「俺もこの仕事を始めて長いが『人間以外の装飾品』の注文は初めてでね。正直どうしたものやら……まったく、お前さんたちの組合は妙なことを考えるもんだな」
鏨はその整った顔立ちを崩さず、口の端を僅かに持ち上げて微笑った。
そう、今回鏨がギルドから製作を依頼されたのは『随伴の装飾品』だったのである。
◆小さな居候
仕事場へと上がった来世人たちは以前との微かな違いを感じとった。
必要以上に整然とした佇まいは相変わらずだが、前ほど無機質な印象を受けない。かつては穴蔵のごとき薄暗さだったが、いまは僅かに陽光が射し込んでいるからだろうか?
どうした心情の変化かと首を傾げていると……日なたの中で小さな毛玉が身動いだ。仔猫らしい。
「……そいつかい? このあいだ雨に濡れてたんで、つい仏心を出して上げてやったのが運の尽きさ。それからは勝手に居候を決め込んで我がもの顔で昼寝三昧だよ」
仔猫は起き上がってこちらを視たが、とくに警戒しないまま再び眠りについた。
名前は鑿(のみ)というらしい。猫といえば蚤(のみ)だからな――と、鏨は真顔で冗談を言った。
「仕事の話に戻るが、どうせ考えても解らないなら直接聴こうと思ってね……ふむ、ちゃんとお供を連れてきてくれたみたいだな」
お供とは来世人たちが連れてきた随伴のことである。
「ならあとは簡単だ。お前さんたちは自分の随伴をネタにして『どんな装飾品が欲しいのか』を俺に話してくれ。それがあれば『具体的にどう役に立つか』を教えてもらえると参考になる。話だけじゃなく、実際に外で動いてもらうのもいい。だが、全員の希望が叶うとは限らないことを承知しておいてくれよ」
ご期待に添えるよう努力はするがね、と鏨は念を押した。
「あとは随伴自慢でも何でも。聞けば来世じゃ随伴を家族同然に扱うとか……ここはひとつお前さんたちの思い入れを拝聴させてもらおう。よろしく頼むよ」
鏨は愛想なくそう結ぶと、来世人たちに話を促した。
随伴たちの綺羅を磨けるこの機会、来世人たちは何を語るのだろうか?
選択肢
a.長所を伸ばす | b.短所を補う |
c.随伴を語る | z.その他・未選択 |
マスターより
キラー午睡丸です。
細工職人の鏨に関しては『【SH09】綺羅を飾るは』にて詳細を確認できますが、読まなくても当シナリオは120%お楽しみいただけます。
ちなみに仔猫の鑿は生後半年程度の茶トラのオスです。
今回は『随伴用の装飾品』をリクエストするお話となっていますが、ただ事務的に大量の要望を並べても鏨は興味を示さないでしょう。
『希望する装飾品の性能』によって随伴がどう活躍できるのか、実例を交えて語ったり、外で随伴に実際に行動させることでアピールしてください。
数は少なく、その分中身を濃くすることをオススメします。
また、随伴の魅力や可愛さをひたすら語るプレイングも大歓迎となっています。随伴との関係性がピンときていない鏨に何かしらアピールし、結果としてインスピレーションが湧くかも知れません。
各種語りは作業場内で、行動は屋外にて行います。OP時点では室内に入れない大きな随伴は外で待機しています。
それでは、みなさまの要望プレイングをお待ちしています。
※神在月17新カード開発シナリオ
シナリオが成功することで、なんらかの新カードが生み出され、今後のガチャ等で入手可能となります。