新春極寒滝チャレンジ!

担当 九里原十三里
出発2018/01/17
タイプ ショート C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP 大門豊(ka01265)
準MVP ボースン・カイザー(ka01874)
梧桐 茶倉(ka01729)





オープニング

「すっごく寒いんですよぉ? この子なんて初めての滝行の時はもう寒くて大泣きしちゃってぇー」
「今年はもう大丈夫ですよぉ! 神様にお仕えする巫女として、心も体も強くなったんですから!」
「えーっ? でも、氷が張るようになってからはやってないじゃなーい」
 キャッキャウフフと騒ぐ若い娘達。
 彼女らはとある神社に仕える巫女である。
 高校の時の「女子バレー部員」ってこんな感じだったな。

登場キャラ

リプレイ

◆瀬を早み、流れ落つる
 滝の水の冷たさ、打ち付けるその力に雑念や迷いの一つ一つがはぎ取られ、自分自身が迫って来る気がする。
 潤賀 清十郎は肉体を刮ぐような冷たさに打たれながら、そんなことを感じていた。
 座禅と違うのは、滝の力借りて自分と向き合える事か。
(僕の帰りたい望みの理由……何処に……何の為にか)
(花が美しゅう見えん理由、遠く褪せた様に見えるのは何故なのか)
(……それは結局どちらも同じ所へ帰結する) 
 此方へ来る前の贖罪の為の努力と決意、手に届きそうだった希望、それらを手放すのが怖かった。
 彼方と同じ失敗を繰り返してしまうのに、零れ落ちていく彼方の記憶も……咲いては散る花の移り変わりも。
 花も彼方も変わるのに、自分だけが変われず、何もできないままと突き付けられる様で。
(……でもそれを花に押し付けるのは間違いやね)
(過去の可能性を手放さんと、新しい可能性に手は伸ばせへん)
(花は散らなければ新しい花が咲かん様に)
 時が過ぎ雪が溶け、春になり花が咲く。
(その時は)
 花に意味押し付けず、心の幕を開いてただ純粋に花見る事ができたら――。
(僕に、それができるやろか)
 清十郎が目を開くと、仲間や巫女達の笑い声が聞こえた。
 並んで滝に打たれていたはずの加神 銀志はいつの間にかギブアップしたようだ。
「い……意識を失いかけました。なんかもう、頭上から氷をドカドカ叩きつけられてるような感じで……」
「お前、大げさだなぁ。よし、次は私が行ってくるよ」
 梧桐 茶倉はキリッ、と鉢巻を締めると、強壮ドリンクを飲み干し、大きく深呼吸して滝へ向かった。
 巫女達は「頑張ってー!」などとキャアキャア囃し立てた。
「少しずつ熱くしましょうね。清十郎様、お体は大丈夫ですか?」
 滝から上がってきた清十郎に湯を浴びせながら、五葉が彼の体を労る。
 清十郎は湯の中で手を動かして見せながら、大丈夫だと答えた。
「手足の感覚ないけどね……滝のお陰で、頭はスッキリ晴れたようや」
 他の仲間も、自分と同じように何かを求めて滝に来たのだろうか。
 そんなことを思う清十郎の視線の先では、いざ流れ落ちる水の中に身を投じ、茶倉が気を引き締めていた。
(集中、集中。ここんとこ恥ずかしい目に遭う事が増えてきてるし、自分を見つめ直す良い機会だ)
 茶倉は目を閉じ、自分自身に意識を集中させるように努めた。
 だが、巫女たちの甲高い声は滝の音にかき消されずに耳に届く。
「きゃー、カッコイイ!」
「豊様ぁ~!」
 巫女達は大門 豊を囲み、何やら騒いでいた。
 豊がウォーミングアップの代わりに演武を披露しているらしい。
「準備運動は冷水に入る時の基本ですからね。正義の炎よ、我が身に宿れ……せいいいやあああああっ!」
 キャアアァ、と叫ぶ巫女達。
 さらに、その傍らにはボースン・カイザーが連れてきたパンダとキジムナーが転げ回っている。
「この子、化身? 何? 丸い! 白い! 可愛い!」
「ぱんだ、って熊なんですかぁ?! え? 違うの?」
「白いし、黒いし可愛いし、何かすごーい!」
 いつの時代もJK(ジャパニーズコムスメ)というやつは……。
 全員なんだか完全に語彙力を失い、ケラケラ笑って大騒ぎしている。
 パンダが可愛いという感覚は時空を超えるようである。
「ボースン様、ありがとうございますっ! 私達こんな可愛い生き物初めてでぇ~!」
「来世人様ってすごいんですねぇ~! 素敵~!」
「わははははは! やっぱり、山の中だと娯楽が少なくて退屈してると思ったんだわさ! いやぁ、俺様モテモテで困っちゃうんだわさ~!」
 巫女達は大はしゃぎであり、ボースンもご満悦な様子で高笑い……。
 それらに意識を乱されぬように耐え続ける茶倉の顔は何だかスゴイことになっていた。
(聞こえない……聞こえない! 集中だ! 大丈夫、聞こえてくるのは滝の音だけだ……!)
 集中と雑念との葛藤で「カチコミ」に行くかのような形相の茶倉。
 そんな中、豊は巫女たちに演武の手ほどきなぞをし始める。
「豊様ぁ、難しいですぅ」
「練習すればできるようになりますよ。では、体も温まったことですし……ちょっとやってみたいことが」
 豊は茶倉から離れた場所から滝へと近づくと……。
「昇れ龍よ! 泰山! 昇・竜・覇ァァァァァッ!」
 一ノ太刀の威力を込めた拳で滝を真下からアッパーカット。
 ズバッ、と一瞬滝に亀裂が入ったのを見て、巫女達がまた騒ぐ。
「いやぁ、何今の!」
「豊様、もう1回見せてくださいませ~!」
「まだ逆流までは無理か……って、いや! 何で皆キャーキャーしてるんですか?! すみません、やってみたかっただけなんで、こっから真面目にやりますからー!」 
 何だかもう、やった本人も想定外の大盛り上がりになってしまい……。
 最初こそ巫女達を叱っていたキャプテン・五葉もいつの間にか一緒になって騒いでいる。
 そんな中、ギリギリの気合で冷水に耐えていた茶倉がついに限界に達した。
「あああああ! もう、無理っ! 限界っ! ていうか寒い、寒っっい! お湯ー!!」
 涙目になった茶倉はギャーギャー騒ぎながら、湯を準備していたミスト・カイザーの方へ突っ込んでいった。
 そのキャラ豹変ぶりに、様子を見ていた周囲の者たちもポカンとしていた。
「え、えっと……茶倉さん大丈夫ですか?」
 銀志が心配して声をかけると、湯の中に飛び込んだ茶倉はガタガタ震えながら何か返事らしきものを返した。
 傍らにいたミストが通訳したところ、「背骨が凍るかと思った」と言っていたらしい。
「まぁ、このまま温まっていれば大丈夫でござろう。ところで貴殿がた、コレの使い方は分かったでござるか?」
 ミストは使い捨てライターを近くにいた巫女に手渡した。
 寛永の時代にはない便利アイテムである。
 巫女達は原理が理解できないらしく、慣れない道具に悪戦苦闘していた。
「ミスト様、この穴から火が出るのですか?」
「あっ、それはダメでござるよ! 火口を覗き込んだら危ないでござる!」
「ここ、開きますか?」
「開かない開かない! そこに爪を立てたら分解されるでござる!」
「えっと、このギザギザを回してここを押……きゃあ! 熱いっ!」
「あー! 大丈夫でござるか?!」
 ライターを使ったことのない現世の女子高生にやらせても多分、こんな反応だっただろう。
 何だかとても危なっかしかったが、ミストはどうにか巫女達に使い方を覚えさせた。
「それでは、火傷しないように気をつけるでござるよ。後は任せるでござる」
 そう言ってスックと立ち上がると、ミストは巫女達と戯れているボースンに近づいていった。
 パンダとキジムナーをダシに、ボースンはすっかり巫女達の人気ものになっていた。
「コロポックルが皆の好きなものを届けてくれるんだわさ。何か食べたいものがあったら俺様に何~でも言って欲しいんだわさ」
「食べたい物? うーん、タヌキ?」
「私は生きたウサギかなぁ」
「あ、アナグマも丸呑みにすると美味しいんですよボースン様!」
「えっえっ、あの、甘いものとかじゃないの……?」
 そんなの蕗人ノ誓でどうにかなるんだろうか。
 いや、その前に丸呑みって何。
 巫女達の予想外の返答にボースンが戸惑っていると……。
 その背後に、ぬっと人影が現れた。
「おしゃべりはそこまでだ」
「そろそろ滝行タイムでござるよ」
 アイナ・ルーラ、そしてミスト。
 2人はボースンの両腕をむんずと捕まえた。
「まさか、このままやらずに帰るなんて言わないよな、ぼっすん? この子達にいいトコ見せないとな!」
「えっえっ」
「逃がさないでござるよボースン。ではアイナ、行くでござる!」
 あああああ~、というボースンの悲鳴を響かせ、2人は滝へと突っ込んでいった。
 周囲の巫女達はキター! とばかりに大盛り上がり。
 その様子を見ながら富栄弩院 頼伝が呵々と笑う。
「本当に賑やかな巫女達じゃな! どれ、そろそろ拙僧も準備すると致そう!」
 龍元の小柄を腰に差すと、臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前、と九字を切り、頼伝は滝へと向かった。
 そして気合を入れ、心頭滅却。
「さぁ、来世人の魂力を示すとしようぞ!」
 静かに滝へと身を投じ、頼伝は目を閉じた。
 森に吹き抜ける風が静まり、済んだ空には雲一つない。
 流れる滝の音の向こうに、鹿の鳴き交わす声が聞こえた気がした。

◆冷たさと、思うものと
(痛いほどの冷たい……だけど、森の匂いがする)
 豊は静かに合掌し、自分が今冬の森にいるのだということを自覚した。
 滝壺を叩く轟音の向こうに巫女達の声が聞こえる。
(心を空に……冷水に耐え、ただ心を澄ませ……その先に、何かが……)
 呼吸を静かに、心を研ぎ澄ませる豊の向こうで、アイナも冷たさに体を慣らしながらゆっくりと滝へ身を投じる。
 すると、行衣に着替えた巫女達も祝詞を口にしながらその周りに並んだ。
(今日は大江戸プロレスでの教え子の豊も一緒だしな。この子達を見てると、来世にいた頃の仲間を思い出す。皆……元気にしているだろうか)
 健気に寒さに耐え、祝詞を唱え続ける巫女達をアイナは微笑ましく思った。
 彼女らにかっこ悪いところは見せられない。
(しかし……来世のレスラー仲間と一緒に行った滝行とは比べ物にならないほどの寒さだな。油断すると、意識まで持って行かれそうだ)
 アイナは身に降りかかる冷たさにどうにか耐え続けた。
 その向こうではミストも一心に滝に打たれている。
(早々に阿呆な事態に巻き込まれている事もある……ここは、しっかり滝で身を清めておくのが今後のためでござる)
 それぞれに目的を持って、心静かに。
 とはいえ、滝飛沫が凍るほどの極寒である。
(来世では南極での寒中水泳の経験はあるが、この体感温度はそれ以上かもしれぬ……!!)
 さすがにそれは大げさであったが、ミストがそう思うほどに滝の水は冷たかった。
 そして、当然耐えられない者もいたようで……。
「む。やはりこうなったか。そろそろ助けねばなるまい」
 頼伝は滝に打たれていたボースンの顔色が蒼白になったのを見て、玄武水帝占術を成就した。
 これを四神伝播占術の効果で付与すれば厳寒への耐性を与えられるはずなのだが……ちょっと遅かったようだ。
「まぁまぁ、大変!」
「早く温めて差し上げなければ!」
 巫女達の手で滝から救出されたボースンは湯の中へ。 
 さらには他の者たちにも「体の丈夫な来世人様とはいえ、無理は禁物」と途中で五葉からストップがかかった。
 昼間はまだ大丈夫だが、午後になって日が陰ると滝の水がさらに冷たくなって危険とのことだ。
 幸い、一番まずいことになっていたボースンもとりあえずどうにかなったようだ。
「しもやけになっては大変ですからね。さぁ、ゆっくりとお湯へどうぞ」
 五葉は冷え切った者たちの体を労り、温かい薬湯を淹れてくれた。
 他の巫女達は来世人と一緒に湯に浸かったり、茶を飲んだりしながら終始楽しそうであった。
 その様子を見ながら、豊が「あえて追求する事も無いんでしょうけど」と呟いた。
「化身……ですよね。皆フレンドリーだし、気にしなくても良さそうですが」
「そうだな。実にいい子たちだ」
 アイナが豊の隣で湯に浸かりながら、そう言って微笑む。
「私達がここに来たことは、彼女たちにとっても良かったのかもしれないな」
 滝に集った者たちの中には、五葉や他の巫女達が人間に変身した「白い蛇」なのだと気づく者もいた。
 だが、敢えてそれ以上気にする者はいなかった。
「来世人様やそのお仲間の方々は、神仏やそれに近いものなのだと聞いております。大切なものを守るために、遠い未来からいらしたのだと」
 五葉は来世人達との会話の中でそんなことを口にした。
「今はこの神社に近づく方もめったにおりませんが、私達はかつてここを必要とした人々の記憶と……遠い昔の愛おしい思い出達を守って生きてゆきたいと感じているのです。皆様方と私達に通じるものがあるのであれば、とても嬉しい事です」
 ぜひ、また自分達に会いに来て欲しい。
 五葉はそう優しげな、そして少し淋しげな声で言った。
 また、きっと会いに来る。
 来世人達はそう約束し、山を降りたのであった。



 6
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参加者

a.…本当、ただひたすら滝打たれて考えてる感じに…。
潤賀清十郎(ka00609)
Lv231 ♂ 27歳 神忍 来世 異彩
b.元より滝行はするが、お風呂も沸かしておかねば(ぷひー)
ミスト・カイザー(ka00645)
Lv205 ♂ 24歳 武忍 来世 質素
a.来世にいた頃は、新年の滝行は恒例行事だったんだな、これが。
アイナ・ルーラ(ka00830)
Lv148 ♀ 24歳 武僧 来世 婆娑羅
a.呼ばれた気がしました。……しましたが、私は相当暑苦しいですよ?
大門豊(ka01265)
Lv111 ♀ 15歳 武忍 来世 質素
a.滝行は僧侶の基礎中の基礎、真摯に身を清めると致そう。
富栄弩院頼伝(ka01639)
Lv191 ♂ 36歳 僧流 来世 大衆
a.元総長として、ビシッと根性キマってる様を見せとかないとな!
梧桐茶倉(ka01729)
Lv118 ♀ 19歳 神忍 来世 大衆
c.山奥に住んでる巫女さん達なら、俺様、モテモテかも?(甘すぎる期待)
ボースン・カイザー(ka01874)
Lv237 ♂ 28歳 僧誓 来世 大衆
 い、行きますよキャプテン! 私も男ですから!
加神銀志(kz00049)
♂ 20歳 陰傀 来世人