【SH17】お信の手がかり

担当 叶野山 結
出発2018/06/05
タイプ ショート C(Lv無制限) 連動
結果 成功
MVP 水上澄香(ka00399)
準MVP 藤枝 藤花(ka01346)
森住 ブナ(ka00364)





オープニング

◆居場所はどこなりや
 お信、という山城国の姫が居る。
 玉を持っているというその姫は、少々癖が強い。
 来世人の言葉で言えば、ヤンデレ風、とでも言うのか。
 そんな彼女であったが、ギルド員の献身により、かなり心を改善した。
 なのだが、現在行方知れずとなってしまっている。

登場キャラ

リプレイ

◆修行はやはり外で
 森住 ブナは修行するなら外に出る事を提案。
「出来れば広い場所‥‥寺院とかを提案したいんだよ」
 荒戸 美乃が「ほう」と声を漏らす。
「それはいい考えじゃ。鬼ごっこするのにも良いじゃろう」
 他の女性達からも賛同の声が上がる。
「では、お寺へ許可を貰いに行きましょう」
 サバンナが言い、皆で近くの寺院へ向かう。
 一室と境内を使わせてもらう許可を得て。改めて縁側に集まる一同。
 藤枝 藤花藤枝 桜花の母娘はお菓子の用意をすると告げた。
 桜花は寺院の厨房を借りてお菓子を作ってくるという事で、その場を一度去る。牛乳は無いが、水でなんとかなるだろう。
 対して母・藤花は持ってきた即席ココア、どら焼き、乾パンを広げて十人の目を奪う。
 乾パンの中には金平糖も混じっている。
 しかし、これらは彼女に頑張ってもらう為に用意した物。藤花は微笑みを浮かべて発破をかける。
「トットちゃん。頑張ればご褒美上げるわよ。‥‥頑張んないとあげないけど」
 ごくりと生唾を飲む音がした。
 水上 澄香が、隠れて何かを作成しているミア・カイザーとブナに気付いて近付く。
「何をなさっているんですか?」
「かねてから企画していたものの用意だよ☆」
 十五メートルはあろうかという縄の一部を何かに括りつけている事。それから、近くに置いてあるチェーンソーと、お菓子の箱。
 何をするつもりかは分からないが、彼女の事だ。危険な事はしないだろう。
「僕は大丈夫だから、きみも十人ちゃんへの修行の教師、頑張って。ブナちゃんも、準備は僕だけだから皆の所行ってあげて」
「はい、ありがとうございます。行ってまいりますね」
「わかったじょ」
 ミアと別れ、澄香とブナが合流すると、話は鬼ごっこをする流れとなっていた。
 澄香がその鬼ごっこに新たな要素を提案する。
 彼女が取り出したのは狐面。
「十人さんにこれをつけていただいて、お菓子を探していただくのはどうでしょうか? 声ではなく微かな音やお菓子の匂いで探していただくんです」
 その提案に、鬼ごっこの発案者である美乃が「それはいい」と賛同した。
 長身かつ筋肉質な体型を持つ彼女が肩に担ぐのはアサルトライフル。銃火器の扱いに長けているのは彼女の経験がもたらすものだ。
「ウチが十人を追い詰める手伝いをしよう」
 胸を叩き、笑顔でさらりと言ってのけるのも美乃であればこそだろう。
「十人さん、頑張ってくださいね。私の式神も邪魔するかもしれませんが」
 若干申し訳なさそうな微笑みを浮かべつつ、澄香は式神を一体生成する。
 その近くで、ブナが疑問を口に出した。
「他にも修行してもらうし、時間はどれくらいにするんだじょ?」
 美乃が十人の体格を確認した上で、その答えを出す。
「そうじゃな、十人の体力を考慮するに、十分が限度というところじゃろう」
 時間制限を設けた事で、澄香がもう一言、十人へ告げた。
「時間切れなら食べてしまいます」
「えっ?!」
「さぁ感覚を研ぎ澄ませて力を揺り起こしてください」
 少しだけ怯む十人だが、お菓子が食べたい一心で、「頑張るのじゃ!」と己を鼓舞する。
 鬼ごっこを開始する前に、ブナや藤花、サバンナにも手伝ってもらい、お菓子を持って所定の位置に立ってもらった。お菓子には澄香の持ってきたグミやチョコ、それから藤花が持ってきたお菓子を使用する。
 十人とぶつかりそうになったら避けても良いという事になっている。
 立っている場所を見られると覚えてしまう為、最初に十人に狐面をつけてもらい、グレース・マガミが彼女を正面から抱きしめる事でさらに見えないように配慮する。
「十人さん、頑張ってね」
「お菓子が待っているからには頑張るのじゃ!」
「ふふっ、転んで怪我しないようにね」
 幼い頃の姪を見ているようで微笑ましく思うグレースは、澄香からの「もういいですよ」という合図で十人を放す。
 少女の背中を優しく押す。
「いってらっしゃい」
「いってくるのじゃ!」
 張り切って走り出す十人。
 鬼ごっこが始まった。

◆鬼さんこちら、お菓子の方へ
 鬼ごっこは開始早々から十人を驚かせる事となった。
 まず、アサルトライフルの音が響き、十人の近くに何かが撃ち込まれた。
 聞き慣れぬが危険という事はわかる音に、十人が「ひぁっ!」と情けない声を上げて走り回る。
 走りながら匂いを探す十人の後ろでは美乃がアサルトライフルを担いだまま走っている。
 彼女を追いかけるというよりは、場所を移動する為に走っているといった様子だ。
 場所をとり、彼女が通るであろう道の予測をし、アサルトライフルを構える。十人に当たらぬ絶妙な位置へ撃ち込んだ。
 美乃の、孝の痣を持つ豆柴には十人の後をついていってもらっている。建物や障害物にぶつかりそうな時は前に回り込んで吠えてもらう事で、危険を回避させていた。
 澄香の式神が十人の足を撫でたりし、「なんじゃ?!」という声も上がっていた。
 視界が暗い事に加えて、耳から入る情報がより聞こえやすくなっているような錯覚を覚えている十人は、お菓子の匂いがなかなか辿れていない事に対して少しばかりの苛立ちを覚えていた。
「ええい! お菓子はどこじゃ!」
 叫びながらあちらこちらへと回る十人。
 くん、と鼻腔をくすぐる香りを察知し、十人は駆ける速度を緩める。
 左右に動かし、「こっちか!」と思う方向へ、今度は早歩きで向かう。
 ブナにぶつかりそうになるのを美乃の豆柴が吠え立てて止めてくれた。
「お菓子の匂いじゃ!」
「正解じゃじょ!」
 十人の高いテンションに対し、ブナもまた高いテンションで返す。
 澄香が、「一個見つけましたし、時間を考えてここまでにしましょうか」と言えば、十人は力が抜けたのかその場にへたり込んでしまう。息も上がっている事から、疲れている様子だった。
「大丈夫じゃろうか? 無理させてすまんのじゃ」
 せめてもの詫びじゃ、と美乃は片腕でアサルトライフルの銃身を上になる様に持ち直すと、空いた片腕で十人の体を抱えた。そのままグレースの待つ縁側まで向かう。
 お菓子を持った四人と豆柴が一緒になって縁側まで歩いていく。
 ちょうどクッキーを焼き終えた桜花が、香ばしい匂いを持って縁側に現れた所だった。

◆遠見の修行
 ミアも準備を終えたのか、顔を見せに来ていた。
 その彼女が、桜花が持ってきた物を見て可愛らしく小首を傾げる。
「花札?」
「はい」
 狐面を取り、澄香のお菓子を美味しそうに食べている十人が、桜花のナッツ入りクッキーに手を伸ばそうとして、桜花にその手をぴしゃりと叩かれた。
「な、なんでじゃ?!」
 狼狽える十人へ、桜花は花札を見せる。
「お菓子が欲しければ、遠見しなさい」
「えっ?」
「この伏せたカードの絵柄を当てる事。当たる度にちょっとずつあげます」
「桜花の修行もきついのじゃ‥‥」
 肩を落とす十人へ、桜花は出来るだけ優しい声をかける。
「花札は数が多いですから、時間も考えて数を少なくしますね。そうですね‥‥十枚程にしましょう」
 一気に数が減った事で、十人も「それなら」と了承した。
 桜花と十人のやり取りを見て、ミアは出そうになった言葉を胸の内だけに留めた。
(多い数を一気に減らして見せる事で、大丈夫そうと思わせる手法だよね。難易度が高いのは変わらないけど)
 口に出せば十人が駄々をこねるかも、という予想をして口にしなかったミア。空気を読んだ素晴らしさよ。
 まず、桜花が花札の絵柄を十枚、並べてみせる。
 分かりやすい札――例えば、芒に月、桜に幕、松に鶴などの大きな模様のもの――を見せる事で覚えやすくした。十歳程に見えるこの子供なら、これくらいの分かりやすい方がいいだろうという配慮だ。
 絵柄を伏せ、シャッフルし、一枚ずつ並べる。
 桜花の指が花札の一枚を指し、それに十人が答えてもらう、という方法だ。
 最初こそ外れる事が多かったが、半数を超えた所で残りの札に何があるのか分かった様子で、奇跡的にも当てていく。
 残り五枚を当てた事で、クッキーを頬張る事が出来たのだった。
 嬉しそうに頬張る様子を見る桜花へ、サバンナがこそっと問いかけた。
「透視と遠見は違うような気がしますが、良かったのデスカ?」
「違いはありますがまあ些少です。ちなみにテレパス実験用で伏せて使うのは間違ってるそうですが」
「‥‥修行になれば、良し、デスね」
「はい、修行になれば良いんです」
 小声で頷きあう二人。
 藤花が「頑張ったわね」と十人の頭を撫でる。
 まるで彼女の母親のように見えるが、そもそも彼女は一児の母なので、違和感は無い。
 和やか空気がその場を流れていた。

◆頑張れ十人
 その空気を壊す存在が二人。
 ブナとミアが十人を後ろから捕まえた。
「ふっふっふ、次は僕達の修行に付き合ってもらうよ」
「安倍ちゃんだか何だか知らんが、責任を果たさぬものに権利なし! 導師に相応しく、是が非でも開眼してもらうじょ!!」
 突然捕まえられた事に対して、驚く十人。
「な、なんじゃ?! こら待て、どこへ連れていくんじゃ!?」
 引きずられていく十人を心配して、他の者達もついていく。
 借りた一室に衝立が一つ。そこにかけられている縄。
 十人にその縄の片方を巻いていくミア。
 ブナは持ってきたネコサンタのぬいぐるみを十人に渡す。
「特別にこれをあげよう」
「お、おう‥‥?」
 それからブナは、除傷形代道術を使用した。効果上昇付きで成就したその形代を一つ作り上げて、それを十人に貼りつけた。
「更に、榊樹女ノ舞も!」
 舞を披露し、十人へその加護を付与する。
 ここまでされると、一体何の修行をさせられるのか、という不安が十人や皆によぎるのも仕方ないだろう。
 縄を括りつけたミアは、残る反対の部分を衝立に掛け、衝立の後ろに回る。
 倒れそうになる衝立を藤花とサバンナが支え、縄を一生懸命引こうとして動かしづらいミアに変わって美乃が引っ張りあげてくれた。
 衝立の上部ぎりぎりまで持ち上げられた十人へ、ブナが説明をする。
「魔法強化の修行っぽく、崖から落ちる奴をと思ったけど、ここじゃ崖は無いから、代わりに高さのある所から落ちてもらう事にしたじょ!」
「えっ?」
「無論。恨みでも、憎しみでもないじょ? トット、貴様の真の力――引き出してみせようぞ!!」
 ブナの横に立つミアも、楽しそうに笑う。
「さあ十人ちゃん、楽しい修行の時間だ」
 彼女が取り出したバナナケーキが、床に置かれる。
「さあ、君が導師の『未知なるスーパーパワー』に目覚めなければ、用意したお菓子がお預けになるよ~」
 ニヤリと笑うミアは更に、隅に置いていたチェーンソーを持ってきた。
 あらかじめ充電しておいたそれから不気味な音が鳴り響く。
 恐怖心を煽られてか、十人の目が潤みだす。
 更に煽ろうと、ミアが言葉を重ねる
「早くしないとケーキが真っ二つに‥‥」
 言いかけたミアの後ろ頭を、黄銅色に塗られたハリセンが叩いた。
 正確には、グレースがハリセンでミアを叩いたのだが。
「悪ふざけはおよしなさい」
 叔母に叱られた事で、泣く泣くチェーンソーの動きを止めて片付ける。
 衝立の後ろに居る為に詳しい事が分からない美乃が、衝立の向こうに問いかけた。
「で、十人はどうすればいいんじゃ?」
「折角形代つけてるし、一度そのまま床に落としてほしいじょ」
「わかった」
 少々胸は痛むが、美乃は迷わず縄を手から離した。
 ぐぇ、という声と、床に物音が響いたのはほぼ同時だった。

◆見えたのは
 最後はグレースが玉を十人に持たせてみた。
「これが私が授かった礼の玉よ。この玉を通じて、信の玉を感じられないかしら?」
 渡されたそれを両手で持ち、目を閉じて瞑想してみる十人だが、うーんうーんと唸り出した。
「何も感じられないのじゃ‥‥」
 肩を落とす十人に対し、「そう」と呟くグレースだが、責めるような事はせずその頭を優しく撫でる。
「今日の修行は大変だったでしょう。私の豆柴と存分に遊んでもらっていいかしら?」
「それは勿論、大歓迎なのじゃ!」
 顔を輝かせる十人へ、美乃が自分の豆柴もと連れてきた。
「遊び相手にウチの豆柴もどうじゃ」
「もちろんじゃ! 一緒に遊ぼうぞ!」
 グレースの信の痣を持つ豆柴と、美乃の孝の痣を持つ豆柴と一緒に境内で戯れる十人。
 美乃やサバンナ、ブナも一緒に遊び始める。
 藤花やグレース、桜花に澄香が縁側に腰掛け、ミアはせっせと片付けをしていた。
 遊んでいる十人の姿を見つつ、グレースがぽつりと呟く。
「多分、十人さんの法力が鬼の結界に遮断されている思うのよねえ‥‥」
 憶測を伴う言葉に対し、藤花もまた憶測の混じった言葉を呟く。
「あの安倍晴明の生まれ変わりと言うからキャパシティは高いと思うんだけど‥‥その潜在能力を使いこなしていないっぽいわよね」
 桜花は未だに縁側に寝そべっている十房の体を撫でている。
 少し遊んだ後、お腹が空いたと十人が澄香から新しいお菓子を受け取って食べ始めた。
「‥‥ん!?」
 突然目を見開いた十人。
 少女はお菓子を飲み込んだ後、驚いたような声を出した。
「わーなんか見えた! たぶんこんなとこにいる‥‥気がするぞ!」
 棒切れを探し、地面に絵を描き始める十人の動きを見つめる女性達。
 彼女が描いたのは、何かの輪郭。
「やっぽりね」
 ポツリと呟いたのは誰であったか。
 少女が描いた輪郭は、佐渡島の形をしていた。



 6
ツイートLINEで送る

参加者

a.トット、貴様ァ!! ぼーっと生きてんじゃねえぞ!(崖から突き落とし
森住ブナ(ka00364)
Lv163 ♀ 15歳 神陰 来世 異彩
a.ここは心を鬼にして頑張ります…?
水上澄香(ka00399)
Lv120 ♀ 17歳 陰傀 来世 異彩
b.釣れというならば(釣り竿の先にカップケーキを吊るして
藤枝桜花(ka00569)
Lv152 ♀ 23歳 武忍 来世 大衆
a.よし、かねてより企画した逆さ吊りの用意を☆(ニヤリ)
ミア・カイザー(ka00679)
Lv163 ♀ 24歳 陰忍 来世 大衆
a.よし、遊びたいなら相手してやる。さあ、リアル鬼ごっこの始まりじゃ。
荒戸美乃(ka01301)
Lv103 ♀ 25歳 忍僧 来世 質素
b.トットちゃん。頑張ればご褒美上げるわよ。…頑張んないとあげないけど
藤枝藤花(ka01346)
Lv170 ♀ 40歳 武僧 来世 異彩
c.私の玉を通じて感知するとか、豆柴[信]と遊んで同調するしかないしら。
グレース・マガミ(ka01643)
Lv157 ♀ 28歳 神傀 来世 異彩
 手がかりは、十人サンが頼りデス
サバンナ・キャメロン(kz00003)
♀ 18歳 神忍 来世人