【世迷】エドワン・リム

担当 午睡丸
出発2018/04/07
タイプ ショート S(Lv350以下) 冒険
結果 大成功
MVP 不知火焔羅(ka00012)
準MVP クリスタル・カイザー(ka01634)
マリン・カイザー(ka01727)





オープニング

◆海から来るもの
 災厄は、海の底から現れた。

 寛永18年、江戸湾より突如出現した巨大な生物が江戸の町を襲撃したのだ。
 江戸幕府は総力をあげてこれを撃退したものの、その後も巨大生物は次々と出現して江戸への侵攻を繰り返した。
 『化身(Keshin)』と命名されたこの巨大生物群に対抗するため、幕府は巨大人形機巧『狩人』を開発。

登場キャラ

リプレイ

◆襲来
 朝靄の立ち込める江戸湾。
「お、おい姐さん大丈夫か? なんでこんなとこに浮かんでたんだ!?」
 漁師、大崎 源太守が海上を漂っていたクリスタル・カイザー発見し、舟に救助した。
「奴ら……奴らが来るわ!」
「奴ら? いってえ何を……おわっ! なんだ? 急に時化てきやがった……」
 凪いでいたはずの海が舟を大きく揺らした。周囲に目を凝らすと、舟は靄の中に現れた『何か』に近寄っていく。
「船……いや、島か? 潮に流されっちまってるぜ」
「……あれは、島じゃないわ」
 何かが浮上した。それはみるみる高さを増していき、巨大な体躯をあらわにする。
 化身、カッパ。
「でーっ! け、化身……!」
 島影だと思ったのはその頭頂部の皿だったのだ。
「いったい何体出現しているの……お願い、急いで逃げて!」
「ま、ま、待ってくれ! こんな木っ端船で急げっていわれても……それに下手に動くと気付かれちまうよ!」
「早く情報を伝えないと……江戸が滅びるわ」
 クリスタルの必死の懇願に遂に源太守が半泣きで頷いた。
「……わ、わぁった、俺も漢だ。陸(おか)まで姐さんを乗っけてくぐれェなら何とかやってみらァ!」
 必死に櫂(かい)を漕ぐ源太守。だが、その音で気付いたのかカッパが迫る。
「おわー! ひ、ひっくり返っちまう!」
 木の葉のように翻弄され、いまにも転覆しそうになったその時。

 靄の中から現れた巨大な人影がカッパを殴りつけた。

「こ、今度はなんだァ!?」
「狩人……来てくれたのね!」
「か、狩人……これが?」
 二人が見上げる巨人こそ、化身に唯一対抗しうる存在であった。

「ついに来たか……。俺たちが怪じ……ゴホン、化身に唯一鉄槌を下せる存在だってことを証明してやる!」
「ヌゥン……だが焔羅よ、我輩たちの心根を合わせねばあの怪じゅ……ゲフン、化身は倒せぬの、で、R!」
 赤の褌、不知火 焔羅
 白の褌、白羽瀬 倫太郎
 並び立つこの二人褌こそ、この『フンドシー・デンジャー』の操縦者なのだ。
 そして、操縦者と同じく褌のみを纏った筋骨隆々のお地蔵さん……それがこの狩人の姿であった。アルカイック・スマイルを湛えた柔和な姿とは裏腹に近接格闘戦を得意とし、完膚なきまでに化身を殴り倒す姿は巣鴨のお年寄りからも絶大な人気を誇っている。

 ――ここで、狩人の操縦システムについて簡単に説明しよう。
 操縦者は頭部にある空間において狩人と同調し、その巨体をまるで自分自身であるかのように操作する。傀儡法と呼ばれる魔法を応用したシステムだ。
 同調には狩人ごとに特有のキーアイテムを媒体として用いる。フンドシーの場合は股間に構えた銀のお盆であった。

 フンドシーが舟をすくい上げカッパから庇う。
「おい、大丈夫か? んなとこにいると転覆しちまうぜ!」
「焔羅、来るで、R!」
「カッパー!」
 雄叫びをあげるカッパの水かきがフンドシーをかすめ、海面を叩いた。巨大な波しぶきが上がる。
「チッ! とりあえず舟を安全な場所へ……」
「お任せください!」
 カッパとの間に割って入った黒い影。
 狐面の頭部をもち、黒い外套に身を包んだ死神のような姿――伊東 命の狩人、『ムタンガー・M』。
 ちなみにMは命のMである。
「私が抑えている間に、舟を!」
「かたじけない、で、R!」
 機体と同じほどの大鎌を操るムタンガーにカッパを任せ、フンドシーは港へと退いた。
 下半身が水に浸かったこの状況でも機敏な動きでカッパを翻弄するムタンガー。だが、その背後の海面が隆起して海老に似た化身が飛びかかってきた。アミキリだ。
「おっと、お前の相手はこの俺だ!」
 それを巨大な刀身が空中で叩き落とす。
 狩人『スローニン・弐式』。
 莱堂 凌駕の操る浪人型のこの狩人は両腕のブレードによる斬撃を得意とする。
「さて、難しい事はわかんねーが……割れ目ってのを潰せば化身に苦しむ人は出なくなるんだろ? なら話は早い……露払いなら任せな!」
「いまのうちです!」
 二人は化身たちを相手取り、仲間に先を促したのだった。

◆巨戦
 二体の狩人が駆け抜けた。
「ほな、ここは任せたでー。水中のことはうちの狩人におまかせやー」
 一体は蓬莱 海結の狩人『あま姫』。
 その名に秘めた掛詞の通り、天と海を自在に行き来する可変狩人である。
「割れ目はマリンにお任せなのですよー! キラリ光ってパイロット♪」
 もう一体はマリン・カイザーの『シンフォニア』。
 アイドルのような愛らしい外見と歌をエネルギー源とする性能からは想像しにくいが、特攻を中心とした激しい戦闘スタイルを得意とする。
 二体は巨大なもの同士の激闘を後にすると、海底を目指して江戸湾を潜行していったのだった。

「てええーい!」
 大鎌がカッパの体表を素早く斬り刻んだ。
 狩人に似合わぬこの機動力を確保するためムタンガーの装甲は極限まで削り落とされ、その名の通りムタンガを纏った女性の外見となっている。
「カパーッ!」
 カッパ怒りの反撃。だが、水かきが空を切った。
「……それは分身です!」
 ムタンガーは機体表面に纏った法力の膜を剥離させることによって分身を発生させることができる。これを囮とし、機動力をもって敵の背後へと回り込む。
 これがムタンガー必殺の攪乱戦法である。
「トドメです!」
 背後からの斬撃……だが、カッパはうずくまり甲羅でそれを防御した。
 大鎌の刃が弾かれる。
「しまっ……!」
 軽量型とはいえ狩人は巨大だ。大質量ゆえに反動は大きく、バランスを崩してしまう。
 カッパがすばやく頭頂部を向けると、皿が光った。
(――光学兵器!)
 ムタンガーを光の奔流が襲った。

「な、なんだ!?」
 凌駕が目を向けると辺りが水蒸気に包まれていた。カッパの放出した光線が海水を蒸発させたのだ。
「いつまでもエビ野郎の相手をしてられねえな……!」
 スローニンとアミキリ。一撃離脱を得意とする両者だが海上では浮遊するアミキリに分がある。
 この狩人は初期に建造されたものだが一度は戦闘で大破し、その後に改修を受けている。その大破した際の前操縦者が、凌駕の友人だったのである。
「行くぜ相棒……。ダチの仇討ち、付き合ってもらうぜ!」
 さらに一撃を加えようとアミキリが突進してきた。
 迎え撃つスローニンのブレードが微かな金色を帯びる。機体に蓄積された法力を解放したのだ。
 走り始めるスローニン。徐々に速度が増し、やがて『海面』を走り始めた。法力による力場を足裏に展開して海面を弾いているのだ。
 高速で衝突する二体。
「ヒュドラ・ストライク!」
 高速で繰り出された両腕が残像を引き、多頭の大蛇の如くアミキリに絡みつく。
「アミーッ!」
 断末魔の叫びをあげてアミキリが四散した。

「おぉい! 何だってんだコイツら!」
「むう……手強いので、R!」
 一方、港ではフンドシーが二体の未知の化身の襲来を受けていた。
『よく聞いて、偵察部隊最後の生き残りとして貴方たちに運命を託すわ……!』
 避難したクリスタルから狩人各自へ、斑鳩占術による通信が入る。
『度重なる偵察にも関わらず、化身がなぜこの世界にやって来ているのかは不明。しかし奴らが総力を挙げてきているのは間違いないわ! その証拠に偵察部隊は私を残して全滅。襲ってきたのはその二体の新種、翼のある『テング』と角をもつ『オニ』」
 そう、テングがオニを担いで飛来してきたのである。
 ここで狩人が敗れれば作戦に成功しても江戸は壊滅的な被害を受けるだろう。
 海と陸で最後の戦いが始まろうとしていた。

◆番人
「今日も一人で海の底♪ いつも私は見上げてる……って、このお魚さんちょっと動き速すぎますよー!」
「割れ目を守る番人ってとこやなー」
 シンフォニアとあま姫が割れ目へと近づくと一体の化身が現れ、周囲を泳ぎ始めた。
 ニンギョ――人型の上半身に蛸のような下半身を持つ、水中において最速を誇る化身である。
「よし、うちがなんとかしたる。なんたって、あま姫は水中では誰にも負けへんからなー」
「それじゃ、援護しますね♪」
 あま姫が単身で割れ目に向かうと即座にニンギョが反応する。
(……よし、釣れた)
 二体は暫くのあいだ海底でデッドヒートを繰り広げた。攻撃を与え合いダメージを蓄積させていくが決定打に欠ける状況が続く。
(いまだ!)
 岩陰で好機を窺っていたシンフォニアがニンギョに向けて最大音量の歌声を発した。

「「「ボエー!!!」」」

 モード・ジャイアント。聴かせたものの戦意を喪失させるシンフォニアの音波攻撃である。
「いまやー!」
 あま姫が釣り竿を駆使し、動きの止まったニンギョを絡めとった。
「せっかくの獲物やけど今は料理してられへん……って、うわ! しまった!」
 自由を封じたと思ったのも束の間、ニンギョがその脚であま姫に絡みついたのだ。そのまま凄まじい力で締め上げてくる。
「あかん、このままじゃ機体がもたへん……マリン、最後の手段や。『アレ』をやるでー」
「了解でーす♪」
 あま姫はニンギョへの抵抗を止め、代わりに全力で割れ目へと機体を近づける。
「スーパーウルトラハイパーミラクルギガンティーック!」
 そこへシンフォニアが超高速回転しながら突っ込んだ。
 全法力を推力に変換して特攻する『ユニバースドリルシンフォニー』。シンフォニア最大の、そして最後の攻撃手段であった。
「ギョ、ギョーッ!」
「化身と一緒にラブ特攻♪」
 シンフォニアの頭部がドリルのようにニンギョに穿たれ、そのまま三体は割れ目へと落ちていく。
「あま姫、ありがとうなー。これで化身の出現を止められる。……そして、ごめんなー」
 魚籠型コンテナに格納されていた新型爆弾。その起爆スイッチが、三体が割れ目に突入するのに合わせてオンになった。

 江戸湾が、揺れた。

◆褌
「右! 左! フン! ヌゥ!」
「フン! ドシ! で、R!」
 フンドシーの頭部、銀のお盆を手に腰を振る褌ズ。
「もっと腰を振ってこう! ハイ!」
「ハイ! ハイ! で、R!」
 二人がえぐりこむようにして腰を振るたびフンドシーがオニを殴打する。この鋭い腰の動きこそが強さの原動力なのだ。
「オニー!」
 だがさすがの新種、通常の化身ならすでに倒れているほど殴れてもなお、巨大な金棒で打ち返してくる。
 さらに気を許せないのは飛行するテングの存在だ。オニに気を取られていると背後から襲いかかってくる。
「チッ! さすがに新種と二対一はキツイぜ……!」
「ムゥ……だがやるしかないので、R!」
「いくぜ相棒!」
 さらに鋭く、振るべし振るべし!
 轟音をあげてついにオニが膝をついた。トドメをさすべく腕を振り上げるフンドシー。
 だが。
「な、なんでRか!?」
「おい……浮いてるぜ!」
 背後からテングにガッチリと抱きかかえられていたのだ。激しく抵抗するも虚しく、みるみる高度が上がっていった。

 一方、海上の水蒸気が晴れるとムタンガーがカッパを両断していた。
「へっ! 心配するまでもなかったか!」
 身に纏った外套がカッパ光線をどうにか防ぎきり、ムタンガーは九死に一生を得たのである。
「私は大丈夫です! 陸に向かってください!」
「任せろ!」
 命に促されてスローニンが海面を駆ける。やがて手負いのオニの断末魔が港に響き渡った。

「やってくれるじゃねえか……!」
 フンドシーとテングは成層圏へと至っていた。行き着く先は宇宙か、それとも地表への激突か……。
「然らば焔羅よ……いまこそ狩人の真の力を示す為、我輩たちの寸黒(すんくろ)率を極限まで上昇させるの、で、R」
「おおよ!」
 おもむろに尻をぶつけ合う褌ズ。
「光る! 走る! 心はプラズマ!」
「剛力招来! 超力招来! で、R!」
 この動作こそが二人の寸黒率を高め、最高のフンドリフトへと至る舞なのである。
「白と赤の褌~狩人に~」
「入っとるでないの~……ソォイ!!」
「ソォイ!!」
「ソォイ!!」
 
『スンクロ率、百九十三%ニトウタツ』
 システムがそう告げるとフンドシーの褌がその右腕を包み込み、巨大な拳へと強化させた。
「「ハァアアアアアアア……」」

「「フンドシー・デンジャー! ロケットォ、パァァァーーーンツ!!!」」

 全法力を解放して戒めを解いたフンドシーがテングに向かって巨大な拳――いや、褌を発射した。
 褌はテングを捉え、その身体を破壊しながら突き進む。
「テ、テ、テ……テングー!」
 成層圏に断末魔を轟かせて、最強の化身はここに散ったのだった。

 褌を失い全裸となったフンドシーが落下を始める。もはや僅かに残った法力を噴射する以外、落下に抗う術はない。
「……へっ、ここまでか。ま、パーッと終わるのも悪かねえ」
「焔羅よ」
「んだよ?」
「どこに落ちたい、で、R?」

◆勝利の日
 江戸湾沖合。
「お! 姐さん、あれだ!」
 救助艇のうえで源太守が浮き輪のような脱出ポッドを発見した。あま姫の装備だ。
「よく無事で……マリンは?」
 クリスタルの言葉に海結は無言で首を振った。シンフォニアは超高速回転を維持したまま割れ目へと突入し、その反応が消失したという。
 尊い犠牲を悼みつつも、江戸の人々は勝利を祝い江戸湾へと押し寄せてくる。江戸っ子の性なのか、さっそくお祭り騒ぎが始まったのである。
「うーん……、ちょっと出にくい雰囲気ですね♪」
 そんな人々を海面から顔だけ出して窺うマリン。
 その上空を、一筋の流れ星が江戸に向かって落ちていったのだった。



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参加者

a.フンドシー・デンジャー、ロケットパァァァーーーーーンチ!!!
不知火焔羅(ka00012)
Lv209 ♂ 23歳 武僧 来世 異彩
a.我輩達の生き様を見せるのみ、で、R!!(ズバァァァン)
白羽瀬倫太郎(ka00283)
Lv157 ♂ 19歳 武僧 来世 傾奇
a.割れ目はみんなに任せた。露払いは俺と『素浪人・弐式』に任せな!
莱堂凌駕(ka00613)
Lv237 ♂ 17歳 忍僧 来世 影
a.戦闘レベル、ターゲット確認。斬って斬って斬りまくります!
伊東命(ka01412)
Lv224 ♀ 27歳 忍傀 来世 異彩
b.水中のことは、うちの人魚型可変狩人『あまひめ』がおまかせやー。
蓬莱海結(ka01610)
Lv185 ♀ 19歳 陰流 来世 異彩
c.偵察部隊最後の生き残りとして貴方達に運命を託すわ…!
クリスタル・カイザー(ka01634)
Lv135 ♀ 29歳 忍流 来世 異彩
b.スーパーウルトラハイパーミラクルギガンティーック!
マリン・カイザー(ka01727)
Lv192 ♀ 21歳 陰流 来世 麗人
b.おぅよ、海と言われちゃ大和人だって黙っちゃいられね…何、海底だ、と…。
大崎源太守(ka01955)
Lv134 ♂ 22歳 傀火 大和 大衆