担当MS:八島礼

ビジュー・ブリアン

開始料金タイプ分類舞台難易度オプション状況
17/01/28 24:00800 Rexショート日常竜宮自由お任せプション 15人

◆参加者一覧

リベルト・クレパルディ(ta6844)E風
アシル・レオンハート(tb5534)P火
サポート
シエル・ラズワルド(tb6111)H風
レイナス・フィゲリック(tb7223)H陽
ショコラ・ミルフィーユ(tb7879)P地
シアン・ヴィンター(tb8298)P水
マリク・マグノリア(tb9365)H月
クレア・ジェラート(tf3225)E水
サポート
マーリオン・シャッツィ(tg0478)H水
シエラ・キャンベル(tj1303)P地
フィリーネ・ランデル(tj9100)P水
シルヴィ・アルティシア(tk2028)E風
サポート
ジンジャー(tk6688)P陽
ヒエン・フーディエ(tk6793)W月
シャオ・リリィ(tk7065)H風
ナルシス・ノワール(tz0076)H月

オープニング

◆宝石物語

 天竜宮の仕立て屋。
 そのアトリエは色とりどりの衣装と宝飾品に溢れていた。
 尤も宝石の類いは貴重かつ高価ゆえに、精巧に作られた模造品であるが。

「でもさ、僕は思うんだ。
 どんな美しい布に身を包み、高価な宝石で飾り立てても、人が持って生まれた美には適わないと。

 あの美しい黄金の髪を見たまえ。
 金の絹地を纏ったかのような柔らかに髪が、朝焼けの海のように波打っている。

 それにあの碧色の瞳――
 正に宝石のようだと思わないかい?
 それこそ海の至宝、慈愛深き母なる海の色だよ」

 ナルシス・ノワール(tz0076)は、恋愛小説家らしくラリサ・カレーニナ(tz0048)の美を賛美すると、その場に集められたドラグナー達に向かって言った。

「それでなんだけど。
 『宝石物語』という題名で絵物語を書こうかと思っているんだ。
 勿論挿画も僕が描く。
 ついては君達にモデルをお願いしたい。

 ここで言う『宝石』というのは本物の石や玉のことではなく、君達の瞳のことだ。
 つまり君達は瞳の色が引き立つような衣装を、この部屋にある中から選び、着て欲しい。
 手に入らないような希少品以外、布地や装飾品の材料はたくさんあるから自作でも構わない。

 DGSとかの眼鏡を掛けてみたり、瞼や眦にシャドウやアイライン、ストーンを付けたりして目の周りを飾ってみるのもいいね。

 衣装と化粧の準備が出来たら僕がスケッチするからポーズを取ってくれ。
 そう、黒曜石の騎士とか、真珠のドレスとか、そういう僕のインスピレーションを掻き立てるようなイメージで頼むよ。
 それを僕が絵にし、物語を綴るから」

 ナルシスはそう言って写生の為の画板と黒炭を手に取った。

◆輝く宝石

・このシナリオは上記の如く瞳の色をクローズアップし、それにふさわしい仮装をしようというものです。
・リプレイは皆様の瞳と衣装をヒントにした描かれたナルシスの創作物という体裁を取ります。

・以下の書式に沿ってお書き下さい。

【書式】
1)瞳の色(※必須)
 同じ「赤」でも黒味を帯びた深紅や暖味のある朱色など、人それぞれ違いがあると思います。
 アイコンや全身図の絵では細かなニュアスがMSには分からないため、文章でキャラの瞳の色を説明してください。

2)衣装・化粧(※必須)
 選択した衣装や化粧について書いて下さい。
 この欄に『ナルシス先生抱いて!』と書くと、ナルシスが貴方のキャラに似合う衣装を選んでくれます。

3)ポーズ・コンセプト(※任意)
 イメージしたものや取ってみたいポーズがあれば教えてください。
 また他の参加者様とご一緒したい場合にはその方のお名前もお知らせください。

◆登場NPC
 ナルシス・ノワール(tz0076)・♂・ホーキポーキ・月・ライトエルフ

◆マスターより
 こんにちわ、八島礼です。

 今回のシナリオは瞳の色をクローズアップするもので、鳥たちの止まり木様からご提案頂きました。
 サークル長さん曰く、サークルに所属されている方以外の参加も歓迎とのこと。
 拙著『Marchen』に似た感じになるかと思います。
 キャラの仮装が見てみたいという方、外見をじっくり描写して欲しいという方は是非ご参加ください。

 キャラの外見描写が主となりますため、書式の1と2は必須項目です。
 書式3は特にオーダーがある方のみお書きください。

 『ナルシス先生抱いて!』は別名「八島MS愛してます!」コース。
 私のセンスで好きにしていいよ、むしろそれを期待してますという人向け。
 その場合には他の人とのバランスを見つつ、私が皆様のキャラに似合うと思ったものや、こんな衣装を着せてみたいと妄想を滾らせたものをチョイスさせていただきます。

 それでは皆様のご参加を心よりお待ちしております。

リプレイ

『ビジュー・ブリアン 〜宝石物語〜』より

◆第一章 暁を行く船

『船は往く――

 夜の深淵から暁の海原へと

 船乗り達を待ち受けるのは
 胸躍る冒険と、煌めく宝石

 彼らはやがて辿り着くだろう
 水平線の果ての島、女神の待つ島へと』

◇黎明のアレキサンドライト
アシル・レオンハート(tb5534)

(海軍士官の衣装に身を包んだアシルが軍艦らしき船の艦首に立っている。

 彼の纏うジュストコールは紅蓮の炎のような赤。
 頭に被った黒いバイコルヌは赤い羽根と金鳥の紋章付き。

 右手は船の行く手を指し示し、左手は傍らの副官のリャマ(td7895)の肩へと置かれている。

 やや右を向いたアシルの瞳は左が赤で虹彩の縁が黒味がかり、右は黄色で薄く翠が滲んでいる。
 背景はその瞳と呼応するように左から右へ、赤黒から朱、朱から金、金から淡い翠へと変わるグラデーション。
 髪もまた左から右へと風に吹かれて棚引く。

 血と炎の紅蓮の闇を抜け、緑成す命の光の海へ、そんなイメージ。
 アシルの眼差しは力強く勇気に満ち溢れ、背を向けたリャマの青緑色の髪がアシルの向かう先の希望を象徴。
 船は人生という航路を示し、それが軍艦なのは彼らの道行きに険しい戦いが待ち受けていることを意味している)

◇暁光のエスメラルダ
シエル・ラズワルド(tb6111)

(爽やかな緑風が吹く中、船のバウスブリッドに淡い黄金色のグレゴニア風の衣服を纏ったシエルが横座りしている。

 艦体側の左足は立て、白く伸びた右足はグラディエーターサンダルを履いて垂らす。
 手に携えているのは女神像の付いた竪琴。

 シエルは少年となつており、膝丈までの衣装の裾の下は半ズボン。
 背には白い小さな羽が生えている。
 首に巻いた淡い金のロングスカーフが風に踊るように左から右へ棚引く。

 背景の緑は画面右に行くほど青味を帯び、シエルの青味を帯びた緑色の瞳は黄金の衣装に包まれて映える。
 シエルの顔はやや右を向いており、視線は遙か水平線の向こうを見るよう。
 背景に飛ぶ海鳥達はシエルに追従するように右へ向けて飛んでいる。

 シエルはアシルの乗る船を導き手であり、鳥達の長、女神の御使い。

 シエルが奏でる竪琴からは楽譜のようにルーン文字の羅列が流れ出ており、それらは画面右端に続いている)

◆第二章 情動の三姉妹

『彼らはやがて運命の女達と出会い、愛を知る

 高らかに謳う愛
 慈愛深き理の愛
 心秘めた忍ぶ愛

 それらは全て女の顔であり、いずれの愛も宝玉である』

◇係恋のアクアマリン
シルヴィ・アルティシア(tk2028)

(清らかで透き通った水中でシルヴィが手紙を胸に抱いている。
 水に漂うように淡い金色の髪が広がり、画面の上、海面から注ぐ日の光を帯びて煌めいている。
 水と同じ色した涼やかな瞳は、仄青い世界の中でも際立つ。

 古代グレゴニア風のキトンは露出こそ少ないが、薄い布が体に張り付き、若く瑞々しい肉体を艶めかしく強調。
 衣装の色は白だが裾に行くほど乙女の恋心を示すように微かに薄紅色を帯び、裾はメロウの尾鰭のように広がりを見せる。

 彼女が両手を交差して大切に抱く手紙は胸元に隠され文面は見えない。
 しかし手紙からか、あるいは彼女の胸からか、ルーン文字らしきものが溢れ出す。
 それは愛のフレーズであり、「愛を文字にして綴りましょう、愛を本にして記憶しましょう」と綴られているのが分かる。

 文字は画面左端へと消え、前章『暁光のエスメラルダ』と並べたときに文章が繋がっている)

◇節制のブルートパーズ
シアン・ヴィンター(tb8298)

(青いドレスを着たシアンが氷の結晶の上に腰を下ろしている。
 背景には微かに描かれた雪の結晶が舞う。

 タイトな高襟のドレスは前を幾つもの小さな金ボタンで止められているが、ベルスリーブとマーメイドラインの裾が女性らしい柔らかさを醸し出す。
 ドレスと同じ色のフレンチ・フードを被り、前髪は中心で分けられ、後ろ髪は結い上げられて白い首筋をすっきり見せている。

 シアンの瞳はシルヴィと同じ水色だが、より彩度が高く氷のよう。
 瞼には青いシャドウを施し、睫には青いマスカラを、口唇には青い口紅を塗り、より怜悧な印象を与える。

 両手は膝上で書物を開いて持っているが、その本から浮かび上がるのはルーン文字。
 「愛を犠牲にして尽くしましょう、愛を理性にして捧げましょう」という言葉が整然と並ぶ。

 色の濃淡はシルヴィより大人であることを示して濃い。
 また表情も頬を上気させ恋を夢見る少女のようなシルヴィとは対象的に、穏やかな微笑みを浮かべている)

◇秘色のグレーダイヤ
マーリオン・シャッツィ(tg0478)

(漆黒と見紛う濃灰色の布地をローブのように頭から被ったマーリオンが立っている。

 布から出た右手は布地の端を持って口元を覆い、顔は目から上しか見えない。
 左手はルーン語で「愛」と題を表紙に箔押しされた本を下げ持つ。
 下ろした黒髪は左側で前に垂らし、毛先は布地に同化して消えている。

 布地から左足を前に踏み出し、膝から先だけを晒す。
 右手の爪先と左足の爪先には瞳と同じ無機質な灰色のストーン。
 額を飾るチェーンティアラの中央にグレーダイヤを模したマーキーズ・ブリリアントカットの大きなストーンが、第三の目のように一粒眉間に。

 マーリオンの顔は無表情で、手にした本は開かれることはない。
 背景は纏う布と同じ濃灰色だが、よく見ると様々な色がぼかされ、無感動を装う心の内に秘めたるものを示す。

 情熱のまま愛を表すのがシルヴィ、理性的に愛を施すのがシアン。
 マーリオンはそのどちらでもあり、全てを自らの内に秘めている)

◆第三章 追憶という名の結晶

『手にした宝石を覗き込めば、女の愛が眠っている

 それは激しく火花散らして傷つけ合った傷みであり
 あるいは優しく耳元で囁きあった甘美な悦びであり

 しかしそれら全ては時の彼方
 二度とは戻らぬ在りし日の記憶』

◇蜜蜂の記憶
フィリーネ・ランデル(tj9100)

(膝を抱えて丸くなったフィリーネが、淡い黄金色の石の中に閉じ込められている。

 フィリーネの頭には2本の触覚。
 黒茶と黄茶の縞のミニ丈のドレスは、肩を出し、胸元が大きく開いた襟周りにはファーをあしらう。
 背には薄い4枚の翅が生え、蜜蜂のよう。

 フィリーネの髪は捻った後で纏めて襟足を出し、顔と体はやや右を向き、頬を膝頭に乗せている。
 目の周りを焦茶色のシャドウでぼかして黒ずませた中、蜂蜜の瓶の底に沈めたような鈍い黄金の瞳は遠くを見つめるように遠い。
 わずかに開かれた口唇は「愛」という言葉を象っている。
 
 彼女を包む石の上側は液化しており、滴り落ちた蜜が石を作り上げている。
 外側には小さな蜜蜂が一匹。
 それは母を慕う蜂の子のようであり、妻と隔たれた雄蜂のようでもある。

 前章の三姉妹が愛の女神なら、この章は愛の記憶。
 『薔薇の記憶』が傷つけ合う愛の記憶ならば、『蜜蜂の記憶』は蕩けるような愛の記憶である)

◇蜜蜂の笛
ジンジャー(tk6688)

(太陽の光のように華やかな金髪の巻き毛の青年姿のジンジャーが、ダンデライオンの上に座り横笛を吹いている。
 下を向くジンジャーの背の四翅の先端は先端は溶け出してオレンジ色の蜜が滴る。

 その身を包むのは赤いチュニカに黄金のロリカ・セグメンタタ。
 古代グレゴニアの武人の出で立ちは、傍らに赤い鶏冠のような飾りの付いた兜を置き、腰に帯びるのは剣。
 健康的に焼けた脚は右脚を立て、左足を下ろしている。

 周りには彼の笛に合わせて乱舞する蜜蜂たちが彼の笛の音に操られるように飛ぶ。

 『蜜蜂の記憶』を下に置くと翅から落ちた蜜が固まり石になっていくような構図になっており、『蜜蜂の記憶』がやや昏めであるのに対してこちらの色調は明るい。
  瞳は目に嵌めた黄玉のように日の光を浴びて輝く。

 『暁光のエスメラルダ』とこの『蜜蜂の笛』は構図が酷似し、竪琴と笛、右向きと左向き、青年と少年、蜂と鳥と対象が見いだせる)

◇薔薇の記憶
リベルト・クレパルディ(ta6844)

(白い背に一輪の薔薇の入れ墨のある中性的な青年リベルトが背をこちらに向け、顔を横向きに腰から上が描かれている。

 衣装は白い軍服の上着を肩から落とし上半身を肌蹴た半裸。
 体型は細身なれど骨格から男と分かる。
 腕を交差させ、左手は右脇腹を隠すように、右手は左肩抱くように置いている。

 薔薇の色は彼の瞳と同じ鮮やかな深紅。
 若者らしいしなやかな背には右脇腹まで傷が走り、薔薇の入れ墨を切り裂くよう。
 背に隠した大切な思い出が他人によって蹂躙されたことを示す。

 横を向く彼の視線はこちらを向いており、己の背を見た者を射殺すかのように視線は鋭い。
 背景に描かれているのは荒廃した戦場らしき風景で、色彩は退色してくすんだ黄金である。

 『蜜蜂の記憶』が閉じ込められた記憶なら、こちらは切り裂かれた記憶。
 白い軍服は『薔薇の剣』でシエラが着る軍服と同じデザインの色違いとなっている)
 
◇薔薇の剣
シエラ・キャンベル(tj1303)

(赤い軍服を着たシエラが右手に剣を下げ、左手に白い軍を下げ持って薔薇水晶の塊の上に立っている。
 シエラは長い黒髪は結い上げ、前髪を撫で付けた男装風。

 軍服は上が瞳の色と同じ鮮やかな緋色でズボンと長靴は黒。
 足下の薔薇水晶を足蹴にするように立ち、手にした剣からは血が滴り、固まって足下の結晶となっている。

 シエラの顔はやや煽り気味で視線は見下すかのよう。
 左手の白い軍服は『薔薇の記憶』でリベルトが纏っている物と同じで、彼を傷つけ秘密を隠す衣服を剥ぎ取ったのが彼女だと分かる。

 シエラもリベルトも性別を違えることは無いが、絵の中では女は男のように、男は女のように描かれ、蹂躙する側される側の性が錯綜する。

 『蜜蜂の記憶』と『蜜蜂の笛』、『薔薇の記憶』と『薔薇の剣』が連作。
 さらに蜜蜂二作と薔薇二作がやはり連作となっていいる)

◆第四章 遙かなる東方

『遙けき東の国では愛は剣となり我が身を切り裂き、憎は矢となりて彼の心を貫くと言う

 愛と憎は表裏一体
 男と女は陰陽一対

 男は覇を争い、女は寵を争う』
 女は男を欺き、男は女を暴く』

◇アンバーの舞
クレア・ジェラート(tf3225)

(水干を着た白拍子姿のクレアが両手に扇を持ち、舞を踊っている。
 背後には同じ白拍子姿で金髪を靡かせたパシフローラが背を向けて立っているが、その顔は見えない。
 クレアはパシフローラの前に両膝を付いている。

 パシフローラは画面右上、左手に扇を掲げて立ち、クレアの扇は一つは胸元を隠すように広げて持ち、もう一つ右手に持った扇は水平に持っている。

 画面右上のパシフローラの扇に描かれているのは蔦草が描かれた翡翠色。
 画面中央やや下、クレアの胸元の扇には割れた赤い石榴。
 画面左下の水平に持たれた扇には血のような薔薇らしき花が窺える。

 クレアの頭の後ろ広がる広がるパシフローラの髪は煌めき、クレアに後光が差しているかのようにも見える。
 クレアの大粒の琥珀の瞳の中をよく覗き込めば、片方には瞳の中に蜂が描かれており、瞳に映っているようにも、瞳の中に潜んでいるようにも。

 眦に朱を、口唇に紅を引いたクレアは普段とは違い、どこか妖しげ。
 白拍子の示す異性への変身は前章『薔薇の記憶』『薔薇の剣』、そして『ガーネットの心』とも共通するテーマである)

◇ターコイズーブルーの矢
マリク・マグノリア(tb9365)

(グリーヴァの狩衣姿のマリクが横を向き、画面左に向かって弓を構えている。

 狩衣は蔦模様の入った白い絹で出来ており、右肩から腕に掛け黒い篭手を付けている。
 頭は黒い侍烏帽子に蔦草を飾り、黒い沓、黒い小袴。

 手にした弓は黒塗りで弦の部分は蔦に。
 既に放った後らしく、矢はなく、弦が細かく震えている。

 狙い定めてわずかに眇めた眼差しは、緑とも青とも付かぬ色。
 眦には深緑を引き、横向く片眼だけの目を強調。

 瞳と同じ色の蔦が彼の黒い右腕の篭手から人差し指にまで巻き付く。

 口唇はきりりと結ばれ、語ることはなく、想いの全ては一矢に託したのであろう。
 背景は若々しい青味を帯びた緑で右に向かうほど金色に変わっているが、背景に描かれているのはぼかされた蔦草。

 『ガーネットの心』と対になると同時に、第一章の『黎明のアレキサンドライト』ともまた対。
 アシルは左を指さし、マリクは右を指さし二枚並べると指は同じ高さとなっている)

◇ガーネットの心
レイナス・フィゲリック(tb7223)

(束帯姿のレイナスが矢の刺さった石榴を手に立っている。

 黒い袍の上には女物の紅色の単を左肩に羽織って重ね、蘇芳色を作り出している。
 袍の胸元は肌蹴られ、左胸からは血が覗く。
 被った黒い冠には赤い粒が覗く石榴が飾られている。

 手にした石榴には青緑石の鏃を持つ矢が突き刺さって割れ、中から血のような赤い石榴石の粒が零れ落ち、石榴が彼の心臓のようにも。
 『ターコイズブルーの矢』と並べると横から刺さる矢がマリクの放ったものと分かるだろう。
 手にした石榴は差し出した心。
 射貫かれた石榴は本性が暴かれたようにも、晒した心を傷つけられて血の涙流しているようにも受け取れるだろう。

 石榴色の瞳を強調するようにの目尻に朱を、口唇に紅を引いた様は男に化けた女妖のようでもあり、女に化けた男妖のようにも。
 レイナスの顔は楽しげにも悲しげにも見え、紅を塗った口唇が紡ぐのは「愛」という言葉で、第三章とも共通する。

 背景にはぼかされた石榴の実のなる木が描かれ、右から左に向かうにつれ色彩は黒から赤に近づく)

◇アメジストの剣
ヒエン・フーディエ(tk6793)

(紫色の単に身を包んだヒエンが黒髪を垂らして仰け反る姿の腰から上が描かれている。
 胸元は肌蹴け、剣が上から白い肌を貫き、背景には剣のように鋭い葉を持つ菖蒲の花が乱立。
 幾つもの色を重ねた紫の単にはにもまた菖蒲の柄。

 仰け反るヒエンの深い紫色の紫には紅の光が、紫でぼかした瞼には金粉が混じる。
 身を貫かれながらも向けた眼差しは悩ましげにこちらを見つめ、口唇は扇に隠されてその感情は読めない。

 流れるような黒髪を垂らした頭には華やかな金の釵子。
 口元隠した扇は金色で、描かれた花は黄色い蒲公英にも似た菊花。

 扇を持つ手は人形のように球体関節を持ち、人に化けたのを暴かれた人形のようにも、呪いで人形に変えられた人にも見える。

 紫は赤と青を合わせた色。
 『ターコイズブルーの矢』と『ガーネットの心』の間に置いて見ると、貫かれた瞬間に見えるだろう。
 また、異性装ではなく完全に両性具有の美として描かれている。

 剣というモチーフは『薔薇の剣』し、こちらはグリーヴァブレードである)

◆第五章 審判の日

『航海は終わり、世界の果て、時の彼方で船乗り達は審判を受ける

 誰を愛し、どれほど喜びを知ったのか
 何を憎み、どれほど悲しみを覚えたのかを

 船乗り達よ、見せなさい

 君の辿りし冒険の軌跡を

 さあ――」

◇愚者の天秤
ショコラ・ミルフィーユ(tb7879)

(正面を向いたショコラが掌を上向きに肩の高さまで上げ、脚を交差させて立っている。

 左手には緑色の衣服を着た少年姿のアースソウルが弓矢を携えて浮かび、笑っている。
 右手には金色の翅を持つ少女の姿をしたエレメンタラーフェアリーが竪琴を抱いて浮かび、嘆いている。

 ショコラの顔の右半分は茶色に近い金色の瞳を強調するように目の周りを赤いシャドウでぼかし、アンダーラインに金色のストーンを連ね。
 左顔は左右色違いの濃緑の瞳を生かして黒いアイラインをくっきりと引き、付けぼくろのように目元に黒いティアドロップを。

 左側はフリルの付いた真っ赤なロングスカートに華奢な黒いサンダルを履き、右側は青い半ズボンに茶色の編み上げブーツを履くアシンメトリーなデザイン。
 髪には垂れ下がる緑の葉の飾りと、赤い小さな実の粒の飾り。

 一見ちぐはぐな衣装は道化師そのもの。
 背景には何を描かれておらず、黒く塗り潰されている。

 『秘色のグレーダイヤ』以上に何もかもを内包していることが表現されている)

◇女神の楽園
シャオ・リリィ(tk7065)

(純白のドレスに身を包んだシャオが目映い光の中に座り、リュートを奏でている。

 シャオのドレスは幾重にも衣とレースを重ねて膨らみ優美。
 髪を結い上げた頭はドレスと同じ純白のレースを被り、レース越しにこちらを見つめて微笑む。
 レースの下にあってもその琥珀のような瞳は金色の優しい光を湛えている。

 リュートを引く手は白い手袋に覆われ、ハイネックのドレスは首筋を隠して肌は見えない。

 彼の持つリュートからは流れる音楽を示してルーン文字が流れ出る。
 その文字は薄く小さく描かれているが、『暁光のエスメラルダ』でシエルのハープから流れ出ていたものと同じ。 
 シャオの体はやや左を向いており、『暁光のエスメラルダ』と並べると対に。

 また様々な色の衣装と化粧を施し背景を黒く塗って混沌とした『愚者の天秤』とは逆に、光による陰影を仄かに色づけした他は瞳を覗きほぼ白一色に統一。
 黒が死を意味するのなら、その後に続く白は女神の住む楽園に召されたことを意味。
 『黎明のアレキサンドライト』は黒から始まり、『愚者の天秤』で黒に終わり、この『女神の楽園』で新たなるスタートとなる)


◆解説

「みんなありがとう。おかげで面白い作品が出来上がったと思う」
 ナルシスは出来上がった本を一冊ずつ手渡しながら礼を言った。

 出来上がった本は『宝石物語』という題が作られ、白黒で印刷された挿絵は一冊ずつナルシスの手で着色されている。

 リベルトは不本意そうな顔をして受け取ったが、フィリーネは今にも喜びで失神しそうな勢い。
 アシルはリャマの分を、クレアはパシフローラの分を、シルヴィは母の分をそれぞれ余分に受け取った。

 ドラグナー達はただモデルとなるばかりではなく、マーリオンは衣装製作に腕をふるい、レイナスは東方衣装の、シアンとマリクはルーン文字の監修を引き受けていた。
 シエルもまた化粧を手伝い、皆で手分けして小物を持ち寄るなど、協力して完成したものだ。

「残念なのは印刷だとどうしても色の再現に限界があることかな。君達の瞳はより鮮やかで美しいからね。だからせめてと思い言葉を尽くしたけれど」
 ナルシスは少しばかり残念そうに言うけれど、ヒエンやシエラが面白いと言ってくれたことに気を取り直して杯を取った。

「ま、無事に完成したことだし、気を取り直して打ち上げといこうじゃないか。一曲頼めるかい?」
 促されてシャオは杯ではなくリュートを手に取った。

 ――君の瞳に乾杯

 音頭に合わせてショコラも杯を掲げ、ジンジャーは元気いっぱいにその言葉を繰り返した。