冬は退屈

担当 稲波
出発2018/12/04
タイプ ショート C(Lv無制限) 日常
結果 成功
MVP ミスト・カイザー(ka00645)
準MVP 由良 悠頼(ka00943)
ミア・カイザー(ka00679)





オープニング

◆子供は風の子なので
 冬。日に日に寒くなっていくにもかかわらず、冷たい風が吹く中で走り回っていた子供たちが車座になって何か話している。
「あーあ、もうじき外で遊べなくなるのかあ」
「冬なんてこなかったらいいのに」
 山間の村であるここは雪が降るのも早い。
 そして降り始めると積もるのも早くあっと言う間に村は雪に閉ざされてしまう。

登場キャラ

リプレイ

◆ダンスとアート
 山間の村は今朝降りた霜の名残がまだあちこち残っていたが、来世人ギルドから来た「にーちゃんねーちゃん」を迎えた子供たちは非常に元気だった。
「ここまで期待されたらあたしも張り切らないとね!」
 天羽 七海は期待に満ちた子供たちの前で村の女の子に変身して見せた。
 すげーすげーと騒ぐ子供たちの注目を集め、子供たちの興奮が収まらない内におすすめの「遊び」を紹介する。
「よーし、それじゃ今日は何も使わずにできる『まねっ子ダンス』を教えるね」
 ダンスと言う言葉を知らない子供たちにも分かりやすいように七海はまず自分がやって見せる。
「ダンスは拍子や振りのことだよ」
 手足を動かし決まったリズムに合わせてステップを踏んだりくるりと回転したり。
「まねっ子ダンスはこんな遊び方をするんだよ」
 まずは手拍子。リズムを取ると言う動作に慣れる所から。
 これがなかなか難しい。歌やダンスと言う物は未来に置いては誰でも目にした事はあるし音楽ならばどこでも流れているようなものだが、この時代歌や踊りに馴染んでいる者は案外少ない。
 リズムに合わせて体を動かすとなると先程の子どものように見よう見まねでもできる子もいればリズムを追うのに精いっぱいになる子、リズムそのものに馴染めない子もいたりと差が激しい。
「ダンスをするなら少し体をあっためるといいよ」
 はいこれと相葉 楡が飯神様の壺から出したのはあったかいココアだった。
 甘い香りと冬の寒さの中ではとても贅沢な温かい飲み物に子供たちがわっと集まり、その甘さに歓声を上げる。
「ココアありがとう。そっちの子たちはどう?」
 七海ももらったココアを一杯飲んで楡の所に集まっている子供たちの様子を尋ねる。
「元から大人しい子たちだからかな? じっとして何かをするのは嫌いじゃないみたいだよ」
 楡の所に集まったのは少し大人しめの子や年長の子に混じってかけっこなど体を使った遊びをするにはまだ幼い年少の子が中心だった。
「冬は何もすることがないと聞いたけど、自分と向き合う時間を持てるのは、ある意味幸せなことなんじゃないかな?」
 楡は子供たちに砂絵を教えていた。
「みんな、何か描けたかな?」
 戻って来た楡が子供たちの手元を覗き込む。
 高価な画材を使わず手作りの木枠の中に砂を敷き詰めたごくごく質素な砂のキャンバス。山村でも調達しやすく作りやすい。おまけに何度も描けて何度も消せる。
「なにかいたらいいのかな……」
 問題は子供たちが絵になじみがないことだったが、そこは柔軟な頭の子供たち。
 おそるおそるやりはじめるとあっと言う間に何かを描く行為に慣れてきて、特に文字の読み書きができる子供は自分が書ける文字をありったけ書いては消してまた書いてとなかなか楽しんでいる。
 しかし何かを描く事に慣れて来ると今度は何を描いたらいいのかで悩み始めた。
 描こうと思っても元々絵を描く行為に慣れていないのだからどう描けばいいのかもよく分からない。
「そんなに難しく考えなくてもいいんだよ。さっきみたいに指で遊ぶだけでもほら、模様が描ける」
 さらさらと指先を適当に動かして砂に残った軌跡を模様だと言う楡に、主に年少の子どもたちが豪快に手を突っ込んで砂をかき回し始めた。
 なんとも前衛的な手法でてきたのは豪快な砂の荒波。
「そうそう。今度は立体もつけてみよう」
 土いじりと言えば畑の手伝いと言う子供たちに砂で立体を作る方法を教える。
 楡の手本を見た子供たちは全員で顔を突き合わせてああでもないこうでもないと砂を手に盛り上がる。
 ココアで体を温めた七海たちの方もダンスに慣れて盛り上がっていた。
「上手上手! 間違えたり手拍子に合わないと負けだよ。頑張って!」
 七海の応援に子供たちは笑顔で返事をする。
 右手左手の順に体の何処かへ触れながらその場所の名前を言う 。体の部位の名前から覚える所から始めただけに「えーと、ここなんだっけ?!」と失敗する子もいるが、それはそれで楽しいようだ。
「今日は勝った子には飴あげるね」
 最初はそう言われて張り切った子供たちだったが、遊んでいる内に飴の事よりもまねっ子ダンスを誰が上手んに踊れるかと言う勝負に夢中になっている。
「あーもう負けた! ねーちゃん、こんどはこっちの組に入ってよ!」
「いいよ。助太刀だね!」

◆手作りしましょう
「みんな器用なもんだな」
 由良 悠頼は思い思いに鑿や鉋や手斧を使って木材を整えていく子供たちに感心した。
「へへ、村長の家はうちのとーちゃんが建てたんだぜ!」
「おれのとーちゃんも手伝ったよ!」
 悠頼の所に集まったのは大工仕事をする親を持つ子供や手先が器用な子供たち。即席の工作室になった場所では廃材や端材を利用した玩具作りの真っ最中だった。
「こういうの小学生の工作とか冬休みに親戚集まって遊ぶのを思い出すな」
「にーちゃんこれ丸くできない!」
「ん? よし、俺に任せろ」
 悠頼は子供から木片を受け取って丸く削って行く。
 周りには寛永銭に似た形をした丸い物やサイコロ型の物や四角形三角形、いびつになってしまってどの形とも言えないようなユニークな物などいろいろな形の木片が出来上がっている。
「これどんなおもちゃになるの?」
 浅い箱に押せばくるりと動く板をつけていた子供やひたすら長方形の棒を量産していた子供が聞いてくる。
 だいぶ数も揃ったなあと数えていた悠頼は子供たちに持って来てもらっていたどんぐりをひとつつまむと箱の端にはめ込まれていた棒の上に乗せる。
「よく見てろよ」
 とんと棒を押し込む勢いでどんぐりが飛び、木枠に跳ね返ったかと思えば板に乗り、くるりと回った板に跳ね飛ばされてまたあちこちへ飛んで行く。弾はどんぐり。木でできたピンボールだ。
 わあっと盛り上がる子供たちに他のもちゃんと玩具になるんだぞと言うと次はどんな遊び方をするんだろうとわくわくした顔で作業を始める。
「できたら向こうにいるやつにも見せてやろうぜ」
「うん。きっと喜ぶよ」
 今日はどの家も子供全員が集まるには狭いからとそれぞれが興味を惹かれた所に分かれている。
 ここにいない兄弟や友人にも遊んでもらいたいと言う子供たちの優しさに和み、悠頼はせっせと玩具を仕上げていった。
 やはり目新しいピンボールが人気だったが、物を崩れないように積んで行くと言う単純だが馴染みのある遊びのバランスゲームや、それに積むブロックの印や形を指定して難易度を上げると言う遊び方もなかなか盛り上がる。
「その形は崩れやすいぞ。もっと安定した所に……」
「いやここは勝負だ! くずれやすいところに乗せたほうが勝ちだぞ!」
 遊んでいる内に子供たちが新しいルールを作ったり違う遊び方を編み出したりしていて、気付けば悠頼も一緒に一喜一憂して遊んでいた。

◆あれは獲物を狙う肉食獣の目でした
「でけー!」
「化け猫だー!」
 突然の叫び声に村の大人たちがなんだなんだと見に来たが、その光景を見るとそういうことかと納得してまた自分の仕事に戻って行った。
「今日は座敷童子のフクちゃんと蹴鞠童子のマリちゃん、「おがねこさん」を連れて来ました☆」
  ミア・カイザーがばっと手を広げて巨大なもっふもふの猫、おがねこの着ぐるみを着たミスト・カイザーと、一緒に連れて来た座敷童子と蹴鞠童子を紹介する。
「ふもふも」
「しゃべったー!」
 ミストがおがねこ式挨拶をして見せると子供たちはますますきゃあきゃあと騒ぎ出す。
(つかみは上々。子供たちの遊び相手を務めるのは、決して得意な方ではないがやぶさかではない)
 双子の姉であるミアと一緒に考え出したのは鬼ごっこだった。
 ただし、鬼はおがねことなったミストだけ。
 ミアは子供たちの反応によしよしと嬉しそう。
(子供たち喜んでくれてるみたい。生贄……もといミストにおがねこの着ぐるみを着せたのは正解だったね)
 しかしここからが本番。
 ミアの目配せを受けてミストは持って来た駄菓子セットを取り出した。
「おがねこさんは、皆にあげるお菓子を持って逃げます」
 ミアがそう言った瞬間、子供たちの目がギラリと鋭くなっておがねこミストを見た。
「さあ皆で捕まえてお菓子を取り返そー!!」
「おかしだー!」
 ミストは逃げた。割と本気で逃げ出した。
「ふもっ」
 律義におがねことしてふもっふとしかしゃべらないが、殺気すら感じる子供たちの目がこわい。
(これは本気を出さないと負ける……!!)
「あっ! おがねこさんが分身した! 皆逃がしちゃだめだよ!」
 焦るミストの心情は理解しているだろうに、ミアは楽しそうに子供たちを煽っていく。
「おれはあっち!」
「じゃあむこう!」
「ふもっふ?!(なんたるチームワーク!)」
 分身ノ術まで使ったミストだったが、子供たちは焦らずに人数を分けて追いかけて来た。
 座敷童子と蹴鞠童子はあまり足が速くない小さな子や女の子に手を引かれて先回りしようと誘われている。
「ふもふもー!」
 遠慮なく飛びかかって来る子供たちにあちこち掴まれたり引っ張られたりしながらおがねこミストはひたすら逃げたが、ついに捕まる時がきた。
「やったー!」
「おかしだー!」
 横っ飛びにとんできてしがみつかれたかと思うとそれっと集まって来た子供たちに乗っかられてしまい、ミストは身動きが取れなくなって駄菓子セットを奪われてしまった。
「ふ、ふも……」
 よれているのは毛並みだけでなく中身のミストも心身共に疲労困憊だった。
(お、おそるべし子供たちの執念……)
「皆すごい! お菓子を取り返したね。おがねこさんもお疲れさま!」
 拍手するミアは生贄もとい協力してくれたおがねこミストにも賞賛を送った。
「うわすごい有様だな」
 キラキラ笑顔のミアとよれよれになって倒れ伏しているおがねこミストを、工作室から子供たちと一緒に出て来た悠頼が発見してちょっと引いた。
「玩具ができたから他の子供たちの所にも持って行こうって話になったんだが、一緒に行くか?」
 特におがねこミストは休ませなければならない。そう思っての提案にミアとミストと、駄菓子セットをゲットして盛り上がっている子供たちも賛成した。
 それから、七海と楡の所に行った子供たちはそれぞれが覚えた遊びや作った玩具、描いた砂絵をお互いに見せあい、おがねこミストから手に入れたお菓子と楡が出してくれたココアをお互いに分け合って貴重な甘味を楽しんだ。
 冬になると憂鬱そうに曇る子供たちの顔を毎年見て来た村の大人たちはその笑顔を見て、今年の冬はこれまでとは違ったものになりそうだと明るい予感を抱いていた。



 5
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参加者

a.簡単にできるまねっ子ダンスゲームを教えるね。
天羽七海(ka00187)
Lv141 ♀ 15歳 神忍 来世 麗人
c.誰が一番先に逃げ回る「おがねこさん」を捕まえられるかな?
ミスト・カイザー(ka00645)
Lv238 ♂ 24歳 武忍 来世 影
c.皆で追いかけっこをしましょう。標的はおがねこさん(ミスト)ね☆
ミア・カイザー(ka00679)
Lv198 ♀ 24歳 陰忍 来世 異彩
b.木製で何か作ろう。バランスゲーム(ジェンガ)やピンボールも良いかな。
由良悠頼(ka00943)
Lv299 ♂ 17歳 陰忍 来世 大衆
a.サンドアート、木枠を作ってあげれば家の中でも遊べるよね?
相葉楡(ka01176)
Lv187 ♂ 27歳 武傀 来世 麗人