永き旅の終わりに

担当 K次郎
出発2019/02/02
タイプ イベント C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP 藤枝真沙花(ka01870)
準MVP 朱凰 魅衣奈(ka01477)
高杉 蘭子(ka00512)





オープニング

◆その道を行けば
 どうなる?
 どうする?
 決めるのはアンタだ。

 一度は決心を持ってやって来た現代。特に、寛永から現代へ飛んできた者は相当な覚悟があっただろう。

登場キャラ

リプレイ

◆序
「静か、だな」
 は一人で部屋を掃除しながら呟く。自分たちの部屋。仲間は寛永から現代へと戻り随分と静かになったものだ。
「‥‥ま、あいつらが負ける筈はないだろうな」
 心配はしていない。だから、自分は待つだけだ。背中は押した。きっと届く、と心のどこかで確信している。あとは勝利の朗報を受け取るだけ。
 故に、今は守ろう。彼らが帰ってくる場所を。雑巾を握る涼の手には、自然と力が籠った。

◆レッツパーリィ
 その頃、と言ってもいいのか、完全に時間軸が違うのだがまぁ、それはそれ。
 現代では寛永に戻ると決めた者たちの壮行会的な集まりが行われていた。
「涼のやつ、元気かねぇ」
 押された背中だが、背中に感じるものを懐かしみ振り返る。戻らねば。九郎は決意を語る。
「まー、何だかんだとあれこれ考えてはみたものの‥‥」
 思い出されるのは寛永での日々。
「結局、愛着持っちまったんだろうなぁ」
 待っているのは寛永という時代。
「みんなはどうすんだ?」
 ならば、問おう。皆の決断を。
「大江戸セレブは東京セレブになるのですわ‥‥」
 それが瑠璃の決断。いや、ちょっと何言ってるかわかんない。
「寛永で学んだ技術や力、そしてセレブ力を利用して必ずや東京セレブになりますわ!」
「いや、セレブ力って‥‥」
「このわたくしからにじみ出る圧倒的セレブ力。それを使い‥‥東京を復興するのですわ」
 九郎の突っ込みを華麗に受け流し瑠璃は拳を握るこれもセレブ力(物理)の発現なのだ。
「僕は進学校に入るために受験勉強、だな」
 その点、閃也は現実的だ。病弱が故に憧れたダンサー。先ずは芸術系の高校に行きたかった‥‥でも、寛永の生活が彼の心境に変化を及ぼしたのだろうか。今目指すのは医療系。薬の開発をしたいのだ。だから‥‥先ずは進学校を目指す。
「秀吉との決戦はかーちゃんに阻止されたけど、いつかみんなの力になりたいな、って」
 そう、来世人だが、彼のように子供もいるのだ。心配する親を押し切って寛永に、というわけにもいかないし、何より‥‥将来の夢がある。
「私は残る。決められた運命を塗り替えるぞ!」
 と、夢というか運命を語る真沙花も十代ではある。が、寛永であれば大人として見られるお年頃だ。故に自分で決める。
 そう、戻らない寛永に。藤枝一族の先祖‥‥というのはこの現代とは繋がりがないとわかれば気にしなくてよいのだろう。ならば、自分の人生を生きる。
「なんかふれっしゅぐみの一員となる話もあるのだが、どうしたものかな」
 なんか凄いこと言い出したぞ。
「あら~真沙花ちゃんも入ってくれるの? マネジメントしたかったけど残念ね~」
 それを耳にし残念がるのは『FreshGUMI!!』のマネージャーであるセリザワだ。彼女は寛永に戻るらしい。
「あー、はいはい。やっと無茶振りから解放されるぜ‥‥」
 清々する、とは言うが。
「ほら、萌ちゃん泣かないで」
「な、泣いてなんか‥‥ぐずっ」
 カナタがハンカチを取り出す。否定しながら涙ぐむ萌。
「でも、セリザワさん、向こうに皆に無茶振りしちゃダメだよ」
 萌の涙を拭いながら釘を刺すのも忘れない。
「そうそう、武田の姫様とかお信ちゃんの面倒見てアイドルやるつもりでしょうけど、無茶振りはダメですからね!」
 セリザワ、散々な言われよう。
「まぁ、ほらセリザワさんならどこでも大丈夫だろうしみんななりのエール、ってことでね。あ、でもビールは飲みすぎないように」
 との芽衣子の言葉には、
「地ビール作りをするのよ。飲むんじゃなくて作るの☆」
 目指すは寛永での新事業。彼女ならばやって行けそうだ。
「僕たちもしっかり頑張ろう。ね」
 カナタの言葉に芽衣子、萌も頷き結束をアピールだ。
「もちろん、真沙花ちゃんも」
「ん、えっ?」
 更に芽衣子は真沙花のことに話を戻す。
「では、ご先祖様のことはよろしくお願いするのです」
「ちょっとまて、決定事項なのか!?」
 杏花が強引に話をまとめようとする。
「で、代わりに桜花姉さんは寛永に行かれますか」
 杏花は少し寂しそうに姉を見る。
「ええ、どうしても逢わねばならない人もいますから」
 桜花の決意は揺らがない。けりをつけるべき相手がいる。結末がどうなるかはわからないが、彼女と再び相対するのは必然なのだろう。
「やりたいことがあるから行くのですよね」
 梅花も姉の決断に理解を示す。
「アンカちゃんもやりたいことがあるから残るのでしょ?」
「そうなのです。アンカちゃんは南米への釣り旅行という野望を抱いたのです。寛永だと海外へ行くのは一苦労ですし」
 杏花の言葉に梅花は優しく頷いた。
「達者で暮らしなさい。こちらで会えなかった方には桜花がよろしく伝えていた、と」
 そこへ真沙花からの突然の無茶振り。
「行くのか、ならば藤枝の血はお前に託す。お前が先祖になってくれ」
「そ、それは‥‥そういうのは梅花に‥‥」
 流石に戸惑う桜花。
 そう言えば梅花の進路を聞いていない。
「わたし? んー、どうしましょうねぇ?」
 あっけからんと応える梅花。まぁ、そういうのもアリだ。しかしいずれ決断の時は来る。
「では桜花姉さんにクマーを預けますので、山に返して欲しいのですよ」
 少し寂し気に杏花は桜花に託す。
「でも、離れても藤枝姉妹の絆は不変なのです」
「そうですね。家族は別れますが、こちらのことは心配なさそうです。‥‥そうですよね?」
 と桜花が見たのは‥‥ミストである。
「お、おう、望むところでござるよ」
 藤枝一家はそれぞれの道を歩むが‥‥ミストも無関係では無いわけで。
 何せ、彼は‥‥。
「「「おとーさん!」」」
 なのである。
(家族の為にも先ずは就職‥‥)
 前途は、結構大変だ。

◆帰還に向けて
 寛永に戻る者らは帰還に向けて買出しも。
「ありがとう、ミアさん、買出しまで手伝ってもらって」
「んー、オーケーオーケー。さんいは本当にお世話になってたから」
 来世人という境遇の中で仲良くなって、そして別れを迎えるのはやはり寂しいことだ。いつもは底抜けに明るいミアでもそう思う。その気になれば会える弟と道を分かつのとはわけが違う。
「しかし随分と買い込んだね」
 ミアが気にするのは‥‥透哉が買い込んだ袋の中身。
「ジャガイモさ。食べてもよし、種芋として植えて育ててもよし。寛永でも来世の芋として大活躍間違いなしだ」
 胸を張る透哉。現代とあの寛永が繋がっていないのならば、タイムパラドックス的なものは気にしなくてもいいだろう。
「凄いですよね」
「はぁー、なるほどな。俺ももう少し役立つもの買って寛永戻った方がいいかな」
 感心する椋や凌駕
「凌駕は、着の身着のままでもいいんじゃない?」
 その方が、らしい、と魅衣奈は告げる。
「ん、まぁ、そうなんだけど‥‥んんっ」
 そう応えつつ、凌駕はチラリと魅衣奈を見て‥‥咳払いし、そして話を切り替える。
「なぁ、お前まで来なくてもいいんだぜ‥‥」
「むっ」
 そんな凌駕の言葉に魅衣奈はキッとなって睨む。
「これは、あたしの気持ちに正直に選んだつもりだよ」
 選んだのは自分だ。別に凌駕は関係ない。
「そりゃあ、友達もいるし、スイーツやアニメ、漫画もある。そんな現代に戻りたかった‥‥でもね」
 違った。そうじゃないんだ。
「寛永に行ってわかった。ただ言われるがままに生きていた時間とは違う。本当に生きていたリアル。自分で考えて、自分で選んで‥‥そして自分で掴んだ。だから‥‥」
「あー、わかった。もう余計なことは言わねーよ。なんか、テキトーに決めた俺の方が‥‥ま、いいか」
 難しいことを考えるのは性に合わない。凌駕は考えるのを止めた。
「俺は引き続き『来世人、莱堂凌駕』だぜ」
 そんなやりとりをしていると‥‥。
「よし、予約終了」
 いつの間にか洋菓子店に入っていた透哉が出てくる。
「それは?」
 と椋が問えば。
「出発の日に合わせてチーズタルトを予約したのさ。森住さんとの約束だからな。国民栄誉賞代わりってのもアレだけど。こっちの勝利の土産話だけじゃ満足しなそうだからな」
 一緒にタルトを食べよう。その時の彼女の笑顔が目に浮かぶ。
「ああ、なるほど。ブナさんがよだれを垂らして飛びつきそうですね」
 あっちに戻ったら、彼女の薬草畑も手伝わねば、と思う椋であった。

◆噂のあいつ
「くしょん!」
 盛大なくしゃみと共にブナは目を開ける。
 彼女は今、残された善なる鬼たちの立場向上と健康管理に協力しているのだ。
「ブナ殿。お疲れなら居眠りでなく、少し昼寝をしてきたらどうでござる」
 彼女を手伝うのは、とある一件で江戸を追放された元幕府の役人・八木。何故か強引にブナにこき使われている。
「ぐぬぬ、せっかく透哉くんがタルトを持ってきてくれた夢を見ていたのに、おのれっヤギさん!」
「あたっ、八つ当たりでござるよ!」
 相変わらず元気そうだ。
「誰かがこの私の噂をしているに違いないじぇ。『噂のあいつ』になったことを感謝しつつバリバリ働くよー!」
 再会の日は近い。

◆それぞれの明日(みらい)
 とある屋内プール。際どい水着に揺れる四つの果実。これは男たちも近寄って‥‥。
「はぁ~ビールが美味しい」
「飲み過ぎですよ」
「いーのいーの」
 いや売店で買ったと思しきビールの紙コップの壁がナンパを阻む。
 昼間っから飲みまくるとほどほどに付き合う。二人は羽根を伸ばしながら今後のことについてなんとなーく話していた。
「命ちゃん、これからどうするのかナ?」
「本業はありますけど‥‥戻る前に被災地をあちこち回って復興の手助けを出来ればな、と」
 命は救急救命士、その経験とスキルは被災地でも大いに役立つ筈だ。
「んー、それじゃオネーさんは、命ちゃんにくっついてて被災地を回ってェ‥‥そうね、イイ男でも探そうかナ」
「もー、何言っているんですか」
 そう言いながらも命にはわかっている。零も本当は復興を手伝いたい、けれど、恥ずかしくて言い出せないのだ、と。
(知ってますよ、本当は真面目なところがあるんだ、って)
 そう、わかっている。
(‥‥)
 どんどん空いていくビールに命の考えは少し、揺らいだのだが‥‥。でも、きっと、二人の行く先には何か素敵なことが待っているだろう。

 とある神社でも。
「う、ううっ、ンぐ‥ぐずっ‥‥」
 普段は気丈を装っている茶倉が周りに憚らず泣いていた。実家にいる安心感と、妹の目が無かったのも影響したのだろうか。
 その原因である天兎は呆れたようにそんな妹分を見ていた。もしかしたら先祖と子孫、というよりももはや姉妹のような関係になっていた来世人と大和人。
「そんなに泣かれたらこちらも困るではないですか」
「ら、らってぇ‥わかって‥る、けど‥姉さんたち‥帰って‥‥うぐっ」
 泣き止まぬ茶倉を天兎は優しく抱きしめる。
「そんな顔をされたら帰るに帰れないではありませんか?」
「ううっ」
「それに‥‥誰が、帰ると言いました?」
「へ?」
「ねぇ」
 天兎はニコリとを見る。
「左様。誰も帰るとは申しておりません。天兎殿も、拙者も」
 頷く識。
「え、え?」
「秀吉との戦(いくさ)も終わらせ、戻るのが筋でありましょうが‥‥この時代に触れて、不謹慎な話でありますが、気持ちが昂るのを感じました。もっとこの時代を知りたい、と」
 帰らないというのだ。
「拙者の役目は天兎殿をお守りすることでござるゆえ、同道するのみでござるよ」
「おや、泣いているのですか?」
「いや、これは汗でござる。この時代は暑いでござるなぁ」
 もらい泣きしたのか識は照れてそっぽを向く。
「ええ、と‥‥?」
 未だに良く呑み込めない茶倉。
「まったく、放ってはおけませんね」
「ええぇーーーっ!?」
 そんな彼女らにはどんな明日が待っているだろう?

◆もふもふと惜別と
 選択が必要なのは人間だけでなく、彼らが連れていた化身や動物たちもそうだ。
 無論、飼い主についていく場合が多いとは思うのだが。
「寛永で知りおうた皆や伊豆丸のことは名残惜しいが‥‥わしはこちらに残ることにするぞ」
 といいながらヤームルがもふもふするのは十房の尻尾であった。
「そうか、名残惜しいなぁ」
 とヤームルの飼い柴たちをもふもふする十人ちゃん。
「‥‥清十郎さん、この子たちと寛永に残してきたあの子たちをどうか、どうかお願いします」
 自分は戻らない。寛永での記憶も消えない。でも化身である小鞠や胴吉はこちらで消えてしまう‥‥。そうなるくらいなら寛永に帰すべきだ、と澄香は思う。
「ええよ、請け負うた。代わりに、僕が残した寛永の梅の種‥‥咲くのを見届けてくれへんか?」
 任された清十郎はこちらに縁を残す。心残りが無いと言えば嘘になる。だが、それは寛永に対しても同じことだ。
「なんじゃ、澄香。その狸は残すのじゃな」
 ヤームルに指差された豆狸がさっと澄香の足の陰に隠れる。
「ええ。豆次郎さんは初めて出会って‥一番傍にいた子。普通の狸に戻ってしまうけど、それでも傍にいてくれたら‥‥」
 澄香は豆次郎をそっと抱き上げた。
「そうじゃな、クロや義(ヨシ)はずっと一緒じゃが、ゴンスケはいずれ動かなくなってしまうのかえ‥‥よう頑張ってくれたのう」
 ヤームルも、いずれ魔法が消え動かなくなる機巧を抱き上げもふる。しばわんだふるを続けるには両親に日本滞在の許可を貰わねば、と心に誓うのだった。
(こっちはきっと大丈夫やね‥‥後は‥‥)
 その後、清十郎は手紙を書いた。家族に向けて‥‥山吹の押し花の栞を添えて‥‥。

◆まだまだパーリィ
 仲間との別れを惜しみ、そして激励する時間は続く。
「寛永で魔法少女として生きるのも楽しいでしょうが‥‥食生活が限界ですの‥‥」
 ミネルバの戻らない理由は割と切実。育ち盛りの彼女には寛永の食事じゃちょっと足りない。パーティの料理を味わいながら平和と現代の食事のありがたさを受け入れる。
「んん、ほうへふへ、ほはんはほっひほのほうは」
 口に料理を入れたままアステもミネルバに同意する。
 ゴクンと飲み込み。
「止まってた成長も戻って‥‥これで身体が成長して‥‥胸も‥‥」
 アステの本音が垣間見れる。
「んー、その成長とやらが見られないのは残念だけど‥‥俺様は寛永に戻るのね。連れてきた動物や化身を連れて」
 ボースンは何だかんだいって優しい男だ。化身が消えてしまうのもしのびない。船乗りとして一度は失いかけた命だ、ならば自由に使おう。
「それに‥‥」
 一緒に来てくれる人もいる。
「ワタシはぼっすんサンとズッと一緒デス」
「皆と別れるのは寂しいけど、こっちの暮らしに未練はないので、ファウラちゃんと一緒に寛永に戻るのね」
 ボースンに寄り添うようにファウラは離れない。
「まったく、隅に置けないな」
 うんうんと頷くグレンも寛永に戻るわけだが。
「あちらで、グレン大佐にもよい人がみつかると良いですね」
 友を見送る絶斗は主であるグレースに従いこちらに残る。寛永までつながった友との奇縁はここで一先ず終わりだろうか。
「ん、ああ、まぁ、再会したい人は、向こうにいるんでね」
 何やら含むところがあるグレンの言葉。
「え、それは誰ですの?」
「わぁー、聞きたいです」
 ミネルバやアステが喰いつくが。
「それは、言わぬが花、というものかな」
 はぐらかすグレン。
「住まう世界は別れるが‥‥今までの奇妙な縁があるように、世界はやはりどこかでつながっているんだ。いつか、そう、いつか私の子孫が会いに来るかもしれない。だから‥‥」
「ええ、わかっていますよ」
 グレンの言葉に絶斗は頷いた。
「ここで、サヨナラは言わない」
 そう、いつか、そういうことがあるかもしれない。だって、奇跡があったからこそ、今の出会いがあるんだ。
「その時まで、マガミ家をしっかり維持して会いに来てくれる人を迎えないといけないわね」
 グレースも未来を見る。
 そして、彼の顔も見る。
「で、貴方は本当に戻らなくていいのかしら?」
 何度か問うた。
「言っただろ。俺は残る。寛永にはもう帰るところも家族もいない」
 だが、男の。極奴の返事は変わらない。
「俺が帰る場所は‥‥グレースたちのいるところだからな」
 聞こえるか聞こえないか、そのくらいの声で呟いた。だが、それで十分だ。
「ええ、ありがとう」
 男の我が儘を受け入れるくらい、グレースの懐の深さにはあった。
 そして‥‥。

「出資の件はOKということでいいか?」
「ええ」
 姪の我が儘に対応できるくらい、グレースの懐に余裕はあった。
「今回の件、本当にありがとうございます」
 深々と頭を下げたのは武竜だ。
 提案したのはアイナ。これからの大江戸プロレスのため、スポンサーをグレースに依頼したのである。
「いいのよ、そんなにかしこまらなくて」
 新生・大江戸プロレスは前に進む。
「復興支援のため、プロレスを見せる、そして、直接復興にも協力する。そのためのプロレス団体。私はそれに共鳴して参加するんだ。だが、理想だけでは食べていけまい」
「ああ、わかってるさ、あっちでも、こっちでも、お前には助けられてばかりだな、アイナ」
「それはお互い様だ、社長」
 今こそ、寛永で鍛えた心技体を見せる時。
「復興のお手伝い、ってのは私たちも協力させてもらえるかな?」
「ん、ああ、リングでコンサートか。こっちからお願いしたいくらいだ」
 散々大江戸プロレスのリングに上がった芽衣子の申し出にも武竜は頷く。しばらくは知り合いの力を頼ってどうにかやっていくしかない。
「で、ミスト。しばらくプロレスラーをやる話は、どうする?」
「むー、絶賛就職活動中の身としては収入があるのはありがたいが‥‥」
 話を振られ悩むミスト。正直どこかの諜報機関から誘いでもないか、とも思うが、そんな都合の良い話が飛び込んでくるわけでもなし。
「まぁ、考えておけよ。で、お前はどうするんだ? 何か考えてるみたいなこと言ってたよな? いろいろ手伝ってもらったからな、何かあれば手伝うぜ」
 そして、武竜はにも問いかける。
「ああ、ありがとう。皆の話聞いてたら、少し無理してでもやりたいことが出来た‥かな」
 少し考え込み、そして楡は考えをまとめる。考えはあった。だが、それが今、確信に変わった。
「俺は、皆が集まれる場所を作りたい」
 その真意とは。
「以前、侍かふぇってのを作ったんだけど、そこに酒蔵とかワイナリー、更には保養地をプラスして現代版にパワーアップだね。現代に残る大和人や仕事を求める仲間の雇用供給も兼ねてね」
 来世人たちは今、未来に向かって歩き出すんだ。
 そして、それは受け継がれていくのだろう。
「じゃあ、仁の玉は?」
「ええ‥‥」
 蘭子千絵代に問い掛けるのは、千絵代が持つ筈の仁の玉の行方。
「お腹の子の方に移っちゃってるみたい。飲み込んじゃって取り出せないの」
 玉は、継承する。まぁ、今後現代に残った状態でそれはどうなるかはわからないが。少なくとも、来世人たちの魂は継承されていく。それは間違いないだろう。
「子供もいるし、それに‥‥こっちの方が医者の数は必要そうだものね」
 千絵代も本業に戻る。妻として、母として、そして、医者として。
「蘭子ちゃんは‥‥あっちでも元気でやってね」
「ほーっほっほ! 愚問ですわ。わたくし、現代でも寛永でも純度100%の高杉蘭子ですもの。それに‥‥」
「それに?」
「きっとこの世界とかの寛永とは何かしら影響し合って存在している‥‥ならば、いつか重なり合う時が再び来るとも限りませんわ」
「そうね、私もそんな気がする」
「いいえ、むしろ、気がする、ではなく、そうしてみせます。寛永の世から恒久の平和を実現出来たなら‥‥こちらの世にを平和に導けるのではないか、と」
「ふふっ、蘭子ちゃんらしい。じゃあ、私も、未来から寛永に繋がる方法を考えてみるわ。ううん、私でなくてもこの子たちの世代でも、きっと」
 それは約束。世界に絶対は無いのだ。
「ではでは、皆様もお元気で」
「おう、蘭子もな。あっちで引き継いだ連中も時々見てやってくれよ」
 武竜が蘭子に頼むのは大江戸プロレスを引き継ぐといった江戸の奴らだ。
「そうですわね、善処しますわ」
「まぁ、お前さんはお偉い奴らや、神様、鬼や妖怪、引く手数多だからな」
「ええ、もちろん。八百万の神々もわたくしがいないと寂しかろうと思います」
 とにかく凄い自信だ。
「では、またの再会を祈念しまして‥‥この舞をその眼に残してくださいまし」
 そして蘭子の舞が始まる‥‥なんでそういう紐の水着姿なんだ。
「きゃあああっ!」
 ポロリもあるよ。
 そういうとこだぞ、蘭子。
 涙もあるが、笑顔があふれ、宴は過ぎて‥‥。
「ええ、私も決めました」
 皆の話を聞いていた梅花の道は開けたか?

◆そして明日へ
 まだ復興の手も入らない都内の街角に頼伝はいた。
 それでも、人々は少しずつ都内に戻ってきている。街は少しずつ生きる力を取り戻していくのだろう。そんな中、坊さんが歩いていても人は気にも留めていない。
「寛永に戻れば、彼の時代の純朴な人々は拙僧を慕ってくれるが、鬼の被害に遭った人々を救わねばならんのは現代も同じ。寛永のように人々に拝まれなくとも、現代に残るのが拙僧の仏の道よ」
 命を落とした者たち。そして‥‥鬼神秀吉の鎮魂の為に経のひとつも唱えようではないか。
「南無‥‥」
 全ての魂が、安らかなることを願って。

「え?」
 寛永に帰還の直前。
 椋は、自らが持つ秀吉の善性だという玉が、鈍く光った‥‥ような気がした。
「うん、平和になっていく世の中を、これから見せてあげますね」
 誓おう、現代も、寛永も、明日が繋がっていくことを。
 
 そして‥‥。
 告げよう、時空を超えた、永かった旅の終わりを。



 12
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参加者

a.あー、はいはい。やっと無茶振りから解放されるぜ…グスッ。
土方萌(ka00069)
Lv149 ♀ 18歳 武神 来世 異彩
a.皆の笑顔のために東京で復興の手伝いを行うわよ
沖田芽衣子(ka00120)
Lv192 ♀ 22歳 武忍 来世 大衆
a.大江戸セレブは東京セレブになるのですわ…
北里瑠璃(ka00342)
Lv357 ♀ 20歳 武僧 来世 婆娑羅
b.心配はここに残して、行って参ります
空木椋(ka00358)
Lv184 ♂ 20歳 傀僧 来世 大衆
c.私は今んとこ、鬼ヶ島にいるじょ!
森住ブナ(ka00364)
Lv157 ♀ 15歳 神陰 来世 異彩
a.わたし自身が残る事に迷いはないけれど、この子達の事は…。
水上澄香(ka00399)
Lv138 ♀ 17歳 陰傀 来世 異彩
b.チーズタルトにじゃが芋に、飯に菓子、帰る準備はばっちりだぜ!
鈴城透哉(ka00401)
Lv142 ♂ 15歳 武僧 来世 傾奇
b.はてさて次なる冒険はいかなるものやと。
高杉蘭子(ka00512)
Lv259 ♀ 20歳 武神 来世 傾奇
a.寛永に戻る皆さんを見送りに来たのです。
藤枝杏花(ka00565)
Lv155 ♀ 15歳 傀僧 来世 大衆
z.取りあえずどっちに行くか決める為に姉妹の行き先を聞いてみますね
藤枝梅花(ka00566)
Lv176 ♀ 22歳 神陰 来世 麗人
b.達者で暮らしなさい
藤枝桜花(ka00569)
Lv220 ♀ 23歳 武忍 来世 大衆
b.迷って迷って…それでも残ったものを。
潤賀清十郎(ka00609)
Lv222 ♂ 27歳 神忍 来世 異彩
b.(透哉を見て)あ、俺も平成でしか買えないの買いおきしとくか。
莱堂凌駕(ka00613)
Lv247 ♂ 17歳 忍僧 来世 大衆
a.寛永に戻すトロンベとファントムに別れを告げるでござる…達者でなぁ。
ミスト・カイザー(ka00645)
Lv298 ♂ 24歳 武忍 来世 質素
a.椋さんの見送りですじょ。 ボースン? うん、そんな親戚ももいたねー。
ミア・カイザー(ka00679)
Lv161 ♀ 24歳 陰忍 来世 異彩
a.僕は現代で暮らすよ。
後藤閃也(ka00825)
Lv107 ♂ 17歳 神陰 来世 異彩
a.私は常に前のめりに突き進むのみ!!
アイナ・ルーラ(ka00830)
Lv165 ♀ 24歳 武僧 来世 婆娑羅
a.私はこっちに残るわね
升田千絵代(ka00869)
Lv163 ♀ 25歳 武陰 来世 異彩
a.次は現世でしばわんだふる、じゃ!
ヤームル・アイマーヴィ(ka00918)
Lv197 ♀ 15歳 忍傀 来世 異彩
a.やりたい事があるんだ
相葉楡(ka01176)
Lv216 ♂ 27歳 武傀 来世 麗人
z.よろしくお願いします。
毒島右京(ka01318)
Lv212 ♂ 35歳 陰僧 来世 大衆
a.本来の仕事に戻る…のはだいぶ先になりそうですね。(泥酔)
伊東命(ka01412)
Lv193 ♀ 27歳 忍傀 来世 大衆
a.セリザワさん、寛永の皆に迷惑かけたらダメだよー?
田中カナタ(ka01429)
Lv132 ♀ 18歳 武陰 来世 異彩
b.あたしの気持ちに正直に選んだつもりだよ
朱凰魅衣奈(ka01477)
Lv145 ♀ 16歳 神忍 来世 異彩
c.帰ってくる奴がいるかもしれないなら、家の掃除くらいはしておかんとな。
海動涼(ka01489)
Lv184 ♂ 22歳 武僧 来世 異彩
z.よろしくお願いします。
アステ・カイザー(ka01612)
Lv148 ♀ 16歳 神陰 来世 麗人
a.現代に残り、人々の救済をするのが拙僧の歩むべき仏の道よ。
富栄弩院頼伝(ka01639)
Lv179 ♂ 36歳 僧流 来世 大衆
a.戻るか迷ったけど、十蔵さんのお墓もあるし、東京の復興支援もあるしねぇ。
グレース・マガミ(ka01643)
Lv117 ♀ 28歳 神傀 来世 麗人
a.椋様とグレン大佐、ボースンのお見送りに来ました。
真神河絶斗(ka01644)
Lv123 ♂ 31歳 武陰 来世 大衆
b.私は寛永に戻るよ。再会したい人が向うにいるんでね。
グレン・ギーガー(ka01653)
Lv224 ♂ 35歳 忍流 来世 大衆
b.悩んでるような気がしてただけ、だったのかもな。
遠前九郎(ka01660)
Lv182 ♂ 19歳 武流 来世 異彩
a.帰るのは仕方ないと思うし、そうする方がいいって分かっちゃいるけどさぁ…
梧桐茶倉(ka01729)
Lv123 ♀ 19歳 神忍 来世 大衆
b.連れてきた動物の皆サンを送り届けて…あと、大事なヒトと過ごすため、デス
ファウラ・クルシューエ(ka01807)
Lv132 ♀ 24歳 陰僧 来世 麗人
a.戻られる皆様、現代は引き受けますので、寛永の平和を頼みましたわ!!
ミネルバ・マガミ(ka01851)
Lv155 ♀ 17歳 武流 来世 傾奇
a.まったく、そんな顔をされたら帰るに帰れないではありませんか?
梧桐天兎(ka01855)
Lv144 ♀ 25歳 神風 大和 異彩
a.拙者は天兎殿をお守りする影。天兎殿に同道するのみでござるよ。
御子柴識(ka01867)
Lv177 ♂ 32歳 忍地 大和 真影
a.俺の帰る場所は、グレースたちの居る処だからな(ボソ)
魔神極奴(ka01868)
Lv256 ♂ 17歳 武水 大和 傾奇
a.私は…私の運命を塗り替えて見せる!!(意訳:帰らない)
藤枝真沙花(ka01870)
Lv337 ♀ 17歳 武火 大和 傾奇
b.連れて来た化身や動物を寛永に返して、お世話しなきゃならないのね。
ボースン・カイザー(ka01874)
Lv160 ♂ 28歳 僧誓 来世 大衆
b.ビール造りの用意は整えたし、向こうに帰って、阿墨さんを探さないとね~。
カーモネギー・セリザワ(ka01912)
Lv162 ♀ 30歳 武傀 来世 傾奇
a.オネーさん、どうしてもコッチでやりたい事があるからネ。(べろんべろん)
久保零(ka01944)
Lv249 ♀ 25歳 神鬼 来世 婆娑羅
 今を、生きる
日比田武竜(kz00030)
♂ 34歳 武陰 来世人