担当MS:八島礼

キリング・ミー・ソフトリー

開始料金タイプ分類舞台難易度オプション状況
16/07/16 24:0010000 Rexボイスドラマ日常竜宮自由お任せプション 7人

◆参加者一覧

アシル・レオンハート(tb5534)P火
シエル・ラズワルド(tb6111)H風
レイナス・フィゲリック(tb7223)H陽
アーシェ・フォルクロア(tj5365)H風
ナヴィ・アルティシア(tj5711)E水
ヘルマン・ライネケ(tj8139)P水
カレス・カンパニーレ(tk5628)H月

オープニング


 見知らぬ者達が天竜宮という檻に集められ、自分達は地上を悲劇から救う英雄だと言う。
 自分たちは仲間だと。

 そも英雄とはなんだ。
 最新の武具や道具を与えられることか。
 地上を見下せる場所に住むことか。
 精霊を守護に持つことか。
 得たいの知れぬ幼女にいいように使われることか。
 悲劇から救うと言いながら歴史を変えることか。
 特権を与えられ飼い慣らされた家畜‥‥それがドラグナーだ。

 命をかけて戦い得られたものはその場限りの感謝であっという間に時の狭間に消え失せてしまう。
 名声はドラグナー全体のものであって自分のものではなく、自分というドラグナーがいたことさえ誰も覚えてはいないだろう。

 いつまでこの英雄ごっこに付き合えばいいのか。
 檻を抜け出そうとすれば竜の掟に殺されてしまう。

 だったら。
 いっそ。

 ――殺してしまえ


 見知らぬ者達が天竜宮という檻に集められ、自分達は地上を悲劇から救う英雄だと言う。
 自分たちは仲間だと。

 だが仲間などいらない。
 偽りの関係など欲しくない。
 欲しいのはただ愛し愛される相手と、その人と過ごす時間だけだ。
 仲間という言葉で二人きりの関係を邪魔され、幸福を築くことさえ任務という義務に乱される。

 あの人に話しかけるな。
 あの人に触れるな。

 あいつを見つめるな。
 あいつのところへ行くな。

 ああ、この世に二人きりであれたならどんなにか幸福で甘美だろう。
 二人きりで生きられぬのなら。

 いっそ。
 この手で。

――殺してしまえ


 一体誰が最初に言い出したのだろう――

 デュルガーに憑依されたり、カオスアイテムにより欲望が増幅されたり。
 ドラグナーが知らぬ間に闇に犯されたなら、どんな深淵が顕現するのだろう。

 確かそんな話をしていたように思う。
 それは自分が悪に堕ちたらどうなるかという仮定の話だったはずなのに。
 もし仲間に裏切られたらどうすべきかという心構えのつもりだったのに。

 それを真に受け、お節介にも夢を叶えてあげようという者がいた。

 その者の名はバク――
 夢を喰らう聖獣である。


・この物語は勘違いをしたバクのお節介により悪夢を見るもので、その内容はドラグナー同士の殺し合いとなります。
・夢の中では殺人欲求が高まり抑えが効かない状態ですが、その理由や標的は様々。特定の人だけ狙うこともあれば、皆殺しにしたい場合もあるでしょう。理由も愛によるものもあれば憎しみからくるもの、特に理由もなくむしゃくしゃするなども。
・実はカオスアイテム持ってましたとか、実はバーヴァンだったんですとか、それらしい悪堕ち設定を盛られる可能性がありますのでご了承下さい。

【プレイングに確実に書いて欲しいこと】
1)悪堕ちするか否かを書いて下さい。
(敢えて悪堕ちせずに被害者に徹するのもありです)
2)悪堕ちする人は「殺す相手(特定の人or全員)」「殺す理由」「殺す方法」を書いて下さい。
3)自分が殺される側に回ったときの反応を書いて下さい。
(悪堕ちする人も無差別殺人の対象になったり、返り討ちに遭って死ぬこともあります)
4)口調や台詞のサンプルとしてプレイングはキャラの口調、キャラの視点で書いて下さい。
(このシナリオでは普段は語らぬ心境も台詞としてそのまま採用されることがありますのでご注意下さい)

◆マスターより
 こんにちわ、八島礼です。
 今回ボイスリプレイを担当させていただけることになりました。
 皆様のキャラの魅力をいつもとは別の形で引き出せるよう頑張ります。

 さて。
 タイトルは直訳すると「やさしく殺して」。真綿で首を絞めるようにじわじわと殺されていくこと、破滅すると分かっていても溺れずにいられない欲望を意味します。
 「目をさませ! 俺たちが共に戦ったあの日々を忘れたのか!」的な熱いのや、「俺がいっそこの手で殺してあげるよ‥やさしくね‥」的な色っぽい台詞をたっぷり聞きたくはありませんか?
 自分のキャラが悪に堕ちた後、血濡れた手を見て我に返って絶叫するとか、殺されることさえ甘美な夢として愛してると言い残して死んでみたくはありませんか?

 そんな皆様のドリームを私がバクになったつもりで叶えましょう。

◆ボイスリプレイとは
 このシナリオは「夏期特別企画」の一つである、「ボイスリプレイ」です。
 ボイスリプレイは、ショートシナリオのリプレイに加え、STARSボイスアクターによるボイスドラマが作成されます。
 プレイングには、キャラに行わせたい行動内容と共に、第三希望までのSTARSボイスアクター名、声や発音に関する補足などを記入してください。レクシィ株式会社の担当者が希望順に直接打診を行い、担当声優を決定します。希望クリエーターへの打診が承諾されなかった場合、希望クリエーターがいない場合は、担当者が選出します。

リプレイ

全編通して再生




オープニング


◆精霊歴1600年、アルピニオ

「素晴らしい」
 真っ先に拍手したのはヘルマン(tj8139)だった。
「意味ありげな歌詞でしたが‥‥神話をモチーフにしているのでしょうか?」
「歌詞はナヴィさんが考えてくれたんだ」
「ええ、神話に出てくる運命の三女神です。レイナスさんは本当によくご存じですね」
 レイナス(tb7223)が歌い手のシエル(tb6111)に問うと、ハープを弾くナヴィ(tj5711)は微笑んで答えた。 
「カレスのそのリュートの背骨みたいなのはファンシェンの楽器かNA?」
「うふふ‥まるで命尽き果てる瞬間、声振り絞って愛を叫ぶような、哀切な響きがありますでしょう?」
 アシル(tb5534)もまた二胡を携えるカレス(tk5628)に尋ねるが、まさかこれが悲劇の幕開けだと、このとき誰が気づけただろう。

◆古城

「あの城に想い人でもおりまして?」
 カレスが窓の外の古城を眺めているアーシェ(tj5365)に艶冶な笑みを湛えて視線を絡める。
「タチの悪い冗談を言うな。私が愛しているのはナヴィだけだ。これでもう本当に終わりなのかと気になっただけだ。カオスゴーレムは倒したが、ブロンケンシュタインは取り逃がしてしまったしな」
「あんなものを見つけてしまってはただ事では済まないだろう。錬金装置と共に残された手記に人を人形に変える研究が綴られていたが‥‥おぞましいことだ。人形にされて弄ばれた子の為にも許してはおけんよ」
「だね。帰還まではまだ数日あるからブロンケンシュタイン博士を探さなきゃ」
 日頃飄々と振る舞うヘルマンだが、実験材料にされた少女を思い出すとやはり憤りを禁じ得ない。
 シエルも同じ思いで城を見据えた。
 だがアシルは違った。
「キミならきっと大丈夫ですよ。自分も側にいますから」
「レイナス‥ありがとう‥」
 レイナスは青い顔をする友の手を励ますように握ってやり、そして優しく抱きしめた。

◆蜘蛛の糸

「こんな夜更けに奥様を置いて城にお出ましとは‥‥人形に興味がおありでしょうか?」
「お前は何が言いたい。相手にして欲しかったのか? 気がつかずすまない。だが自分は妻以外には興味がない。悪いが他を当たってくれ」
「隠さなくてもよろしいのです。だって理解できますもの。愛するものを永遠に繋ぎ留めておきたい、愛するものを自分だけのものにしたい‥」
「お前は‥‥知っているのか? 私が妻をいっそ人形にしてしまいたいと思っていることを。何故そんなことを知っている‥‥お前は何者だ!」
 内心を言い当てられたアーシェが声を荒げる。
 だが撓垂れかかる女を退けることは出来ない。
 カレスがファンシェンドレスの裾から覗く白い脚を晒してみせる。
「義足? まさか‥‥人形‥‥その身体は一体‥」
「貴方に私のすべてをお見せしましょう。さあ、いらして。貴方の求めるものはここに御座いましょう」
 女の白い腕が、黒い髪が、男に絡まる。
 アーシェは妻への愛ゆえに魔性に捕らわれ、狂気に堕ちた。

◆赤と黒

 ブロンケンシュタイン博士の実験室に忍び込んだアシルは、禍々しい赤い装丁の本を手に取った。
「この部屋の話が出るたびに様子がおかしかったから跡を付けさせて貰ったよ。君はブロンケンシュタイン博士を知っている。そして斥候のふりして私たちが来ることを知らせ、博士を逃がした‥‥そうだね?」
「ち、違うYO! ぶ、ブロンケンシュタインはどこから逃げたのかなって思っただけだYO!」
 狼狽するアシルに戦鎖を絡め、ヘルマンは落ちた本を拾いページを捲る。
「それともお目当てはこれを盗むことかな? どれどれ‥‥ふむ、初期の実験記録に『アシル』という名前が書かれている。君は確かアルピニオの出だったね。この手記によれば、博士はアシルという少年を捕らえ、そこのいかがわしい装置に戒めて幼い身体を‥‥」
「やめろぉぉッ!! やめてくれ‥ッ!」
 アシルは忌まわしい記憶を遮るように叫んだ。
 絶叫響く中、風を切る音と共にヘルマンの肩に矢が突き刺さる。
「話は聞きました。さあ、アシル、すぐに燃やしてください。誰もキミの過去に触れないように」
 アームボウを下ろし、レイナスが駆け寄る。
 だがアシルの元に辿り着く前に、解けた鎖は槍に変化し、レイナスの身体を貫いた。
「レイナス‥!? なんで‥俺を‥」
 抱き起こすとアシルの涙がレイナスに降り注ぐ。
 レイナスは力を振り絞ってハンカチを手繰った。
「アシル‥‥大丈夫‥泣かないでください‥。復讐なんてバカなこと考えちゃ駄目ですよ‥。どうかキミはキミのまま‥大好きなキミのまま‥いて‥‥」
 アシルがレイナスに白の日に贈ったハンカチは、血と涙を吸って舞い落ちる。
「レイナス‥レイナス‥‥何でだよ‥一緒だって言ったじゃないか‥ッ!」
 噎び泣き、やがて拳で涙を拭うと、アシルはレイナスの亡骸を抱き上げた。
「約束だったNE、レイナス‥‥死んだら焼かずにすぐに土に埋めるって‥。いつかレイナスが俺を残して先に死ぬって分かってたけど、その日がこんなに早く来るとは思っていなかったYO‥。レイナスは俺が俺のままでいてくれと言った。過去に何があろうが俺は俺‥‥今の俺のままでいればいいんだNE?」
 城の裏手に運んで土を掘り、優しく土をかける。
 アシルは涙と土で汚れた拳を握った。
 不安がる彼の手を握ってくれた親友は、もう、いない。

◆人形と人魚

「私だけを愛していると言ったのは嘘だったのですか? アーシェも私以外いらないと思っていたのに‥。日記に『人形にしたい』と書いていあったのは私のことではなかったのですか‥?」
 深夜出て行く夫を追いかけたナヴィは、城の中で絡み合う二人を見た。
 漏れる嗚咽を両手で口元隠して殺し、物陰に隠れて時を待つ。
 カレスが一人になると後ろから剣で斬りつけた。
「アーシェに触れた人は皆浄化します。もう二度と汚らしい手で触れられないようにしないといけません」
「‥ふ‥うふふ、執着の末に己がモノとする為に殺めるのは愛‥そして其を疎んじて亡き者にするのは憎しみ‥。嗚呼、なんと滑稽で愛しいモノで御座いましょう」
 滅多切りにされながら勝ち誇った笑みを浮かべるカレス。
 トドメを刺そうとナヴィは剣を振りかざす。
 だが、突如意識を失い頽れた。
「カレスさん! カレスさん、しっかり! 今すぐにた‥す‥‥‥‥――食べてもいいかな‥? うん、ちょっとくらい味見してもいいよね?」
 エクレールハンドで気絶させたシエルは、応急セットの中から包丁を取り出した。

◆人狼

「うーん、なんでこんなに楽しくなってきてるんだろうね。やっぱりアルピニオの森で拾われた狼の子だからかな?」
 アシルが去り、シエルは早速レイナスを掘り起こした。
「死んじゃったなら全部食べちゃっても問題ないよね。お義姉に似てるナヴィさんは先っぽだけにしたけど‥メロウを食べたから不老不死になれるのかな? カレスさんは何の味もしなかったなぁ。やっぱりヒューマン料理の本の通りに作らないと駄目なのかも‥って、ええっ!?」
「すいません。自分、普通じゃ死ねない身体なんです。‥‥と言っても、この様子じゃただでは許してくれなさそうですね。指一本で勘弁して貰えませんか?」
 蘇ったレイナスの目は血のように赤く、口には鋭い牙が。
 そしてシエルの頭にも狼の耳、尻からは尻尾が生えている。
「小指じゃなくて人差し指がいいな」
「アシルを襲わないと約束してくれるなら、好きな指でいいですよ」
 シエルはレイナスの指をゆっくりと口に銜え、舌を絡めてしゃぶり、そして噛んだ。

◆傀儡

「優しいのね、ヘルマン様。嬉しいわ‥‥また貴方の腕に抱かれるなんて」
 ヘルマンが瀕死のカレスを抱き起こし、エインヘリャルのマントを着せて傷を塞ぐ。
 だが瞼擡げた女の言葉がヘルマンの胸を貫く。
「君は‥‥‥いや、彼女は死んだはずだ‥」
「ええ、子殺しの罪で処刑されるはずでした。でもブロンケンュタイン博士のおかげで人形となって生き延び、ドラグナーになることも出来ました」
「なんだ、その腹の紫水晶のような宝石は。‥まさかコア‥カオスゴーレムか!」
 戦くヘルマンの手足にスパイダーマジュの糸が絡み、手足を戒める。
「アカシック・レコード‥‥博士がそう言っていました。所有者の暴かれたくない秘密を描き出すと」
「アシルの過去が書かれていたのはそういうことか。カオスアイテムかもしれんな。やめなさい‥読むんじゃない! ‥マルガレーテ!!」
 赤い本を手にしたカレスにヘルマンが叫ぶ。
 ページを捲るカレスの指が止まった。
「悪魔と契約して入れ替わりの魔法を得たのですね。そして美貌の役者とすり替わった‥‥。貴方様が忌み嫌いわたくしを捨てる原因となった子、わたくしが殺した醜い子は、間違いなく貴方の子‥ねぇ、ファウスト様」
 運命を狂わされた女の一生が、赤い本に綴られていた。

◆水底の唄

 バードチャームを成就したアーシェは鷲の知らせで池に向かった。
「ああ、アーシェ‥助けに来てくれ‥‥アーシェ!? どうして‥いやッ! どうしてですか? 貴方の愛は私だけの物ではなかったのですか? 邪魔になったから私を殺してしまうの!?」
「城の裏で土を掘っていたあの女‥‥ナヴィのアクアの香りがすると思ったが、あいつか。お前が他の者の手にかかるなど許せない。お前を手にかけていいのは私だけだ。そうだろう?」
「アーシェだけを想っていたのに‥私だけと仲良くしないでって我慢して抑えてきたのに‥アーシェ‥アーシェ‥いやぁッ!」
「ああ‥襲い来る嘴を振り払おうと泣き喚く姿もいい‥ひと思いに縊ってやろうかとも思ったが、この方がお前の声を聞きながら長く楽しめる‥。待て、逃げるな! お前はこれから人形になるのだ。あの女のように人形になれば永遠に私だけのもの」
 池へ逃げるナヴィを追い、アーシェは水の中へ入る。
 だがその瞬間、剣に貫かれた。
「好きよ、アーシェ‥愛しています」
「それは‥自分がクリスマスに贈った剣‥」
「ええ‥アーシェが贈ってくれた大事な剣‥。アーシェに殺されるのならそれもいい‥だけどあの人のところへは行かせない‥。誓って? 私だけを愛してるって‥だから私の想い、受け止めてくれますよね?」
 ナヴィは血に染まる赤い水の中でアーシェに口付けた。
 尾鰭を失った彼女もまたやがて溺れるだろう。
 縺れ合いながら。
「これがお前の愛か‥。お前と共に沈むならそれもいい‥。ナヴィ‥愛している、お前だけを。永遠に‥‥」
 二人、抱き合い沈みゆく。
 呟く声は、水の泡となって消えた。

◆絶望

「くそっ‥私はまだ死ぬ訳にはいかない‥あの子を悲しませたくない‥。顔に傷を負って舞台を去った世捨て人同然の私のために泣いてくれた少女がいる。殺されてやる訳にはいかないんだ‥!」
 ヘルマンは絡む糸を解こうと必死に藻掻き、シエルが現れると助けを求めた。
「シエル‥! 助けてくれ‥!」
「メロウとヒューマンとバーヴァンは食べたから、今度はライトエルフを食べたいんだよね。鳥さんがアーシェさんは池に沈んじゃったって言うし、アシルさんは食べない約束だから、ヘルマンさんにするよ」
 シエルはヘルマンを突き飛ばして馬乗りになった。
「好きな人達ほど食べたいんだよね。肉じゃなくて愛に飢えてるのかな? あ、これ邪魔だから取る‥ね‥‥‥‥‥‥うぇ‥‥不味そう‥‥ごめん、無理」
 デスペアマスクでも絶望しなかったシエルが、ヘルマンの素顔に落胆する。
 包丁の刃に映つるのは世にも醜悪な男の顔。
 悪魔との契約期間は終わったが、復讐を遂げたカレスが涙を流すことはなかった。

◆堕ちる

「アシル‥ッ! 何とか動けるまでに回復して戻ってみれば‥どうしてこんな事に‥戦ったのですね」
「レイナス‥生きてた‥んだNE‥。争う声が‥聞こえ‥来てみたらシエル‥ウェアウルフ‥で‥カレスは‥ゴーレ‥ヘルマンが死んで‥」
 レイナスは血を吐いて倒れているアシルを助け起こすが既に虫の息。
 ヘルマンは干涸らびて絶命、シエルはメギドで丸焼き。
 腹を切り裂く傷はカレスのチャクラムだろう。
「しゃべらないで下さい。今助けます。キミも私と同じになれば‥永遠に‥」
「くすぐったいYO‥レイナス‥。ああ‥でもレイナスに‥口付け‥られるの‥嬉しいNA‥」
 命の灯火が消える前にとレイナスは首筋に口唇を宛がう。
 だが牙立てる前にアシルは言った。
「俺‥レイナスとなら‥どこまででも堕ちて‥いける‥。俺はレイナスが‥いれば‥何も怖くないんだ‥‥でも俺は‥俺のまま‥いるYO‥。弱くて‥情けなくても‥いいよNE? レイナスの好きな‥俺のまま‥」
 アシルはレイナスの腕の中で、闇に堕ちることなく逝った。
「自分、本当は始祖のセグナスなんです。死んだふりして土に眠り、目覚めては名前を変えまた現れる‥‥そういうことを何百年とやってきましたが、これを最期にキミと共に目覚めぬ夢の中に堕ちましょう。カレス、その日射効果のあるチャクラムで命の糸を断ち切って貰えますか?」
 レイナスはセグナスではなく、アシルの愛したレイナスとして終わることを選んだ。

◆愛を紡ぐ女

「愛らしく、憎らしく、狂おしく‥人の心とは何と複雑で美しいモノで御座いましょう」
 カレスが二胡を手に弾き語る。
 気づくと二胡はハープへ、黒髪は銀髪へと代わり、カレスはナヴィになっていた。
「眠りましょう。目が覚めたらきっと、縺れた糸も元通り。でも忘れないで。糸を縺れさせないでください。縺れた人形の糸は断ち切るしかないのですから。ねぇ、アーシェ」
 アーシェに微笑みかけると彼はバクへ。
 そしてナヴィもシエルに変わる。
「さてさて、幕引きはきちんとしないとね? 愛に縺れ、運命を狂わせた哀しき人達の物語はこれでおしまい。時を巻き戻して愛を紡ぎ直すよ」
 シエルは眠り歌のハープで夢を綴った。

『恋の綿毛を縒り上げて、数多の愛と幾多の欲とを紡ぎましょう
 愛の糸車が縺れたなら、幾千の命と幾億の運命を断ち切りましょう

 愛の糸が私を縛り、運命の糸が私を操る
 愛の楔で激しく抱いて、愛の刃で優しく殺して』




◆スタッフ


アシル・レオンハート(tb5534):大和 稟
シエル・ラズワルド(tb6111):瀬良ハルカ
レイナス・フィゲリック(tb7223):mugikon
アーシェ・フォルクロア(tj5365):影鴉
ナヴィ・アルティシア(tj5711):青柳るう
ヘルマン・ライネケ(tj8139):真マクロ黒
カレス・カンパニーレ(tk5628):雨月れん
ナレーション:真マクロ黒

原作:八島礼
編集:真マクロ黒
企画:才川貴也(REXi)