたい。

 かくして彼らは、褌道宗と来世人・邦洋のほぼ無血での捕縛に成功した。
 ただし内輪もめとして、頼伝がいなければ過半が死亡・負傷・ないし瀕死になっていたほどの争いがあったことは書き添えねばなるまい。



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参加者

a.んじゃ、私の持ち歌を披露しますかね。 てか、誰が弟子だよ、おい。
土方萌(ka00069)
Lv111 ♀ 18歳 武神 来世 異彩
b.てんしょん零、十割の踊りを魅せるの、で、R!(ズバァアアン)
白羽瀬倫太郎(ka00283)
Lv136 ♂ 19歳 武僧 来世 傾奇
b.知ってるぅ?ダンスは時に言葉より雄弁にモノを言うことがあるんだよぉ?
諏訪頼子(ka01410)
Lv81 ♀ 23歳 神忍 来世 異彩
z.私はマシュマロ団員M。貴様らに話す舌など持たぬ…!
伊東命(ka01412)
Lv183 ♀ 27歳 忍傀 来世 異彩
z.ストリートの常だ。貴様らに無慈悲なディス(物理)を思い知らせてやろう。
海動涼(ka01489)
Lv205 ♂ 22歳 武僧 来世 傾奇
c.然らば拙僧は即興ラップの披露を。 我が弟子の萌には歌を頼もう。
富栄弩院頼伝(ka01639)
Lv98 ♂ 36歳 僧流 来世 異彩
c.…で、事態の収拾は俺に回ってくるのね。もうどうにでもなれチクショー!
遠前九郎(ka01660)
Lv195 ♂ 19歳 武流 来世 傾奇